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特集

Q&A

老人ホームに入居する、なんていう経験は人生でもそうあるものではありません。当然、わからないこと、不安なこと、疑問などなど、頭の中が「?」マークでいっぱいになっていることでしょう。そんなアナタに、自称“日本一、老人ホームの入居相談を受けてきた男”こと「いい介護」入居相談室の室長・北野が、みなさんの疑問・質問にお答えします!
施設入居 在宅介護 介護の基礎知識

一人っ子だから母親の介護を誰にも頼れない!一人での介護に限界を感じています。

数ヵ月前、母が転倒して脚を痛めてから週に2回、実家に通って介護をしています。母は身の回りの最低限のことは自分でできるものの、以前のように家事はできません。父も同居していますが、全く家事ができない人で…。 それに、私は一人っ子で他に頼れる親族もいません。今はなんとかなっていますが、今後、母の状態が悪くなって常に介護が必要になったり、父の介護もしないといけない状況になったらと考えると不安です。 私一人でも介護ができる方法はあるでしょうか? (栗原さん・61歳・パート) 介護は一人で抱え込まなくても良いんです!介護の相談窓口や在宅介護サービスにどんどん頼りましょう!介護の相談窓口には、「地域包括支援センター」や市区町村の福祉相談窓口などがあります。そこで相談すれば、在宅介護サービスの利用手続きなどのアドバイスがもらえますよ。もし在宅介護サービスを駆使しても在宅介護を続けるのが難しい状況になったら、介護施設に入居することも検討してみてください。有料老人ホームなどのさまざまな種類の施設があるので、きっとお母様にぴったりの施設がみつかりますよ。 一人っ子の介護は相談窓口を頼ろう 実家の母が先日転倒して、ほとんど歩けなくなりました。母は父と二人暮らしですが、父が家事ができない人なので私が週に2回、実家に通って料理や洗濯をしています。私は一人っ子なので、介護はすべて私一人でやらないといけません。でも、今は母も身の回りのことは最低限できているものの、これから先、もっと介護が必要になるかもしれません。それに父の介護も必要になるかも…。そう考えると不安でいっぱいです。このままやっていけるでしょうか? 介護は一人でできるものではありませんよ!まずは誰かに頼りましょう!すぐに頼れるご親族がいないのであれば、介護の相談窓口に頼るのはどうでしょうか? 介護の相談窓口、ですか? そうです。以下のような相談窓口や相談先を持っておくことで、介護がかなり楽になりますし、これからの介護のアドバイスをもらえることもありますよ。 地域包括支援センター 市区町村の福祉相談窓口 医療機関 地域の民生委員 知り合い 地域包括支援センター 「地域包括支援センター」とは地域のご高齢者の暮らしを、介護・医療・福祉といった面から支援する窓口です。ご高齢者の生活の「総合相談窓口」ですね。保健師やケアマネジャーなどの福祉や介護の専門家が、ご高齢者の暮らしの相談に乗っています。市区町村が運営する福祉施設内に設置されていたり、特別養護老人ホームに併設されていることもあります。地域によって呼び方が異なることもありますので、お住まいの自治体に確認してくださいね。 うちの地域の地域包括支援センターはどこにあるんだろう?調べてみなくちゃ。 市区町村の福祉相談窓口 市区町村の役所に福祉に関する相談窓口が設置されています。「高齢者福祉課」「介護保険課」など名称は自治体によって異なりますが、役割は概ね同じです。介護サービスを利用するときに必要な「要介護認定」の申請もこの窓口でおこないます。介護をするうえで、介護サービスはぜひ使っていただきたいのでこの相談窓口を活用していってください。また、要介護認定は前に紹介した地域包括支援センターでも手続きができます。 医療機関 医療機関って病院のことですよね?病院で介護の相談ができるんですか? はい。特に認知症が疑われる場合は、かかりつけ医に診てもらうことになりますから、病院は介護と切っても切り離せない存在なんですよ。また、怪我や病気がきっかけで介護が必要になることもあります。そういうときにも介護や治療の相談に乗ってくれますよ。 地域の民生委員 地域の民生委員さんも介護するうえでの強い味方。民生委員さんは介護に関わらず、暮らしで困ったことがあったときに行政サービスなどにつないでくれます。地域のご高齢者の家を訪問して顔見知りになっていることもあるので、地域の民生委員さんに頼るのもひとつの手です。 知り合い もし、ご近所やお知り合いに介護の経験がある人がいれば、その人に相談してみるのも良いでしょう。自分の介護経験から具体的なアドバイスがもらえるかもしれませんし、何より、気軽に話ができます。それに、誰かに話すだけでも気持ちが楽になることもありますよね。 一人っ子の介護は介護サービスを駆使して そういえば、お母様は介護サービスを利用していますか? いえ、利用していません。身の回りのことはなんとか一人でやっているみたいですし、まだ必要ないかなと思って。 いえいえ、在宅介護サービスでは掃除や料理などの家事の依頼もできますし、身体の衰えを防止するために介護施設に通って介護予防体操などをするサービスもあるんですよ。そういったサービスを活用すれば、栗原さんの負担がもっと軽くなるんじゃないでしょうか? へー!トイレや食事の介助をしてくれるだけかと思っていました。在宅介護サービスってどんなものがあるんですか?詳しく教えてください。 もちろんです!在宅介護サービスにはたくさんの種類があります。具体的には以下のサービスです。 訪問サービス 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 通所サービス 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 宿泊サービス 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 複合サービス 小規模多機能型居宅介護 主なサービスについて紹介していきますね。 訪問サービス 訪問サービスとは、介護の専門家が自宅まで来てくれてサービスを提供するものです。慣れた環境で介護を受けられるのが魅力です。 訪問介護 訪問介護は、訪問ヘルパーさんが自宅で介護サービスを提供するもの。入浴、排泄、食事などの身体介助や、料理、掃除、洗濯などの生活支援もおこないます。 訪問介護は聞いたことがあります!うちまで来てくれるなんて、助かりますよね。 訪問リハビリ 訪問リハビリは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士というリハビリの専門家が訪問してくれるもの。自宅で一対一のリハビリが受けられ、自宅の設備に合わせた動作の方法や介助方法の指導もしてくれます。また、身体状況に合わせた福祉用具や住宅改修のアドバイスももらえます。 そんなこともしてくれるんですね!母が脚を悪くしてから家の中の小さな段差を怖がって部屋から出ることが減ったんです。アドバイスをもらえたら、もう少し動いてくれることが増えるかも…。 通所サービス 通所サービスは、介護施設に通ってサービスを受けるものです。介護施設での本格的なリハビリが受けられたり、サービスを受けている間、介護している人の時間が作れるなどのメリットがあります。 通所介護(デイサービス) デイサービスは、介護施設に行って食事や入浴などの介助を受けられるサービスです。レクリエーションで体操をしたり、機能訓練なども受けられます。利用時間は、9~17時までのパターンが多いですね。 宿泊サービス 宿泊サービスは短期間の宿泊ができるサービス。ご家族が家を数日留守にするときや旅行などに行くときに利用されます。つまり、ご家族がどうしても介護ができなかったりリフレッシュをしたいときに利用できるサービスですね。 家族のリフレッシュのためのサービスがあるんですね!知らなかったです。 短期入所生活介護(ショートステイ) ショートステイは、1日から介護施設に宿泊できます。宿泊している間は食事や入浴、排泄といった一通りの介助をしてもらえます。最大30日まで連続で利用できるので、老人ホームに入居する前の待機期間中に利用されることもあります。 複合サービス 複合サービスは、訪問・通所・宿泊サービスをすべて提供するサービスのこと。複合サービスは小規模多機能型居宅介護の1種類だけです。 小規模多機能型居宅介護 小規模多機能型居宅介護では、1つの同じ介護事業所が訪問・通所・宿泊の3つのサービスを提供します。それぞれのサービスを別々の事業所から受けることもできますが、一括して同一の事業所から受けることで、すべてのサービスを同じスタッフさんから受けられるのです。自宅、デイサービス、ショートステイのそれぞれ場面での様子を把握している人にケアしてもらえる安心感があります。それに、ご家族としても信頼関係のできているスタッフさんからサービスを受けられるのは魅力ですよね。 在宅介護が厳しくなったら施設入居も 在宅介護サービスについてお話ししましたが、今後、お母様の状況が変化していくと、在宅介護を続けるのが難しくなるかもしれません。 それは私も思っていました。今はトイレも入浴も自分でできますが、これからどうなるかわかりません。それに、父も高齢ですから介護が必要になるときが来ると思います。二人とも同時に介護が必要になったら、一人っ子の私が介護をしていけるとは思えなくて…。 そうですよね。不安になりますよね…。もし、「どうしても在宅介護が難しい」と感じたら、老人ホームなどの介護施設に入居することも考えてみてください。 老人ホームですか…。もしかしたら、近い将来、入ることになるかもしれません。でも、老人ホームってどんなものがあるんでしょうか?いろんな種類があるということを以前聞いたことがあるのですが…。 おっしゃる通りです。介護施設には、以下のようにたくさんの種類があります。 民間施設 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 公的施設 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院 養護老人ホーム ケアハウス 今回は、「介護付き有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「特別養護老人ホーム(特養)」について紹介しますね。 民間企業が運営する介護施設 民間企業が運営する施設は、自由度が高いのが特徴です。ホームページや資料を見るだけでも、施設ごとの特徴がはっきりしていることがわかると思います。それだけに、明確な希望の条件を定めてから施設探しをすることをおすすめします。 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、「有料老人ホーム」と名の付く介護施設の中でも介護がより必要な人向けの施設。介護スタッフが24時間常勤しているので、夜間にトイレ介助やおむつ交換が必要な人も入居できます。 そうなんだ!だったら安心ですね。 サービス付き高齢者向け住宅 サービス付き高齢者向け住宅は、比較的にお元気なご高齢者向けの施設。介護スタッフが常に常駐しているわけではなく、介護サービスが必要なときは外部の訪問介護やデイサービスと契約が必要です。全館バリアフリーになっているので、「段差があるから自宅で暮らすのは不安だけど、そこまで介護が必要ではない」という人にはぴったりです。 なるほど。今の母には合いそうな施設ですね。 公的な法人が運営する介護施設 公的な介護施設は、社会福祉法人や医療法人が運営している施設です。民間施設よりも安いのが魅力ですが、入居の際の条件が多いのが特徴です。 特別養護老人ホーム(特養) 特別養護老人ホームは、要介護3以上の人が入れる施設です。要介護3というと、歩行がほぼできなかったり認知症が進んでいるために日常生活のほとんどで介護が必要な状態。ご自宅での介護が難しくなると、まず入居の候補に上がる介護施設です。 確かに、歩けないと自宅での介護は難しいですよね…。うちの両親がそうなったら、老人ホームに入ってもらわないといけなくなるかも。 ただ、一人っ子の栗原さんの場合、介護すること自体はもちろん、介護サービスの利用手続きや施設探しも一人ですることになると思います。仕事や介護、諸々の手続きを並行するのはとても大変です。ご両親の介護に限界を感じてからではなく、余裕のあるうちから施設探しを始めてくださいね。 一人っ子が介護するときは相談窓口を積極的に頼ろう! 在宅介護サービスをどんどん使って負担を減らすのが大切 在宅介護が難しくなったら、施設に入居することも考えて pre { margin: ...

2023/04/27

排泄 認知症 在宅介護

認知症の母親が夜間におむつ外しするので、対策を教えてください。服やシーツが毎日汚されて大変!

