おそらく認知症の影響だと考えられます。特に認知症の中でも「レビー小体型認知症」の場合、幻視や幻聴といった症状が出ることが多いんです。
お父様が幻覚を訴えたらそれを否定するのではなく、話をしっかり聞いてみましょう。話を聞くことでお父様の不安感が和らぎ、幻覚を見る頻度も減っていくと思いますよ。
認知症の父が、最近になって「庭に知らない人が立っている」「亡くなった弟が遊びに来る」などとおかしなことを言うようになってしまいました。もちろん、父が指すところを見ても誰もいません。
つい1ヵ月前まではこんなことはなかったのに…。これも認知症の影響なんでしょうか?
うーん。その可能性は高いですね…。ちなみに、認知症にはいくつかタイプがありますが、お父様はどのタイプの認知症でしょうか?
えーっと、レビー小体型認知症と診断されました。
やはり…。おそらく、お父様はレビー小体型認知症による幻覚を見ていらっしゃると考えられます。
えっ、やっぱりそうなんですか!
レビー小体型認知症は、脳内の「レビー小体」という物質が神経細胞にたまることで発症します。この物質がたまることで脳の情報を処理する機能が低下し、幻覚が発生するとされているんです。
幻覚はレビー小体型認知症の典型的な症状のひとつなんですよ。
父のおかしな発言が認知症の症状だというのはよくわかりました。でも、どう対応すれば良いのかはわかりません…。
そうですよね。では、対策を考える前に、レビー小体型認知症による幻覚にはどんな症状があるのかを把握しましょう。具体的な症状を知っておくことで、対策をとりやすくなりますから。
そうですね…。どんな症状があるんでしょうか?
レビー小体型認知症による幻覚には、以下のような症状があります。
まずはじめに、「幻覚」とはその実体がないのにも関わらずはっきりと感覚が存在することの総称です。なので、視覚以外の聴覚や触覚などで実体のない感覚があることも幻覚と言うんです。
その中でもレビー小体型認知症の症状としてよく報告されているものが幻視です。実際にはそこにない物があるように感じたり、人がいるように見えるのが特徴です。
父の「庭に知らない人が立っている」「亡くなった弟が遊びに来る」というのも、幻視なんですね。
おっしゃる通りです。他にも「子どもがたくさん立っている」のような、複数のものを幻視で見ることもあります。
次の「幻聴」は、実際にはないはずの音や声が聞こえることです。「誰かが自分の悪口を言っている」というケースが多いですね。
父は幻聴はないのかな。「自分の悪口を言っている」なんてことは聞いたことがないので…。
また、幻視に似た症状に「錯視」があります。錯視は現実に存在するものが別のものに見えること。壁紙の柄が虫に見えたり、洗濯物が人に見えたりするんです。
あ!この間、父が「壁に虫がたくさんいる」と言っていたんですが、それは錯視だったのかもしれないです。
最後の「妄想」は幻覚ではないような気がするんですが…。どういうことですか?
はい。厳密には幻覚とは異なりますが、幻覚が原因で妄想が起こることがあります。例えば、「知らない人が庭に立っている」という幻視が、「泥棒が家に入ってきた」という妄想に発展することもあります。
さらに、認知症になると自分で物をしまった場所を忘れてしまうことが増えますから、物がなくなったことが「泥棒に盗まれた」と思い込んでしまうんですね。幻覚がそういった被害妄想や物取られ妄想につながることがあるんです。
認知症が原因の幻覚っていろんなケースがあるんですね…。それじゃあ、具体的に私はどう対応したら良いんでしょうか?
顔をあわせる度に「庭に知らない人が立っている」と父に言われてうんざりしているんです。何度も「誰もいないよ」と言っても信じないし…。
あぁ…。実は、幻覚を否定するのはNG対応なんです。
えっ!?そうなんですか?だって、実際は誰もいないんですよ?
それでも、お父様にとっては現実なんです。なので、お父様の言葉を否定し続けると「わかってくれない」というストレスから、不安感が強くなって症状が進行してしまうかもしれません。
そんな…。では、どうしたら良いんでしょう?
お父様が安心するような声掛けをしてください。例えば、「知らない人が立っている」と言うときには、「どんな人がいるの?」と聞いてみたり、「泥棒に盗まれる」と怖がっている様子だったら「泥棒は追い返しておいたよ」と声をかけるんです。
はじめのうちはそれでも幻覚を訴えるかもしれませんが、続けていくうちに症状が落ち着いて来ると思いますよ。
そう返せばよかったんですね!それくらいならできそうです。
認知症の人は、不安感から幻覚を見るようになると言われています。なので、お父様の言葉に耳を傾けてみると「自分のことをわかってくれる」と安心し、永井さんとの信頼関係もさらに強くなって症状が減ってくるでしょう。
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