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認知症

地域の取り組み 認知症 調査結果

認知症だとトイレのマークがわからない!?街を練り歩いてリアルな声を

八王子市が取り組む「練り歩き隊」の活動が、NHK厚生文化事業団による「第7回認知症とともに生きるまち大賞」を受賞したそうです。 「認知症とともに生きるまち大賞」とは、認知症になっても安心して暮らせる街づくりの取り組みを表彰するもの。今回受賞した「練り歩き隊」は、八王子市内に住む認知症当事者が地域を回り、認知症の人が利用しづらいと感じた点を指摘する活動をしています。 認知症の人が「利用しづらい」を指摘 「練り歩き隊」は、八王子市内に住む認知症当事者と、認知症当事者をサポートするデイサービス事業者、高齢者あんしん相談センターの認知症地域支援推進員、行政、企業や学生ボランティアなどが所属しています。 練り歩き隊の活動内容は、練り歩き隊のメンバーである認知症当事者と認知症当事者をサポートをするメンバーが、地域の図書館やスーパー内を歩いて案内表示など施設を利用するうえで「認知症の人が利用しづらい」と感じた点などを指摘する活動をしています。 また、施設側は、指摘された内容を参考に認知症の人が利用しやすい環境や利便性を向上するのに役立てています。 認知症の人が「利用しづらい」環境とは 認知症の人にはどういった環境が「利用しづらい」と感じるのでしょうか。株式会社ソーシャルデザインネットワークスがおこなった調査では、一般的にはわかりやすい記号が認知症の人にはわかりにくい場合があることがわかりました。 例えば、男女が立って並んでいるトイレのマーク。認知症の人が見る場合には「人が2人立っているマーク」「男と女のマーク」など、「トイレのマーク」と認識できていない人が半数以上いました。 一方、人が便座に座っており、背景が青い色のマークは「男性トイレ」、女性のシルエットで背景が赤い色のマークには「女性トイレ」と正しく認識している人が多いそうです。この結果から、認知症の人には絵柄の内容ではなく、色で伝える方が認識しやすいということがわかりました。 認知症の人が「わかりにくい」「利用しづらい」と思うものがどんなものなのかは、認知症の当事者でないとわからないことが多いです。練り歩き隊のように、認知症の人の声を聞きながら、認知症の人が生活しやすい環境を整える活動が広がると良いですね。 参考:「認知症の人にも優しい記号の調査」

2024/03/19

人生の最期 認知症

「認知症の妻」と「心臓病を患う夫」。生と死がテーマの映画が公開

「CLIMAX クライマックス」などで知られるアルゼンチンの映画監督ギャスパー・ノエ氏が今回、認知症をテーマにした最新作「VOLTEX ヴォルテックス」を製作しました。日本では12月8日より全国の映画館で公開予定だといいます。 「病」と「死」をテーマにした最新作がリリース アルゼンチンの映画監督ギャスパー・ノエ氏が創り上げた、「病」と「死」をテーマにした最新作「VOLTEX ヴォルテックス」が、2023年12月8日より全国の映画館で公開されることが明らかになりました。 主演は、「サスペリア」などさまざまなホラー映画を世に送り出してきた巨匠、ダリオ・アルジェントで、心臓病を患い、余命いくばくもない夫を演じます。 また、フランソワーズ・ルブランが演じる妻も認知症を患っていて、残り少ない命。「VOLTEX ヴォルテックス」では、画面を二つに分割するスプリットスクリーンによって、老夫婦の「人生最期の日々」がそれぞれの視点から描かれていきます。 さらに、病や不測の出来事、家族との不和が老夫婦二人を襲い、やがて死んでいくといいます。 死までの過程を冷徹に描く 二人は元々、仲むつまじい老夫婦でした。しかし、妻の認知症が進行してからは一転、意思疎通すら難しくなり、息子ともあまりうまくいっていないようなシーンが映し出されます。 多くの映画では、死にゆく命だったとしても、支えてくれる家族や友人がいるなど希望が持てるシーンが描写されることもありますが、「VOLTEX ヴォルテックス」はそんなわずかな「救い」すらなく、老夫婦がそれぞれ歩む死までの道のりが淡々と描かれていきます。 このたび、「VOLTEX ヴォルテックス」の場面写真と30秒の予告編が解禁されました。ベッドの上で心臓発作を起こし苦しむ夫の横にいながら、認知症の妻は「うるさい」とばかりに布団をかぶるだけ…。二人の人生は、どのような結末を迎えるのでしょうか?

