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特集

Q&A

老人ホームに入居する、なんていう経験は人生でもそうあるものではありません。当然、わからないこと、不安なこと、疑問などなど、頭の中が「?」マークでいっぱいになっていることでしょう。そんなアナタに、自称“日本一、老人ホームの入居相談を受けてきた男”こと「いい介護」入居相談室の室長・北野が、みなさんの疑問・質問にお答えします!
在宅介護 介護疲れ

親の介護が原因で家庭崩壊してしまうかも…。予防する方法はありますか?

3ヵ月ほど前には母が自宅で転倒し入院し、一人で歩くのが難しくなって介護が必要な状態になってしまいました。家の中を歩くのにも付き添いが必要なので、トイレもお風呂も私が介護しています。 車で1時間ほどのところに妹と弟が住んでいますが、介護を手伝う気はまったくなし。最近では、私が母の介護の話ばかりをするせいか、電話をしても妹や弟につながりにくくなってしまって。つながっても、母のことで口論となってしまって…。 母の介護が始まる前はここまで仲の悪いきょうだいではなかったのですが…。介護が始まって関係が悪くなってしまったような気がします。このままでは家庭崩壊してしまうかもしれません。どうしたら良いですか? (小笠原さん・パート・65歳) それは大変な状況ですね…。家庭崩壊をしてしまう前に、対策をとっておきましょう。それは「家族で役割分担をする」「介護サービスを活用する」といったものです。週1回でも手伝いに来てもらったり、ごきょうだいに直接的な介護の支援をしてもらえなさそうなら金銭面での援助を求めたりなどの役割分担が大切です。そうしないと、小笠原さんの負担が大きくなり、共倒れになってしまいます。また、介護サービスを活用するのも大切。すでに利用していても介護サービスの量を増やすことで、負担がかなり減ると思いますよ。 介護で家庭崩壊してしまう対策と原因 3ヵ月ほど前に母が自宅で転倒してから、介護が必要な状態になってしまいました。なんとか歩けるものの、手すりにつかまったり私が手を引いたりしないといけないですし、足元がおぼつかなくて危険です。なので、トイレに行くのもお風呂に入るのも、私が介助しています。こんな状況なのに、妹と弟は手伝う気が一切なし。「仕事が忙しい」「姉さんに任せた」と言って、私に丸投げなんです。車で1時間ほどのところに住んでいるので、来れない距離じゃないのに…。最近では、電話しても出てくれないことも増えたし、出たと思ってもすぐに口論になってしまって。母の介護が始まる前はそこまで仲の悪いきょうだいではなかったんです。このままでは関係が悪くなって家庭崩壊してしまうかも…。どうしたら良いでしょうか? それはおつらい状況ですね…。介護が原因の家庭崩壊を避けるためには介護体制を整えることが大切です。具体的には以下のような方法です。 家族で役割分担をする 介護サービスを活用する 費用の減免制度を活用する 家族で役割分担をする 介護によって家庭崩壊をしてしまう原因のひとつに、家族で話し合いができていないことがあります。小笠原さんのお母様の場合、急に介護が始まってしまったので介護の役割分担などの話し合いができなかったと考えられますが…どうでしょうか? はい、その通りです。でも、今の状態ではろくに話し合いもできない気が…。 ごきょうだいと話し合いができない理由のひとつに、介護に関わっていないほかのきょうだいが事態の重大さを把握していないことがあります。特に転倒などで急に介護が必要となったケースでは、お元気だったころの親御さんの姿のイメージしかないので、介護が大変なことを理解できていない可能性も。親御さんの状況を直接見ていない場合ならなおさらです。 妹も弟も転倒した直後に一度、母の入院先にお見舞いに来たきりです。家での様子は見てはいないですね。私がいつも電話で母の様子を伝えていますが、それでは足りないんでしょうか? 私が多くの方のご相談を受けた経験からお伝えすると、妹さんも弟さんもお母様はもっと軽い状況だと思っている可能性が高いですね。そのため、まずは妹さんと弟さんにお母様の今の状況を見てもらって、そのうえで顔を合わせた状態で話し合いをすることをおすすめします。介護の大変さが伝わると思いますよ。 そこまでしないといけないんだ…。 また、役割分担をする場合は、妹さんや弟さんにお願いしたい内容を具体的に伝えることが大切。例えば、「週に2回は手伝いに来てほしい」「通院の送り迎えをしてほしい」といった内容です。もしかしたら、仕事や家庭のことでどうしても直接的な手伝いができないケースもあるでしょう。その場合は、多めに介護費用を出してもらうといった方法もありますよ。 なるほど…。今まで「手伝って」としか言っていなかったかも。頼みたいことを具体的にしておきます。 介護サービスを活用する 介護の負担は中心となって介護をしている人に集中してしまいがちです。そのため、積極的に介護サービスを活用することをおすすめします。特におすすめなのは、ショートステイ。1日から介護施設に宿泊できるサービスで、最大30日連続で利用できます。ご家族が体調不良などで介護できないときはもちろん、息抜きのために利用している人も多いですよ。 息抜きのために利用できる介護サービスがあるんですね! そうなんです!在宅介護は負担が大きいものです。ご家族だけで介護をするのはかなり厳しいので、ショートステイを使って、適度に休憩をしていきましょう。また、お風呂の介助が必要ならデイサービスもおすすめ。これは、介護施設に通って9~16時の間を施設で過ごせるサービスで、入浴介助も受けられるんです。そのため、週に2~3回利用して、お風呂をデイサービスで済ませている方も少なくないんですよ。 へぇ!お風呂に入れてくれるのは助かります。うちのお風呂は狭いし、滑って危ないので…。 今、お話ししたものも含めて、在宅介護をしている方が利用できる主な介護サービスには以下のようなものがあります。 訪問介護 デイサービス ショートステイ 福祉用具の貸与 福祉用具の購入 費用の減免制度を活用する 介護は思った以上にお金がかかるものですよね。そのため、介護によって経済的に苦しい状況になってしまうこともありえます。そこで、介護費用の減免制度を活用していくことが大切です。 介護費用の減免制度なんてあるんですか! そうなんです。例えば、以下のようなものがあります。 高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算療養費制度 医療費控除 特定入所者介護サービス費 社会福祉法人などの利用者負担軽減制度 これらの制度は、上限額を超えて介護サービス費や医療費を支払った場合に払い戻しや控除が受けられるものです。また、特定の施設に入居すると利用料が減額されるものもあります。上限額や減額は所得に応じてそれぞれ設定されています。詳細は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 家族内で家庭崩壊を解決できないときは… もし、妹や弟と話し合いができなくなってしまったらどうしたら良いでしょうか? そうですね…。最終手段としては、家庭裁判所で「扶養請求調停」を申し立てる方法があります。法律上、直系血族やきょうだいはお互いに扶養義務があるとされています。その義務を果たさなかったり、扶養義務がある人同士でお互いの支援について話し合いでまとまらない場合に、家庭裁判所が間に立って調停するものです。具体的には、家庭裁判所が小笠原さんや妹さん、弟さんなどの話を聞いたうえで、お母様への支援として「毎月何万円支払う」といった提案がなされます。もしそれでも合意されなかった場合は、家庭裁判所が法律的に妥当な方法を指定して審判がされます。つまり、家庭裁判所に強制的に介護の負担を決められてしまいます。 そんなことになってしまうんですね…。そうならないように、家族での話し合いが大切ということですね。 参考:「扶養請求調停」(裁判所) 介護で家庭崩壊するとどうなる? 考えたくはないことですが、妹や弟との関係がさらに悪くなって家庭崩壊してしまったらどうなるんでしょうか? 妹さんや弟さんと完全に縁が切れてしまって、小笠原さんが介護のすべてを担うことになるでしょう。今後、お母様の状態が進行したら、さらに介護の負担が大きくなることが考えられます。そのため、以下のような状態になってしまう危険性があります。 経済的に困窮する 親を虐待する 介護うつを発症する 経済的に困窮する ほかのごきょうだいからの支援がないとなると、経済的に困窮する可能性が考えられます。先ほどもお話しした通り、介護にはお金がかかります。そのうえ、ほかのご家族から直接の介助や経済的な援助という形でサポートがないと、介護をする人だけのお金と時間を使わないといけなくなります。お母様の蓄えが十分にある場合は問題ないと思います。が、そうでない場合は、介護の時間を作るために仕事を辞めて、収入が減ったから節約するために自分で介護をして…といった負の連鎖になってしまう可能性も考えられます。直接的な支援がごきょうだいから得られなくても、経済的支援があれば介護サービスを使って負担が減らせます。経済的支援があるかないかで介護の負担は大きく変わるんです。 親を虐待する 介護をしている親を子どもが虐待するというニュースは見たことありますが…。 はい。高齢者虐待はテレビなどでも取り上げられていますからご存知だと思います。こうした高齢者虐待の原因の多くは介護によるストレスなんです。特に一人で介護をしている場合の心身のストレスは莫大です。そうしたストレスが親御さんに向いて、虐待という結果になってしまったケースが少なくありません。 つまり、ニュースで見る高齢者虐待は親子仲が悪かったわけではないんですか? はい。必ずしも親子関係が悪いことが虐待の原因になっているわけではありません。むしろ「私がちゃんと最期まで介護をしないと」と、考えているお子さんに限って虐待をしてしまうとも言われています。そうした悲しい事態を避けるためにも、ご家族で分担して介護をおこなってくださいね。過去に親御さんに手をあげてしまった方のご相談も乗っています。参考にしてみてください。 介護うつを発症する 一人で頑張りすぎた結果、介護うつになってしまう危険性もあります。介護うつとは介護が原因で発症するうつ病のこと。心身のストレスや疲労が溜まった結果、発症してしまうものです。 私もこのところの介護で疲れていて。介護うつになってしまうんでしょうか…。 介護うつは早期発見が大切です。介護うつの症状をまとめましたので、思い当たるものがあったらまずは介護を休んで、心身をリフレッシュする時間を作りましょう。 食欲不振 睡眠障害 疲労感 焦燥感 思考障害 そういえば、最近、寝付きが悪いかも。それに疲労感は常にあるし…。母が転倒してからずっと介護のことばかりだったので、ちょっと休憩するタイミングなのかもしれませんね。 はい、定期的に”介護休み”を作って休憩しましょう!もしすぐにごきょうだいの支援がもらえなさそうであれば、ショートステイなどの介護サービスを活用して、”介護休み”を作るのもおすすめの方法ですよ。 家族で話し合いできていない、介護者の心身疲労、経済的困窮で家庭崩壊をしてしまうことも 家族間の話し合い、介護サービスの利用、費用の減免制度や家族からの経済的支援によって対策をしよう 家庭崩壊すると経済的困窮、親への虐待、介護うつなどに陥る危険性がある pre { margin: 40px 0; background: ...

