認知症の人は「食べたこと自体」を忘れてしまっているケースが多いんです。そのため、食事が終わっても食器を片付けずに残しておいて、「食事がもう終わった」と意識付けをすると過食が減ることがあります。それでも食べ物を欲しがる場合は、お菓子などの軽食を渡して「食べたい」という気持ちを解消するのもひとつの方法です。
認知症の母の過食で困っています。つい最近まではそんなことはなかったんですが、冷蔵庫や棚にしまっておいた買い置きのお菓子やパンを食べてしまうようになりました。明らかに食べ過ぎなので、止めるように言うんですが、全く聞く耳を持たなくて…。
朝・昼・夕ときちんと食事をしているのに、どうしてこんなに食べてしまうんでしょう?
おそらく、認知症の影響でしょうね…。というのも、過食は認知症の周辺症状のひとつなんです。
周辺症状って何ですか?
認知症の典型的な症状である「中核症状」によって引き起こされる症状のことです。「行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれます。
認知症の症状については、以下のご質問で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。
お母様の場合、認知症の記憶障害の症状の影響で食事をしたこと自体を忘れてしまっている可能性があります。それで「まだ食事をしていない」と考えて買い置きの食品を食べてしまっているかもしれません。
そうなんです!食事をして少し経つと「ごはんはまだ?」と聞いてきます。「さっき食べたでしょ」と言うんですが、それでも「お腹が空いた」と言って納得しなくて…。
記憶障害の特徴として、「体験したことを丸ごと忘れる」ということがあります。そのため「さっき食べたよ」と言っても、ご本人の中にはその記憶がないので納得できないんですね。
そうだったんですね…。でも、記憶になくても食事をしたことには変わりありませんよね?だったら「お腹が空いた」と感じないんじゃないですか?
それも、認知症が関係しています。認知症になると満腹中枢が上手く機能しなくなります。そのせいで食べても満足感が得られず、空腹を感じてしまうんです。
合わせて食事した記憶がないわけですから「まだごはんを食べていない」と考えてしまうわけです。
認知症になるとお腹いっぱいになりにくいんですね。知らなかった…。
でも、認知症の人の過食は一時的なケースが多いです。次第に食欲は落ち着いていきますし、体力が落ちることで食欲も落ちていくことが多いですよ。食べられる元気がある、と前向きにとらえるのも良いかもしれません。
母の過食の理由はわかりましたが、だからといって、健康のことを考えると今のままたくさん食べ続けるのが良いとは思えません。過食を抑える方法はないですか?
いくつかあります。例えば、食器をすぐに片付けないこと。食後にすぐに食器を下げずにしばらく食卓に残しておくんです。
それによって「食事は済んだ」と意識付けになります。あわせて、食後にお茶を飲みながらおしゃべりすると、食卓についていた記憶が残りやすいので「ごはんを食べていない」と感じにくくなると思います。
そんな手があったんですね!簡単なので、今日からやってみます。
…でも、母の場合、それでも「何か食べたい」と言い出すような気がします。どうしたら良いですか?
そういうときは、もう食べ物を渡しちゃいましょう!
えぇ!?食べさせちゃうんですか!
はい。お母様の「食べたい」という気持ちを否定することで、余計にその気持ちが強くなる可能性がありますから。お菓子やおにぎりなどを渡して食べたい気持ちを解消してもらうんです。
もし食べ過ぎになりそうだったら、1回の食事の量を減らして、こまめに食事をするようにするものアリ。「食べたい」と言い出すのを前提で食事を用意するんですね。
なるほど…。確かにそれは良い方法かもしれません。
あと、お母様はしまっておいた買い置きの食品を食べてしまうとおっしゃってましたよね?
そうなんです!うちは夫や娘も同居しているので、買い置きをしないわけにはいかなくて。すぐに食べられるパンやお菓子とかは、母に食べられてしまいます。
となると、冷蔵庫や棚に鍵をつけるのはどうでしょうか?後付けできる鍵が売ってますので、それで開けられないようにしておくと過食を防げるかもしれません。
冷蔵庫や棚の鍵があるんですね。試してみようかな…。
認知症の人の過食は、記憶障害による「食べられない」という不安感が大きな原因です。食事は生きるために必須のことですから、否定してしまうと余計にその不安感が大きくなって状況が悪化することもありえます。
食事は生活の大きな割合を占めることですから、過食にうまく対応できると介護の負担が大きく減ります。なので、まずはお母様の気持ちを否定せずに耳を傾けるだけでも、介護の負担が軽くなると思いますよ。
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