同居する認知症の母を介護しています。私の知らないうちに尿パッドをリハビリパンツから抜いており、服を汚してしまいます。夜はおむつをしているのですが、おむつのテープを外してしまって服とシーツを汚すんです。 常にパッドを抜いていないか気を張っていないといけませんし、毎日のように汚れたシーツや衣類の洗濯をするのにも疲れました。どうにかならないでしょうか? (広瀬さん・パート・63歳) もしかしたら、濡れたパッドが肌に触れるのが嫌でおむつやパッドを外してしまうのかもしれません。そういうときは、お母様の排泄のパターンを把握してそれに合わせてトイレの誘導やおむつ交換をしましょう。濡れたおむつやパッドが肌に触れる時間を減らすことで外す回数も減るかもしれません。 認知症の人がおむつを外す原因は? 認知症の母が尿パッドやおむつを外してしまって困っています。母は、昼はリハビリパンツに尿パッドを付けて使っています。ただ、しばらくすると自分で尿パッドを抜いてしまい、汚れたパッドが床に落ちていることもあります。リハビリパンツだけでは足りないのでズボンも汚してしまい、1日に何度も着替えさせないといけません。それだけじゃなくて、夜もおむつを自分で外してしまうので来ている服もシーツも洗濯しないといけないんです。常にパッドやおむつを外していないか、気を張っていないといけない状況に疲れました。何か良い方法はないでしょうか? おむつやパッドを外してしまうことの対応方法はいくつかあります。でも、どうしてお母様がおむつやパッドを外してしまうのかをきちんと理解していないと、対策をとっても効果がないかもしれません。それどころか逆効果になってしまうこともあります。なので、まずは原因を見極めましょう。それに合わせた対策をとっていくのが大切ですよ。 おむつやパッドを外してしまう原因と言っても、すぐに思いつきません…。どうして母はきちんとおむつやパッドを着けていてくれないんでしょうか? ご高齢者がおむつやパッドを外してしまう原因はいくつか考えられます。具体的には、次のようなことです。 おむつやパッドが恥ずかしい なぜおむつをしているのかわからない 着けているのが気になる 濡れているのが不快 肌がかぶれていてかゆい おむつやパッドが恥ずかしい ご高齢者の中には、おむつやパッドをすることを恥ずかしいと感じる人もいます。これまで当たり前のようにできていた「トイレに行って用を足す」ということができなくなったのを受け止められないんですね。それにおむつやパッドを使う人の多くは、排泄時に介助が必要です。介助を受けることを「情けない」と考え、目を背けたい気持ちから外してしまうのかもしれません。 なぜおむつをしているのかわからない 「なぜおむつをしているのかわからない」ってどういうことですか?私は母に「普通のパンツだと漏らしてしまうかもしれないから」と何度も説明していますから、おむつやパッドを着けている理由がわからないことはないと思うのですが…。 うーん、これが認知症の人を介護することの難しさなのですが、認知症になると新しいことを覚えるのが苦手になるのはご存知だと思います。なので、おむつやパッドの必要性を説明されても、しばらく経つと忘れてしまっている可能性が高いです。そのうえ、おむつやパッド、リハビリパンツはほとんどの人にとってなじみの薄いもの。そのため、お母様は「なんでこんなものを履いているの?」と、おむつやパッドに違和感を抱いて外してしまっているのかもしれません。 あれだけ言っても必要性を理解してくれていなかったんですね…。 認知症の人が新しいことを覚えるのには時間がかかります。根気強くいきましょう。 濡れているのが不快 もし、お母様が外しているおむつやパッドが尿で汚れているのであれば、濡れているものを着けているのが嫌で外していることも考えられます。特に、リハビリパンツの中に尿パッドを入れて使っている状態は、簡単にパッドを外しやすいですから、「濡れていて気持ち悪いから取ろう」とパッドをパンツから抜いているのかもしれません。 そういえば、母が抜いてしまったパッドはいつも濡れています。もしかしたら、濡れているのが嫌だったのかもしれません。 おむつが濡れていて不快な状態が続くと、おむつの中を触ってしまって「弄便(ろうべん)」につながることがあります。便で汚れた手を服やふとんになすりつけたりして周囲を汚してしまうことも多いんです。弄便については、以下のご相談でもお答えしているので、ぜひ参考にしてみてください。 肌がかぶれていてかゆい 在宅介護で意外と気が付きにくいのが、肌のかぶれです。おむつやパッドを使っていると蒸れやすいので肌トラブルが起きやすい状態ですが、家事や介護に忙しくて肌の状態にまで目が向かないのが実情ではないでしょうか。そして、肌のかぶれをそのままにしたままでおむつやパッドをしているので、肌がかゆくて外してしまうんですね。 認知症の人がおむつを外すときの対策は? 母がおむつやパッドを外してしまう原因に、いくつか思い当たるものがありました。どう対策していけば良いんでしょうか? 外してしまう原因と同じように対策もいくつかありますから、お母様の状況に応じていろいろ試してみると良いでしょう。具体的には、以下のような対策があります。 「おむつ」という言葉を使わない 排泄パターンを把握する 布パンツに変える 「おむつ」という言葉を使わない なんで「おむつ」と言ってはいけないんですか? おむつやパッドを使うのが恥ずかしいと感じている人に「おむつ」と言うと、いかにも「介護を受けている」と感じて情けない気持ちになることもあるからです。それが理由でおむつを使うことを嫌がったり、外してしまうこともあるんですよ。なので、「おむつ」という表現を避けて、「紙パンツ」「使い捨て下着」のような言い方に変えてみるのもひとつの手。ちょっとした言い方を変えるだけでお母様の気持ちが変わって、おむつ外しがなくなるかもしれませんよ。 排泄パターンを把握する 「排泄パターン」って何ですか? 多くの人は、1日の中で排泄するタイミングがおおよそ決まっています。例えば、起きてすぐの7時ごろ、朝食が落ち着いた9時ごろ、昼食が終わった13時ごろ、お茶をする15時ごろ…といった具合です。 トイレへ誘導するコツ トイレに誘導するタイミングを誤ると「さっきも行ったのに!」「しつこい!」などと思わせてしまい、トイレ拒否へとつながることも。そうならないためには、トイレに行く時間を日々記録し、把握しておくことをおすすめします。同じ時間にトイレ誘導することで、本人のリズムで排泄でき、トイレ拒否改善にもつながります。 また声をかける際は、「トイレの時間だから行くよ!」といった強制感のある言葉ではなく、「トイレは大丈夫?」など、本人の気持ちに寄り添った声かけをしましょう。 排泄パターンに合わせてトイレに誘導してパッドを取り替えたり、夜におむつ交換をしたりすれば、濡れたパッドが肌に触れている時間が減っておむつやパッドを外してしまうことも減るでしょう。 布パンツに変える もし、お母様がおむつやリハビリパンツを履いていること自体に違和感があって外しているのだとしたら、布パンツに変えることで失禁が改善する可能性があります。 むしろ、布のパンツに変えたらもっと失禁が増えちゃいませんか? いえ、なじみのないおむつやリハビリパンツから慣れている布パンツにすれば、気になってパッドやおむつをいじることが減るかもしれません。もちろん、布パンツの中にパッドを入れて失禁対策はしますよ。かぶれが起きにくくなりますから、肌の状態も良くなるでしょう。 おむつを使うメリット・デメリット 一見、メリットが大きいように見えるおむつですが、一方でデメリットも存在します。 おむつを使用するメリット 失禁の不安がなくなり、安心して外出できる夜間に使用することで、高齢者自身と介護する人の身体的負担を軽減できるトイレに移動する際の転倒リスクを減らせる おむつを使用するデメリット 自尊心が傷つくトイレに行くことが少なくなり、残存機能の低下を招く尿意や便意を感じにくくなる皮膚トラブルが多くなる費用面での負担が増える おむつの使用は最終手段として考え、トイレでの排泄が基本であることを忘れないようにしましょう。 おむつやパッドをしている理由を忘れてしまったり、濡れているものが肌に触れる不快感から外してしまうことがある 排泄パターンを把握して排泄介助をしたり、布パンツにパッドを入れることで状況が良くなることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/04/25

施設入居 老人ホームの暮らし

老人ホームにパソコンは持ち込めますか?父親がパソコンが趣味なので、ネットが使える介護施設を探しています

遠方に住んでいる父親を私の家の近くに呼び寄せて、老人ホームに入居させようかなと考えています。 ただ、父はパソコンが趣味で、長年のメール友達とやり取りするのが楽しみなのですが…。老人ホームにはパソコンを持ち込めるのでしょうか?パソコンが使えなくなるのであれば、介護施設に入ることに納得してくれないと思います。 (西山さん・会社員・53歳) パソコンを持ち込める介護施設はありますよ!ただ、ご入居者が利用できるようにネットを整備しているところは限られてしまいますが…。そのため、もしネット環境が整っていない施設であれば、ポケットWi-Fiを持ち込むこともひとつの手。ただ、施設によっては、家電を持ち込む場合は追加で電気料金がかかるところもあるので事前に確認が必要です。 老人ホームにパソコンは持ち込める? 遠方に住んでいる父を私の自宅の近くに呼び寄せようと、介護施設を探しています。ただ、父はパソコンを使うのが趣味なのでパソコンが使えないとなると、施設に入ることに納得しないと思います。老人ホームにパソコンは持ち込めますか? パソコンを持ち込める老人ホームはありますよ!ただ、ネット環境が整っている施設となると、数がかなり限られてしまいます…。 そうなんですね。どんな施設だったら、パソコンが使えるんでしょうか? パソコンが使えるかどうかは、施設によって大きく異なります。なので、「こういう施設だったらパソコンが使えます」とは言い切れないんですね。そこで、「パソコン持ち込み可」にしていることが多い施設についてお話ししますね。 持ち込めることがある介護施設の種類 「介護施設」とひとくちに言っても、施設の種類によって対応できる内容が大きく異なります。それはパソコン使用の可否についても同様です。パソコンの持ち込みをOKにしている施設は、介護認定を受けていない人(自立)の受け入れをしていたり、介護度が低い人が多く入居している傾向があります。具体的には、以下の施設ではパソコンOKとしていることがあります。 サービス付き高齢者向け住宅 住宅型有料老人ホーム 介護付き有料老人ホーム この3つの施設は、何が違うんですか? サービス付き高齢者向け住宅は、介護施設の中でも自立の人や介護度の軽い人を対象としています。その名の通り、ご高齢者向けの”住宅”なんですね。中には、フィットネスジムやカラオケルームなどの設備もある施設もあります。そのため、比較的に、他の種類の介護施設よりもパソコンの持ち込みができる場合が多いです。 へー!そういうところだったら、父が入るのを嫌がらないかもしれないですね。その次の、「住宅型有料老人ホーム」というのは? 住宅型有料老人ホームは、2種類ある有料老人ホームの中でも介護度が軽い人が多く入居している傾向がある施設です。介護よりもレクリエーションやイベントなどに力を入れていることが多いので、住宅型有料老人ホームでもお父様は快適に過ごせるかもしれませんね。 なるほど。父は要支援2ですし、なんとか一人暮らしができるくらいには元気です。そういうレクリエーションが充実しているところの方が、生活に張りあいが出て良いかも。 最後に挙げた介護付き有料老人ホームは、夜間帯も介護士が常勤しているなど介護体制が充実している施設です。介護度が高い人が多く入居している傾向がありますが、自立の人も受け入れている施設では、パソコンの使用ができる場合があります。ただ、やはり介護度が高い人が多く入居している施設だと、お父様が他のご入居者との身体状況のギャップを感じてしまって「生活しにくい」と感じてしまう可能性があります。もちろん、他のご入居者の状況や対応内容については、施設ごとに違うのが実情です。そのため、施設に確認したり、見学して直接確かめることをおすすめします。 動画を観るだけなら… もし、パソコンを使うのが動画を観るだけなのであれば、最近ではテレビをネットにつないでいる施設もあるので、そうした施設を選ぶのも良いでしょう。もちろん、共有のテレビなので自由に動画を観られるわけではありません。譲り合って利用してくださいね。 パソコンを持ち込むときの注意点 介護施設にパソコンを持ち込むときには、いくつか注意点があります。その注意点をクリアしないと、パソコンの持ち込み自体はOKでも利用ができない場合がありますので、事前に確認しておいてください。具体的には、以下のようなことに注意してくださいね。 パソコンを使える場所 電気料金 ネット環境 作業スペースの確保 介護施設では、パソコンを使用できる場所を制限している場合があります。最も多いのは、「自分の居室の中だけ」というケースでしょう。ごくまれに、パソコンを使うためのスペースを設けている施設もあります。そのスペースだけネットが使えるようにしていることが多いですね。施設からパソコンを使用する場所の指定があった場合、それに従ってください。 電気料金 パソコンを使うと、電気料金が追加されることがあるんですか? そうなんです。電気料金を居室ごとのメーターで請求する施設ではそうしたことはまずありません。が、電気料金を毎月一律料金に設定している施設では、パソコンを持ち込むことで追加料金が発生することがあります。これはパソコンに限ったことではなく、冷蔵庫や電気ケトルなどの自分の家電を持ち込んだ場合も同じです。施設ごとに対応が変わるところなので、事前によく確認しておいてくださいね。 ネット環境 また、パソコンの持ち込み自体は可能でも、ネット環境が整っていない施設もあります。 えっ、じゃあパソコンが使えないじゃないですか! そうなんです。まだまだネットが自由に利用できる施設ばかりではないので、「自分で別途ネットの契約をするのであれば、パソコンの使用OK」という対応をとっているわけですね。なので、そういうときはポケットWi-Fiの契約をして、施設に持ち込むなどの対応が必要です。 作業スペースの確保 意外と盲点なのが、パソコンを使うスペースの確保です。施設の中には、備え付けの机や椅子が用意されているところもあります。が、ほとんど備え付けの家具がないこともあるんです。そうなると、パソコンを使用する場所をどうするか問題になりますよね。特にご高齢者は、転倒リスクが高いため安全な移動スペースの確保が重要。特に車椅子を使用している場合、車椅子の導線も確保しつつ、机や椅子などの家具を置かないといけなくなりますよね。 確かにそうですね…。パソコンの持ち込みがOKの老人ホームを選ぶにしても、いろいろと考えなくちゃいけないことがあるんですね。 パソコンを使いたいと思うと、つい「老人ホームはパソコンの持ち込みが可能か」という点に目が行きがちですが、持ち込んだ後のことについても注意しないと、「家から持ってきたのにパソコンが使えない!」なんてことが起きてしまいます。見学などのときにしっかり確認してくださいね。 パソコンを持ち込める老人ホームはあるが、数が限られる サービス付き高齢者向け住宅などの民間施設だと持ち込めることがある パソコンを持ち込むときは、追加で電気料金の有無やネット環境を確認して pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/04/24

