通いで両親の介護をするのが限界!もう疲れました…

通いで両親の介護をするのが限界!もう疲れました…

更新日 2024/03/18
半年ほど前から、電車で片道2時間ほどのところの実家に住む母を介護しています。週2回くらい実家に通っている状況です。

今まで父は家のことは母に全部任せきりだったので、父はなかなか家事がこなせないようです。実家に帰る度に家がめちゃくちゃになっているんです。

父も家事が上手くできないことを母に指摘されることが度々あり、毎日のようにケンカしています。父も私も疲弊しているのを感じています。

こんな状況をどうにかしたいのですが、どうしたら良いかわかりません。何か良い方法はないでしょうか?

(岩本さん・62歳・パート)

仕事や自分の家のことをしながら、通いで介護をするのはとても大変ですよね…。

お母様は介護サービスを利用していますか?まだ利用していないのであれば、まずは介護認定から始めましょう。介護認定が下りれば介護サービスが利用できますから、できるだけ介護サービスに頼って、介護をもっと”楽”にしましょう!

それでも「通い介護は難しい」と感じたときは、介護施設への入居を考えてください。親御さんを介護施設に入れることに抵抗がある方もいらっしゃいます。が、ご自分の生活が一番大切です。

無理して通い介護を続けていると、体調をくずしたり「介護うつ」になってしまうこともあります。介護サービスを活用して”ほどほどにがんばる介護”を心がけてみてくださいね。

通い介護に疲れたときの相談先

半年ほど前に母が脚を骨折してから、片道2時間ほどの実家に住む母の介護をしています。母は長い時間立つのが難しいので家事がほとんどできず、主に父が家事や介護をおこなっています。

ただ、父はこれまで家のことを母に任せっぱなしで、料理も洗濯もろくにできなかった人です。家事が上手くできなくてしょっちゅう母に指摘されるので、毎日のようにケンカしているのでこちらもイライラしてしまいます。

それに、週に2回ほど実家に私が帰ると、家の中がめちゃくちゃになっていてそれを見るのも憂鬱です。でも、私も自分の家のことや仕事もあるのでこれ以上帰る回数を増やせません。

どうにかしたいとは思うのですが、どうしたら良いかわからないし、どこに相談したら良いのかもわからなくて…。

なるほど…。通い介護は大変ですし、お父様の負担も大きそうですね。

でしたら、まずは介護で悩んだときの相談先をお伝えします。「何から手を打ったら良いのかわからない」という疑問も解決できると思いますよ。

地域包括支援センター

地域包括支援センター」とは、市区町村に1つは必ず設置されている窓口。介護に限らずご高齢者の生活全般について相談できます。

市区町村の福祉相談窓口

地域包括支援センターはどこにあるのかわからない場合でも、市役所の場所はわかりますよね。なので、もしかしたらこちらの方が相談しやすいかもしれません。

「高齢者福祉課」「介護保険課」など、自治体によって名前が異なるので、窓口がわからなければとりあえず役所に行ってみるのもありですよ。

なるほど、役所なら相談しやすいです。行ってみます!

医療機関

医療機関でも介護の相談ができるんですか?

そうなんです。特に認知症が疑われる場合は、ドクターが強い味方になります。具体的には、「最近、物忘れが多いかも」「会話が噛み合わない」などの異変を感じたときはドクターの出番です。

あとは、病気や怪我が原因で入院して、介護が必要になったときも医師に相談するのが良いでしょう。

認知症か…。まだうちの母はそんな感じはしないですが、気をつけておいた方が良いのかも。

地域の民生委員

また、地域の民生委員さんも介護の相談に乗ってくれます。民生委員さんは、地域のご高齢者の家を訪問して顔見知りになっていることも多いので、ご両親の住む地域の民生委員さんに相談してみるのも良いかもしれません。

知り合い

もし、身近に介護の経験をしたことがある人がいたらその人に相談してみるのもあり。ご家庭によって状況が異なるので、その人の解決法が必ずしも岩本さんの悩みも解決できるとは限りませんが、誰かに話すだけでも気持ちが楽になることもあるので、積極的に頼ってみましょう。

そういえば、うちの近所でお母さんを介護している人がいた気がします。その人に相談してみるのも良いのかな。

通い介護に限界を感じたら在宅介護サービスの活用を

そういえば、お母様は介護サービスを利用していますか?

利用していないです。まだ、そこまでの状況ではないと思って…。介護サービスって認知症とか、自分でトイレにも行けないとか、そういう状態の人が使うものじゃないんですか?

いえいえ!もっと状態の軽い人でも利用できますよ。特に岩本さんのお宅は、通い介護で負担が大きいと思うので、積極的に活用していきましょう!