2023/11/16

最新研究 認知症

人種によって認知症リスクが違う!?南アジア人は発症リスクが高い!?

新たな研究で、南アジア人は白人や黒人に比べて認知症の発症リスクが高い可能性が示されました。この研究はカレッジ・ロンドン大学によっておこなわれ、その研究結果はPLos Oneという科学誌に掲載されています。 80万人以上の高齢者を対象に調査を実施 今回、研究グループはイギリスの大規模医療データに登録された人のうち、86万5674人の65歳以上の高齢者を対象に調査をおこないました。 具体的には、高血圧や肥満、糖尿病、睡眠障害、血中濃度が低い方が認知症のリスクが高まるとされるHLDコレステロールの値といった、危険因子が認知症の発症リスクがどの程度影響を及ぼすのかについて、白人・黒人・南アジア人と人種ごとに調査を実施したといいます。 また追跡期間中に、対象者のうち14万9228人が認知症を発症したことが明らかになりました。 南アジア人はほかの人種よりも認知症リスクが高い 研究グループが白人・黒人・南アジア人と各人種ごとに認知症の発症リスクを統計的に解析した結果、南アジア人はほかの人種よりも高血圧や肥満、HLD低値、睡眠障害が白人よりも大きな認知症の発症リスクにつながる可能性が示されました。 また、黒人は高血圧が白人よりも認知症の発症リスクにつながることがわかりました。 以上の結果を受けて、今回の研究をリードしたカレッジ・ロンドン大学のナーヒード・ムカダム氏は「大規模サンプルを用いて、危険因子が認知症の発症に及ぼす影響を人種ごとに比較検証した研究は今回が初めてだ。今後は南アジア人や黒人などの民族マイノリティーにターゲットを絞った認知症予防の取り組みが必要になるだろう」と指摘しています。 今回の研究はイギリス国内の状況を調べたものであるため、日本人にも同じ仮説が当てはまるかはわかりません。 しかし、高血圧や肥満、睡眠障害などの生活習慣病が認知症につながることは多くの研究で明らかになっているのは事実。日々を健康に過ごすためにも、毎日の生活習慣を見直していきたいですね。 参考:「南アジア人、黒人と白人の民族性と認知症に対する潜在的に修正可能な危険因子の影響:英国の電子医療記録に関する研究」

2023/11/14

最新研究 認知症

豆乳で認知症リスク低下!?栄養満点な豆乳を飲んで体も脳も健康に!

新たな研究で、豆乳を飲んでいる人は、豆乳・牛乳などのミルクを飲まない人に比べて、認知症の発症リスクが低くなる可能性が示されました。 この研究は中国の中山大学によっておこなわれ、その研究結果は「Clinical Nutrition」という栄養学の専門誌に掲載されています。 30万人以上の医療データを解析 今回、研究グループは、イギリスの大規模データベース「英国バイオバンク」に登録されている、30万7231人(平均56.3歳)を対象に調査を実施。調査前に「ミルクを飲む習慣があるかどうか」や「牛乳や豆乳など、どのような種類のミルクを飲むか」といった質問をおこない、その後追跡して調べました。 追跡期間は中央値で12.3年。その間に認知症を発症した人は3789人でした。 豆乳を飲むと認知症リスクが下がる 研究グループが統計的に解析をおこなった結果、豆乳を飲む人は豆乳や牛乳を含むミルクを飲まない人に比べて、認知症の発症リスクが31%低下したことが判明。また、豆乳ではなく、牛乳を飲む人と比べても、認知症リスクが24%下がったことが明らかになりました。 研究グループは、「豆乳の摂取量や摂取頻度によって、認知症リスクがどのように変わるかについては、さらなる調査が必要である」としています。 日本豆乳協会によると、豆乳の原料である大豆には、がんや骨粗鬆症を予防するとされるイソフラボン、動脈硬化を抑制するとされる大豆たんぱく、肥満予防に効果的だとされるサポニンなどさまざまな栄養が含まれているそうです。 豆乳は単に飲むだけでなく、豆乳鍋やパンケーキなど幅広い料理に使えるのが特徴。日々の食事に豆乳を活用してみてはいかがでしょうか。 参考:「各種ミルクの中でも豆乳の摂取が認知症リスク低下と関連」(CareNet) 参考:「豆乳の栄養成分」(日本豆乳協会)