施設入居 認知症介護 サービス付き高齢者向け住宅

認知症でもサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に入居できますか?入居先を探すときのポイントも教えてください。

先週、認知症の父が勝手に家を出て迷子になり、警察に保護されました。家に一人でいるときのことだったので、できるだけ父を一人にしたくないのですが、家族が仕事や学校でいなくなるためどうしても平日は一人になる時間があります。 なので、そろそろ介護施設に入居させた方が良いと思って、近くの介護施設をネットで検索したところ、自宅の近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という施設があることがわかりました。 サービス付き高齢者向け住宅というのは、認知症の父でも入居できるのでしょうか? (田辺さん・会社員・57歳) サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の中でも、認知症の方を受け入れているかどうかは施設によって大きく異なります。というのも、サ高住のほとんどは外部の介護事業所と契約して介護サービスを利用する形式。常に介護職員さんの見守りがあるわけではないので、転倒などによって怪我をするリスクがあります。そのため、認知症の方が入居するなら「有料老人ホーム」や「グループホーム」などの認知症の方の受け入れ体制が整っている施設を探すことをおすすめします。 サービス付き高齢者向け住宅は認知症でも入居できる? 父の認知症が進行して、一人で外出すると自宅に帰って来れなくなってしまいました。先週、隣町の交番で保護されたばかりです。一人で家にいるときに出かけてしまったのですが、どうしても平日の日中は家族が家を空ける時間帯ができてしまって…。なので、そろそろ介護施設に入居させることを検討しています。ただ、ネットで調べてみると近所だけでもいろんな種類の介護施設があるみたいで迷っています。家のすぐ近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という施設があるようなのですが、この介護施設は認知症の父でも入居できるのでしょうか? うーん…。正直、サ高住が認知症の方を受け入れるかどうかは施設によって大きく異なります。入居を希望する方の認知症の状況によっては受け入れているサ高住もありますし、認知症の方を全く受け入れていないところもあるんですよ。 えっ、そうなんですか!同じ種類の施設でも、受け入れるかどうかは異なるんですね…。 もし、入居できたとしても認知症の方がサ高住で生活するのはリスクがあります。順番にお話ししていきますね。 認知症の人がサ高住に入居するリスク まず、サ高住には2つのタイプがあります。それは、「一般型サービス付き高齢者向け住宅」と「介護型サービス付き高齢者向け住宅」です。介護型サービス付き高齢者向け住宅は、正式には「特定施設入居者生活介護」と呼ばれる介護サービスです。詳しくは後でお伝えしますが、一般型よりも介護体制が整っているタイプのサ高住ですね。対して、一般型のサ高住は介護サービスを提供していません。一般型に入居して介護サービスを利用するには、外部の介護サービス事業者と契約する必要があります。 介護施設なのに、入居しても介護サービスを提供してくれないんですか? そうなんです。というのも、サービス付き高齢者向け”住宅”という名前の通り、サ高住は介護を提供する施設というよりも、「ご高齢者が生活しやすいような環境を整えた住宅」という位置づけ。基本的には介助が必要がないご高齢者を想定した施設なんです。なので、介護サービスを利用したいときは外部の訪問介護サービスやデイサービスを使うことになります。在宅介護サービスを、自宅ではなくサ高住の部屋で利用するようなイメージですね。 つまり、介護サービスを利用できないわけではないんですよね。じゃあ、父は介護サービスを利用しながら生活したら良いってことですよね。 はい、そのように生活している方もいらっしゃいます。ただ、介護が頻繁に必要な方の場合、介護サービス費がかさんでしまう可能性があります。サ高住の場合、介護サービスの費用は都度払い。介護保険の自己負担額の上限を超えてしまった分は、全額負担なんです。そのため、「想定よりもずっとお金がかかってしまった…」なんてことも。介護が常に必要な方は、あまりサ高住はおすすめできません。 えっ、あまりお金がかかるのは困ります。うーん、父さんの場合はどれくらいかかるんだろう? そこは、実際の介護の量によるので施設に相談する必要があり、私からは何とも言えませんね…。あともうひとつ、認知症の方がサ高住に入居するときに注意しておいていただきたいのは、サ高住は出入口に施錠がされていないことが多い点です。有料老人ホームなどの認知症ケアに対応している施設では、認知症の方が一人で外出して迷子になるのを防ぐために、玄関を施錠していることがほとんど。しかし、サ高住の場合、認知症ではない方が自由に外出できるように、施錠していないことが多いんです。 そうなんですね…。となると、父がサ高住で暮らすのは難しいかもしれないですね。もし、一人で出かけてしまったら、迷子になってしまうかもしれませんから。 認知症の人を受け入れられる「特定施設」とは 正直なところ、お父様の状況だと、ほとんどのサ高住で対応が難しいかもしれません。ただ、数は少ないものの、有料老人ホーム並みに介護体制が整ったサ高住があるんです。そこであれば、お父様も安心して生活できるでしょう。 そうなんですか?そのサ高住は、他のサ高住と何が違うんでしょうか? その介護体制が整っているサ高住というのは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」という認定を受けている施設です。「特定施設」とも呼ばれます。この特定施設の認定を受けるためには、介護士や看護師などの人員や設備などの細かい基準をクリアしないといけません。つまり、手厚い介護をおこなうための職員や設備を整えたサ高住だけがこの「特定施設」の認定を受けられます。以前の質問で、特定施設のサ高住について詳しくお答えしているので、そちらも参考にしてください。 へぇ!では、特定施設の認定を受けているサ高住であれば認知症の父でも入居できるんですね。 はい。特定施設であれば、認知症ケアの実績があるところも多いです。何より、看護師が常駐していたり、介護士が夜間も勤務しているので夜のトイレ誘導などにも対応してもらえるのが魅力です。 でも、介護体制が手厚いとなると、料金が高いんじゃないですか? それが介助が必要な量が多い場合、一般的なサ高住よりも特定施設の方が費用が抑えられることがあるんですよ。と言うのも、一般的なサ高住の介護サービス費がサービスを利用しただけの”都度払い”であるのに対して、特定施設の介護サービス費は”定額制”。つまり、介助を何度頼んでも費用は上がりません。 そうなんだ!まだ、トイレの介助が必要な状況ではないですが、今後のことを考えると特定施設の方が良いのかな。 認知症の人を受け入れている介護施設はサ高住以外にも これまでの話をまとめると、父のような認知症の人が入居できる施設は特定施設の認定を受けているサ高住ということで良いですか? サ高住にこだわるのであればそうなります。ただ、特定施設のサ高住はかなり少ないです。もしかしたら、希望の地域にはないかもしれません。なので、サ高住にこだわらずに他の種類の介護施設にも目を向けてみるのはどうでしょうか? そうか、サ高住しか頭にありませんでしたが、介護施設は他にもいろいろありますよね。父が入れそうな施設というと、どんなものがありますか? 例えば、以下のような介護施設であれば、認知症の方の受け入れをしています。 有料老人ホーム グループホーム 特別養護老人ホーム 有料老人ホームってさっきの話に出てきましたよね。どんな施設なんですか? 有料老人ホームは「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類あります。住宅型有料老人ホームは、サ高住と同じように外部の在宅介護サービスを利用しながら生活する老人ホーム。認知症ケアには対応していることが多いですが、介護が必要な量が増えた場合、サ高住と同様、介護費用が高くなってしまう可能性があります。一方で介護付き有料老人ホームは、有料老人ホームの中でも特定施設の認定を受けている施設。そのため、介護サービス費は定額ですし、職員の人員や設備の面で充実した介護体制が整っています。 へぇ、そうなんですね。有料老人ホームも良いかなぁ。その次のグループホームはどんな施設ですか? グループホームは、認知症の方だけが入居できる施設です。最大9名のユニットごとに生活しているのが特徴で、職員とご入居者の距離が近くてアットホームな雰囲気なのが特徴です。認知症の方しか入居していないこともあり、認知症ケアに特化しています。もし、お父様が大人数よりも少人数での生活が向いているようであれば、グループホームが合っていると思いますよ。 なるほど。父は、そもそも他人と生活したことがない人ですから、もしかしたら少人数のところの方が良いのかもしれません。 最後の特別養護老人ホームというのは、「要介護3」以上の介護認定を受けた人が入れる老人ホームです。そのため、認知症はもちろん、寝たきりの状態になってもケアができる体制が整っています。また、公的な介護施設ということもあり、料金が安いのが魅力です。ただ、料金が安いためにとても人気。入居の順番待ちが発生していることが多く、申し込みから1年以上待つこともあるんですよ。 1年以上!父の状態を考えると、そんなに待っていられません。料金が安いのはうれしいですが…。 となると、比較的に入居待ちの少ない、有料老人ホームやグループホームなどの民間施設の方が良いかもしれません。まとめると、以下の介護施設であれば認知症のお父様も安心して生活できるでしょう。 特定施設のサービス付き高齢者向け住宅 有料老人ホーム グループホーム 特別養護老人ホーム 後悔しない施設探しのためにも、じっくり検討してみてくださいね。 サ高住の中には認知症の人が入居できる施設と入居できない施設がある 「特定施設」なら介護体制が整っているので認知症の人も安心 有料老人ホーム、グループホームなど、他にも認知症の人が入れる介護施設はたくさんある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/03/24