と言われても…。どうやって介護サービスを利用したら良いのかわからないです。

では、介護サービスを利用するまでの流れをお話ししていきますね。

初めて利用する場合は介護認定から

介護サービスを利用するには、はじめに介護認定を受ける必要があります。その介護認定によって「要介護度」が決定し、介護度に応じて利用できる介護サービスの量がわかります。

介護認定を受けるときの流れは以下の通りです。

  1. 介護認定の申請をする
  2. 認定調査を受ける
  3. 認定結果の通知を受ける
  4. ケアマネジャーを選ぶ
  5. 介護サービスを利用開始する

1.介護認定の申請をする

介護認定の申請は、認定を受ける人が住んでいる市区町村の役所でおこないます。つまり、お母様が住んでいる地域の役所で手続きをおこなうわけです。

2.認定調査を受ける

認定調査は「介護認定調査員」がお母様を訪ねて、直接の面談でおこなわれます。この面談でお母様の受け答えや身体の動き、普段の生活能力などを確認します。

3.認定結果の通知を受ける

介護認定の申請から30日以内に認定結果が知らされます。介護認定は「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」のいずれかに分類され、「要介護1~5」に認定されると「介護保険サービス」が利用できるようになります。

4.ケアマネジャーを選ぶ

介護認定が下りたら、介護サービスを利用するためにケアマネージャーを探しましょう。ケアマネージャーとは、「ケアプラン」と呼ばれる介護サービスの計画書を作る専門家。介護サービスや介護の悩みの相談窓口でもあります。

このケアマネージャーは、役所か地域包括支援センターに相談するとケアマネージャーの事業所(居宅介護支援事業所)のリストをもらえるので、その中から選びます。

5.介護サービスを利用開始する

ケアマネージャーにケアプランを作成してもらい、それに沿って介護サービス事業所と契約をすれば、あとは介護サービスの利用が開始されます。

初めて聞く言葉も多いし、なんだかややこしいですね…。

そうなんですよね…。初めてのことでわからないことが多いと思うので、わからないことがあったら逐一、担当者に質問したり、役所の窓口に相談してみてくださいね。

在宅介護サービスの種類

えーっと…。介護認定が下りたら介護サービスを利用できるわけですよね。でも、介護サービスってどんなものがあるんですか?よくわからなくて…。

では、ここからは在宅介護サービスの代表的なものについて簡単にお伝えしましょう。他にも在宅介護サービスはいくつもあるので、詳しく知りたい場合は以下の記事もチェックしてみてくださいね。

訪問介護

訪問介護は、ご自宅の訪問ヘルパーさんが来て掃除や食事の支度などの身の回りの世話や、排泄介助、入浴介助といった介護をしてくれるサービスです。

介護サービスの対象者であるお母様に関する家事・介護しかしてもらえませんが、食品の買い物などもやってもらえるので、どうしても岩本さんやお父様の手に余るような家事をお願いするのも良いかもしれません。

訪問看護

訪問看護は、訪問介護と同じように訪問看護師さんがご自宅に来て健康管理や、薬の管理、医療ケアを提供してくれるサービスです。

健康な人には日常的な健康管理をおこない、医療的ケアが必要な人には点滴や注射といった医療処置も提供可能です。

通所介護(デイサービス)

デイサービスは、介護施設にご高齢者が通ってケアを受けるサービス。具体的には、食事、入浴、排泄介助といった身の回りの介助に加えて、レクリエーションや機能訓練なども提供します。

ご高齢者の集いの場となっているので、自宅にこもりがちな人でも自然と人との交流ができる環境です。

短期入所生活介護(ショートステイ)

ショートステイはその名の通り、介護施設に短期間宿泊できるサービスです。1日から利用でき、最長30日間連続の宿泊もできます。

利用するご高齢者も気分転換になりますし、ご家族も介護から離れてリフレッシュする時間が確保できるのが魅力。介護をするご家族が休憩するためのサービスとも言えるんです。

施設入居も検討して

在宅介護サービスっていろんなものがあるんですね。もっと早く使っておけばよかった…。

そう思っていただけたのなら良かったです!

介護は他の人に相談しにくく、一人で抱え込む方が多いんです。なので、ご紹介したようなサービスを活用して、どんどん介護のプロに頼りましょう!

ただ、もしかしたら在宅介護サービスを使っていても「介護がきつい」と感じるときが来るかもしれません。そういうときは、老人ホームなどの介護施設に入居することも検討してくださいね。

えっ、老人ホームですか?でも、私もまだまだ介護できますし…。

何より、父は「介護は家族がするもの」と口癖のように言う人です。それで母を施設に入れるなんて、父が首を縦に振るはずありません。

なるほど…。もしかしたらお父様は「施設に入れるのはかわいそう」と思っているのかもしれませんね。

でも、無理して在宅介護を続けることで、岩本さんやお父様が体調を崩してしまうこともあるかもしれません。そうなってしまっては元も子もないですよ。

介護は楽をして良いんです。むしろ岩本さんとお父様が体調を崩してお母様の介護ができなくなったら、お母様が生活できなくなってしまいますよね。

そうならないように、「在宅介護は限界かも」と感じたらすぐに施設探しを始めましょう。

うーん、そうですね…。

でも、老人ホームにもたくさんの種類があるんですよね?違いがよくわからなくて…。

でしたら、主な介護施設について簡単にお話ししていきますね。代表的な介護施設には以下のようなものがあります。

介護施設の種類

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、24時間介護職員さんが常駐しているので、トイレ介助といった夜間の介助が必要な方におすすめです。