2023/10/19

地域の取り組み 認知症

認知症の方によるレストラン!?店長と料理長として、もう一度お店に

東京都八王子市で、認知症当事者が店長と調理長を務めるレストランがオープンしました。発生した収益は材料費やスタッフの謝礼に使われ、今後、月2回ほど店を開くといいます。 認知症当事者がレストランをオープン 認知症当事者である男性2人が店長と調理長を務めるレストランが、東京都八王子市でオープン。ポークカレーとキーマカレー、合わせて50食を訪れた一般客に提供しました。 2人は、認知症になる前は飲食店を営んだりファミリーレストランの店長をしていたりしたといいます。現在は2人とも市内にあるデイサービスに通っており、そこで「もう一度お客さんの前に立ちたい」という思いを打ち明けたそうです。 2人の思いを聞き入れたデイサービスの事業者は、市内のシェアキッチンを借り、店舗の準備をスタート。一定の準備期間を経て今回の実施にこぎつけたといいます。 店長と調理長という大役を担った男性2人は、「調理場に立つと昔のことを思い出して懐かしくなる」「また店に立てて良かった。帰るときに『おいしかった』と言ってもらえるとうれしい」と話しているそうです。 料理をすることが認知機能の改善にも 最近の研究で、料理をすることがさまざまな心身機能の改善につながる可能性が示されています。 京都教育大学の湯川夏子氏は、各地の高齢者施設などでおこなわれている「料理療法」を「料理活動を介して、心身の障害の機能回復や情緒の安定、豊かな人間関係の構築と生活の質の向上を目指すもの」と定義。料理がもたらす効果を、自身の論文で示しました。 また、アメリカの研究で、調理が認知症の症状の改善にもつながることが示唆されています。具体的には、メニューを考える、複数の作業を平行しておこなう、冷蔵庫にある食材を思い出すなどの調理にまつわる一連の行為が、認知症やその前段階である軽度認知障害において特に低下しやすい種類の認知機能を刺激するそうです。 料理をすることは、「自分にも美味しい料理が作れる」「みんなの役に立てた」という自尊心の回復にもつながります。今回紹介したような取り組みがさまざまな場所で広がっていけば、認知症になってもより豊かに生きられる社会になりそうですね。 参考:「料理療法 ─調理による認知症ケアと予防の効果─」(日本調理科学会)

2023/10/12

社会保障 認知症 認知症の薬

認知症治療のための保険!?費用の負担が減り高額な薬も使いやすく

東京海上日動火災保険株式会社と製薬大手のエーザイ株式会社は、認知症の早期発見や早期治療を支援する「認知症治療支援保険」を共同で開発したことを明らかにしました。エーザイが開発した認知症治療薬「レカネマブ」とともに活用してもらうことで、認知症の早期治療につなげるねらいがあるといいます。 「認知症治療支援保険」で認知症治療をサポート 東京海上日動とエーザイは、認知症の発見や治療を支援する「認知症治療支援保険」を開発したと発表しました。 エーザイが開発した認知症治療薬「レカネマブ」を処方してもらうためには、脳内に異常な物質が蓄積しているかどうかを確認する「PET検査」などを受ける必要があります。 しかし、こうした検査には一定の自己負担を要することも事実。そこで、認知症治療支援保険にあらかじめ加入しておけば、検査で軽度認知障害や認知症であると診断された段階で検査の費用等に充てられる一時金が支給されるそうです。 また、アルツハイマー病による軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症だと診断された場合は、認知症治療薬による治療費用等に充てられる一時金も支給されるといいます。 加入者に認知機能を測定するツール「のうKNOW」を提供 さらに付帯サービスとして、認知症治療支援保険の加入者に「のうKNOW」という認知機能の測定ツールを提供することも明らかにしました。 この「のうKNOW」とは、どのようなツールなのでしょうか? のうKNOWとは、エーザイが開発した、パソコンやスマートフォンなどのデバイスから脳の健康度を測定するデジタルツールのこと。トランプカードを使ったゲーム感覚でできる4つのテストを受けることで、「記憶する」「判断する」「考える」などのパフォーマンスを自分で確認できるといいます。 担当者は「認知症との共生社会実現に向けて、さまざまな企業や団体と連携し、ネットワークを拡大していくことで、社会課題の解決につながる取り組みを進めていく」としています。 新たな認知症治療薬「レカネマブ」は、薬の価格が高額なことがネックでした。今回の取り組みが広まっていけば、経済的な負担を気にせず、治療に専念できるようになるかもしれませんね。 参考:「『のうKNOW』公式サイト」