施設入居 在宅介護 介護の基礎知識

通いで両親の介護をするのが限界!もう疲れました…

半年ほど前から、電車で片道2時間ほどのところの実家に住む母を介護しています。週2回くらい実家に通っている状況です。 今まで父は家のことは母に全部任せきりだったので、父はなかなか家事がこなせないようです。実家に帰る度に家がめちゃくちゃになっているんです。 父も家事が上手くできないことを母に指摘されることが度々あり、毎日のようにケンカしています。父も私も疲弊しているのを感じています。 こんな状況をどうにかしたいのですが、どうしたら良いかわかりません。何か良い方法はないでしょうか? (岩本さん・62歳・パート) 仕事や自分の家のことをしながら、通いで介護をするのはとても大変ですよね…。お母様は介護サービスを利用していますか?まだ利用していないのであれば、まずは介護認定から始めましょう。介護認定が下りれば介護サービスが利用できますから、できるだけ介護サービスに頼って、介護をもっと”楽”にしましょう!それでも「通い介護は難しい」と感じたときは、介護施設への入居を考えてください。親御さんを介護施設に入れることに抵抗がある方もいらっしゃいます。が、ご自分の生活が一番大切です。無理して通い介護を続けていると、体調をくずしたり「介護うつ」になってしまうこともあります。介護サービスを活用して”ほどほどにがんばる介護”を心がけてみてくださいね。 通い介護に疲れたときの相談先 半年ほど前に母が脚を骨折してから、片道2時間ほどの実家に住む母の介護をしています。母は長い時間立つのが難しいので家事がほとんどできず、主に父が家事や介護をおこなっています。ただ、父はこれまで家のことを母に任せっぱなしで、料理も洗濯もろくにできなかった人です。家事が上手くできなくてしょっちゅう母に指摘されるので、毎日のようにケンカしているのでこちらもイライラしてしまいます。それに、週に2回ほど実家に私が帰ると、家の中がめちゃくちゃになっていてそれを見るのも憂鬱です。でも、私も自分の家のことや仕事もあるのでこれ以上帰る回数を増やせません。どうにかしたいとは思うのですが、どうしたら良いかわからないし、どこに相談したら良いのかもわからなくて…。 なるほど…。通い介護は大変ですし、お父様の負担も大きそうですね。でしたら、まずは介護で悩んだときの相談先をお伝えします。「何から手を打ったら良いのかわからない」という疑問も解決できると思いますよ。 地域包括支援センター 「地域包括支援センター」とは、市区町村に1つは必ず設置されている窓口。介護に限らずご高齢者の生活全般について相談できます。 市区町村の福祉相談窓口 地域包括支援センターはどこにあるのかわからない場合でも、市役所の場所はわかりますよね。なので、もしかしたらこちらの方が相談しやすいかもしれません。「高齢者福祉課」「介護保険課」など、自治体によって名前が異なるので、窓口がわからなければとりあえず役所に行ってみるのもありですよ。 なるほど、役所なら相談しやすいです。行ってみます! 医療機関 医療機関でも介護の相談ができるんですか? そうなんです。特に認知症が疑われる場合は、ドクターが強い味方になります。具体的には、「最近、物忘れが多いかも」「会話が噛み合わない」などの異変を感じたときはドクターの出番です。あとは、病気や怪我が原因で入院して、介護が必要になったときも医師に相談するのが良いでしょう。 認知症か…。まだうちの母はそんな感じはしないですが、気をつけておいた方が良いのかも。 地域の民生委員 また、地域の民生委員さんも介護の相談に乗ってくれます。民生委員さんは、地域のご高齢者の家を訪問して顔見知りになっていることも多いので、ご両親の住む地域の民生委員さんに相談してみるのも良いかもしれません。 知り合い もし、身近に介護の経験をしたことがある人がいたらその人に相談してみるのもあり。ご家庭によって状況が異なるので、その人の解決法が必ずしも岩本さんの悩みも解決できるとは限りませんが、誰かに話すだけでも気持ちが楽になることもあるので、積極的に頼ってみましょう。 そういえば、うちの近所でお母さんを介護している人がいた気がします。その人に相談してみるのも良いのかな。 通い介護に限界を感じたら在宅介護サービスの活用を そういえば、お母様は介護サービスを利用していますか? 利用していないです。まだ、そこまでの状況ではないと思って…。介護サービスって認知症とか、自分でトイレにも行けないとか、そういう状態の人が使うものじゃないんですか? いえいえ!もっと状態の軽い人でも利用できますよ。特に岩本さんのお宅は、通い介護で負担が大きいと思うので、積極的に活用していきましょう! と言われても…。どうやって介護サービスを利用したら良いのかわからないです。 では、介護サービスを利用するまでの流れをお話ししていきますね。 初めて利用する場合は介護認定から 介護サービスを利用するには、はじめに介護認定を受ける必要があります。その介護認定によって「要介護度」が決定し、介護度に応じて利用できる介護サービスの量がわかります。介護認定を受けるときの流れは以下の通りです。 介護認定の申請をする 認定調査を受ける 認定結果の通知を受ける ケアマネジャーを選ぶ 介護サービスを利用開始する 1.介護認定の申請をする 介護認定の申請は、認定を受ける人が住んでいる市区町村の役所でおこないます。つまり、お母様が住んでいる地域の役所で手続きをおこなうわけです。 2.認定調査を受ける 認定調査は「介護認定調査員」がお母様を訪ねて、直接の面談でおこなわれます。この面談でお母様の受け答えや身体の動き、普段の生活能力などを確認します。 3.認定結果の通知を受ける 介護認定の申請から30日以内に認定結果が知らされます。介護認定は「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」のいずれかに分類され、「要介護1~5」に認定されると「介護保険サービス」が利用できるようになります。 4.ケアマネジャーを選ぶ 介護認定が下りたら、介護サービスを利用するためにケアマネージャーを探しましょう。ケアマネージャーとは、「ケアプラン」と呼ばれる介護サービスの計画書を作る専門家。介護サービスや介護の悩みの相談窓口でもあります。このケアマネージャーは、役所か地域包括支援センターに相談するとケアマネージャーの事業所(居宅介護支援事業所)のリストをもらえるので、その中から選びます。 5.介護サービスを利用開始する ケアマネージャーにケアプランを作成してもらい、それに沿って介護サービス事業所と契約をすれば、あとは介護サービスの利用が開始されます。 初めて聞く言葉も多いし、なんだかややこしいですね…。 そうなんですよね…。初めてのことでわからないことが多いと思うので、わからないことがあったら逐一、担当者に質問したり、役所の窓口に相談してみてくださいね。 在宅介護サービスの種類 えーっと…。介護認定が下りたら介護サービスを利用できるわけですよね。でも、介護サービスってどんなものがあるんですか?よくわからなくて…。 では、ここからは在宅介護サービスの代表的なものについて簡単にお伝えしましょう。他にも在宅介護サービスはいくつもあるので、詳しく知りたい場合は以下の記事もチェックしてみてくださいね。 訪問介護 訪問看護 通所介護(デイサービス) 短期入所生活介護(ショートステイ) 訪問介護 訪問介護は、ご自宅の訪問ヘルパーさんが来て掃除や食事の支度などの身の回りの世話や、排泄介助、入浴介助といった介護をしてくれるサービスです。介護サービスの対象者であるお母様に関する家事・介護しかしてもらえませんが、食品の買い物などもやってもらえるので、どうしても岩本さんやお父様の手に余るような家事をお願いするのも良いかもしれません。 訪問看護 訪問看護は、訪問介護と同じように訪問看護師さんがご自宅に来て健康管理や、薬の管理、医療ケアを提供してくれるサービスです。健康な人には日常的な健康管理をおこない、医療的ケアが必要な人には点滴や注射といった医療処置も提供可能です。 通所介護(デイサービス) デイサービスは、介護施設にご高齢者が通ってケアを受けるサービス。具体的には、食事、入浴、排泄介助といった身の回りの介助に加えて、レクリエーションや機能訓練なども提供します。ご高齢者の集いの場となっているので、自宅にこもりがちな人でも自然と人との交流ができる環境です。 短期入所生活介護(ショートステイ) ショートステイはその名の通り、介護施設に短期間宿泊できるサービスです。1日から利用でき、最長30日間連続の宿泊もできます。利用するご高齢者も気分転換になりますし、ご家族も介護から離れてリフレッシュする時間が確保できるのが魅力。介護をするご家族が休憩するためのサービスとも言えるんです。 施設入居も検討して 在宅介護サービスっていろんなものがあるんですね。もっと早く使っておけばよかった…。 そう思っていただけたのなら良かったです!介護は他の人に相談しにくく、一人で抱え込む方が多いんです。なので、ご紹介したようなサービスを活用して、どんどん介護のプロに頼りましょう!ただ、もしかしたら在宅介護サービスを使っていても「介護がきつい」と感じるときが来るかもしれません。そういうときは、老人ホームなどの介護施設に入居することも検討してくださいね。 えっ、老人ホームですか?でも、私もまだまだ介護できますし…。何より、父は「介護は家族がするもの」と口癖のように言う人です。それで母を施設に入れるなんて、父が首を縦に振るはずありません。 なるほど…。もしかしたらお父様は「施設に入れるのはかわいそう」と思っているのかもしれませんね。でも、無理して在宅介護を続けることで、岩本さんやお父様が体調を崩してしまうこともあるかもしれません。そうなってしまっては元も子もないですよ。介護は楽をして良いんです。むしろ岩本さんとお父様が体調を崩してお母様の介護ができなくなったら、お母様が生活できなくなってしまいますよね。そうならないように、「在宅介護は限界かも」と感じたらすぐに施設探しを始めましょう。 うーん、そうですね…。でも、老人ホームにもたくさんの種類があるんですよね?違いがよくわからなくて…。 でしたら、主な介護施設について簡単にお話ししていきますね。代表的な介護施設には以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) グループホーム 特別養護老人ホーム(特養) 介護施設の種類 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、24時間介護職員さんが常駐しているので、トイレ介助といった夜間の介助が必要な方におすすめです。また、日中には看護師さんも常駐しているため、インスリン注射などの医療ケアが要る場合でも入居ができます。 住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームは、訪問介護やデイサービスなどの在宅介護サービスを利用しながら生活する施設。そのため、介護サービスの組み合わせの自由度が高いのが特徴です。 サービス付き高齢者向け住宅 サービス付き高齢者向け住宅は、基本的には介護の必要のないご高齢者向けの住まい。中にはカラオケやフィットネスジムなど、元気に活動できる設備が整っている施設もあります。サ高住に入居して介護サービスを使いたい場合は、在宅介護サービスの事業者と別途契約が必要になります。 グループホーム グループホームは、認知症のご高齢者限定の施設です。少人数の「ユニット」単位で生活しており、1ユニット9名までと定められているのが特徴なんです。ただ、「介護度が要支援2以上」「施設のある市区町村に住民票があること」などいくつか入居条件があるので、入居を希望する場合は注意が必要です。 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、公的施設のため比較的、費用が安いのが特徴です。ただ、安価なためとても人気で、入居までに1年以上待つケースも。「すぐに入居したい」と思っても入居できないのがネックなんです。そのため、特養に入居したい場合は、余裕のあるうちから入居の申込みをするのがおすすめです。 介護施設ってこんなに種類があるんですね…。 実は、ここでお話ししたのは一部だけ。詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。 通い介護を無理して続けて起きる問題 通い介護は介護をする人にとって負担が大きいですよね。移動時間もかかりますし、頻繁に通うとなると交通費も高額になってしまいます。それでも、無理をして通い介護を続けていくと次のような問題が起こる可能性があります。 介護離職 老老介護 介護うつ 介護虐待・殺人 在宅介護で虐待が起こる理由 在宅での介護で虐待が起こる一番の理由は、虐待者の介護疲れやストレスです。介護は食事・入浴・排泄の介助など、身体的に負荷がかかるものが多く、肉体的な疲労が精神的疲労にもつながりやすいものです。 さらに、高齢者の生活を支えていくには、一日の中で長時間の付き添いが必要です。そのため、介護者がゆっくりと過ごす時間が減り、自宅にこもりきりになります。 いつまで介護が続くかわからない状況で、外部との交流が減ったり、肉体的な疲れから追い詰められ、虐待に発展してしまうことも多いです。 また、介護費用がかかることや、介護に時間を使うことで収入が減り、経済的な不安から虐待につながることもあります。在宅介護は閉鎖的な環境で、一人で抱え込みがちになってしまうため注意が必要です。 「介護虐待」とか、テレビで聞いたことがあります…。でも、虐待してしまうのって寝たきりの人を介護していたり、介護がすごく大変なケースですよね?うちの母はまだ元気ですし…。 いえ、これらの問題は介護をするすべての人に起こる可能性があります。現に、岩本さんのご実家でもお父様がお母様を介護する「老老介護」の状態になっていますよね。老老介護は、介護をしている人も高齢のために体調を崩しやすいですし、「気がついたら介護している人が認知症になっていた」という話もあるんですよ。それくらい共倒れしやすい状況なんです。 え、父が認知症に…?うーん、確かに父も高齢ですし、ありえないことではないですよね…。 老老介護・認認介護とは 老老介護とは 老老介護とは、高齢者が高齢者を介護している状態のことを言います。具体的には、介護する人も介護される側の人も65歳以上の高齢の場合で、さらに、共に75歳を超えている場合には「超老老介護」とも言われます。 日本では、老年人口と呼ばれる65歳以上の高齢者の割合が25%を超えてきており、完全に超高齢社会となりました。要介護者の人数が増加に伴って老老介護のケースも増えており、問題になってきています。 認認介護とは 認認介護とは、認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護している状態を言います。老老介護と同様に高齢社会に伴って増加の傾向にあります。 厚生労働省が2019年に実施した調査の結果では、介護が必要になった理由として一番多かったのは認知症であり、認知症患者の増加が認認介護が増えてきている要因となっています。 また、要介護申請をしていない人は現在800万以上いるといわれており、実態は調査結果などの数字以上に増加している可能性もあります。 不安になるようなことを言ってすいません。ただ、そういうリスクを想定して介護サービスを積極的に使ったり、少しでも異変があったらケアマネージャーなどの専門家に相談しましょう。お母様の介護も大切ですが、岩本さんとお父様の生活が第一です。いろんなサービスを頼りながら”楽”に介護できる環境を整えてくださいね。 在宅介護サービスを活用して、通い介護の負担を軽減して 介護サービスを利用するときは、まず介護認定から 老老介護は介護する人が認知症になって介護できなくなることも… pre { margin: 40px 0; ...