2024/02/09

在宅介護 サービス付き高齢者向け住宅

高齢の父親が一人暮らしになってしまいました。家事がまったくできない人なので心配です

半月ほど前に母が亡くなり、実家に父が1人で残されてしまいました。父は80歳を超えていますが、体は元気だし頭もハッキリしています。が、家事を全部母に任せっきりだったせいで、家のことは何もできません。 こんな状態の父は一人暮らしできるでしょうか。母の葬式が終わってから1週間ほどは私が実家に残って身の回りの世話をしていたのですが、父に「もう良いから帰れ」と言われてしまって帰ってきました。 同居も考えましたが、自宅の広さを考えると難しくて…。今後、どのようにサポートしていけば良いでしょうか? (宮下さん・会社員・57歳) まずは、お父様の希望を確認しましょう。一人暮らしを続けたいのか、同居したいのか…。ご高齢ですから、介護が必要になったときのことも合わせて話し合えると良いですね。ご高齢者の一人暮らしには、転倒による怪我や低栄養、認知症や火の不始末による火事といったリスクがあります。お父様が一人暮らしをする場合は、一人暮らしのリスクを念頭に置いたうえで対策をとっていきましょう。 親の一人暮らしは手を出しすぎない方が良い 母が半月ほど前に亡くなり、父が実家で一人暮らしを始めました。ですが、これまで父は家事を母に任せきりで何もできない人です。なので、今後一人暮らしができるのかどうか…とても心配です。母の葬式が終わってから1週間は私が実家に残って父の世話をしていたのですが、父に「もう良いから帰れ」と言われてしまい、自宅に帰らされました。同居も考えたものの、夫や娘がいることもあって我が家で暮らすのはスペース的に難しいです。でも、やはり父の一人暮らしが心配で。父も80歳を超えているので何があるかわかりませんし…。これから、どうやって父をサポートしていけば良いでしょうか? ご高齢のお父様の一人暮らしは心配ですよね…。ですが、まずはお父様がどうしたいのかを確認しましょう。一人暮らしをしたいのか、宮下さんご家族と同居したいのか…。ほかにも「こうしたい」という考えがあるかもしれませんよ。 なるほど。不安が大きくて父の気持ちを聞いていませんでした。 今すぐに問題が起こりそうでなければ、手を出しすぎずにお父様の一人暮らしを見守ってみてはどうでしょうか?案外、これから家事を学んでつつがなく一人暮らしができるようになるかもしれませんよ。 確かに。あせっているのは私だけで、父は一人暮らしをなんとも思っていなさそうでしたね。しばらく様子見も良いのかもしれません。 老人ホームに入るのもアリ 「一人暮らし」と「同居」だけでなく、「老人ホームに入る」という選択肢もあります。施設探しのご相談を受けていても、親御さんが一人暮らしになってお子さんのご自宅近くの老人ホームを探す、というのは珍しくないんです。 老人ホームですか…。全然考えたことなかったです。でも、父はまだまだ元気ですし、老人ホームは早い気がするんですが…。 お元気な方向けの老人ホームがあるんです。例えば、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなど、介護が必要のない方でも入居ができるところは数多くあります。宮下さんのご自宅近くの老人ホームにお父様が入居すれば頻繁に会いに行きやすいですし、ご家族としても安心できるのではないでしょうか。 高齢の親が一人暮らしをするリスク もしお父様が一人暮らしをすることを選択された場合、ご高齢者が一人暮らしをするリスクについて把握しておいた方が良いでしょう。 高齢者が一人暮らしをするとリスクはありますよね。具体的に教えてください。 ご高齢者の一人暮らしのリスクには、以下のようなものがあります。 転倒による骨折 低栄養 認知症 火の不始末 転倒による骨折 今後、足腰が弱ってきた場合、転倒のリスクが上がります。さらに転倒して骨折し、入院した場合、気力や筋力の低下につながる可能性も。筋力が低下すると歩けなくなって、移動に車椅子が必要になり、一気に介護が必要な状態となってしまうことも少なくないんです。それに、入院すると活動が制限されます。すると、外部の刺激がなくなって認知機能の低下のリスクも。入院がきっかけとなって認知症になるケースも珍しくないので、注意が必要です。 転倒から認知症になることもあるんですか!それは怖いですね…。 低栄養 一人暮らしのご高齢者は、食事の準備が億劫になって簡単に済ませてしまう傾向があります。出来合いのお惣菜やパンばかり食べていると、栄養が偏って低栄養状態になってしまう危険性も。低栄養状態になると、筋力や体力が落ちて介護が必要になるリスクもあるんですよ。 栄養状態が悪くなるのは、私も心配なんです。父は料理もろくにできませんし、お弁当やお惣菜を買ってきて済ませてしまうと思います。それが、介護が必要になるきっかけになってしまうんですね…。 認知症 一人暮らしをすると認知症になってしまうんですか!? 一人暮らしをすると、必ず認知症になるわけではありません。ただ、一人暮らしになって外部との交流がなくなったり活動が減ると、脳に刺激がなくなって認知症になるリスクが高くなると言われています。それに、一人暮らしだとご家族が認知症の初期症状を見逃しやすい傾向があります。認知症の初期症状とは以下のようなものです。以前と変わった様子がないか、ご家族が気をつけておきましょう。 何度も同じことを話す・尋ねる よく探しものをする 料理や買い物に手間取る お金の管理ができない 周りの出来事に関心がない 意欲がない、趣味をやめた 怒りっぽい 疑い深い 火の不始末 火の不始末も、ご高齢者の一人暮らしで気をつけたい点です。ガスコンロやストーブの消し忘れ、たばこの火を消しきれていないといったことから火事が起こる危険性があります。 確かに!高齢者がガスコンロの火を消し忘れて火事になる、というのは聞いたことがあります。注意しないと…。 親の一人暮らしはどうサポートする? 高齢者が一人暮らしするリスクについて聞いていたら、やっぱり父の一人暮らしが心配になってきました。家族でサポートできることって何かないんでしょうか? 一番のサポートは定期的な関わりを絶やさないことです。月に数回でも一緒に食事を摂ったり、電話をするのもおすすめです。頻繁に会話をしていれば生活や心身の変化にも気が付きやすいですし、何か困りごとがあるときに気軽に頼ってもらえる関係を築きやすいと思いますよ。 月に数回でも良いんですね。実家までそんなに遠くないので、私の負担にもならなさそうです。 また、転倒対策としてトイレや廊下など、転びやすいと思うところに手すりをつけるのも良いでしょう。もし、まだそこまで足腰が衰えていない場合は、不用品の整理をしておくことも転倒対策になります。 不用品整理が転倒対策になるんですか? はい。ご高齢者のお宅は物が多い傾向があります。あふれかえった物につまづいて転倒するケースが少なくないんです。それに一人暮らしだと物の管理も難しくなるでしょうし、物を減らした方が暮らしやすくなることもありますよ。火事の対策としては、ガスコンロやストーブなどを安全装置付きのものに変えるのがおすすめ。もし、お父様が料理をするつもりがないのであれば、ガスコンロではなく電子レンジや電気ケトルだけを使うようにしても良いでしょう。 なるほど…。今後、父が料理をする気があるかを聞いておく必要がありそうですね。なんにせよ、父がこれからどう生活していきたいかを確認してから、対策をとっていくのが大切ですね。 親の一人暮らしには手を出しすぎない方が良い 高齢者の一人暮らしは、転倒、低栄養、認知症などのリスクがある 定期的な交流、不用品の片付け、手すりをつけるといった支援をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2024/01/31

施設入居

まだ元気な母親を入れるならどんな老人ホームが良いですか?近くの施設に入れたいと思っています

母を私の家の近くの老人ホームに入居させたいと考えています。ですが、母は高齢なもののまだ介護が必要な状況ではなく、元気です。なので、寝たきりの人や認知症の人が多い施設だと嫌がりそうな気がして…。 母に合う老人ホームってどんなところなんでしょうか?そもそも、介護が必要ではないのに老人ホームに入るのは可能でしょうか? (榎本さん・パート・63歳) 元気な方が入れる老人ホームはありますよ!例えば、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム、ケアハウスなどがあります。これらの施設は見守りサービスなどがついていることが多いので、お母様もご家族も安心して生活ができるでしょう。ただ、なかには元気な方も介護が必要な方も受け入れている施設もあります。もし、認知症や寝たきりの方が多く入居している施設の場合、ほかの入居者とコミュニケーションが取れなくて生活がつまらないものになってしまう可能性があるので注意が必要です。施設探しの前に、お母様が介護が必要な状態になったら介護体制が充実した施設に住み替えるのかどうか、事前に決めておくと後悔のない施設探しができると思いますよ。 元気な人が入居できる老人ホーム 母が少し離れたところで一人暮らしをしているので、私の家の近くの老人ホームに入居させたいと思っています。ただ、まだ母は介護が必要なわけではありませんから、認知症の人や寝たきりの人が多い施設に入るのは嫌がると思うんです。介護が必要ない元気な母でも入居できる老人ホームってあるんでしょうか? もちろんありますよ!介護認定を受けていない人でも入れるのは以下の施設です。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 有料老人ホーム シニア向け分譲マンション 一般型ケアハウス サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) サ高住は、ご高齢者が住みやすいように配慮された賃貸住宅。例えば、バリアフリー設計になっていたり、居室の要所に緊急通報ボタンを設置しているところもあります。また、必ず安否確認と生活相談サービスを提供しており、毎日の安全確認をおこなったりお困りごとの相談にも対応しています。 サ高住には、介護が必要な人はあまり入居していないんですか? サ高住のなかでも、「特定施設」と呼ばれる施設は介護体制が充実しているので、介護が必要な方が多く入居している傾向です。ただ、それ以外のサ高住は比較的お元気な方が入居しています。ちなみに、サ高住に入居してから介護が必要になったら、外部の介護事業者と契約をすることで介護サービスを利用できます。そのため、介護が必要になってもある程度は住み続けられるでしょう。 「ある程度」というと、もし母が寝たきりになったりしたら転居しないといけないということですか? どの程度まで介護が必要な方を受け入れるかは、サ高住によって全く異なります。軽介護度の方までしか受け入れないサ高住もあれば、看取りまで対応しているサ高住もあります。事前に施設に確認してくださいね。 有料老人ホーム 有料老人ホームにも、要介護認定を受けていない人でも入れるところは多くあります。有料老人ホームには「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類があり、おおまかに分けると住宅型有料老人ホームが元気な方向け、介護付き有料老人ホームが介護が必要な方向け、といった違いがあります。 となると、母が入るんだったら住宅型有料老人ホームが良いということですね? 概ねそれで問題ないと思います。ただ、住宅型有料老人ホームでも介護付き有料老人ホームでも、お元気な方が中心の施設もあれば、重介護度の方が多く入居しているところもあります。サ高住と同様に施設によって受け入れ状況が全く異なりますので、希望の施設がある場合は受け入れ条件や現在のご入居者の状態なども聞いてみると良いでしょう。 シニア向け分譲マンション シニア向け分譲マンションは、その名の通り、シニアをターゲットにした分譲マンションです。一般的な分譲マンションと同様、購入したら自分の資産になるところが魅力です。基本的にシニア向け分譲マンションはバリアフリーが整っており、レストランやカラオケ、フィットネスジムを備えているところもあります。ただ、購入費用が数千万円にのぼるうえに、毎月の管理費なども上乗せされます。そのため、ほかの老人ホームや高齢者向け住宅よりも費用が高くなるのがネックですね。 数千万円ですか!我が家ではそんなにお金を出せないですね…。 一般型ケアハウス ケアハウスは公的な老人ホームのひとつで、自立した生活が難しくなったご高齢者が入居できる施設です。ケアハウスには「一般型」と「介護型」の2種類があり、お元気な方が入居できるのは一般型のみです。一般型ケアハウスは介護サービスの提供はありませんが、食事の提供があります。そのため、「介護は必要ないけど、食事の支度が億劫になってきた」というご高齢者に向いている施設と言えます。 それ、うちの母もです。家がアパートの3階にあることもあって、重いものの買い出しが大変になってしまったみたいで。そのせいで、食材をきちんと買って料理するのも億劫になったみたいです。 そういったご状況なら、一般型ケアハウスが合っているかもしれないですね。また、一般型ケアハウスに入居して介護サービスを利用したい場合、外部の介護事業者と契約する必要があります。介護サービスを利用しても自立した生活が難しくなると、退去を求められることがある点には要注意です。 元気なうちに老人ホームに入るメリット 母のことが心配なので、できれば早く近くの老人ホームに入居させたいと思っています。ですが、老人ホームって介護が必要になってから入居するイメージがあって…。元気なうちから老人ホームに入居させるのは良くないことなんでしょうか? そんなことはありませんよ!お元気なうちから老人ホームに入るのは、以下のようなメリットがあるんです。 安心感がある 生活の質が向上する 認知症予防できる 食事サービスを受けられる 趣味を楽しめる 安心感がある お元気なうちから入居できる老人ホームの多くは、見守りや安否確認などのサービスを提供しています。万が一、急に体調不良になったときにスタッフが駆けつけたり、災害時の避難誘導なども対応します。このように日々の安全を守るサービスを提供してもらえるので、ご本人もご家族も安心できると思いますよ。 生活の質が向上する 生活の質の向上?具体的にはどんなことですか? お元気な方向けの老人ホームでは、介護予防の体操や趣味のサークルなどをおこなっています。そうした活動に参加することで活動量が増えて健康になったり、老人ホーム内で新しい友人ができたりして、生活の質の向上が望めるんです。それに、ご自宅に段差があるなど、ご高齢者が活動しにくい環境になっている場合、バリアフリーの環境になることでよりいきいきと活動できるようになるかもしれません。 認知症予防できる お元気な方向けの老人ホームに入ると、認知症予防ができることもあります。というのも、認知症予防のレクリエーションを実施したり、老人ホーム内でのつながりができることが認知機能の維持・向上につながることがあるためです。お母様のご自宅が階段を上り下りしないと外出できない状況の場合、将来的には外出ができなくなってご自宅にこもりきりになってしまう可能性があります。こもりきりは認知症になりやすい状況なので、ご高齢者向け老人ホームに入居して外出しやすい環境を整えるのをおすすめします。 食事サービスを受けられる 食事サービスって、施設の方で食事を提供してくれるってことですよね?とっても助かります。母は食事の支度が大変になってきたみたいなので。 「介護は必要ないんだけど、料理が億劫になって」というお話は、ご入居相談のときによく伺います。お元気な方向けの施設のなかには、食事サービスの提供がないところもありますので、入居前にサービス提供の有無を確認してくださいね。 趣味を楽しめる 先ほどもお話した通り、お元気な方向けの老人ホームでは趣味のサークル活動をしていることがあります。初心者でも気軽に参加できるものが多いですから、新しい趣味に挑戦できる機会も多いでしょう。 元気な人が老人ホーム探しをするときに注意したいこと 北野室長の話を聞いて、できるだけ早く母を老人ホームに入れてあげたいと思いました。さっそく近所に母が入れる施設がないか探してみます。 施設探しを始める前に、考えておいていただきたいことがあります。それは「今、入居した老人ホームに最期まで入居するか」「介護が必要になったら住み替えをするか」といった今後の介護方針です。 老人ホームに入ったら最期まで入居しているものなんじゃないですか? お元気な方向けの老人ホームのなかには、介護が必要になったら退去を求められる施設もあります。予め介護方針を決めておかないと、「最期までいるつもりで入居したのに追い出された!」といった問題が起こりかねません。 介護が必要になって追い出されることになったら、どうしたら良いんですか? そういうときは、ご自宅で在宅介護をするか介護体制が手厚い施設に転居することになりますね。 うちでは介護できないから、介護体制が手厚い施設に引っ越すことになりそうかな…。 入居後にあわてて転居先を探すことになるので、介護が必要になっても入居し続けられるのか、転居しないといけないのか、事前に施設に確認もしてくださいね。もし、介護が必要になったら転居するつもりで入居する場合は、近くで介護体制の整った施設があるかどうかを調べておくと良いでしょう。もちろん、転居のタイミングでは施設の状況が変わっている可能性がありますが、早いうちにアタリをつけておけば、急に転居が必要になったときにあわてなくて済みますよ。 事前に調べておくことが大切なんですね。今の段階で入居する施設と、介護が必要になったときに入れる施設を併行して探してみます。 元気な高齢者は、サ高住、有料老人ホームシニア向け分譲マンションなどに入居できる 元気なうちに入居するメリットは、安心感、生活の質の向上、食事サービスの提供などがある 施設探しの前に、介護が必要になったら住み替えするかどうかを決めておこう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...