2023/10/11

認知症 調査結果

認知症が原因で離婚!?認知症後期よりも前期のほうが離婚につながる

新たな研究で、配偶者のどちらか一方が後期の認知症を患っている人は、離婚の可能性が低くなる傾向が示されました。 この研究はアメリカのミズーリ大学によっておこなわれたもので、その研究結果は「PLOS ONE」というオンラインの科学誌に掲載されています。 配偶者が認知症後期の人は離婚しにくいことが判明 今回、研究グループは全米37ヵ所のアルツハイマー病研究センターからデータを収集。婚姻または内縁関係にあったがのちに離婚した263組と、その比較対象として1238組のカップルのデータをそれぞれ解析しました。 その結果、配偶者のどちらか一方が後期の認知症を患っている夫婦では、離婚の可能性が低くなることが示されたのです。一方、認知症になった配偶者が認知症前期で攻撃的になったり抑うつ状態になったりすると、離婚の可能性が高まることが示唆されました。 この結果について、研究グループは「認知症の症状が高度に進行した状態であれば、ささいなすれ違いも認知症の症状によるものだと認めやすくなる。しかし、症状がそこまで進行していない状態だと、配偶者の攻撃的な言動が意図したものだと捉えられ、離婚につながりやすくなる」と分析しています。 精神面の不安定さにアプローチすることが重要 ミズーリ大学がおこなった今回の研究で、認知症を患った高齢者の不安定な精神状態に、多角的なアプローチをすることの重要性が改めて示されました。 薬物療法などの医療的なアプローチはもちろんのこと、配偶者も認知症の精神症状を落ち着かせるような生活の工夫をすることが重要です。 アメリカの国立老化研究所は「認知症患者とその配偶者は、なるべく一緒に食事をしたり睡眠を取ったりすることが大切だ。心を落ち着かせるような音楽をかける、散歩をする、物をむやみに散らかさないなどの行為も有効かもしれない」としています。 もちろん、生活を工夫しても認知症の精神症状に悩まされることも考えられます。今まさに配偶者の認知症の症状で悩んでいる人は、夫婦で抱え込むと共倒れになるリスクもあるため、早めに地域の地域包括支援センターなどに相談してみることをおすすめします。

2023/10/04

人材不足 最新テクノロジー 認知症

高齢者向けロボット「だいちゃん」新機能!より快適なやり取りが可能

以前の記事で、認知症を患っている高齢者向けのコミュニケーションロボット「だいちゃん」について紹介しました。今回はその続報です。 認知症の高齢者向けロボットの開発・販売や介護施設の運営などをおこなっているザ・ハーモニー株式会社は、自社が開発した認知症の高齢者向けのコミュニケーションロボット「だいちゃん」に新機能を搭載したことを明らかにしました。 具体的には、あらかじめ設定することで、「だいちゃん」と会話できる「おはなしモード」から「うたモード」に自動で切り替えることが可能に。これにより、利用者がより集中して「だいちゃん」とのコミュニケーションに取り組めるようになるといいます。 コミュニケーションロボット「だいちゃん」について そもそも、「だいちゃん」とはどのようなロボットなのでしょうか? 「だいちゃん」は、ザ・ハーモニーが自社の高齢者施設で培った知見を活かし、認知症の高齢者が楽しくコミュニケーションに取り組めるように開発されたぬいぐるみ型のコミュニケーションロボットです。 「だいちゃん」にはザ・ハーモニーが独自に開発したAIが搭載されており、認知症を患っている高齢者の会話のテンポに合わせたコミュニケーションが可能。具体的には、以下のような機能が搭載されているといいます。 おはなしモード:「だいちゃん」が利用者と同じテンポで会話をおこなう クイズモード:ことわざや都道府県に関するクイズを「だいちゃん」が出題 うたモード:「だいちゃん」が歌を披露するモード セリフ機能:利用者が嫌がることも少なくない入浴や服薬を「だいちゃん」がお願いし、スムーズな介護につなげる機能 ザ・ハーモニーは、「だいちゃん」とのコミュニケーションを通じて、認知症の人が抱える不安や意欲低下などの症状を和らげられるとしています。 「おはなしモード」から「うたモード」に自動で切り替え可能 ザ・ハーモニーが「だいちゃん」の導入施設で検証をおこなったところ、「だいちゃんと会話していた利用者が、一定時間経過すると疲れてきてしまう」などの声が挙がったといいます。 それを受けて、ザ・ハーモニーは「だいちゃん」に、あらかじめ設定することで「おはなしモード」から「うたモード」に自動で切り替わる機能を新たに搭載。10分程度でモードが切り替わるようにしておくと、利用者がより集中してコミュニケーションに取り組むようになるそうです。 また、「おはなしモード」や「セリフ機能」で「だいちゃん」が話すセリフのバリエーションも新たに追加。より多彩な場面でコミュニケーションがおこなえるようになったといいます。 今回紹介した「だいちゃん」がさらにさまざまな場所で普及していけば、介護者の負担が軽減され、より手厚いケアを提供できるようになるかもしれませんね。