2023/03/03

認知症対策 在宅介護 認知症介護

悪口ばかり言う認知症の母親との関わり方がわかりません。夜中に起こされることも増えました。

同居している母の介護をしています。半年ほど前にアルツハイマー型認知症と診断されました。物忘れが多くなってきたのはしょうがないと思っているのですが、急に殴りかかってきたり、ひどい悪口を言ってくるようになりました。以前はそんなことをする人じゃなかったのに…。 「認知症だからしょうがない」と割り切っているものの、どうしてもこちらも感情的になって怒鳴り返してしまいます。認知症の母との上手い関わり方を教えてください。 (平井さん・67歳) 一生懸命に介護しているのに、ひどいことを言われたり暴力を受けるのはつらいですよね…。認知症の人が不安にならないような対応をしてみると、お母様も安心して穏やかに話せるかもしれません。例えば、ゆっくり大きな声で話をしたり、お母様のペースに合わせて行動をしてみましょう。反対に、早口で話したりお母様の行動を急かすような声掛けは、お母様の不安感を大きくしてしまいます。また、認知症の方との関わり方で注意が必要なことは、シチュエーションによって少し異なります。その辺りも注意してみてくださいね。 認知症の人との関わり方のポイント 認知症の母の介護をしています。昔は働き者で料理好きの明るい人だったのですが、このところ急に怒鳴ったり殴りかかってくることが多くなりました。物忘れが多くなってきたのは認知症のせいだと割り切れるのですが、悪口を言われたり暴力を振るわれるのは、私もショックが大きくて…。認知症の母と上手く関わるためにはどうしたら良いんでしょうか? 暴力や暴言はショックが大きいですよね。大切に思っている家族だからこそ、なおさらショックが大きくなるのは自然なことですよ。認知症の方との関わり方は、対応に慣れている介護職員でも頭を悩ませることです。なので、いくつかのコツをお伝えするので、それを1つずつ試してみてください。認知症の方との関わり方のコツを以下にまとめてみたので、参考にしてみてください。 話し方 ゆっくり話す 大きな声で話す 目線を合わせて話す 話をよく聞く 接し方 ペースを合わせる 無視をしない 役割を持ってもらう 認知症の人にはこんな話し方をしてみて ゆっくり大きな声で話す 認知症の方との基本は、「ゆっくり大きな声で話す」ことです。年齢とともに聴力が衰えていくうえに、認知症の影響で認知機能が低下して話の理解力も低下しています。そのため、お母様が言葉を聞き取れているかどうかを確認しながら会話をしてみましょう。そうすれば「私のことを気にかけてくれる」とお母様が感じて、不安な気持ちが落ち着いてくると思いますよ。 目線を合わせて話す 「目線を合わせて話す」というのは、気にしたことがなかったです。 忙しいと遠くから話しかけてしまったり、座っているお母様に対して立ったままで会話することもあると思います。ただ、認知症の方は感情の変化に敏感です。立ったままで話すと怒っているような威圧感を与えてしまいかねません。お母様が椅子に座っていたら平井さんも椅子に座って話しかけるなど、目線を合わせて、目を見ながら話すのを意識してみてください。 話をよく聞く 「話をよく聞く」ことは、相手が誰であってもコミュニケーションの基本。でも、家事に介護に…と、忙しいとないがしろにしてしまいがちですよね。認知症の方の話は要領を得なかったり、ちぐはぐなことがありますが、その言葉の中に不安の要因が隠れていることもあります。なので、毎日忙しいかと思いますが、お母様の話を聞く時間を設けてみてください。 「話をよく聞く」ですか…。「認知症になって何言っているかよくわからないし」と思って、母と会話する機会が減っていたような気がします。気をつけないと…。 認知症の人にはこんな対応をしてみて ペースを合わせる また、認知症の方には、話し方だけではなく接し方にもコツがあります。例えば、認知症によって脳が障害を受けることで引き起こされる直接的な症状「中核症状」には、物事を順序立てて効率よく作業できなくなる「実行機能障害」というものがあります。そのため、ご家族から見たら手際が悪くて「早くして」と急かしたくなることもあるかもしれません。それをぐっとこらえて、お母様のペースに合わせてみましょう。それだけでもお母様が安心して行動できるので、不安による症状の悪化が抑えられるかもしれませんよ。 実行機能障害とは 実行機能障害は、物事を順序だてて考えたり、計画を立てる能力が衰える症状で、認知症になると初期段階からあらわれるようになります。実行機能障害になると、料理や洗濯、掃除といった日常の家事をこなすことが難しくなります。それまで普通にできていたことができなくなることで、本人のストレスや不安も大きくなります。また、家族などの介護者の負担も増すことになります。例えば料理については、「その日の献立を考える」「必要な食材を必要な分だけ買う」「買ってきた食材を使って料理を作る」というような何段階にもわたる工程を順序立てておこなうことが難しくなります。 突発的な事態への対処が難しくなる また、突発的な状況に対する対処も実行機能障害になると困難になります。乗ろうとしていた電車が出発してしまったときに、次の電車に乗ろうというような選択ができずにパニックになることもあります。実行機能障害の方のサポートは、本人の気持ちに寄り添って安心感を与えながらおこなうことが大切です。焦らさずに落ち着いて、一つひとつの手順を一緒に確認しながら対応しましょう。 無視をしない 「無視をしない」って当然のことじゃないですか? そうなんです。でも、家のことや仕事、育児などで忙しいと、認知症の方のことを無視してしまったり話しかけられても後回しにしてしまうこともあるかもしれません…。認知症の方も、一般の方と同様に自尊心があります。無視をすると自尊心が傷つけられたりストレスを感じて、認知症の症状が悪化してしまうこともあり得るんです。 役割を持ってもらう 「役割を持ってもらう」ってどういうことですか?よくイメージできないのですが…。 例えば、「食後に食器を流し台に持っていく」「テーブルを拭く」「味見をする」など、簡単なことでも何でも良いので、お母様に役割を持ってもらうんです。誰でも「役に立っている」という感覚はうれしいですよね。それは認知症の方も同じです。ちょっとしたことでも良いので役割を持ってもらって、「お母さんのおかげで助かったよ」といった感謝の声掛けをしてみましょう。介助が必要なご高齢者の場合、「迷惑をかけている」という罪悪感を感じているかもしれません。感謝の言葉をかけるだけでも、その罪悪感が軽減されることがありますよ。 こんな関わり方はNG! 介護や家事で余裕がなくて、「目線を合わせて話す」「ペースを合わせる」といったことができていませんでした。むしろ、立ったまま話しかけていましたし、朝の支度が遅い母を「早くして」と急かしてしまっていました…。 介護をしていると、気持ちや時間の余裕がなくなってしまいますよね…。なので、認知症の方が不安やストレスに感じやすい対応をしてしまいがちかもしれません。そこで、認知症の方にしてはいけない関わり方を次のようにまとめました。やらないように意識していくだけでもお母様の気持ちが落ち着くと思いますよ。 発言や行動を否定する 細かく指摘や指示をする 家から出られないようにする 認知症の人へのNG対応 発言や行動を否定する 認知症の方へのNG対応の中で、一番やってしまいがちなのが「発言や行動を否定する」ことではないでしょうか。認知症の方は、認知機能の低下で事実とは異なることを話したり、同じことを何度も話すことがあるでしょう。そうしたときに「それは違うよ」「それは何度も聞いたよ」と否定してしまうのはNGです。たとえ、事実と違う話でも、認知症の方の頭の中では事実です。それに、以前に同じ話をしていたとしても、認知症の方にとって話したのが今回で初めてのことなんです。それを毎回否定してしまうと、認知症の方のストレスになってしまいます。 でも、認知症になっていたら否定したことも忘れてしまうのではないですか? はい。「否定された」という出来事は忘れてしまうでしょう。ただ、否定されて「嫌な気持ちになった」という感情だけは記憶に残ると言われています。そのため、発言や行動を否定することを繰り返していると、否定してきた人の顔を見るだけで嫌な気持ちを思い出すようになる可能性も。