2024/01/30

在宅介護 介護認定

介護認定の更新をしたら父親の要介護度が下がった!どうしたら良い?

父親の介護認定の更新をしたら、要介護2から要介護1に下がってしまいました。ケアマネジャーさんに「サービスの量が減る」と言われて。これ以上減ると仕事に支障が出るので困っています。 もちろん、父の状態が良くなったわけではありません。むしろ認知症がひどくなっているのに…。どうして要介護度が下がってしまったんでしょうか? (坂口さん・会社員・62歳) もしかしたら、お父様が認定調査の際に普段よりも元気に振る舞ったのかもしれません。また、調査員に実情を正確に伝えられなかった可能性もあります。要介護認定の結果に納得がいかない場合は、区分変更申請をすることをおすすめします。再度、認定調査を受ける際は、調査員に個別で実情を伝えましょう。伝えることに漏れがないようにメモを作っておくのもおすすめです。 親の要介護度が下がった!なぜ? 父の介護認定の更新をしました。そうしたら、要介護2から要介護1に下がってしまったんです!父は良くなるどころか認知症の症状が悪化しているというのに…。要介護度が下がると、利用できる介護サービスの量も減ってしまうので困っています。どうして、父の要介護度は下がってしまったんでしょうか? 「状態が良くなっているわけじゃないのに要介護度が下がってしまって困る」というのは、私もよくご相談いただきます。要介護度が下がったのには、以下のような理由が考えられます。 認定調査で普段よりも元気に振る舞った 認定調査で実情を上手く伝えられなかった 主治医の意見書でうまく伝えられていなかった 認定調査で普段よりも元気に振る舞った 意外と”あるある”なのが、認定調査のときに親御さんが普段よりも元気に振る舞ったことで要介護度が下がることです。認定員に良いところを見せたいと元気よく体を動かしたり、できないことも「できる」と回答してしまうんですね。 それ、心当たりあります!今回の認定調査で、「トイレは1人で行ける!」とはっきり答えていました。普段は危なっかしくて私が付き添っているのに…。 それに、認知症の方の場合は、普段、自分が身の回りのことをどの程度できるかを忘れてしまって「1人でできる」と答えることもありますね。また、認知症の方の場合、普段はぼーっとしていることが多いのに認定員が来たらシャキッとしてはきはき話す、というケースも珍しくありません。おそらく、いつもと違う状況が刺激となって頭がはっきりすると考えられます。 確かに!認定調査のときは、認知症になる前のようにはっきりとやりとりができていました。認定調査のときだけ元気になっても、あとで困るってことですね…。 認定調査で実情を上手く伝えられなかった 親御さんだけでなく、ご家族が介護の実情をうまく伝えられないと要介護度が下がる可能性があります。例えば、「夜中に大声で叫んで眠れない」「ふらつくことが増えて転倒してしまうかも」といったようなことです。親御さんの心身の状況や介護で困っていることを調査員に伝えられないと、要介護度が低くなってしまうことがあります。 主治医の意見書でうまく伝えられていなかった 介護認定では、認定調査だけでなく主治医の意見書も大きな判断材料になります。ですが、主治医意見書のなかで正確に親御さんの心身の状態が記述されていないと、要介護度が下がってしまうこともあるんです。 要介護度が下がったときの対策は? このまま要介護度が下がったままだと困ります!せめて今までと同じ要介護度でないと、仕事にも支障が出てしまうんです。どうにかなりませんか? それは大変です!以下のような対策を打ってみましょう! 情報開示請求をする 不服申し立て(審査請求)・区分変更申請をする 情報開示請求をする 情報開示請求とは、介護認定に関わる情報を見れる制度。認定調査票や主治医意見書の内容を確認できます。つまり、認定調査がどんな結果になったのか、主治医がどんな情報を記載したのかを知れるんです。自治体に情報開示請求のための手続きをする手間はかかりますが、どうして要介護度が下がったのかを把握したい場合には利用してみましょう。 そんなことができるんですね!確かに、このままでは要介護度が下がった理由がわかりませんもんね。 不服申し立て(審査請求)・区分変更申請をする 要介護度に納得いかない場合は、「不服申し立て(審査請求)」「区分変更申請」で介護認定を受け直せます。 介護認定ってやり直しができるんですね! そうなんです。ただ、正確には不服申し立ては今回の認定調査などの情報をもとに再度、判定をする制度。一から認定調査をやり直しするわけではないんです。そのうえ、不服申し立ては結果が出るまでに数ヵ月かかることもあります。そのため、多くの方は不服申し立てではなく区分変更申請をしています。 区分変更申請は、短い期間で結果がわかるんですか? はい。区分変更申請は1ヵ月程度で結果が出ます。それに、認定調査をはじめからやり直しをするため、認定調査の受け直しや意見書を主治医に書き直してもらうこともできるんです。 それなら、区分変更申請の方が良いですね! 再度、認定調査を受ける際には、調査員に実情を正確に伝えられるようにメモなどを取っておくことをおすすめします。伝え漏れを防げますし、メモをそのまま認定員に渡しても良いかもしれません。お父様が認定調査で元気に振る舞ったとしても、「いつもは、こんなに介助が必要なんです」とはっきり伝えるようにしましょう。 次の認定調査では、父が見栄を張って「1人でできる!」と言い張っても、調査員さんに普段の状況をきちんと伝えるようにします。 認定調査で元気に振る舞ったり、実情を伝えられないと要介護度が下がることも 要介護度が下がったときは、情報開示請求をして区分変更をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...