2023/09/28

社会保障 認知症

認知症のための会社設立!?医者と対話できるアプリなどの商品開発

アルツハイマー病の進行を遅らせる治療薬を開発したエーザイ株式会社は、9月12日に認知症の臨床試験などのデータを活用する新会社「テオリアテクノロジーズ」の設立を発表。患者と医師が対話できるアプリなどを開発し、認知症の正しい理解を促していくとしています。 エーザイが新会社を設立 2023年9月12日、製薬大手のエーザイは、新会社「テオリアテクノロジーズ」の設立を明らかにしました。資金準備金など計7億円はすべてエーザイが出資。2024年4月に控える事業開始日までに、外部からデータサイエンティストなどのデジタル人材を集めていくとしています。 新会社では、患者と医師が対話できるアプリや、認知症の発症リスクを予測するアルゴリズムの開発などをおこなう予定。根強い偏見があり、健診などを渋る人も少なくない中、対話ツールなどを通じて、認知症への正しい理解や認識を促していくといいます。また、保険会社などとも連携し、認知症の保険商品を開発することも検討していく構えを見せています。 健診を受ける人は認知症リスクが下がる 千葉大学がおこなった新たな研究によると、健康診断を定期的に受診する人は、そうでない人に比べて認知症リスクが低下する可能性が示されました。 研究グループは、65~74歳の高齢者3万1012人を対象に、健診受診と認知症発症との関連性を分析。その結果、過去1年以内に健診を受診した人は、受診していない人に比べて5年間の認知症発症リスクが約13%低下したことが明らかになりました。 以上の結果を受けて、研究グループは「健診や特定保健指導で、生活習慣病を予防できれば将来の認知症リスクを減らすことができるかもしれない」と述べています。 認知症以外に、心筋梗塞や脳卒中などの致命的な疾患を予防するためにも健診は重要です。近くの自治体で健診を受けられることもあるので、チェックしておくと良いかもしれませんね。 出典:「健診受診者で認知症リスク13%少ない 」(千葉大学)

2023/09/22

最新研究 認知症

オリーブオイルで認知症の死亡リスクが低下!?毎日の摂取がおすすめ

新たな研究で、オリーブオイルを摂取する習慣がある人はそうでない人に比べて、認知症による死亡リスクが低下する可能性が示されました。 今回の研究はハーバード大学公衆衛生大学院の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は米国栄養学会の「Nutrition2023」にて発表されました。 オリーブオイルを摂取した人は認知症の死亡リスクが低下 今回、研究グループは1990~2018年に収集された9万2393人の食事アンケートを分析。対象者のうち、4749人が追跡期間中に認知症で死亡したことがわかりました。 研究グループが対象者のデータを解析した結果、1日あたり大さじ半分以上のオリーブオイルを摂取した人はそうでない人に比べて、認知症による死亡リスクが28%低下したことが明らかになりました。 さらに、1日あたり小さじ1杯のマーガリンやマヨネーズを同量のオリーブオイルに置き換えると、認知症による死亡リスクが8~14%低下することが示されたのです。 オリーブオイルに含まれるポリフェノールがカギ 研究グループが今回の研究を実施するきっかけとなったのは、オリーブオイルをふんだんに使う、アクアパッツァやアヒージョなどの「地中海食」の健康効果が高い関心を集めたからでした。 しかし、今回の研究によると、オリーブオイルを積極的に摂取していた人は、食事の内容にかかわらず認知症の死亡リスクが減少したことが判明。オリーブオイルに豊富に含まれるオレオカンタールというポリフェノールをはじめ、ビタミンEや不飽和脂肪酸が好ましい結果につながったとみられています。 ハーバード大学公衆衛生大学院に所属するアンジュリー・テシエ氏は「今回の研究で、マーガリンやマヨネーズなどの(人工的な)脂肪の代わりに、天然物であるオリーブオイルを使用するほうが、致命的な認知症のリスクを下げられる可能性が示された」と述べています。 パスタなどの地中海食だけでなく、さまざまな場面で活用できるオリーブオイル。ぜひ、日々の食事に取り入れてみてくださいね。 参考:「Opting for olive oil could boost brain health」(the American Society for Nutrition)

2023/09/21

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

介護の基礎知識

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