その結果、顔を見るだけで感情的になったり介護拒否につながるケースもあるんです。 え!?そうなんですね…。では、どうしたら良いんでしょうか。 まずは、話をよく聞くことが大切です。事実とは違うことを話していても、以前に聞いた話でも「そうなんだね」と共感するようなリアクションをしましょう。それだけでも、話をきちんと聞いてもらっていることを感じるのでお母様が安心できると思いますよ。 細かく指摘や指示をする 先ほどお話ししたように、認知症になると効率的に作業を進めるのが難しくなります。なので、「こうした方が良いよ」「先にこれをして」など、口をはさみたくなりますよね。でも、常にそうされると、誰でも良い気持ちにはならないと思います。なので、失敗しないように指摘したくなる気持ちを抑えて、お母様のことを見守りましょう。 はい…。私は「早くして」と急かしてしまうことが多いので、我慢して見守ることにします。 家から出られないようにする 「家から出られないようにする」ってどういうことですか? 認知症が進行すると、一人で外出して帰り道がわからなくなり帰ってこれなくなることがあります。認知症の周辺症状のひとつである「徘徊」と呼ばれるものです。家に帰ってこれなくなると、事故にあったり衰弱してしまったりと、認知症の方に危険が及びます。なので、ご家族としては危険から守るために玄関に鍵を締めたりして家から出られないようにするんです。 徘徊ですか…。聞いたことがあります。今のところ、母は勝手に家を出ていくことはないですが…。 玄関に鍵がかかっていて外に出られないことがわかると、認知症の方はパニックになることがあります。自宅が自分の家だとわからなくなっていることもあるので、閉じ込められると「ここから逃げ出さなければ」となおさら外に出ようとするんですね。「知らない場所に閉じ込められた」と感じれば、ものすごいストレスになります。そのストレスから認知症が悪化してしまう可能性もあるわけです。 でも、鍵をかけないと勝手に出て行ってしまうんですよね?どうしたら良いんですか? 理想としては、出ていこうとしたときに一緒についていって近所を散歩することです。外に出て歩いているうちに、どうして外に出ようとしたのか忘れてしまうこともあります。ただ、忙しいとなかなかそうした時間が取れないかもしれませんが…。そういうときには、出ていこうとしたときに「おやつでも食べない?」「好きなテレビ番組が始まるよ」などと声をかけるのも良いでしょう。外に出ることから気持ちがそらされて、外出しなくなることがあります。 こんなシチュエーションではどうする? ここまで、認知症の方との基本的な関わり方とNGな対応方法についてお話ししてきました。ただ、具体的な状況でないとイメージしにくかったかもしれません。 はい…。まだイメージができていません。例えば、うちの母の悪口や暴力にはどのように対応すれば良いんでしょうか? 認知症の方の暴力・暴言に加えて、具体的な以下のシチュエーションでの対応方法についてもお伝えしていきますね。 暴力・暴言をする 物盗られ妄想をする 家族の顔がわからなくなる 昼夜逆転する 失禁・便いじりをする 異食をする 幻覚を見る 困ったシチュエーションごとの対応方法 暴力・暴言 認知症の方からの暴力・暴言を受けたら、まずは物理的に距離を取りましょう。介護を一生懸命にしているのに手を上げられたりひどい言葉を浴びせられるのは、とても辛いですよね。なので、まずは別の部屋に行ったり外出したりして、お母様から離れてみましょう。それでも気持ちが落ち着かなかったら、音楽を聞いたりして気分転換するのも良いかもしれません。 母から離れればよかったんですね。悪口を言われると口論になってしまっていたので、気分転換なんてしたことがなかったです。 そうですよね。余裕がなくなってしまうと上手く対応できなくなってしまいますよね。気持ちに余裕がないと感じたときには、誰かに相談してみるのも良いでしょう。他のご家族やケアマネジャーさんに相談してみるのはどうでしょうか。他にも、日記などに記録しておくことも効果的。言葉にすることで気持ちが整理できることもありますし、あとで誰かに相談するときにも役に立ちますよ。 なるほど…。落ち着いて書けるときに、ノートに記録してみます。 認知症のご家族からの暴言についてのご質問を以前もいただいたことがあります。そちらでも詳しくお答えしているので、ぜひ参考にしてみてください。 物盗られ妄想をする その次の「物盗られ妄想」とは何ですか? 認知症の方が自分でしまったことを忘れて、財布や貴重品がなくなったことを「お金が盗まれた!」と誰かのせいにすることです。ときには、身近なご家族が盗んだ犯人にされてしまうこともあります。そういうときは、一緒に家の中を探したり「おやつを食べよう」と他のことに気をそらすことが有効です。物盗られ妄想については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 家族の顔がわからなくなる 認知症の症状の中でもご家族のショックが大きいのが、「家族の顔がわからなくなる」ことでしょう。毎日、介護しているのにも関わらず、急に「どちら様?」とわからなくなるのは大変ショックですよね。もし、誰か別の人と勘違いしている場合は、その人になりきって返答するとスムーズにやり取りできることがあります。ただ、仲の悪い人と勘違いしている場合、認知症の方が興奮してしまう可能性もありますので、刺激をしないように離れた場所に移動して落ち着くのを待つのもひとつの手です。 昼夜逆転する うちの母も、昼夜逆転しているかもしれません。夜中に起き出して私を起こしに来たり、昼間に寝ていることがあって…。 なるほど…。それは昼夜逆転の傾向がありますね。昼夜逆転は、認知症の「見当識障害」という時間の感覚がわからなくなる症状の影響で起こります。対策としては、昼間に散歩したり活動する機会を増やしたり寝室の環境を整えましょう。とくに運動することは、認知症の進行緩和にも効果があるとされていますから、身体を動かす時間を増やしてみてください。昼夜逆転については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 異食をする 「異食」って何ですか?初めて聞きました。 異食とは、食べ物ではないものを食べてしまうことです。例えば、ティッシュや乾電池を食べてしまうのがよく聞くケースですね。食べてはいけないものなのに、認知機能が低下した影響で食べ物だと思い込んでしまったり、空腹のせいで口にしてしまうんです。異食をしてしまう場合は、口に入れやすい小さなものを認知症の方の手の届くところに置かないようにしたり、空腹にならないように少量をおやつなどを用意しておくと良いでしょう。また、食べることに気持ちがいかないように、趣味などの食べること以外の楽しみを増やすのも異食を防止できるかもしれません。 幻覚 認知症になると、幻覚を見るんですか? そういうケースもあります。例えば、「庭に知らない人が立っている」と実際には存在しないものが見える「幻視」や、壁の模様などが虫に見えてしまったりする「錯視」、実際にはない声や音が聞こえる「幻聴」などの症状が現れます。 へぇ、目で見えるだけではなくて、存在しない声や音が聞こえることもあるんですね。これにはどう対応したら良いんですか? 例えば「庭に知らない人が立っている」という幻視だったら、「追い払っておいたよ」と返すのが効果的です。幻覚を否定するのではなく、ある程度、付き合ってあげつつ安心できる声掛けをすると良いでしょう。こうした幻覚も認知症の方の不安感から現れることが多いです。そのため、安心できる返答を意識してみてくださいね。幻覚については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 普段からゆっくり大きな声で話したり、目線を合わせて話すのが大切 発言や行動を否定するのはNG!作業の手際が悪くてもそっと見守って pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...

2023/02/27

在宅介護 認知症介護

認知症の母親が物をなくして探し物ばかりしています。自分で隠しているようですが、どう対応すれば良いですか?

