もの忘れと認知症の違いは、体験した記憶の一部を忘れるのがもの忘れ、体験したことそのものを忘れるのが認知症です。
また、今いる場所や時間がわからなくなったり、以前は楽しんでいた趣味の活動をする気力がなくなっている様子などが見られたら、認知症の可能性があります。早期に治療を開始すれば進行を抑えられますので、早めに認知症検査を受けてくださいね。
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母がもの忘れが多いのは以前からなのですが、最近は同じことを何度も聞いてきたり、前の日に買ってきたものを次の日にも買ってくるなど、様子がおかしくなってきたような気がします。
これって認知症になってしまったんでしょうか?そもそも、認知症ともの忘れは何が違うんでしょうか?
もの忘れと認知症による記憶障害はよく似ているので、違いがわからなくなってしまいますよね。ただ、もの忘れと認知症がはっきりと異なる点は「体験した記憶自体が残っているかどうか」です。
「体験した記憶自体が残っているかどうか」ですか?よくわからないです。
具体的には、その日の朝食に「何を食べたのか」を忘れてしまうのはもの忘れです。対して、認知症は「朝食を食べたかどうか」を忘れてしまいます。
また、もの忘れは忘れたことの自覚があります。しかし認知症の場合、症状が進行するとだんだん忘れたことの自覚がなくなっていきます。
その他にも、加齢によるもの忘れと認知症の違いをまとめてみました。
加齢によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ | |
---|---|---|
体験した記憶 | 一部を忘れる | すべてを忘れている |
学習能力 | 維持されている | 新しいことを覚えられない |
もの忘れの自覚 | ある | なくなる |
時間や場所 | 見当がつく | 見当がつかない |
探し物に対して | (自分で) 努力して見つけられる | いつも探し物をしている 誰かが盗ったなどと他人のせいに することがある |
症状の進行 | 極めて徐々に進行 | 進行する |
表にある「時間や場所」というのはどういう意味ですか?
認知症の症状のひとつに今の時間や場所がわからなくなる「見当識障害」というものがあります。見当識障害は、「今が何月何日か」「今いる場所はどこなのか」がわからなくなる症状で、季節もわからなくなるため時期に合った服を選べなくなることもあります。
また、認知症によってここ数十年の記憶がなくなることで自宅を「自分の家ではない」と感じて、1人で出ていってしまうことも。つまり、徘徊です。見当識障害が認知症の徘徊の原因というわけですね。
認知症になると徘徊すると聞いたことがありますが、今の時間や場所がわからなくなって起きてしまうことなんですね。そんな理由があるとは思いませんでした。
他にも、認知症になると探しものが増える人が多いです。というのも、自分でしまったことを忘れてしまうから。「しまった場所」を忘れただけであればもの忘れとも言えますが、認知症では「しまったこと自体」を忘れてしまいます。
そして、自分でしまったことを忘れているので、物がなくなると「誰かに盗られた」と言って他人のせいにすることも多いです。特に、お財布や通帳、思い出の品などの大切な物へのこだわりが強くなる傾向があります。
もの忘れと認知症の違いはおおまかにわかりました。でも、母が認知症になってしまったのかどうかはよくわかりません…。
認知症は、基本的に急に発症するものではありません。多くの人が認知症の前兆があり、それが進行して認知症になります。なので、認知症の前兆に早めに気がついて治療を開始することが大切なんです。
そうですよね…。認知症の前兆というと、具体的にはどんなものですか?
例えば、お母様の様子で以下に当てはまるものがあれば認知症を疑っても良いかもしれません。
もの忘れはやはり認知症の前兆なんですね。ここ最近は、数時間前に話したことを忘れていることがあります。さっきの北野室長の言葉を借りるなら、「話したこと自体」を忘れてしまっている様子です。
なるほど、そうなんですね…。他にも何か思い当たることはありますか?
あとは…「身の回りのことができない」というのも当てはまる気がします。手伝う必要はないんですが、朝の支度に時間がかかっているようです。何をすれば良いかわからなくなって、寝巻きのまま部屋から出てくるときもあるんです。
昔から、きちんと支度をしてから自分の部屋から出てくる人でしたから、様子がおかしいな、とは思っているんですが…。
ちなみに、「気持ちが落ち込んだり混乱している」とはどんな状態ですか?もしかしたらこれも母に当てはまるかもしれないので…。
例えば、ちょっとしたことで怒りっぽくなったり、やる気や元気がないような状態のことです。以前は楽しんでいた趣味に興味を示さなくなったというような場合も当てはまりますね。
確かに、以前よりは元気がなくなったような気がしますね。テレビばかり見ていて、出かけることも少なくなったし…。
何だか、どれも母に当てはまるような気がしてしまいます。やっぱり認知症なのかな。
早めに認知症の検査を受けることをおすすめします。早期に治療を開始することで、症状が軽いまま進行を遅らせることができますから。
軽度のもの忘れは年相応のものと見逃されがちです。でも、それをそのままにせず、ぜひ早い段階で検査を受けてくださいね。
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