例えば、「ぼーっとしていることが多くなった」「同じ話をするようになった」「お金の管理ができなくなった」など今までと変わった様子があったら、認知症の検査を検討してください。
検査は、精神科、脳神経内科、脳神経外科、老年科などいろんな診療科で対応していますので、まずはかかりつけ医に相談してみるのが良いでしょう。状況に合わせた病院を教えてくれると思いますよ。
認知症の検査ってありますよね。あれってどんな様子がある場合に受けるべきなんでしょうか?最近、父の様子がおかしくて、もしかしたら認知症かもしれないと考えていて…。
そうですね…。認知症の初期症状のような様子があれば、一度、病院で検査を受けてみても良いかもしれません。例えば、「同じことを何回も尋ねる」「よく捜し物をする」「趣味や社会活動をやめた」「怒りっぽくなった」「お金の管理ができなくなった」などが認知症の初期症状に当てはまります。
認知症については、こちらのご質問でも回答しているので、ぜひ参考にしてみてください。
父は何度も同じことを聞くようになりました。それに、老人会の集まりにも行かなくなったし…。なんだか気力がなくて、ぼーっとしているんです。でも、一時的に気持ちが落ち込んでいるだけなのかと思っていたのですが、認知症でもそういう症状があるんですね。
でも、なかなか認知症という確信が持てなくて、検査を受けさせるか迷っています。
そうですよね…。なかなか決意できないところだと思います。
受診のきっかけとして、自分でできるチェックリストを活用してみるのも良いかもしれません。東京都の福祉保健局が以下のようなすぐにできるチェックリストを公開しているので、その結果を見てから検査を受けてみるのはどうでしょうか?
こういうチェックリストがあるんですね!試しにやってみます。
もし、認知症の検査を受ける場合、病院は何科を受けたら良いんでしょうか?
認知症の検査を受けられる診療科は、精神科、脳神経内科、脳神経外科、心療内科、老年科などさまざまあります。それぞれの診療科で得意な検査方法や治療方法を生かして診療しているんです。
例えば、精神科では認知症の二次的な症状である「行動・心理症状(BPSD)」に対応しています。BPSDは、認知症の症状によって気持ちが不安になっているときに強く出やすいので、精神科では気持ちを安心させる治療をおこなうんですね。
認知症の症状についても精神科で対応しているんですね、知らなかったです。
あと、認知症は脳に関わる病気ですので、脳神経内科や脳神経外科といった診療科でも検査を受けられます。脳神経内科や脳神経外科ではMRIやCTという画像検査を受けられます。
合わせて脳や脊髄の異常による身体の麻痺や認知機能の低下にも対応。認知症のような症状の原因が脳や脊髄にある場合は脳神経外科で治療すると良いでしょう。
なるほど…。あと、老年科というのは何ですか?なんだか漠然とした名前ですが…。
そうですね、老年化はご高齢者の健康の悩み全般に対応している診療科です。認知症はもちろん、骨粗しょう症、加齢によって筋力が低下した状態であるフレイルなどの身体の健康にも対応しています。
認知症かどうか判断がつかないときには、老年科を受診してみるのも良いかもしれないですね。
うーん、認知症の検査や治療は、いろんなところでできるんですね。逆にどこに受診したら良いのか悩みます。
そうですよね。そういうときは、まずかかりつけ医に相談してみてください。お父様の普段の様子をよく把握しているでしょうから、状況に合った病院を紹介してくれると思いますよ。
認知症の検査をするにあたって、もうひとつ心配なことがあって…。
父に「認知症の検査に行こう」と言っても、素直に検査を受けてくれないと思うんです。きっと嫌がりますし、無理やり連れて行くしかないんでしょうか?
無理に受診するのは、おすすめできません。というのも、無理やり連れて行くと不安が強くなってしまって、継続的に受診できない可能性が高いです。
認知症は、検査はして終わりではなく長期的に治療が必要な病気です。今後の治療のことも考えて、じっくり説得していきましょう。
「じっくり説得」と言っても、どうすれば良いんでしょう?父は頑固な人なので、一度「嫌だ」と言ったらなかなか首を縦に振らないと思います。
それなら、伝え方に気をつける必要がありますね。例えば「認知症かもしれない」とストレートに言ってしまうと、傷つけられて検査を拒否されてしまうことが考えられます。
なので、「予防のために、みんな早めに検査しているみたいだよ」とか「健康診断として行ってみよう」といった言い方で伝えてみると進んで検査を受けてくれるかもしれません。
そうですね。試しに「健康診断に行ってみよう」と言ってみます。
あとは、他のご家族から勧めてもらうのもひとつの手。実の娘さんや息子さんが説得しても聞かなかったのに、義理の娘さん・義理の息子さんから伝えたら上手くいったというケースもあります。
それでも難しい場合には、担当のケアマネジャーさんやかかりつけ医から勧めてもらうのも良いでしょう。専門家から検査を勧められると、スムーズに話が進むこともありますよ。
先ほど、MRIやCTの話がありましたが、認知症の検査って具体的にはどんなことをするんですか?
認知症の検査には、「神経心理学検査」「脳画像検査」の2種類があります。MRIやCTは、脳画像検査の方ですね。
主な認知症の検査には、以下のようなものがあります。
神経心理学検査というのは、医師の質問や計算などの簡単な作業をすることで認知機能を測定するものです。
神経心理学検査でよく実施されているものに、「改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」があります。この検査では、日付や場所などについて答えたり、単語の記憶などで記憶能力などを調べます。
他にも、正しく時計を描けるかを調べる「時計描画テスト(CDT)」など、認知機能を調べる検査にはいろんな種類があります。
ひとくちに「認知症検査」と言っても、そんなにいろんな種類があるんですね。
そうなんです。受ける検査によっても多少変わることもありますが、検査は以下のような流れで進みます。
認知症の検査以外に、身体検査もするんですね。
はい。他の病気の可能性も考えて、血液検査やレントゲン検査、心電図検査などもおこなうんです。こうした身体全体の健康状態を確認して、これからの介護や医療の方針を決めるわけですね。
さまざまな検査をおこない、後日、医師から結果が伝えられます。診断結果を聞くときには、できればご家族も同行してください。というのも、「認知症」と聞いたショックで医師の説明が頭に入らないということもあるんです。医師からは、今後の介護のアドバイスなどの重要なことも伝えられるので、ご家族も一緒に診断結果を聞くように予定を空けておいてください。
確かに…。私も改めて認知症と診断が下りたらショックを受けそうです。しっかり心の準備をしてから、受診したいと思います。
もし、認知症であってもご自身を責める必要はまったくありません。むしろ、早いタイミングでわかったことで、お父様やご家族の生活の見直しをする時間ができた、ととらえる方が気持ちも明るくいられると思いますよ。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。