2024/01/26

認知症 施設入居 在宅介護 介護のお金

親が認知症になったときのお金の管理方法は?父の金遣いが荒く、心配です

80代後半の父が実家で一人暮らしをしているのですが、もしかしたら認知症なのかも、と心配です。中でも心配なのがお金のこと。実家に大量の健康食品が置いてあり、父に聞いたところ要領を得ません。請求書があったので父が自分で購入したのだと思いますが、それを覚えていないようなんです。 ほかにも、必要以上に銀行口座からお金を引き落としている様子があり、健康食品以外にも不要なものを買ってしまっているのかも…。 本当は通帳を預かって私が管理したいのですが、頑固な父はそれを許しません。このままでは、年金や貯金を使いつくしてしまうかもしれません。良い方法はありませんか? (児玉さん・パート・63歳) 親御さんのお金の管理は、多くの方が頭を悩ませています…。もし、お父様が認知症だった場合、早い段階で児玉さんがお父様のお金の管理をできるようにしておくことをおすすめします。親御さんのお金をご家族が管理できるようにする方法には、成年後見制度、家族信託、銀行口座の代理人制度、保険の指定代理請求制度、日常生活自立支援事業などがあります。が、多くの方法でご本人の判断能力があるうちに手続きをしないといけないんです。そのため、お父様の判断能力が衰える前に、対策を打っておくことが大切なんです。 親が認知症になったときのお金の管理方法は 実家で一人暮らしをしている父の金遣いが荒くて心配です。先日、実家に帰ったら大量の健康食品が置いてありました。でも父はそれを買ったことをよく覚えていないようで…。請求書があったので、父が購入したものなのは確かです。でもそれを覚えていないなんて、認知症になってしまったのかもしれません…。加えて、1ヵ月に10万円近くも口座から引き出しており、不要なものを買ったりしていないか心配です。水光熱費などは口座引き落としにしているので、現金で引き出す必要はないんです。このままでは、お金を浪費して年金や貯金を使い切ってしまうかもと思い、私が通帳を預かろうと思ったのですが、父は頑なに渡そうとしません。何か対策はありませんか? 児玉さんが言う通り、お父様は認知症になってしまった可能性がありますね…。認知症の親御さんがいる方の多くは、お金や財産の管理に頭を悩ませているんです。対策としては、以下のような方法があります。 成年後見制度 家族信託 銀行口座の代理人制度 保険の指定代理請求制度 日常生活自立支援事業 成年後見制度 成年後見制度とは、判断能力が低下している人の財産などを後見人が管理できるようにする制度です。成年後見制度には、「任意後見制度」「法定後見制度」の2種類があります。 任意後見制度 任意後見制度とは、判断能力が低下したときに備えてご本人が任意後見人を立てて、生活に関する手続きや財産管理などを任せるための契約をする制度。ご本人が後見人や契約内容を選べるのが特徴です。ただ、認知症になって既に判断能力が低下しているとみなされると、任意後見制度による後見人の契約はできません。 つまり、任意後見制度を利用する場合は認知症になる前に契約を済ませておかないといけないんですね。 法定後見制度 法定後見制度は、ご本人が認知症を発症した後でも契約が可能な制度です。また、判断能力が低下している状態で契約を結ぶこともあり、ご本人がおこなった法律行為を取り消すことも可能。不要なものを買ってしまった場合も、後見人がその売買を取り消せるんです。ただ、柔軟な資産運用ができないというデメリットもあります。 家族信託 家族信託は、財産の一部、もしくは全部を家族が管理できるようになるもの。親御さんの預貯金はお子さんであっても引き出しはできません。が、家族信託契約をして信託用の口座に親御さんのお金を移しておけば、お子さんも入出金が可能になります。つまり、お父様の判断能力が低下することに備えて予め家族信託をしておけば、もしお父様が認知症になってしまっても児玉さんがお金の管理をできるようになります。法定後見制度では、収入を得ているアパートやマンションなどの不動産があっても、改修費用のために後見人が財産を利用することは難しいです。一方で、家族信託は契約内容を柔軟に決められるので、ご家族がご本人の財産から改修費用を出すこともできるんです。 家族信託って名前を聞いたことはありましたが…。柔軟にお金の管理ができるんですね。考えてみても良いかな…。 銀行口座の代理人制度 ご本人が入院や介護施設に入居して銀行窓口やATMに足を運べなくなった場合に、ご家族が代わりに入出金できるようにするのが代理人制度です。ただ、もしお父様が認知症になって銀行が口座を凍結してしまった場合は入出金はできなくなります。 えっ、じゃあ、父が認知症になって介護施設に入ったときに父の口座からお金を引き出せないということですか? 緊急時に限って言えば、銀行が特例として認めてくれる場合があります。ただし、認知症などの診断書、介護施設の請求書、家族関係がわかる戸籍といった証明が必要です。しかし、この措置はあくまで一時的なもの。継続的にお金の引き出しが必要な場合は、成年後見制度などの利用が必要です。 保険の指定代理請求制度 入院などでお金が必要になった場合、保険会社に保険金を請求しますよね。でも、ご本人が認知症などで手続きができなくなる可能性も。そこで事前に代理人登録をしておけば、ご家族が代わりに保険金や給付金の請求ができるようになります。認知症になると、保険の請求手続きなどをするのも難しくなります。そのため、将来に備えて指定代理請求制度を活用するのも良いかもしれません。 日常生活自立支援事業 日常生活自立支援事業って初めて聞きました。 なじみのない言葉ですよね。日常生活自立支援事業は、地域の社会福祉協議会が提供しているサービスで、判断能力が低下した人の生活を支援します。依頼できる内容は、お金の管理も含めて多岐にわたります。例えば、以下のようなことを依頼できますよ。 福祉サービスの情報提供、手続き代行 施設や病院のサービスに関する相談 福祉サービス・病院の料金の支払い代行 年金などの受領に必要な手続き 公共料金の支払い 日用品購入の支払い代行 銀行口座の入出金、口座の解約手続き 通帳やハンコ、証書などを預かる へー!いろんなことが頼めるんですね。 利用したい場合は、お父様がお住まいの地域の社会福祉協議会に連絡してくださいね。 認知症によるお金のトラブル事例 もし、父の状況がもっと悪くなって、認知症になってしまったらどうなってしまうんでしょうか?そうなる前に私が父のお金の管理をできるようになっていれば良いとは思うんですが…。 認知症によるお金のトラブルは意外と多いです。例えば、以下のようなものがあります。 無駄遣いしてしまう 詐欺・悪徳業者にだまされる お金を盗られたと思い込む 介護・医療費などの立て替えが増える 無駄遣いしてしまう 認知症によって気持ちの抑えが効かなくなることで、不要なものにお金を使ってしまう可能性もあります。私たちだったら「今月はお金を使いすぎているから買うのを止めよう」「欲しいと思ったけど、本当に必要?」と考えて購入を思いとどまる場合でも、気持ちの抑えが効かないので、「欲しい」と思うままにお金を使ってしまうんです。なかには、支給されてすぐに年金を使い切ってしまったり、貯金を使い込んでしまうケースもあるんです。 それはとても困ります!私も経済的な支援をいつでもできるわけではありませんし、父には無駄遣いせずにいてもらわないと…。それに、今後、介護が必要になったらお金がかかるだろうし…。 詐欺・悪徳業者にだまされる 高齢者を狙った詐欺は、ニュースでよく報道されていますよね。父も詐欺にあうんじゃないかと心配で…。 おっしゃる通り、詐欺にあうご高齢者は少なくありません。しかも、詐欺とは言えなくても、ご高齢者に商品を半ば無理やり購入させる悪徳な業者もいます。判断能力が低下してくると詐欺や悪徳業者を見抜けず、その被害に遭いやすいんです。 認知症でなくても年を取ると判断能力が衰えてきますし、その前に私がお金を管理して、対策をとっておくことが大切ですね。 お金を盗られたと思い込む 認知症の方の典型的な症状のひとつに、ものを盗られたと思い込む「物盗られ妄想」というものがあります。なかでもお金や通帳を盗まれたと思い込むケースがとても多いんです。これは、認知症によって物忘れが増えて財布や通帳をしまった場所を忘れてしまった結果、誰かに盗まれたと思い込むことによるもの。ご家族が良かれと思って財布や通帳を預かった結果、それを盗まれたと勘違いしてしまうパターンもあります。 父の財布や通帳を預かればお金のトラブルはなくなると思いましたが…。そういうわけではないんですね。 お父様の財布や通帳を預かる場合は、お父様が納得したうえで預かりましょう。ただ、もしお父様が認知症になったら、納得のうえで財布や通帳を預けたとしてもそのことを忘れてしまう可能性も。その場合は、少額のお金を入れた財布をお父様に渡しておき、通帳は預かっている旨はメモなどを貼っておくと良いでしょう。 介護・医療費などの立て替えが増える 介護施設に入ったり入院した際に、認知症によってご本人がお金を下ろせないと費用の立て替えが増える可能性があります。銀行では基本的には本人以外の出金はできませんから、お父様が認知症になってしまって預金が引き出せないとなると、ご家族が支払うことになってしまいます。 本人が認知症になると、口座を凍結される危険性があるんですもんね。そうなると、私が費用を支払わないといけないのか…。ちなみに、介護費用ってどれくらいかかるものなんでしょうか? 生命保険文化センターの調査によると、介護ベッド購入費などの一時的な費用は平均74万円、月々の費用は平均8万3000円もかかっているそうです。また、同じ調査によると、平均的な介護期間は5年1ヵ月。つまり、全体で580万円近くもかかるんです。もちろん、このお金は基本的には親御さんの貯蓄や年金から捻出するもの。お父様が認知症になったり、介護が必要になってお金が引き出せなくなる前に、ご家族がお金の管理をできるように手配をしておくことをおすすめします。 参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省) 成年後見制度、銀行の代理人制度などで親のお金を管理できる 認知症によって、無駄遣いや詐欺にだまされるなどのリスクが増える pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...

2024/01/25

認知症 介護疲れ

認知症の母親に手をあげてしまい、とても後悔しています。予防する方法はありますか?