また、日中には看護師さんも常駐しているため、インスリン注射などの医療ケアが要る場合でも入居ができます。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、訪問介護やデイサービスなどの在宅介護サービスを利用しながら生活する施設。そのため、介護サービスの組み合わせの自由度が高いのが特徴です。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、基本的には介護の必要のないご高齢者向けの住まい。中にはカラオケやフィットネスジムなど、元気に活動できる設備が整っている施設もあります。

サ高住に入居して介護サービスを使いたい場合は、在宅介護サービスの事業者と別途契約が必要になります。

グループホーム

グループホームは、認知症のご高齢者限定の施設です。少人数の「ユニット」単位で生活しており、1ユニット9名までと定められているのが特徴なんです。

ただ、「介護度が要支援2以上」「施設のある市区町村に住民票があること」などいくつか入居条件があるので、入居を希望する場合は注意が必要です。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、公的施設のため比較的、費用が安いのが特徴です。ただ、安価なためとても人気で、入居までに1年以上待つケースも。「すぐに入居したい」と思っても入居できないのがネックなんです。

そのため、特養に入居したい場合は、余裕のあるうちから入居の申込みをするのがおすすめです。

介護施設ってこんなに種類があるんですね…。

実は、ここでお話ししたのは一部だけ。詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。

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通い介護を無理して続けて起きる問題

通い介護は介護をする人にとって負担が大きいですよね。移動時間もかかりますし、頻繁に通うとなると交通費も高額になってしまいます。

それでも、無理をして通い介護を続けていくと次のような問題が起こる可能性があります。

在宅介護で虐待が起こる理由

在宅での介護で虐待が起こる一番の理由は、虐待者の介護疲れやストレスです。介護は食事・入浴・排泄の介助など、身体的に負荷がかかるものが多く、肉体的な疲労が精神的疲労にもつながりやすいものです。


さらに、高齢者の生活を支えていくには、一日の中で長時間の付き添いが必要です。そのため、介護者がゆっくりと過ごす時間が減り、自宅にこもりきりになります。


いつまで介護が続くかわからない状況で、外部との交流が減ったり、肉体的な疲れから追い詰められ、虐待に発展してしまうことも多いです。


また、介護費用がかかることや、介護に時間を使うことで収入が減り、経済的な不安から虐待につながることもあります。在宅介護は閉鎖的な環境で、一人で抱え込みがちになってしまうため注意が必要です。


「介護虐待」とか、テレビで聞いたことがあります…。

でも、虐待してしまうのって寝たきりの人を介護していたり、介護がすごく大変なケースですよね?うちの母はまだ元気ですし…。

いえ、これらの問題は介護をするすべての人に起こる可能性があります。現に、岩本さんのご実家でもお父様がお母様を介護する「老老介護」の状態になっていますよね。

老老介護は、介護をしている人も高齢のために体調を崩しやすいですし、「気がついたら介護している人が認知症になっていた」という話もあるんですよ。それくらい共倒れしやすい状況なんです。

え、父が認知症に…?

うーん、確かに父も高齢ですし、ありえないことではないですよね…。

老老介護・認認介護とは

老老介護とは

老老介護とは、高齢者が高齢者を介護している状態のことを言います。具体的には、介護する人も介護される側の人も65歳以上の高齢の場合で、さらに、共に75歳を超えている場合には「超老老介護」とも言われます。


日本では、老年人口と呼ばれる65歳以上の高齢者の割合が25%を超えてきており、完全に超高齢社会となりました。要介護者の人数が増加に伴って老老介護のケースも増えており、問題になってきています。

認認介護とは

認認介護とは、認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護している状態を言います。老老介護と同様に高齢社会に伴って増加の傾向にあります。


厚生労働省が2019年に実施した調査の結果では、介護が必要になった理由として一番多かったのは認知症であり、認知症患者の増加が認認介護が増えてきている要因となっています。


また、要介護申請をしていない人は現在800万以上いるといわれており、実態は調査結果などの数字以上に増加している可能性もあります。

不安になるようなことを言ってすいません。ただ、そういうリスクを想定して介護サービスを積極的に使ったり、少しでも異変があったらケアマネージャーなどの専門家に相談しましょう。

お母様の介護も大切ですが、岩本さんとお父様の生活が第一です。いろんなサービスを頼りながら”楽”に介護できる環境を整えてくださいね。

  • 在宅介護サービスを活用して、通い介護の負担を軽減して
  • 介護サービスを利用するときは、まず介護認定から
  • 老老介護は介護する人が認知症になって介護できなくなることも…

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