同居している母の認知症が進んできたみたいで、毎日のように「物がなくなった」と騒いで探しものの手伝いをさせられています。先日は、母が通帳がなくなったと言うので再発行したら、その2~3日後にタンスの奥から出てきました。しかも、通帳がなくなったことに対して「泥棒に盗られた」と言いだす始末…。 「自分でしまったんでしょ」と言っても耳を貸しません。こんな母に振り回されてうんざりしています。どうしたら良いでしょうか? (松村さん・主婦・54歳) 探しものに毎日付き合うのは大変ですよね…。ただ、お母様の言葉や行動を否定するのはNGなんです。認知症の方は直近の出来事が記憶から抜けてしまいますから、「自分でしまったんでしょ」と言っても全く思い出せません。なので、「物がなくなった」とお母様が言うときにはタンスや押入れの奥など、お母様が物をしまい込む”定番の場所”をお母様が探して自分で見つけるように誘導してみましょう。そして、お母様が物を発見したら、「見つかって良かったね」とポジティブな声掛けをしてくださいね。 認知症の親が物をなくす…対策はある? 母は1年ほど前に認知症であることがわかりました。ただ、このところ症状が進行してきたみたいで、毎日のように物をなくしては探しものをしています。先日なんて、「泥棒に盗られた」と言っていた通帳を再発行したら、その2~3日後にタンスの奥から出てきたんですよ!こんな風にいつも母に振り回されていて、いい加減、疲れました…。「自分でしまい込んでるんでしょ」と言っても聞く耳を持たないし。母の探しものを減らすためにはどうしたら良いでしょうか? 毎日のように探しものの手伝いをするのは大変ですよね…。ただ、認知症の方の言葉や行動を否定するのは、より症状が悪化してしまうことがあるのでNG。「泥棒に盗られた」という言葉に、「自分でしまったんでしょ」「忙しいから一人で探して」などと返答すると、ストレスを感じてしまうこともあります。 えぇ!?「自分でしまったんでしょ」と言ってはダメなんですか?実際に、通帳は泥棒に盗られたわけではなかったですし。もっとちゃんと探していれば、通帳を再発行する必要はなかったんですよ? 事実としてはそうかもしれませんが、お母様は認知症の影響で自分で通帳をタンスにしまった記憶がすっぽり抜けてしまっています。松村さんも、記憶が全くないことを「自分でしたんでしょ」と言われても理解ができずに混乱してしまいますよね。それに、否定されたことで認知症の方がストレスを感じて、それが原因で症状が悪化してしまう可能性も…。なので、まずはお母様の言葉を否定せずに話を聞くことが大切です。 否定をしないって難しいです。どうしたら良いんですか? まずは、「物がなくなったんだね」と否定をせずに受け止めましょう。否定をしないだけでも、お母様はいつもより穏やかな反応をすると思いますよ。それでも落ち着かない様子であれば、一緒に家の中を探してください。通帳がタンスの奥から出てきたように、大切なものほど思いもよらないところから出てくることが多いです。 毎日、一緒に探しものをしていますが、「お母さんが自分でしまったんじゃないの」と言いながらしていました。その度に母は「違う、泥棒に入られたの!」と言い返してくるので、口論になっていました。探しものを一緒にするのは同じでも、声掛けが違うだけで母の態度は違うんですね。 そうなんですよ。ただ、探しものをしているときに注意が必要なのが、できるだけお母様自身の手で見つけられるようにすること。というのも、松村さんが探しものを見つけると松村さんが隠した犯人にされてしまうこともあるんです。 えっ?私、母の物を隠したりしないですよ! はい。でもお母様は自分でその場所に隠したことはすっかり忘れています。なので、「隠し場所を知っている人=隠した犯人」ということになってしまうんです。そのため、お母様自身がなくしものを見つけられるように、「私はあっち探すから、お母さんはそっちを探して」などとそれとなく誘導しましょう。はじめのうちはどこに物を隠しているのかわからないと思いますが、認知症の方は隠す”定番”の場所があることが多いです。慣れてきたら定番の場所をお母様が探すように誘導すると良いでしょう。 なるほど。探しものをするのにもコツがいるんですね…。 加えて、物が見つかったときに「やっぱり自分でしまったんでしょ」といったネガティブな声掛けをするのもNG。「見つかって良かったね」とポジティブな声掛けを心がけてください。 うーん…。忙しいとどうにもイライラしてしまって、ポジティブに声掛けできる気がしません…。 確かにそうですよね…。どうしてもイライラしてしまうときは、一時的に別の部屋に行ったり外出したり、とりあえずその場から離れましょう。忙しかったり疲れているときにいらだってしまうのはしょうがないことですから、長く介護を続けていくためにも溜め込まずに適度にガス抜きしていきましょう。 精神的な負担を減らす方法 介護における精神的負担は、ときとして身体的負担以上に深刻なものとなります。介護者の精神的負担が増えれば、介護どころか介護者自身が普通に生活を送ることすら難しくなることもあります。精神的な負担を減らすために、以下の方法を試してみましょう。 介護について話を聞いてもらう少しでも自分の時間を持つストレス発散に運動を取り入れてみる介護家族の会に参加する介護施設への入居検討をする 認知症の親が物をなくす理由は? 上手くできるかわかりませんが、母が物をなくしたときの対応方法についてはよくわかりました。でも、なんで母はこんなにも物をなくすことが増えたんでしょうか? 認知症の症状のひとつである、「記憶障害」が進行していることが考えられます。先ほどもお話しした通り、記憶障害によってしまったことをすっかり忘れているんですね。認知症の記憶障害は、「どこにしまったか忘れる」ではなくて「しまったこと自体を忘れる」のが特徴なんです。 記憶障害とは 認知症の中でも、最もわかりやすいのが記憶障害です。 記憶障害はもの忘れとよく混同されますが、記憶障害ともの忘れは根本的に異なります。もの忘れは「何かを忘れている」ことは理解できますが、記憶障害になると、忘れているという記憶すらなくなるのです。 例えば、普通のもの忘れであれば会う約束の時間をうっかり忘れてしまっても、指摘されると思い出すことができます。しかし、記憶障害になると約束したこと自体もすっぽりと記憶からなくなってしまうのです。 例)失われやすい短期記憶 数時間前に会った人の名前 何を買うために外出したか 何を話そうとして電話したか 例)保たれやすい長期記憶 子供の時の思い出 昔の楽しかった出来事 思い出の旅行 だから、「自分でしまったんでしょ」と言ってもわからないんですね。 おっしゃる通りです。それに認知症になると、注意力も低下します。そのため、無意識に物を置いてしまい、置いたこと自体も忘れてしまうんです。さらに、認知症の影響で物の整理が苦手になります。部屋が散らかって余計に探しものが増える原因になってしまいます。 そういえば、母はきれい好きだったのに最近は部屋がごちゃついています。どこに何があるかわからない状態なんです。それも認知症のせいだったんだ…。 そうなんです。はじめにお伝えしたように、「物がなくなった」と言われてもお母様の言葉を否定するのはNGです。否定をせずに受け止めることは大変かもしれませんが、認知症の進行を抑えるためにも試してみてください。 なくしものをしたときに、怒ったり否定するのはNG 本人が自分でみつけられるように、一緒に探してみて 認知症によって記憶障害が起こったり注意力が低下することでなくしものが増える pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/02/21

認知症 施設入居 介護疲れ

認知症の母親を施設に入れたい!認知症でも入れる施設はある?

認知症の母を老人ホームに入れようか迷っています。最近、汚れた尿パッドを自分で片付けられなくなり、タンスの奥にしまい込んでいるのをみつけてしまいました。そんなことが毎日なので、もううんざりです。でも、まだ一人暮らしはできているし、施設に入れるのは早いのかな、とも思っています。 そもそも、認知症の母を受け入れてくれる施設はあるのでしょうか?認知症になってしまうと、介護施設に入れませんか? (早川さん・パート・64歳) 認知症という理由だけで介護施設に入居を断られることはまずありませんよ!むしろ、ご入居者のほとんどが認知症である施設は珍しくないんです。もし、入居のタイミングを迷っているようでしたら、「自宅で暮らし続けるのが不安かどうか」をひとつの判断基準にしてみてください。お母様が「一人で外出して帰って来れなくなった」という状態になったり、介護をしている早川さんの仕事や家事に影響が出ている状況でしたら、施設に入居することをおすすめします。 認知症でも入れる介護施設はある? 認知症の母を介護施設に入居させるかどうか迷っています。最近、使用済みの尿パッドの片付け方がわからなくなったのか、タンスの引き出しの奥にしまいこむようになってしまいました。なので、いつも部屋の中がひどい匂いがして…。毎日のように私が通って介護しているのですが、匂いがひどいので行くのも気が滅入っています。でも、認知症だと老人ホームに入れたくても受け入れてくれないでしょうか? そんなことはありませんよ!認知症というだけで、入居を断る老人ホームはほとんどありません。むしろ、ご入居者のほとんどが認知症の方、という施設も珍しくないんです。 そうなんですね!それなら良かったです。でも、介護施設っていろいろありますよね?この間ネットで調べてみたら、たくさんありすぎてよくわからなくて…。 そうですよね。ひとくちに「介護施設」と言ってもたくさん種類があります。正直なところ、とてもややこしいです。なので、認知症の方の受け入れができる主な介護施設を次にまとめてみました。 特別養護老人ホーム(特養) 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) グループホーム あ、「特別養護老人ホーム」は聞いたことがあります。友達のお母さんが入所していたような…。 特養は公的な介護施設ということもあり費用が安いので、比較的身近な介護施設かもしれません。ただ、入所するにはいくつか条件があって「要介護3以上」の介護認定を受けている人でないと入れません。それでも費用が安くて終身利用ができる施設のため人気が高く、多くの特養は満室。入居まで1年以上待つ、なんてこともあるんです。 特別養護老人ホームとは 特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な高齢者に対し介護を提供する施設で、略して「特養(以下、特養)」とも呼ばれています。公的な介護施設で、次の3つの特徴があります。 老人ホームの中では比較的安価に入所できる看取りの対応が可能な施設も多く、終身で利用できる入所待機者が多く、地域によっては入所までに数年かかることもある 特養では、入浴や排泄・食事といった介護のほか、日常生活の介助・機能訓練・健康管理・療養上のお世話などが受けられます。終身での利用ができるため、「終の棲家(ついのすみか)」として選ぶ方の多い施設です。 えっ!1年以上も待つんですか!?そんなに人気なんですね…。 はい。なので、すぐに介護施設に入居したい場合は、民間企業が運営している施設をおすすめします。例えば、「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」。有料老人ホームには「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類あり、介護付きの方がより介護体制が充実しているのが特徴です。介護付きであれば介護度が重くなっても対応ができます。もし、長期的に利用することを考えているのであれば、介護付きがおすすめです。 介護付き有料老人ホームとは 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 なるほど…。もうひとつの「サービス付き高齢者向け住宅」というのはどういう施設ですか? サ高住は、基本的には介護の必要のない”自立”の人向けの施設。ただ、最近では訪問介護サービスの事業所やデイサービスを併設している施設もあり、介護が必要な人にも対応できるサ高住が増えています。ただ、介護付き有料老人ホームが介護サービス費がどれだけ利用しても変わらない定額制であるのに対して、一部の例外を除いたほとんどのサ高住では介護サービス費は利用した分だけお金がかかります。なので、介護が必要な量が増えると介護サービス費がかさむため、常に介護が必要な人にはおすすめできません。介護サービス費が定額制になっている「特定施設」のサ高住については、以前のご相談でお答えしています。こちらも参考にしてみてくださいね。 うーん…。このまま母の認知症が進んだら、介護の必要な量が増えると思うんですよね。となったら、介護付きの方が良いのかしら…。 もしくは、認知症を発症していてもお体が元気な方にぴったりな施設があります。それが、「グループホーム」です。グループホームは、認知症の方限定の施設。要支援2以上でグループホームがある市区町村に住民票がないといけない、という入居条件はありますが、認知症ケアに特化しているので安心して生活できると思いますよ。 ...

2023/02/20

認知症対策 認知症介護 デイサービス

認知症の父親がデイサービスに行きたがらないのはどうしたら良いですか?