先日、母に手を上げてしまって後悔しています。 私は数年前から認知症の母の介護をしており、このところ母が急に興奮してわけのわからないことを言いながら私に怒鳴ったり殴ったりすることが増えて。先日、理不尽な理由で私を怒鳴りながら何十分も殴り続けるので、私もだんだん怒りが込み上げてきて殴り返してしまいました…。 母の様子がおかしいのは認知症のせいなんだとわかっているのですが、自分でも抑えられなくなってしまったんです。それからずっと後悔と罪悪感でいっぱいで…。 今後、同じようなことがあったら、また母に手をあげてしまうかもしれません。防ぐ方法はありませんか? (浅井さん・会社員・57歳) 本当に大変な状況でしたね…。浅井さんが手をあげてしまったのは介護の疲れが溜まっていたせいですので、ご自分を責めないでくださいね。予防方法としては、まずは浅井さんの介護の負担を減らして疲れを溜まりにくくしましょう。ほかのご家族と分担したり介護サービスを活用することをおすすめします。なかには、「自分がしっかり介護をしないと」と常に気を張って介護をしていることもあるかもしれません。そうではなく、介護は楽をして良いもの。介護の負担を減らして作った時間を趣味の時間に使ったりと、リフレッシュタイムを確保してもっと「がんばらない介護」をしてみましょう。 認知症の親に手をあげそう…予防法は? 数年前から認知症の母の介護をしています。最近になって、母が異常に興奮してわけのわからないことを怒鳴り散らしたり、私を殴ることが増えました。先日も、母がものすごい勢いで私を怒鳴りつけながら殴ってきたんです。「いつものことだ」とはじめは流していたのですが、その日は止まらなくて…。何度も何度も殴られるうちに「どうして頑張って介護をしているのにこんな目にあわないといけないんだろう」と虚しさと怒りが込み上げてきて、思わず殴り返してしまったんです。どうして殴り返してしまったのか…認知症のせいだとわかっていたのに。たった1人の家族を殴ってしまって、ずっと後悔しています。それに、もし同じようなことがあったらまた殴ってしまいそうで怖いんです。何か予防する方法はないでしょうか? それはおつらかったですね。介護を続けていくうちに手をあげてしまう、もしくは手をあげてしまいそうになるケースは少なくありません。介護をしているご家族に手をあげてしまうかも、と悩んでいる人は浅井さんだけではないですから安心してください。介護をしている親御さんに手をあげてしまうケースの多くは、ストレスや疲れが溜まることがきっかけになっています。なので、まずは自分の介護の負担を減らしましょう。例えば、以下のような方法がありますよ。 他の家族と分担する 専門家に相談する 介護サービスを使う 他の家族と分担する 可能であれば、ご兄弟などのほかのご家族と介護を分担しましょう。浅井さんは、ご兄弟はいらっしゃいますか? 妹がいます。ただ、車で1時間以上かかるところに住んでいることもあって、あまり介護に関わってくれなくて…。 なるほど…。ちなみに、以下のような方法でも介護の協力をしてもらえなさそうでしょうか? 金銭的な援助をしてもらう 通院の送迎をしてもらう 週1回だけ介護を交代する 家が遠くて直接の介護を分担できない場合、金銭的な援助だけしてもらうのもアリです。介護には何かとお金がかかりますから、お金の援助をしてもらうだけでも精神的に楽になると思いますよ。それに、たまに通院の送迎をしてもらったり、週1回だけ手伝いに来てもらうだけでも浅井さんの負担は減るでしょう。あまり協力的でない人に介護の協力をしてもらうときには、「何をしてもらいたいのか」をはっきりさせてからお願いするとスムーズに協力してもらいやすいですよ。 うーん、妹は忙しくて定期的に直接介護してもらうのは難しそうです。でも、多少の金銭の援助ならしてもらえるかも。通院も月に1回程度なので、代わってもらえるかもしれません。 専門家に相談する 介護のことで困ったら、専門家にアドバイスをもらいましょう!具体的には以下のような専門家に相談をおすすめします。 地域包括支援センター ケアマネジャー かかりつけ医 地域包括支援センターって何ですか? 高齢者の暮らし全般をサポートしている総合窓口です。もし、まだ介護サービスを利用していないのであれば、まずは地域包括支援センターに相談することをおすすめします。もし、既に介護サービスを利用しているのであれば、担当のケアマネジャーさんに相談してくださいね。 介護サービスは利用したことがないですね。ということは、地域包括支援センターに相談するのか…。 また、かかりつけ医も介護の相談に乗ってくれます。特に認知症の場合は治療が必要になりますから、医療の専門家としてのアドバイスをしてくれるでしょう。 介護サービスを使う 介護のことはプロに任せるのがおすすめです!積極的に介護サービスを利用しましょう。 と言われても、介護サービスってよくわからなくて…。利用したこともないですし。 介護をご家族だけでおこなうのはとても難しいです。特に認知症介護の場合は負担が大きすぎて、ご家族が倒れてしまうこともありえるんですよ。 確かに、毎日毎日、母に振り回されて疲れました。いつも眠くて仕事に支障が出ています。 そんな大変な状況だったんですね…!でしたら、介護サービスをぜひ利用してください。介護サービスは、ご自宅で介護するときに利用する在宅介護サービスと介護施設に入居するサービスに分かれます。主なサービスには以下のようなものがあります。 在宅介護サービス 訪問介護 デイサービス ショートステイ 小規模多機能型居宅介護 自宅にヘルパーさんが来て介護してくれるのが訪問介護、介護施設に通って介護してくれるのがデイサービス、介護施設にお泊りするのがショートステイ。それら3つのサービスをまとめて1つの施設で提供してくれるのが小規模多機能型居宅介護です。お母様の性格や状況によって、介護サービスを使い分けましょう。 施設入居サービス 民間施設 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 公的施設 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院 ケアハウス 養護老人ホーム 認知症の方であれば、グループホームか介護付き有料老人ホーム、もしくは特別養護老人ホームがおすすめです。これらの施設は、認知症ケアのノウハウや実績があるところが大半なので、お母様が穏やかに生活できると思いますよ。 介護疲れが虐待につながることも… テレビなどで「子どもが高齢の親を殴った」というニュースを見ることもあると思います。こうした虐待の多くは介護疲れが原因によるもの。「疲れて思わず殴ってしまった」というきっかけが多いんです。あまりに介護疲れやストレスが溜まると、ご高齢の親御さんを殴ることが日常化してしまうケースも珍しくありません。 そうか、私は母を虐待してしまったということなんですね。「思わず殴り返しただけ」と思っていましたが…。北野室長が言う通り、母に夜中に起こされたり理不尽に怒鳴られたりして、疲れやストレスが溜まっているんだと思います。母の認知症がひどくなってからなおさらです。だから、殴り返してしまったんだと思います。ニュースで見る事件も、介護疲れが溜まって追い詰められることで、殴るなどの虐待をしてしまってたんですね。 おっしゃる通りだと思います。特に虐待のなかでも身体的虐待が多いんです。身体的虐待とは、殴る・蹴るなどの暴力のほかにも、外出しないように行動を制限することも含まれます。認知症になると、外出して道がわからなくなってさまよう「徘徊」などの症状が出ることがありますが、それを予防するために部屋に閉じ込めたりすることも実は虐待にあたるんです。 えぇっ!?そうなんですね!母は1人では外に出ていかないので、部屋に閉じ込めたりはしていませんが…。徘徊するのであれば、部屋に鍵をかけて対策しようと思いますよね。 介護は楽をしても良い! ここまで、介護の負担を軽くするための方法や介護する親御さんに手をあげてしまう原因についてお話ししてきました。最後に、介護をするうえでの心の持ち方についてお伝えしますね。それは「介護は楽をしても良い」ということです。 楽をしても良い?介護は大変なものですよね? もちろん、介護をするのは体力的にも精神的にもきついことがあると思います。でも、介護をするご家族の心の持ち方で、介護を楽なものにできるんです。 つまり、気の持ちようで介護が楽になるということですか?よくわからないのですが…。 具体的にお話ししますね。楽な介護をするコツは、例えば次のような気持ちで介護をすることです。 がんばらない ほかの人と比べない 「終わりが来る」ものと考える がんばらない 楽な介護をするには「がんばらない」ことです。つまり、適度に手を抜くこと。多くの介護をする人は、「私がやらないと」と介護を抱え込みがちになります。介護には直接的に介護するだけではなく、もろもろの手続きや通院、買い出しなどやらないといけないことがたくさんありますよね。それのすべてを「私がやらないと」と抱え込むとパンクしてしまいます。なので、介護サービスやほかのご家族に任せられることは積極的に任せましょう。そして、誰かに任せてできた時間を、お友達と出かけたり旅行に行ったり、趣味の時間に使いましょう! 母の介護を他人に任せているのに、自分は遊ぶんですか!? 介護をしているご家族も人間ですから、息抜きの時間は必要です。なので、積極的に自分のために時間を使ってください。それでも誰かに介護を任せて自分が休むことに抵抗がある場合は、「介護を続けていくために自分のメンテナンスをする」と考えるのはどうでしょうか。介護は長期戦になることが多いですから、定期的にリフレッシュしてくださいね。 ほかの人と比べない 楽な介護をするために、ほかの人と比べないことが大切です。介護をしていると、ほかの介護をしているご家庭の話を耳にすることもあるでしょう。その話が効率的な介護の参考になれば良いのですが、ときには「〇〇さんは上手く介護をしているのに、どうして私はできないんだろう」「〇〇さんのお母さんの認知症は穏やかなのに、うちの母親は…」といった比較をしてしまうこともあるかもしれません。ですが、介護の方法や認知症の症状は千差万別。ご家庭の事情やその人の状況によってまったく異なり、ひとつとして同じ介護はありません。なので、得になりそうな情報は参考にしつつ、「うちはうち、よそはよそ」と割り切る気持ちも大切なんです。 愚痴を言う 楽な介護のために、積極的に愚痴を言いましょう! 愚痴ってあまり良くないイメージがあるんですが…。愚痴を聞く相手も嫌でしょうし…。 確かに、愚痴を言う相手は選ぶ必要はあります。が、介護のイライラやモヤモヤを溜めておくのは精神的に良くないですよね。お友達やほかのご家族に言えそうであれば、愚痴を聞いてもらうのもストレス発散におすすめです。もし、愚痴を誰かに言いにくいのであれば、紙に書くのも良いでしょう。誰かに見せるものではないので、言葉を選ばずに自由に書けますから。愚痴を書いた紙を取っておいて、記録代わりにするのも良いかもしれません。 なるほど、紙に書くのは良いですね! 「終わりが来る」ものと考える 毎日毎日、介護で忙しい日々が続いて「ずっとこんな生活が続くのかな」と暗い気持ちになることもあるかもしれません。でも、現在のしんどい状況には終わりが必ず来ます。もし、認知症による徘徊で夜も眠れない日々が続いていても、歩行が困難になればその症状はなくなります。認知症による暴力に悩んでいても、体力的に衰えると殴ることもなくなるでしょう。お母様の体がさらに衰えると悩まされていた認知症の症状がなくなり、もっと介護に余裕ができる可能性も。薄情な言い方かもしれませんが、「こんなつらい状況がずっと続くんだ」と鬱々とした気持ちで過ごすよりも、多少は気持ちが楽になって精神的に余裕が出てくると思いますよ。 確かに、母がいつまでも体が元気でいられるわけではないですもんね…。北野室長の話を聞いて、気持ちが少し楽になったような気がします。もっと気楽な気持ちで母の介護をしようと思います。 家族と介護を分担する、介護サービスを活用するなどで負担を軽減しよう 介護疲れが虐待につながることも。認知症介護は特に虐待が多い 介護は楽をしても良い!愚痴を言ったり自分を大切に pre { margin: ...

2024/01/23

認知症 施設入居

認知症の母親を介護施設に入れたことに罪悪感…。「帰りたい」と泣くので連れ戻した方が良いのでしょうか?

