はい。認知症の初期症状で怒りっぽくなることがあります。認知症になると、これまで何気なくできていたことができなくなったり、周囲の状況が理解できなくてストレスに感じることが増えていきます。そのいらだちをご家族にぶつけてしまうのかもしれません。
なので、そういうときはお母様の言葉や行動を否定せず、まずはよく話を聞いて怒りに共感してみましょう。話を聞いているうちに、いらだっている原因がわかるかもしれません。
ただ、あまりにも興奮して暴言を吐いたり、暴力を振るうような状態であれば、一度、距離をおいて落ち着くのを待ちましょう。
同居している母がちょっとしたことで怒るので、毎日それに振り回されて疲れました。昔は快活で笑顔の絶えない人だったのに、今は少し注意しただけでものすごい勢いで怒鳴り出します。
認知症の診断を受けた先月くらいから怒りっぽくなったような気がするのですが、もしかして認知症の症状だったりするんでしょうか?
うーん、その可能性はありますね。というのも、認知症の初期症状のせいで性格が変わってしまったかのうように、怒りっぽくなる人は珍しくないんです。
やっぱり!でも、なんで認知症になると怒りっぽくなるんですか?
まず、脳の感情をコントロールする機能が低下していくことが原因として挙げられます。通常、怒りを感じることがあっても脳の感情を制御する機能のおかげで、怒りを爆発させずに済みます。
ですが、認知症になるとその他の脳の機能と同じように感情を制御する機能が低下してしまうので、ちょっとしたことでも感情を爆発させてしまうんですね。
そうなんですね。認知症になって低下するのは、記憶する力だけじゃないんだ…。
認知症の初期症状は、認知症の種類によっても異なりますが、「もの忘れ」がきっかけとなり気づくことが多いようです。
また、時間や場所がわからなくなる見当識障害や理解力・判断力の低下も、比較的初期からはじまります。これにより、これまでできていたことができなくなくなったり、精神的に混乱するなどのさまざまな兆候が現れます。
ここからは、認知症のサインとなる症状を紹介します。
認知症になると、記憶障害に加えて、自分が今いる場所や時間がわからなくなる「見当識障害」などさまざまな症状が現れます。
すると、これまで普通にできていたことが急にできなくなったり、できないことを誰かに指摘されることが増えていきますよね。それによって自尊心が傷つけられたり、できないことが増えていく苛立ちを感じるようになるんです。
「できないことが増えていく苛立ち」ですか…。
周囲の人も親切心から「これはできないから手伝おうか」と声をかけますよね。すると、それが引き金となってそれまで溜まっていた苛立ちが爆発してしまう…ということもあり得るんです。
あぁ!それは思い当たります。身体を洗い忘れたり髪の毛のシャンプーを流し忘れたりすることがあったのでお風呂を手伝おうと声をかけたら、「1人でできるから手を出すな!」と怒鳴られてしまいました。
手伝おうとすることで母の自尊心を傷つけていたんですね…。
そうですね。もしかしたら「1人でできないと思われている」と感じてしまったのかもしれません。
また、自分の体調不良をうまく表現できなくて怒っていることもあり得ます。
体調不良で怒っているんですか?
認知症が進行すると、身体の痛みや発熱、便秘などで身体に不調があってもそれを自分で理解できなくなることがあるんです。
通常だと「腰が痛むから湿布を貼っておこう」「熱っぽいから早めに寝よう」と、自分の体調不良を正確に感じて、それに対応できますよね。でも、認知症の人は「腰が痛い」「熱っぽい」といった感覚を的確に把握できず、でも不快なので怒りに転換してしまうことがあるんです。
そんなこともあるんですね!知らなかった…。
つまり、認知症になると怒りっぽくなるのは、精神的・肉体的ストレスをうまくコントロールできなくて、怒りとして発散している、と言えますね。
母が怒りっぽくなった理由がなんとなくわかって少し安心しました。だからって母の対応をするのが疲れるのは変わりません。何か良い方法はありませんか?
まずは、お母様の話をよく聞いてあげることが大事です。
聞いてますよ!
でも、何度も同じ質問をしてきたり、とんちんかんなことばかりしゃべるので聞いているこちらがイライラしてきてしまって…。
内藤さんのお気持ちはわかります。ただ、おそらくお母様は認知症の症状が進行して、とても不安な状態です。不安やストレスを軽くするには、話をよく聞いて怒りの感情に共感してあげることが大切です。
介護やお仕事で疲れているとその余裕がなくなりがちですが、共感して話を聞いていく中でお母様が不安に感じている原因がわかるかもしれませんよ。ただ、お母様ご自身も怒っている原因がわかっていない可能性があるので、怒っている理由は問い詰めないようにするのも重要です。
なるほど…。先日、怒る母に「なんでそんなにすぐ怒るの」と怒鳴り返してしまったことがありましたが、良くないことだったんですね。
介護で疲れていると、冷静に対応する余裕がなくなることもありますよね…。
もし、内藤さんの余裕が全くなくなってしまったり、お母様が興奮しすぎて暴言や暴力が見られるときは、一時的に距離を置くこともひとつの手です。別の部屋に移動したりして、物理的に離れるとお互いに気持ちが落ち着くと思いますよ。
確かに…。今度、イライラしたら別の部屋に離れてみようと思います。
もしかしたら、それでも疲れやストレスが溜まっていることもあるかもしれません。そういうときは、短期間の宿泊ができる介護サービスの「ショートステイ」を利用して”介護休み”を作っても良いかもしれません。
どうしても、介護を受ける側の体調や生活が優先されてしまうことが多いのですが、それで介護する人が倒れてしまってはいけません。なので、たまには休みを作りながら介護を続けていってくださいね。
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