まずは、地域包括支援センターやケアマネジャーさんなどに今の状況を相談してみるのが良いでしょう。また、在宅介護サービスを積極的に活用していくと、お父様の介護の負担が減ると思います。
このまま介護を続けていると、お父様が体調を崩したり「介護うつ」になってしまう可能性もあります。在宅介護が難しい状況でしたら、施設に入居することも考えた方が良いかもしれません。
実家で母の介護をしている父が倒れてしまうんじゃないかと心配です。父も高齢ですし、身体は元気なものの、母は認知症でトイレや入浴するのも見守りが必要な状態です。それに、今まで母がやっていた家事をすべて父がやらなくちゃいけなくなったので、介護と家事の両立でとてもしんどそうなんです。
どうにか父の負担を軽くしてあげたいんですが、良い方法はありませんか?
なるほど…。「老老介護」の状態になってしまっているんですね。
「老老介護」?初めて聞きました。
老老介護とは、65歳以上のご高齢者が同じく65歳以上のご高齢者を介護している状況です。
特に川口さんのご両親のように、配偶者が同居している要介護者の介護をしているケースがとても多いんです。
確かに、まさにうちの両親です!では、老老介護している人を支援する制度などがあったりするんでしょうか?
いえ、残念ながら、老老介護に特化した支援はまだないのが現状です。ただ、老老介護のご家庭に限らず、地域の支援サービスや介護サービスは利用できますのでご紹介しますね。
ご高齢者の生活や介護に困ったときに、まず頼りになるのが「地域包括支援センター」です。ここは、ご高齢者の介護や健康などさまざまなお困りごとに対応する総合窓口ですので、悩みが漠然としている場合でもとりあえず相談してみましょう。
ケアマネジャーや保健師などの専門家や各機関と連携して、問題解決のために動いてくれますよ。
へー!何でも相談に乗ってくれる窓口があるんですね。
また、お母様の見守りに、地域で提供している見守りサービスを利用するもの良いかも。シルバー人材センターや民生委員、ボランティアなどによってご高齢者の見守りをおこなっている地域もあります。
あと、これはサービスではありませんが、ご近所付き合いを良くしておくことも大切。何かあったときにすぐに連絡してもらえるように連絡先を渡しておいたりすると、近隣の人にも介護を手伝ってもらうと、お父様の精神的負担が多少軽くなるかもしれません。
ご近所付き合いは大切ですね…。最近は余裕がなくて、実家に帰ってもご近所さんと話すこともなかったので、近所の集まりに顔を出してみます。
今、お母様は介護サービスを利用していますか?
訪問介護を週2回だけ利用しています。でも、買い物に行ってもらっているだけですが…。
そうなんですね!でしたら、もっと訪問介護の回数を増やしたり、他の在宅介護サービスを追加することをおすすめします。
私ももっと介護サービスを使ってほしいとは思っているんですけど、介護サービスがよくわかっていなくて…。ちなみに、在宅介護サービスってどんなものがあるんですか?
在宅介護サービスには、主に以下のようなものがあります。
えっ、こんなに種類があるんですね!訪問介護の他には、デイサービスの名前を聞いたことがあるくらいです。
在宅介護サービスは本当にたくさんの種類がありますから、知らないサービスも多いですよね。
お父様に負担が大きい状況を考えると、デイサービスを利用してみると良いかもしれません。
具体的にはデイサービスってどんなサービスなんですか?
デイサービスでは、レクリエーションや入浴介助などを提供しています。日帰りで介護施設に通う形のサービスなので、お母様がデイサービスに行っている間、お父様は自由に過ごせるんです。
もちろん、家事などがあるので完全に自由というわけにはいかないかもしれませんが、デイサービスの時間だけでもお母様の介護をしなくても良い、と考えると身体的にも精神的にも楽になるんじゃないでしょうか?
それは良いですね!父と母は24時間一緒に過ごしていますから、少しの間でも離れられる時間を作ってあげるのも良いかもしれないです。
他にも、在宅介護をしているご家庭がよく利用しているサービスに、ショートステイがあります。
このサービスは最短1日から最大30日間、介護施設に宿泊できるもの。介護しているご家族が家を空けて介護ができないときはもちろん、介護している人のリフレッシュのためにも利用されるサービスです。
リフレッシュのためですか?