2ヵ月ほど前に認知症の母を近所の老人ホームに入居させました。週に1度は面会に行くのですが、その度に「帰りたい。家に連れて帰って」と泣いてしまって…。老人ホームに入れない方が良かったのでしょうか。 母の様子を見ていると、「やっぱり私が介護するべきだったのかも」と老人ホームに入れたことに罪悪感を覚えます。今からでも家に連れ戻した方が良いのでしょうか? (坂田さん・会社員・57歳) ご家族を介護施設に入れることは悪いことではありません!お母様の老人ホーム入居に関して、罪悪感を感じなくても大丈夫ですよ。現代ではお子さんの介護の負担が大きくなりやすいです。なので、坂田さんの健康を守るためにもお母様が介護施設に入ることは必要なことだと思います。もし、「家に帰りたい」と何度もお母様が訴えていたり、施設での生活に不安があるときは施設長さんなどに相談してみましょう。対応してもらうことで、お母様が落ち着いて生活できるようになると思いますよ。 親を介護施設に入れることに罪悪感を持たなくて良い! 2ヵ月ほど前から母が近所の老人ホームに入居しています。認知症がひどくなって在宅介護は難しいと感じて入居させたのですが…。面会に行く度に「家に帰らせて」と泣くんです。母が泣く様子を見ると「やっぱり私が介護をするべきなのかな」と老人ホームに入れたことに罪悪感が…。今からでも家に連れ戻した方が良いのでしょうか? ご家族を介護施設に入れることは悪いことではありません!なので、老人ホームに入れたことに罪悪感を持たなくても大丈夫ですよ。もう少し様子を見てみましょう。親御さんを老人ホームに入れることに罪悪感を持つ方は多くいらっしゃいます。そういう人は「親の介護は子がするもの」という考え方を持っているため、親御さんを介護施設に預けることに抵抗感があるのだと思います。 そうなんです!娘である私が介護をするべきなんだと思っていました。 「親の介護は子がする」は当たり前でなくなっている 以前は「親の介護は子がする」のでも、問題がない社会構造でした。というのも、3世代が同居していることは当たり前でしたし、兄弟姉妹が数多くいるため家族で介護を分担することが簡単でした。しかし、現代では核家族化が進んだことで介護の担い手が少なくなっています。高齢の親御さんとお子さんが別居していることは珍しくないですし、兄弟姉妹のいない一人っ子であることも増えてきました。つまり、お子さん一人あたりの負担が増加 しているわけです。そのため、「親の介護は子がする」という考え方は、以前よりも実現が難しくなっています。 確かに…。母方の祖父母は、5人もいる母の兄弟で分担して介護をしたと聞いています。私は一人っ子ですから、それをすべて1人で担わないといけないんですよね。しかも、私はフルタイムで働いているので時間がかなり限られるわけだし…。 おっしゃる通り、仕事をしながら介護をしている人も増えています。一昔前は専業主婦の女性が多く、女性が主に介護を担っていました。ですが、今は共働きの家庭が増えています。そうした背景も、「親の介護は子がする」が当たり前ではなくなった理由です。 無理して在宅介護を続けるリスク 「親の介護は子がする」のが当たり前ではなくなったとしても、「家に帰りたい」と言う母の言葉を無視しているのは後ろめたくて…。やっぱり自宅で介護した方が良いんじゃないかな…。 そのお気持ちはよくわかります。「家に帰りたい」と泣いているお母様を見たら、在宅介護の方が良いんじゃないかと思いますよね。ただ、在宅介護を続けると以下のようなことが起こる危険性があるので、坂田さんに無理をしていただきたくないんです。 介護うつ 介護離職 虐待 介護うつ 介護うつというと、介護によってうつになることですか? おっしゃる通りです。介護は体力的にも精神的にも大きな負担がかかります。そのため、ストレスや疲れが溜まりやすい状況です。その状況が続くと、「寝付けない」「食欲がない」「趣味を楽しめない」 といった状態になってしまうことも。こうした状況が2週間以上続くと、介護うつの可能性が高いとされています。 言われてみれば、自宅で母の介護をしているときはなかなか寝付けないことがよくありました。常に気を張っているというか。今は介護施設に母が入ったので落ち着きましたが…。 介護離職 介護離職も在宅介護を続けるリスクのひとつです。 介護離職って、介護をするために仕事を辞めることですよね?それって良くないことなんですか? 一概に良くないこととは言えませんが…おすすめはしません。というのも、経済的な余裕が少なく なりますし、一度仕事を辞めてしまって再就職するのはハードルが高い です。それに介護だけに集中してしまうので、余計に介護うつになりやすくなる場合もあるんですよ。 えぇ!そうなんですね。再度、自宅で母の介護をするとしたら仕事を辞めることも考えていたのですが…仕事は続けた方が良いんですね。 虐待 テレビでよく高齢者虐待のニュースをやっていますよね。これも、無理をして在宅介護をし続けたせいなんでしょうか? その可能性が高いですね…。介護の疲れやストレスが溜まって追い詰められた結果、自分のご家族に手を上げてしまう ケースが多いんです。在宅介護はどうしても閉鎖的な環境になり、周囲の人とのつながりが薄くなりやすいですから、不安やストレスを1人で抱え込みがちになってしまうんですね。 罪悪感のきっかけになりやすいもの せっかく介護施設に入ったのに施設での生活に不安や不満があると、「入居させない方が良かったのかな」と罪悪感を持つきっかけになりやすいです。例えば以下のようなことがあると、介護施設での生活が心配になって罪悪感を持つようになりやすいです。 「家に帰りたい」と言われる スタッフの対応に不満・不安がある ほかの利用者との人間関係 「家に帰りたい」と言われる お母様のように「家に帰りたい」と言う方は多いです。やはり、どれだけ介護施設で快適に過ごしていたとしても、住み慣れた自宅の方が良いからでしょう。同意したうえで入居した場合でも、「家に帰りたい」という気持ちが出てきてしまうものなんです。 そうなんです!「家に帰りたい」と言われてしまうと、「自宅に連れて帰った方が良いのかな」と思ってしまって。多くの人が帰りたいと思っているものなんですね。 スタッフの対応に不満・不安がある もし、スタッフの良くない対応をご家族が見てしまったら、「家で介護した方が良かったのかも」と思ってしまうかもしれません。介護スタッフは接遇や介護技術についての研修を受けています。が、それがすべてのスタッフが身についているとは言えないのが実情なんです。 ほかの入居者との人間関係に問題がある ほかのご入居者の中には相性の悪い人がいることもあるでしょう。そういう場合も、罪悪感を持つことがあります。単純に性格が合わない場合だけでなく、認知症の症状によって相性が悪いこともあります。 まずは介護施設側に相談してみよう 介護施設での生活に不安や不満があるときは、まずは介護施設側に相談してみましょう。解決策を提案してくれるかもしれません。そのうえで、施設での不安を解決するためにご家族が対応できることもありますので、ひとつずつお話ししていきますね。 「家に帰りたい」と言われたときは うちの母のように「家に帰りたい」と言っている場合は、どうしたら良いのでしょうか? 面会の頻度を変えてみるのはどうでしょうか?面会の頻度を増やしたり減らしたりすることで、「家に帰りたい」という気持ちが落ち着くことがありますよ。 週1回くらいの頻度で面会に行っています。この場合は、頻度を増やすのと減らすのはどちらが良いんですか? お母様の状況にもよりますね。例えば、慣れない場所でさみしさを感じているときは、ご家族が頻繁に顔を見せることで「いつでも家族が会いに来てくれる」と安心 して「家に帰りたい」と言わなくなることがあります。 なるほど…。母はさみしいから「家に帰りたい」と言っているのかな…。 反対に、面会の頻度を下げることで穏やかに暮らせるようになることもあります。特に認知症の方の場合、納得したうえで入居したとしてもそれを忘れていることがありますから、ご本人が介護施設で暮らすことを受け入れるまでは面会を控える方が落ち着けるんです。それに、認知症の影響で入居していることが理解できていない場合、ご家族が面会に行くことで「迎えに来てくれた」と期待してしまう ことも。なので、自宅に帰れないとわかるとがっかりして気持ちが落ち込んでしまいます。 そんなことがあるんですね。そういえば、母は「今日は一緒に帰れるの?」と聞いてきます。面会に頻繁に行った方が良いと思っていたのですが、逆効果だったのかな…。 老人ホームに入った後の様子は施設側がよく把握しています。なので、面会を増やした方が良いのか、減らした方が良いのか、施設に相談して決めるのがおすすめ です。 スタッフの対応に不満・不安があるときは 介護施設のスタッフの対応に不満や不安を持つ場合もあるでしょう。そういうときは、施設長やケアマネジャーなどに相談しましょう。スタッフのなかには、乱暴な言葉遣いや対応などを意図せずにやっていることもありますから、相談することでケアの質が向上することもありますよ。 面倒を見てもらっているのに、文句を言ってはいけないと思ってしまうんですが…。 そうおっしゃる方は多くいらっしゃいます。ただ、面倒を見てもらっているからといって不満や不安を我慢する必要はありませんよ。万が一、特定のスタッフだけではなく施設全体の対応が悪い場合は転居を考えた方が良いでしょう。 ほかの入居者との人間関係に問題があるときは ほかのご入居者との関係に問題があったり、相性の悪いご入居者がいる場合には、部屋や食事の席を離してもらったり、居室のフロアを変えてもらう などの対応をしてもらえることがあります。 つまり、これも施設に相談が必要なんですね。 おっしゃる通りです。特にほかのご入居者も関わる問題の場合、ご本人やご家族だけで対応してしまうとトラブルが大きくなってしまうことも。そのため、まずは施設に相談して対応してもらうようにしましょう。介護スタッフに間に入ってもらうだけでも、ご本人のストレスが減ると思いますよ。 確かに、今まで「面倒を見てもらっているのだから迷惑をかけてはいけない」と思って、母のことを施設に相談せずにいました。これからはもう少し施設を頼ってみようと思います。 親を介護施設に入れることに罪悪感を持つ必要はない! 無理に在宅介護を続けると介護うつや離職、虐待のリスクも 介護施設での生活に不安があるときは、まず施設に相談しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: ...

