老人ホームに入居したら訪問看護は利用できませんか?今の訪問看護を継続したいと考えています。

特に父はこだわりが強い人で何人も交代した結果、今の看護師さんにようやく出会えた状況です。なので、他の看護師さんは受け付けないのでは、と心配しています。
(望月さん・自営業・63歳)
入居後も訪問看護サービスを利用できる施設と、利用できない施設があります。例えば、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などは訪問看護を利用しながら入居ができます。
なので、どうしても今の訪問看護事業所を継続したい場合は、これらの施設に入居すればご自宅と同じように利用できますよ。
老人ホームでは訪問看護を利用できる?
一人暮らしをしている認知症の父親が入れる老人ホームを探しています。父は糖尿病もあるので、1日2回、インスリンの注射が必要なのに、忘れてしまうことがあります。
そのため、薬の管理のために週に1回、訪問看護サービスを利用しています。ただ、父はとてもこだわりが強い人で、何人も交代した結果、今の看護師さんに落ち着きました。なので、老人ホームに入ってからも今の看護師さんに看てもらいたいんです。
老人ホームに入居してしまうと、訪問看護サービスは利用できないんでしょうか?
そんなことはありませんよ!ただ、施設の種類によっては訪問看護サービスを利用できる施設と利用できない施設があるので、そこには注意が必要です。
訪問看護サービスを利用できる施設とできない施設を順にお伝えしていきますね。
訪問看護を利用できる施設
入居後も訪問看護サービスを利用できる施設には、以下のようなものがあります。
これらの施設は、ご自宅で利用していたときと同じように訪問看護を利用できます。入居後はご自身の居室に看護師さんが訪問する形になります。
また、以下のように特別な条件を満たした場合にのみ、訪問看護を利用できる施設もあります。
- 特別養護老人ホーム →末期のがんの場合
- 介護付き有料老人ホーム →厚生労働省が定める疾病の場合、特別訪問看護指示書がある場合
- サービス付き高齢者住宅(特定施設の指定がある) →厚生労働省が定める疾病の場合、特別訪問看護指示書がある場合
- グループホーム →厚生労働省が定める疾病の場合、特別訪問看護指示書がある場合
父はがんではありませんから、特別養護老人ホームに入居しても訪問看護は受けられなさそうです。
介護付き有料老人ホーム、特定施設の指定があるサービス付き高齢者住宅、グループホームで訪問看護を利用する条件の「厚生労働省が定める疾病」ってどんな病気ですか?
それと、「特別訪問看護指示書」って何ですか?
はい、順番にお話ししていきますね。
まず、「厚生労働省が定める疾病」というのは以下の病気のことを指します。
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患
- 多系統萎縮症
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頚髄損傷
- 人工呼吸器を装着している状態
何だか聞いたことがない病気ばかりですね。これらの病気にも父は該当しませんね…。
あと、「特別訪問看護指示書」というのは?
特別訪問看護指示書は、ご入居者が急に体調が悪くなったときに主治医が訪問看護の必要性を示した書類です。
つまり、特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅(特定施設)・グループホームは、特定の病気を持っているか急な体調不良の場合でないと、訪問看護サービスを利用できないんですね。
なるほど…。要するに、基本的に訪問看護は利用できないと考えて良さそうですね。
訪問看護を利用できない施設
訪問看護を利用できない介護施設もあります。それは以下の2種類です。
これらの施設には、医師や看護師さんの配置が義務付けられています。そのため、入居後にわざわざ訪問看護を利用する必要がないんですね。
介護老人保健施設と介護医療院は、医療体制が整っているんですね。
訪問看護を利用しながら老人ホームに入居する方法
偏屈でこだわりの強い父のことですから、今の看護師さん以外からケアを受けてくれないと思うんです。なので、どうしても今の訪問看護を利用し続けたいのですが、どうしたら良いでしょうか?
でしたら、先ほどお伝えした訪問看護を利用できる施設に入居することをおすすめします。
例えば、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅であれば、居室に看護師さんが訪問してくれますから、これまでと同じように利用できるでしょう。
そうなんですね、よかった!
ただ、訪問介護事業所は訪問可能エリアを設定しています。なので、そのエリア内で施設を見つけないといけません。ただ、もしかしたら希望の施設がエリア内になかったり、あっても満室で入れない可能性もあります。
今の訪問介護事業所を継続して利用する場合は、そうしたリスクがあることも頭に入れておいてくださいね。
訪問看護を利用しないで医療ケアを受ける方法
もうひとつ、介護施設に入居後も医療ケアを受ける方法があります。
それは、看護師さんが常駐しているなどの医療体制が整っている施設に入居すること。介護付き有料老人ホームなどであれば、看護師さんが常駐しています。
でも、介護付き有料老人ホームに入ったら訪問看護を利用できないんですよね?
おっしゃるとおりです。もともと医療体制が充実している施設では、特別な条件を満たしていないと訪問看護を利用できません。
でも、訪問看護を利用できる施設が希望エリア内になかった場合、入居できる施設がなくなってしまいます。
訪問看護を利用できる施設で今の訪問看護を継続するか、医療体制が整っている施設で医療ケアを受けるか、どちらも一長一短ありますから、ご家族でよく話し合ってみてくださいね。
- 施設の種類によっては訪問看護を利用できる施設と利用できない施設がある
- 看護師が常駐している施設なら、訪問看護を利用しなくても医療ケアが受けられる
- 住宅型有料老人ホームなどであれば、訪問看護を利用できる