認知症の父が一人で入浴できなくなってしまったので、デイサービスを利用し始めました。でも、「今日は行かない」とデイサービスに行くのを嫌がります。 デイサービスに行かないと、日中は家に父一人になってしまい、トイレを汚したりと大変なんです。いくら説得しても聞く耳を持たなくて、この数週間、デイサービスを毎回キャンセルしています。 父がデイサービスに行ってくれる、良い方法はないでしょうか? (大島さん・会社員・59歳) まずは、お父様がデイサービスに行きたがらない理由を探ってみましょう。もしかしたら、デイサービスで相性の良くない人がいるのかもしれませんし、慣れない環境で気を使うのがストレスになっているのかもしれません。そこで、まずは短時間から利用するのはどうでしょうか?デイサービスは短い時間から利用することも可能ですから、慣れるまでは短時間の利用ができるように施設に相談してみましょう。 デイサービスに行きたがらない理由は 同居している父が一人でお風呂に入るのが難しくなってしまったので、1ヵ月ほど前からデイサービスを利用し始めました。でも、デイサービスの日の朝になると「今日は行かない」と言ってデイサービスを嫌がるんです。なので、このところは毎回、キャンセルしています。家族がお風呂の手伝いをするのを嫌がりますし、認知症が進行しているので、できるだけ日中は家で一人にさせたくないんです。どうしたら父がデイサービスに行ってくれるようになるでしょうか? うーん…。お父様はどうしてデイサービスに行きたくないんでしょうか? それがはっきりと理由を言わないのでわからなくて…。 お父様に当てはまるかはわかりませんが、一般的には以下のような理由でデイサービスに行きたがらないケースが多いです。思い当たるものはありますか? 出かけるのが面倒 慣れない環境で不安 知らない人の世話になりたくない 相性の悪い人がいる デイサービスが合わない 「出かけるのが面倒」というのが当てはまっている気がします。たぶん、父は家から出るのが億劫なんだと思います。もともと出かけるのが好きな人ではありませんし…。 なるほど…。そういうこともあるかもしれません。デイサービスに行くには、朝食を食べて、身支度をして、荷物の準備をして…。とお迎えの時間までに出かける準備をしなければいけませんよね。認知症になると「実行機能障害」が現れて、計画を立てて効率良く行動することが難しくなります。そのため、お迎えまでに準備をするのが以前よりも大変になっているので、デイサービスを嫌がっている可能性はありますね。 そんなこともあるんですね!確かに、たまに朝の準備にまごついていることがある気がします。 それに、まだ利用し始めたばかりでデイサービスに慣れていないことも原因かもしれません。認知症の人は、新しい物事を覚えるのがとても苦手です。なので、新しい環境に慣れたり、新しい人の顔を覚える負担が大きいんですね。そのため、まだ慣れていないデイサービスに行くのは負担が大きくて嫌がっていることも考えられます。 最初の何回か行ったきり全然デイサービスに通えていないので、ほとんど慣れていないと思います。 また、ご高齢者の中には「知らない人の世話になりたくない」と考えて、介護サービスを拒否する人もいます。子供の頃から「他人に迷惑をかけてはいけない」と言われて育てられた人も多く、介護サービスを利用することが「他人に迷惑をかけている」と感じてしまうんですね。 あぁ、うちの父もそういうところがあるかもしれません。「一人でできる!」と言って、私の手伝いも嫌がることがありますから。「誰かの世話になりたくない」と考えているかもしれませんね。 そういうことがあったんですね。介護の拒否をされるのは大変ですよね…。最後の2つはデイサービスでのお父様の様子を確認してみないとわかりませんが…。もし、「相性の悪い人がいる」「デイサービスが合わない」と感じたら、デイサービスに相談してみたりデイサービスを変更してみるものありですよ。 デイサービスを嫌がるときの対応方法 北野室長が言っていたデイサービスに行きたがらない理由にいくつか思い当たるものがありました。でも、どうしたら父はデイサービスに行く気になるんでしょう?父はデイサービスに行きたくなくていつになっても出かける準備をしないし、「今日はデイサービスの日だから早く準備して!」と毎回のように父とケンカになるので、いい加減、疲れました…。 うーん、言いにくいのですが…。実は、「早くして」と急かしたり叱るのは逆効果になる事が多いんです。 えぇ!?そうなんですか?どうしてですか? 先ほどもお話ししたように、お父様は認知症の影響で効率よく支度を進めるのが苦手になっている可能性があります。デイサービスに行きたくなくて出かける準備をしないのではなく、何をしたら良いかわからずに混乱して支度に取りかかれていないのかもしれないんです。なので、混乱している状況で急かされると余計に混乱してしまうこともあります。 でも、私が「早くして」というと「今、準備しているだろ!」と怒鳴り返されるんですよ。混乱しているようには見えません。 もしかしたら、支度ができなくなっていることを知られたくなくて、怒鳴ることで自分の変化を隠しているのかもしれません。認知症が進行していることを自分自身で感じていると、できないことが増えていく不安や焦りを常に感じていることが多いので、ちょっとしたことでも怒って自分を守ろうとするんですね。 そうだったんですね…。 ですので、以下のように対応してみてください。お父様の体調によって効果があるときとないときがあると思うので、1つの方法に限らずにいくつかの方法を試すことをおすすめします。 本人の意思を尊重する デイサービスに行きたがる理由をつくる 家族が同行する 短時間から利用する 最初の「本人の意思を尊重する」ってどういうことですか?あいまいでよくわからないのですが…。 例えば、朝の支度のときに着ていく服をお父様に選んでもらう、デイサービスに行くかどうかをあえてお父様に決めてもらう、というのはどうでしょうか? 父が自分でデイサービスに行くかどうか判断したら、毎回「行かない」って言いますよ! はじめのうちはそうかもしれません。でも、無理やりデイサービスに行かせようとしたり急かしたりすることを一切止めて、「今日はデイサービス行くか行かないか、どっちにする?」とお父様に判断してもらうんです。もしかしたら「自分の意思が尊重されている」と感じられれば、自然と自分から「デイサービスに行きたい」と言うようになるかもしれません。 そうなのかな…。ちょっと想像できませんけど…。 確かに、すぐには効果は出ないかもしれませんが根気強く続けることも大切です。あとは、デイサービスに行きたくなるような理由を作ることも効果があるかもしれません。例えば、デイサービスの利用者としてではなく、デイサービスにお手伝いをしに行ってもらうのはどうでしょうか。お父様の得意なことを生かして、デイサービスで「習字の先生」「歌の先生」などをしてもらうんです。「誰かの役に立っている」と感じることは、生きがいにつながります。デイサービスの人と協力して、「ボランティアとして来てほしい」とスタッフさんに言ってもらうのもひとつの手ですよ。 ボランティアとして、ですか…。あ、そういえば、父は囲碁が好きなので、それなら教えられるかもしれません。「デイサービスで囲碁の先生をしてきてほしい」と伝えれば良いんですよね。デイサービスに相談してみます! 良いですね!他のご利用者との交流のきっかけにもなりそうですね。 その次に書いてある、デイサービスに「家族が同行する」って可能なんですか?初めて知りました。 はい。デイサービスには送迎サービスが含まれていますが、実はご家族が送迎するのもOKなんです。慣れるまではご家族が送迎すると、お父様もリラックスしてデイサービスに通えるんじゃないでしょうか。 私が送迎する時間が作れるかわかりませんが…。仕事の調整ができそうだったらしばらくの間は送迎しても良いかも。 また、お父様が慣れるまでは短時間でのデイサービスの利用も検討してみてください。これまでほとんど外出をしていなかった人だと、いきなり朝から夕方までデイサービスに行っているのは疲れてしまいますよね。なので、まずは3時間などの短い時間でデイサービスを利用してみて、慣れてきたら利用時間を夕方までにのばしていくのもおすすめですよ。お父様の状態や体調によっても効果のある方法は異なります。いろんな方法を試してみてくださいね。 まずは、デイサービスに行きたがらない理由を理解しよう デイサービスを嫌がるからといって叱ったり急かしたりするのはNG デイサービスでの役割を作る、短時間から利用するなどの対応をしてみて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...

2023/02/20

施設入居 認知症介護 介護の基礎知識 サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅の「特定施設」とは何ですか?普通のサ高住と何が違いますか?

認知症の父を自宅で介護することが難しくなってきました。なので、施設探しを始めたところ、ネットで「特定施設」と記載のあるサービス付き高齢者向け住宅を見つけました。「特定施設」の記載のないサービス付き高齢者向け住宅もあるようですが、何が違うんでしょうか? (堀さん・会社員・62歳) 特定施設ではない一般型のサ高住では、介護サービスを提供していません。なので、介護サービスを利用したいときは別途、外部の介護事業者との契約が必要です。対して特定施設のサ高住は、施設が介護サービスを提供します。しかも、介護サービス費は介護度に応じた定額制になっています。つまり、 サ高住の中でも介護体制が充実しているのが特定施設と言えます。 サービス付き高齢者向け住宅の「特定施設」とは? つい先日、父が自宅で転倒してから脚が痛むのか歩くのを嫌がるようになりました。すると、どんどん身体が衰えて介護の負担がとても大きくなってしまって。私も仕事があるので自宅で介護するのは限界です。なので、介護施設を探し始めたところ、サービス付き高齢者向け住宅に「特定施設」と記載があるものとないものがあると知りました。この「特定施設」の記載の有無は何が違うんですか? 「特定施設」という表記のないサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、いわゆる”「一般型」のサ高住”と”特定施設のサ高住”には、いくつか違いがあります。順番にお話ししていきますね。 サ高住の「特定施設」とは まず、「特定施設」は正式には「特定施設入居者生活介護」と呼ばれ、介護職員の人員基準などの複数の条件を満たした施設だけが都道府県の指定を受けられます。つまり、特定施設の指定を受けている施設はそうでない施設に比べて充実した介護体制が整っているというわけですね。 なるほど。一般型のサ高住は、介護体制は整っていないんですか? 施設によって異なりますが…。基本的には重度の介護度の方にはサ高住はおすすめできません。というのも、一般型のサ高住に入居して介護サービスを利用するときには、別途、外部の介護事業者と契約が必要。施設の介護職員が介護サービスを提供してくれる訳ではないんですね。さらに、特定施設の介護サービス費が介護度に応じた定額制であるのに対して、一般型は利用した分だけ発生します。つまり、常に介護が必要な人は、介護サービス費が高額になってしまうことがあるんです。 えっ!そうなんですか!費用が高いのは困ります。 また、一般型のサ高住の中には夜間に職員がいなくなるところもあります。万が一のときに知らせられるように緊急ボタンを居室に設置している施設もありますが…。このボタンを押すと介護職員さんではなく、警備員さんが駆けつけます。介護のためではなく緊急時対応のためのボタンですので、一般型のサ高住は「トイレに行きたいから手伝って」と気軽に頼める環境ではないことはイメージできるかと思います。 そういう状況なんですね…。父はトイレに付き添いが必要な状態ですから、一般型では難しそうです。 頻繁に介助が必要な状況でしたら、やはり特定施設の方が合っているかもしれません。というのも、サ高住でも特定施設であればケアマネージャーさんが常駐しており、一人ひとりに合わせたケアプランを作成してくれます。それに基づいて食事や排泄などの介助をおこないますので、頻繁に介助が必要な場合でも安心なんです。 サ高住以外にも特定施設はある! ちなみに、「特定施設」の指定を受けられる介護施設はサ高住だけではありません。サ高住も含めて、以下の4種類の介護施設が条件を満たせば、特定施設の指定を受けられます。 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 ケアハウス(軽費老人ホーム) 養護老人ホーム へぇ、特定施設ってサ高住だけの話ではないんですね。そういえば、特定施設の指定を受けるための条件ってどんなものなんですか? 厳しい条件がたくさんあるので、全てはお伝えできませんが…。例えば、職員さんの人員配置についてであれば、以下のような条件があります。 入居者:介護・看護職員 =3:1 看護師1名以上 ケアマネジャー1名以上 こうした人員配置基準など、たくさんの条件を満たしていないと特定施設にはなれません。つまり、特定施設はそれだけ介護や看護の体制が整っていると言えますね。 一般型と特定施設のどちらを選ぶ? やはり、特定施設の方が介護体制が整っていますし、特定施設を選ぶのが良いですよね? うーん、一概にそうとも言えません。それぞれに特徴がありますからね。一般型と特定施設を比較して選んでみることも大切です。なので、一般型のサ高住と特定施設のサ高住を比べるために、それぞれの特徴をまとめてみました。「介護体制が充実しているから」と、特定施設だけに限定してしまうのではなく、どちらがお父様に合うのかに注目して比較してみてください。 一般型のサ高住 生活の自由度が高い 居室にキッチン、浴室がついていることも 共用施設が充実している 特定施設のサ高住 職員体制が手厚い 介護サービス費は定額制 認知症、重介護度の人も対応可能 一番上にある一般型のサ高住の「生活の自由度が高い」とはどういう意味ですか? もともと、サ高住というのは自立して生活できるご高齢者向けの住宅なんです。”「安否確認」「生活相談」といった見守りサービスが付いた賃貸住宅”という位置付けなんですね。なので、一般型のサ高住では外出が自由にできますし、外食や自炊することにも制限がないことがほとんどです。対して、特定施設のサ高住は介護が手厚い反面、行動に制限がかかることがあります。認知症の人も入居しているので、安全のために建物の玄関に施錠がされている場合もありますし、居室にお風呂がないことが多いので自分の好きなタイミングで入浴するのは難しいでしょう。 そうなんですね!確かに、認知症の人が一人で外出してしまって帰れなくなったら危険ですもんね…。 つまり、介護の必要がなかったり介護が必要な量が少ない場合は、一般型のサ高住の方が自由な生活ができるのでおすすめです。もし、定期的に介護が必要な状況、例えば「トイレに見守りや介助が必要」といった場合は、特定施設の指定を受けたサ高住の方が安心した生活を送れるでしょう。 なるほど…。となると、父はトイレに付き添いや介助が必要なので、特定施設の方が安心かもしれません。 一般型、特定施設のどちらのサ高住もメリットとデメリットがあります。入居する方の身体状況や希望する生活スタイルに合わせて選択してくださいね。 サ高住の特定施設には、常に介護できる体制が整っている 介護量が少ないなら一般型、介護量が多いなら特定施設のサ高住がおすすめ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/02/20

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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