2024/01/12

認知症 施設入居 在宅介護

母親が認知症かもしれません。帰省したときに様子がおかしくて心配です

遠方にある実家に1年ぶりに帰省したら、母の様子がおかしくて心配です。母は一人暮らしなのですが、これまでは問題なく1人で生活できていました。ですが、先日、帰省したときはお惣菜のパックがキッチンに散乱し、ゴミは分別もされずに溜まっていました。 母は料理が得意だったのに、最近はしていない様子。「年を取ると料理するのもゴミ出しも億劫になっちゃって…」と言っていましたが、家の中の様子は異常でした。それに、数日前に私が伝えていたのにも関わらず、帰省のことすらも忘れているようでした。 母は80歳超えているので「年のせいかな」とも思うのですが、1年前とあまりにも様子が異なるので「認知症かも」とも考えています。 (竹田さん・パート・63歳) 「家の中が散らかっている」というのは、認知症である可能性が高いです。そのほかの前兆としては「家電の操作がわからない」「性格が変わった」などがあります。もし、心当たりがあったら、早めに認知症検査を受けることをおすすめします。検査の結果、認知症だった場合は、介護サービスを使いながら一人暮らしを続けたり、老人ホームに入るなどの介護の体制を早めに整えましょう。 親の認知症を疑うポイント 先日、1年ぶりに実家に帰省したところ、母の様子がおかしくて心配です。母は料理するのが好きな人だったのに、しばらく料理をした様子がなく、キッチンにはお惣菜のパックが散乱。洗っていない食器がシンクに置きっぱなしでゴミも分別せずに部屋の隅にまとめてありました。母に聞くと「年を取ると料理するのもゴミ出しも億劫になっちゃって…」と答えていましたが、明らかに家の中は異常でした。母は80歳を超えていますし「年のせいなのかな」とも思うのですが、あまりの異常さに「認知症になってしまったのかも」と心配なんです。認知症かそうでないかは、どうしたら見分けられるでしょうか? うーん、かなり心配な状況ですね。「久しぶりに帰省したら、親の様子がおかしい」というご相談はよく伺います。例えば、以下のような兆候があったら、認知症の疑いが高いので早急に検査を受けることをおすすめします。 約束や予定を忘れる 家の中が散らかっている 家電の操作がわからない 服装が不潔、季節に合っていない 性格が変わった 約束や予定を忘れる 認知症の代表的な症状のひとつに「記憶障害」があります。これは、直近の出来事を忘れてしまう症状。進行すると数十分前の出来事も忘れてしまいます。そのため、何か約束していたことや病院などの予約を忘れている様子があったら、認知症の可能性があります。 でも、高齢になれば誰でも忘れっぽくなりますよね? おっしゃる通り、高齢になると物忘れをしやすくなります。が、認知症の物忘れは「予定していたことそのものを忘れる」のが特徴です。加齢による物忘れが「あの予定は何時からだったっけ?」という忘れ方なのに対し、認知症による物忘れは「そんな予定入れていたっけ?」と予定を入れたことが完全に頭から抜け落ちてしまいます。 そういえば、実家に帰る数日前に電話で帰る日時を伝えておいたのですが、母は私の帰省だけでなく電話したことも忘れていた様子でした。やっぱり認知症なのかも…。 家の中が散らかっている 家の中が散らかっているのも、認知症の兆候なんですね。 はい。以前は家の中の片付けができていたのに急にできなくなるのは、認知症によって脳の機能が低下したことによるのかもしれません。認知症になると、具体的に以下のように家の中の整理などができなくなります。 ゴミが溜まっている シンクに汚れた食器などが置きっぱなし 冷蔵庫に腐ったり賞味期限切れの食品がある 同じものをいくつも買っている ティッシュペーパーやトイレットペーパーを補充していないト 「ゴミが溜まっている」「シンクに汚れた食器などが置きっぱなし」はうちの母に当てはまります…。 このように家の中が散らかってしまうのは、認知症による脳の機能低下によって、物の管理ができなくなるから。特に記憶障害があると、家に同じものがあるのに買ってきてしまったり、反対にトイレットペーパーなどの買い足さないといけないものを買い忘れてしまうことが起きるんです。さらに、認知症によって段取り良く行動するのが難しくなります。そのため、ゴミの日に該当のゴミを捨てられないなどの問題も起きてしまうんですね。 そういうことだったんだ…。母が急に家事をやらなくなって心配していたんですが、そういう理由があったのかも…。 性格が変わった 人によっては、認知症になって性格が変わる場合があります。具体的には怒りっぽくなったり、無気力でぼーっとしていることが多くなるんです。特に認知症になると、人との交流を避ける傾向があります。外出を嫌がったり地域の集まりに参加しなくなったり…。好きだったものに興味を示さなくなり、趣味のサークル活動などをやめるケースもあるんです。 確かに、母は少しぼーっとしていたような気がします。虚ろな表情というか…。 家電の操作がわからない 認知症によって脳の機能が低下すると、家電などの機械の操作がわからなくなることがあります。それまで使えていた電子レンジが使えなくなったり、テレビのリモコンの操作がわからなくなる、といったケースが多いです。 母はそうした様子はありませんでしたね。でも、認知症になると家電の使い方も忘れてしまうのかぁ…。 服装が季節に合っていない、不潔 認知症の症状のひとつに「見当識障害」というものがあります。これは、日時や季節がわからなくなる症状。そのため、真夏なのに厚手のセーターを着ていたり、寒い冬にコートを着ずに外出してしまうこともあります。 でも、季節がわからないといっても真夏にセーターを着ていたら暑いと思うんですが…。 認知症の方に限らず、ご高齢になると暑さ・寒さを感じにくくなると言われています。そのため、とりあえず手に取りやすい服を着てしまっているのかもしれません。また、洗濯をせずに手近な服を着続けるので、服が不潔であることも。認知症の人はお風呂を嫌がることも珍しくないので、髪や体も不潔な状態になっていることもあります。 「認知症かも」と思ったら認知症検査を 北野室長の話を聞いていたら、やっぱり母は認知症かもしれない、と思いました…。 お話を聞いているだけではなんとも言えないので、まずは認知症検査を受けることをおすすめします。 そうですよね。やっぱりきちんと検査をしないと。でも、母は素直に認知症検査を受けてくれるでしょうか?「認知症なんかじゃない!」と拒否される気がして…。 「認知症かもしれないから検査を受けよう」とストレートに言うと、やはり抵抗感があって素直に受けてくれないと思われます。おすすめとしては、「健康診断」と言って認知症検査に誘う方法。認知症検査は脳の検査だけでなく全身の検査もおこなうので、あながち嘘ではありません。そのときは、検査を受ける病院に認知症検査ではなく健康診断と伝えていることを共有しておきましょう。きっと上手くお母様に説明してくれますよ。 そうなんですね!健康診断と伝えるなら、素直に検査を受けてくれそう。 もしくは、お母様のお友達やご近所の人など、仲の良い人に勧めてもらうのも良いでしょう。お子さんから「認知症検査を受けよう」と言われると嫌がる方が多いのですが、お友達から勧められると意外とすんなり受け入れる方は多いんですよ。それか、かかりつけ医から勧めてもらうのも良い方法です。医師の言うことは素直に聞くご高齢者は多いですから、お母様に話をしてもらうようにかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。 親が認知症だったときの対応 検査の結果、母が認知症だったらどうしたら良いんでしょうか? まずは、介護の体制を整えましょう。介護サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要がありますから、始めに要介護認定を受けるための申請をすることが大切です。 要介護認定の申請はどこでできるんですか? お母様がお住まいの役所か地域包括支援センターで要介護認定の申請ができます。申請をした後の流れは以下の通りです。 要介護認定の手続きをしながら、お母様がご実家で暮らし続けられるようにするのか、老人ホームに入居するのか、介護の方針を決めておきましょう。 そう言われても、介護についてまったくわからないのでどちらを選べば良いのやら…。 でしたら、「自宅で暮らし続ける」「老人ホームに入る」の2パターンについてお話しますね。 在宅介護サービスで自宅で暮らし続ける お母様はまだなんとか一人暮らしをしているので、在宅介護サービスを利用すれば今よりも安心してご実家で暮らし続けられるかもしれません。主な在宅介護サービスは以下の通りです。このような在宅介護サービスを組み合わせながら生活をする方が多いですね。 訪問介護 デイサービス ショートステイ 小規模多機能型居宅介護 在宅介護サービスっていろいろあるんですね。 訪問介護はヘルパーさんが自宅まで来て家事や身体介護をしてくれるサービス。デイサービスは日中の間に介護施設に通って食事やレクリエーションなどのサービスを受けられるものです。ショートステイは1日から宿泊できるサービスで、宿泊中の食事や介護はすべてお任せできます。最後の小規模多機能型居宅介護というのは、訪問介護・デイサービス・ショートステイの3つのサービスを1つの介護施設で受けられるもの。「デイサービスの利用後、そのままショートステイを利用」といった柔軟な使い方ができるのが魅力です。 へー!それは便利ですね。母の様子を考えると、まともに食事もできていないかもしれないので、デイサービスやショートステイなどの食事の提供があるところも良いかもしれないですね。 老人ホームに入る 老人ホームに入るってまだ早い気がするんですが…。家の片付けができなくなったとはいえ、まだ1人で生活できているわけですし…。 もちろん、そういう考え方もあります。ですが、認知症だった場合、症状が進行して急に一人暮らしが難しくなる可能性もあります。それに、火の消し忘れで火事になったり、ご高齢者を狙う詐欺の被害にあったり…認知症の方が一人暮らしするのはどうしても心配が出てくるでしょう。そのため、早いうちから老人ホームに入って安全な暮らしを確保する、という考え方もあります。 なるほど…。ちなみに、認知症の母が入れる老人ホームってどんなものがあるんですか? 認知症の方が入れる老人ホームには以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 この老人ホームのなかでも認知症の方におすすめなのは、「介護付き有料老人ホーム」と「グループホーム」です。介護付き有料老人ホームは、手厚い介護体制のある施設。介護スタッフが24時間、看護師は少なくとも日中に常駐しているので、認知症の方はもちろん、インスリン注射が必要な糖尿病の方などの受け入れもしています。グループホームは、認知症の方専門の施設。「ユニット」と呼ばれる少人数単位で生活しており、ご入居者同士が協力しながら生活をしているのが特徴です。グループホームなら、介護スタッフのサポートを受けながら掃除や洗濯、料理などもできるので、お母様の自立性を確保しながら生活できると思いますよ。 そういう施設もあるんだ…。老人ホームというと、寝たきりのような状態の人ばかりなんだと思っていました。まだ、母が認知症と決まったわけではないですが、もし認知症だったとしても対応の方法があると知って安心できました。 予定を忘れたり家が散らかっているなどがあったら認知症の可能性アリ 「認知症かも」と思ったら、認知症検査を早めに受けよう 認知症だったら、まずは要介護認定を受けて介護体制を整えよう pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/12/27