はい。在宅介護をしていると、常に介護のことで頭がいっぱいになりがちです。なので、短期間でも介護施設に預けることで、溜まっていた家事をしたり自分のための時間を確保するんですね。
定期的にショートステイを利用しているご家庭もありますし、ショートステイの期間に旅行を楽しんでいるご家庭もありますよ。
そんな、家族のための介護サービスがあったんですね。父にしっかり休んでもらうためにも、何日か利用したいです。
もし今後、在宅介護に限界を感じたら介護施設への入居も検討してみてください。
介護施設かぁ。そんなこと、全然考えたことがなかったです。でも、父の今の状況を考えると、施設に入れることも考えた方がいいのかも…。
でしたら、参考までに介護施設にはどんなものがあるのか、お伝えしていきますね。まず、主な介護施設をリストアップしてみました。
特別養護老人ホームは、友人のお母さんが入っているので知っています。「特養」ですよね?
そうです!「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設(老健)」「介護医療院」の3つは、公的な介護施設です。そのため、比較的費用が安く設定されているのが特徴です。
中でも特養は終身で利用できる施設ですので、とても人気が高く、施設によっては”数年待ち”ということも…。
えぇ!?そんなに待つんですか!
対して、民間企業が運営している有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの施設は、比較的、空室があるので早めに入居できることが多いですね。
やはり公的施設の方が費用が抑えられるので、公的施設の人気が高いんです。
そうなんですね。特養が数年待ちなら、今から施設探しをした方が良いんでしょうか?父に本当に限界が来てから探し始めたら何年も待っていられないですから。
川口さんのおっしゃる通り、施設探しは”早め早め”をおすすめします。特養は待機期間が長い傾向があることに加えて、ご高齢者の状態はたった数週間で変わることがあります。私自身、「半月前は元気に歩いていたのに、急にまったく歩けなくなったから明日にでも介護施設に入居したい」というご相談を何度もいただいているんです。
そういう意味でも、まだ余裕のある今のうちに施設探しを始めてくださいね。
今回、北野さんの話を聞いて、いろいろと打つ手があることがわかってよかったです。
それはよかったです!おそらく、お父様がこのままご自宅で介護を続けているとさまざまな問題が起こると思いますから、そうなる前に対策をとっていただきたいです。
さまざまな問題というと、どんなことがあるんでしょうか?
主なものに「共倒れ」があります。老老介護の場合、介護している人も高齢なので、介護や家事などの身体的負担が大きいんです。
無理をして老老介護を続けていると、腰などを痛めてむしろ介護している人も要介護状態になってしまう可能性もあります。
父もそうなってしまうかも。最近、腰が痛いみたいで…。
それは辛いですよね…。そうした身体的な負担が精神的な負担にもつながることも。「身体が痛くて眠れない」となると、寝不足によって心身ともに疲れてしまいますからね。
そうならないように、父の身体にも気をつけておきます。
また、精神的な面で特に大きな問題となるのが「介護うつ」です。介護で心身が疲れていると、ご近所の人などの外部の人との接点が少なくなる傾向があり、”閉じこもり”状態になってしまいがちなんです。
その結果、友人などとの交流の機会も減ります。さらに、介護をしていて遠出ができないので、趣味の旅行やお出かけもしなくなります。すると、気持ちのリフレッシュの方法がなくなって、うつ状態になってしまうんですね。
まさに、父がそんな状態です。写真が趣味なのに、母の介護が始まってからはまったく写真を撮りに出かけていませんし、ご近所との交流もほとんどしていないみたいです。
それは心配な状態ですね…。介護サービスを活用して、お父様が自分の趣味を楽しめるような時間を確保する必要がありそうです。
介護サービスは、介護される人はもちろんのこと、介護をしているご家族のためのサービスでもあります。なので、どんどん利用して少しでも介護を”楽”にしてくださいね。
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