認知症 在宅介護

高齢の母親が冷蔵庫で食品をたくさん腐らせていました。「もったいない」と処分ができません

約半年ぶりに実家に帰ったら、母が冷蔵庫の中に腐っていたり賞味期限が切れた食品を入れたままにしていました。それに食パンが何袋も戸棚にしまってあり、中にはカビているものも…。 腐っていたり賞味期限が切れている食品を捨てようとしたのですが、「腐ってない!まだ食べられる」と言って母は猛反対。何度、説得しようと思っても「もったいない」の一点張りで耳を傾けようともしません。 あんな食品を食べてしまったら、お腹を壊すに決まっています。どうにか処分させたいのですが、どうしたら良いですか? (西さん・会社員・58歳) お話を聞く限り、お母様は認知症になってしまった可能性があります。もし、認知症だった場合、お母様を否定するような言い方はNG。説得できないようでしたら、お母様が出かけている間に捨てるのもひとつの手です。また、介護サービスを利用するなど食品を必要以上に買わない工夫をすることも大切。早めに認知症検査を受けて、認知症かどうかを確かめましょう。早めに認知症ケアをすることにつながりますよ。 冷蔵庫の食材を腐らせるのは認知症のせいかも 実家に約半年ぶりに帰省したら、冷蔵庫から腐ったり賞味期限切れの食品がたくさん出てきました。同じ食品を買っていたり、腐っているものも冷蔵庫にありました…。捨てようとすると、「まだ食べられる!もったいない!」と捨てさせてくれません。明らかに変なにおいがするものもあるのに。前に帰省したときにはこんなことはありませんでした。どうしてこんなことになってしまったんでしょうか?母の様子がおかしくて不安です。 話を聞いた限りですが…もしかしたら、お母様は認知症になってしまったのかもしれません。認知症の初期段階では、食品の管理が上手くできずに腐らせてしまうケースは少なくありません。 認知症ですか?まだまだ1人で暮らせていますし、そんなことはないと思いますよ。会話も普通にできていますし…。どうして認知症だと思ったんですか? 同じ食品を買っている点と、腐っているもののにおいがわからないという点からです。認知症になると、記憶障害によって直近の出来事を忘れやすくなります。そのため、まだ家にあることを忘れて同じものを買ってきてしまうんですね。それに、認知症になると段取りをつけて作業をすることが苦手に。料理ができなくなることも多いです。そのため、食材を買っても料理ができず、結局、使いきれずに腐らせてしまうパターンも考えられます。 心当たりがあります。母は料理好きなので実家に帰ると何かしら作ってくれるのですが、今回はそれがありませんでした。それで私が食事を作ろうと思って冷蔵庫を開けたら、腐った食材がたくさん出てきた…というわけです。もうひとつ、「腐っているもののにおいがわからない」と言っていましたよね。認知症になると、においがわからなくなるんですか? そうなんです。認知症になると、嗅覚がにぶくなることがわかっています。私たちはにおいで食品が腐っているか確認することがありますが、認知症になるとそれもできなくなってしまいます。こうしたことから、認知症になると食材を腐らせてしまいやすくなるんです。 そうだったんだ…。思い当たることがいくつもあります。もしかしたら、母は認知症になってしまったのかもしれません。 冷蔵庫で腐った食材をスムーズに処分するには 腐っているものや賞味期限が切れているものだけでも処分したいのですが、母にそう言うと「腐っていない!まだ食べられる!」とすごい剣幕で怒鳴られて、処分できなかったんです。母の健康のためにも腐っている食材をどうにか処分したいのですが、何か良い方法はないでしょうか? これは腐った食材を捨てるときだけではなく、認知症の方への対応全般に共通することですが、お母様の言葉や行動を否定するような言い方は避けてください。例えば、「腐ったものばかりで冷蔵庫の中がめちゃくちゃだよ」「賞味期限切れのものまで入れておいてどうするの!」「こんなにたくさん買って、無駄遣いしないで」といった言い方です。 でも、はっきり言わないとまた同じものを買い続けますよね。だから、「同じものばかり買い続けて、お金の無駄だよ」と責めてしまいました。どうしていけないんでしょうか? お母様としても同じものを買いたくて買っているわけではないからです。あくまでお母様が同じものを買っているのは、家に在庫がないと思っているから。前日に同じものを買ったとしても忘れてしまっています。家にないものを買ったと認識しているので、責めても意味がないと考えられます。 確かに。買う必要があると思ったから買っただけですもんね。 それに、お母様が認知症だった場合、同じものを買っていることを忘れているかもしれません。冷蔵庫や戸棚の中を見せて「何で同じものばかり買っているの!」と叱ったとしても、効果がないのではないでしょうか。むしろ「理不尽に叱られている」と感じ、お母様もカチンときて口論になってしまうことも考えられます。 なるほど…。母を叱っても意味がないことなんですね。 認知症の方との関わり方については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 腐りかけの食品の処分方法 とりあえず、実家の冷蔵庫を整理したいと考えています。腐っているものや賞味期限切れの食品だけでも捨てたくて…。でも、それを伝えたら母は猛反対するに決まっています。良い方法はないでしょうか? 初めに、お母様に相談することは省略しないでください。落ち着いて話せば理解してくれることもあるので…。ただ、やはりお母様が納得しない可能性もあります。そのときには、お母様が出かけているときに処分するのもひとつの手。ほかのご家族に連れ出してもらって、その間に腐っているものや賞味期限切れの食品を処分しましょう。 冷蔵庫で食材を腐らせないようにするには 腐っているものや賞味期限切れの食材を処分して冷蔵庫がすっきりしたとしても、このままではお母様はまた食品を腐らせてしまうでしょう。そのため、食材を腐らせない体制を作ることも大切です。 どうしたら良いんですか? 例えば、以下のような方法ではどうでしょうか? 決まった金額を定期的に渡す 介護サービスを利用する 同居する 決まった金額を定期的に渡す もし、スーパーでたくさん食品を買ってしまうのであれば、毎月決まった額の現金を渡すのも方法のひとつ。生活には困らない額だけを渡しておけば、買い物する量を限定できます。ただ、もし認知症だった場合、決められた額でお金をやりくりするのが難しい可能性も。今までよりも帰省の頻度を増やして、見守り体制を手厚くすることも併行しておこないましょう。 介護サービスを利用する もし、お母様が認知症だった場合、介護サービスを利用することをおすすめします。認知症であれば、今後、状態が進行して一人暮らしが難しくなる可能性が高いからです。一人暮らしが難しくなってから介護サービスを使い始めるのでも良いのですが、状態が進行していくなかでお母様の介護をしつつ、介護の手続きをするのはかなり重労働。まだ、一人暮らしができているうちに介護のプロとつながっておくことで、本格的に介護が必要になったときに慌てずに対応できるでしょう。 つまり、母は介護が必要な状態ということですね…。まだまだ元気だと思っていたのに…。 介護サービスを利用することを重く捉える方は多いのですが、もっと気軽に活用しても問題ないですよ。むしろご本人やご家族の生活を快適にするために、介護サービスを上手く活用するのもアリ。例えば今回の場合であれば、お母様がデイサービスに通うことで買い物に行く回数を減らして同じものを買うことを防いだり、デイサービスの間に腐った食べ物の処分もできます。また、訪問介護を定期的に利用して、冷蔵庫や戸棚の中に腐った食べ物が入っていないかチェックしてもらうこともできるでしょう。 へー!介護サービスって直接的に介護してもらうだけかと思っていたけど、そういう使い方もあるんですね。 同居する 西さんとお母様の生活が大きく変わってしまいますが、同居するのもひとつの方法でしょう。別居していると、どうしても目の届きにくいことがありますし、もし認知症だった場合、お母様が一人暮らしを続けるのは心配ですよね。なので、同居してご家族がお母様のサポートをしながら生活するのも良い方法だと思いますよ。 同居かぁ…。確かに、このまま母を一人暮らしさせておくのは心配です。それに、同居すれば母に買い物させずに済みますし…。 お母様に完全に買い物をさせないのはおすすめできません。というのも、お母様の生活能力を奪ってしまうことになるから。できることまで代わりにやってしまうと、心身の衰えが急激に進む傾向にあるので、できることはなるべくお母様自身でやってもらうようにしましょう。例えば、買い物に同行したり毎回メモを持って買い物してもらう、などの対策がとれます。同居していれば、こうしたきめ細かいサポートもしやすくなるでしょう。 早めに認知症検査を受けよう 北野室長の話を聞いていて、母は認知症なのかもしれないと不安になってきました。 そうした不安を払うためにも、早めに認知症検査を受けましょう。お母様が認知症かどうかをはっきりさせた方が本腰を上げて認知症ケアの体制を作りやすいですし、ご家族も安心しやすいと思いますよ。 確かに…。認知症という診断が出てしまうのは怖いですが、認知症かどうかわからない中途半端な状態の方が不安は大きそうです。 おっしゃる通りです。それに、認知症ではなかった場合、ほかの病気などが原因でお母様に異変が起きている可能性もあります。それを詳しく調べるためにも早めに認知症の検査を受けてくださいね。 冷蔵庫で食材を腐らせるのは認知症のせいかも 責めるのはNG。説得して捨てられないなら外出中にこっそり捨てよう 早めに認知症検査をして、介護サービスを活用するのもアリ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2023/12/26

認知症 在宅介護

認知症の母親が嘘をついて困ります。なぜ嘘をつくのでしょうか?

同居している認知症の母が嘘をつくことがあって困っています。私が仕事から帰って、用意しておいた昼食を食べたか聞くと「食べたよ。おいしかった」と言うのに、冷蔵庫の中にそのまま残っていることが何度かありました。お昼は食べたくないならそう言えば良いのに…。 「どうして食べたと嘘をつくの?」と問いただしても、「嘘なんかついてない!」と怒るばかりで…。そのやりとりにも正直疲れてしまいました。 (飯塚さん・自営業・61歳) お母様は認知症の影響で嘘をついているのかもしれません。認知症になると記憶障害を起こすことが多く、なくなった記憶を埋めるために嘘をついている可能性があります。認知症の初期段階では、記憶がなかったり理解力が落ちていることに何らかの形で気づいていることが多いです。そのせいで不安を感じているので、嘘を追求したり責めたりせず、耳を傾けて共感してみましょう。お母様が安心して過ごせるようになると思いますよ。 嘘をつくのは認知症のせいかも 認知症の母が嘘をつくので困っています。仕事の日は母の分の昼食を用意して冷蔵庫に入れておくのですが、先日「お昼食べた?おいしかった?」と母に聞いたら、「食べたよ。おいしかった」と返答。でも、冷蔵庫を見たら手を付けずにそのまま残っていたんです。「どうして食べたと嘘をつくの?」と問いただすと、「嘘なんかついてない!」と怒鳴りだす始末。こんなやり取りがしょっちゅうで…疲れてしまいます。食事を用意するのも手間なので、いらないならそう言ってもらえれば作らないのですが…。どうして母は嘘をつくんでしょうか。 もしかしたら、認知症の影響かもしれません。 認知症のせいで嘘をつくんですか? はい。…いえ、もしかしたら、お母様は嘘をついている気はないかもしれません。 えぇ?どういうことですか? 認知症になると多くの人が物忘れが始まることはご存知だと思います。嘘をついて話を合わせたり忘れてしまった記憶を埋めたりしている可能性があるんです。お母様の場合、「昼食を食べたかどうかはわからないけど、おいしかったと言っておこう」という気持ちで「おいしかったよ」と言っているのかもしれません。 そんなことを言わなくても、「食べたか忘れた」と素直に言ってくれれば良いのに…。 ご家族からすれば、そう思うかもしれません。でも、その日の昼食を食べたかどうかがわからない、という状況は普通ではありませんよね。それもご本人が気がついていて「自分がおかしくなったことに気づかれたくない」と思って話を合わせているとも考えられます。それに、「せっかく食事を作ってくれたのに『食べたかわからない』なんて言えない」というお母様の気遣いも含まれていると思いますよ。 そんなことを考えていたんだ…。じゃあ、母は私を騙そうと思って嘘をついているのではなく、話を合わせているだけなんですね。 おっしゃる通りです。お母様のように、記憶がないことを補うために結果的に嘘をついてしまうケースは珍しくありません。例えば、しまった場所を忘れて「財布がない!盗まれた!」と誰かを犯人にしてしまうケース。「朝ごはんは何を食べた?」と聞かれて、食べたのを忘れてしまって「食欲がなくて食べられなくて…」と答えるケースなどです。会話のキャッチボール自体には問題がなかったり、上手い言い回しで答えることも多いので、認知症の影響だと気が付かないことも多いんですよ。 なるほど…。母はまだ会話には問題がないと思っていたので、まさか認知症の影響だと思っていませんでした。 認知症の親の嘘を追求するのはNG 認知症の影響で嘘をついてしまっているのだとしたら、「なんで嘘をつくの?」と聞いても意味がないことなんですね。 おっしゃる通りです。それに、お母様の言葉を強く否定したり追求したりすると、認知症の症状が進行する可能性があるので避けた方が良いでしょう。 認知症が進行するんですか!? 認知症が進行する要因としてはストレスが大きいです。お母様は嘘をついている認識はないわけですから、「なんでそんな嘘をつくの?」と言われると自分の言葉をすべて否定されているような気持ちになります。自分の言葉を否定する人に対して敵意を持つこともありますし、自分の言葉に自信がなくなってどんどん不安な気持ちが大きくなってしまうことも考えられます。 そうなんですね…。では、どうしたら良いんでしょうか? 以下のような対応を心がけてみてください。 耳を傾ける 共感する 話を変える 耳を傾ける まずは、話に耳を傾けること。当たり前のことのように思うかもしれませんが、介護や仕事に忙しいと「ちょっと待って」「後で聞くから」と言って話を聞かないこともあるんじゃないでしょうか。もちろん、すべての話にじっくり耳を傾ける時間はないと思います。なので、一日に何度かだけでも話を聞く時間を作ってみてください。 確かに。母の話を後回しにして、結局聞かないことはよくあります。 それに、話のなかに今の不安などが隠れていることもあります。不安が減ることで認知症の症状が穏やかになることもありますから、忙しいとは思いますができるだけ耳を傾けてみてください。 共感する 話に共感するのも、認知症の方が安心する対応です。もしかしたら、事実とは異なる嘘を話すこともあるかもしれません。そういうときに、否定せずに「そうなんだね」「大変だったね」と共感するだけでも、お母様は穏やかになると思いますよ。 それだけで良いんですか? はい。共感の言葉を言うだけでも、「私のことを受け止めてくれる」と不安が減るんです。飯塚さんに話をすれば安心できる、とお母様が感じられるようになれば、信頼関係が深まって認知症の症状が落ち着くこともあるでしょう。 話を変える お母様がとても興奮している場合、話に耳を傾けても落ち着かない場合もあります。そういうときは、思い切って話題を変えてみましょう。「そういえば、近所の〇〇さんが旅行に行ってきたみたいだよ」「お母さんが好きなドラマの再放送が始まるって」など、お母様が興味を持ちそうな話題だと良いでしょう。 いきなり話を変えたら、それこそ母が怒り出しそうですが…。 例えば、こんなテクニックもあります。何かなくしものをして「盗まれた」と興奮しているときは「私が探してくるから、お茶を飲んで休んでいて」とお茶を用意して時間を空けます。しばらくしてお母様のところに戻り、「おもしろいテレビ番組がやってるよ」など、何事もなかったかのように過ごすんです。認知症が進んでいると、少し前のことも忘れてしまうことがあります。それを想定して、時間を空けたり気をそらせるようなことをすると、すぐに穏やかになると思いますよ。 そんな簡単なことで良いんですね。認知症の対応ってもっと難しいのかと思っていました。まずは「話に耳を傾ける」「共感する」ですね。どこまでできるか自信はないですが…心がけてみます。 認知症の人は記憶がないことを知られないために嘘をつくことがある 嘘を正したり追求するのはNG。症状が進行する可能性も 嘘でも耳を傾けて共感したり、話をかえて気をそらしてみよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2023/12/25

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2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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