父の認知症が進行して、一人で外出すると自宅に帰って来れなくなってしまいました。先週、隣町の交番で保護されたばかりです。一人で家にいるときに出かけてしまったのですが、どうしても平日の日中は家族が家を空ける時間帯ができてしまって…。
なので、そろそろ介護施設に入居させることを検討しています。ただ、ネットで調べてみると近所だけでもいろんな種類の介護施設があるみたいで迷っています。
家のすぐ近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という施設があるようなのですが、この介護施設は認知症の父でも入居できるのでしょうか?
うーん…。正直、サ高住が認知症の方を受け入れるかどうかは施設によって大きく異なります。
入居を希望する方の認知症の状況によっては受け入れているサ高住もありますし、認知症の方を全く受け入れていないところもあるんですよ。
えっ、そうなんですか!同じ種類の施設でも、受け入れるかどうかは異なるんですね…。
もし、入居できたとしても認知症の方がサ高住で生活するのはリスクがあります。順番にお話ししていきますね。
まず、サ高住には2つのタイプがあります。それは、「一般型サービス付き高齢者向け住宅」と「介護型サービス付き高齢者向け住宅」です。
介護型サービス付き高齢者向け住宅は、正式には「特定施設入居者生活介護」と呼ばれる介護サービスです。詳しくは後でお伝えしますが、一般型よりも介護体制が整っているタイプのサ高住ですね。
対して、一般型のサ高住は介護サービスを提供していません。一般型に入居して介護サービスを利用するには、外部の介護サービス事業者と契約する必要があります。
介護施設なのに、入居しても介護サービスを提供してくれないんですか?
つまり、介護サービスを利用できないわけではないんですよね。じゃあ、父は介護サービスを利用しながら生活したら良いってことですよね。
えっ、あまりお金がかかるのは困ります。うーん、父さんの場合はどれくらいかかるんだろう?
そこは、実際の介護の量によるので施設に相談する必要があり、私からは何とも言えませんね…。
あともうひとつ、認知症の方がサ高住に入居するときに注意しておいていただきたいのは、サ高住は出入口に施錠がされていないことが多い点です。
有料老人ホームなどの認知症ケアに対応している施設では、認知症の方が一人で外出して迷子になるのを防ぐために、玄関を施錠していることがほとんど。しかし、サ高住の場合、認知症ではない方が自由に外出できるように、施錠していないことが多いんです。
そうなんですね…。となると、父がサ高住で暮らすのは難しいかもしれないですね。もし、一人で出かけてしまったら、迷子になってしまうかもしれませんから。
正直なところ、お父様の状況だと、ほとんどのサ高住で対応が難しいかもしれません。
ただ、数は少ないものの、有料老人ホーム並みに介護体制が整ったサ高住があるんです。そこであれば、お父様も安心して生活できるでしょう。
そうなんですか?そのサ高住は、他のサ高住と何が違うんでしょうか?
その介護体制が整っているサ高住というのは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」という認定を受けている施設です。「特定施設」とも呼ばれます。
この特定施設の認定を受けるためには、介護士や看護師などの人員や設備などの細かい基準をクリアしないといけません。つまり、手厚い介護をおこなうための職員や設備を整えたサ高住だけがこの「特定施設」の認定を受けられます。
以前の質問で、特定施設のサ高住について詳しくお答えしているので、そちらも参考にしてください。
へぇ!では、特定施設の認定を受けているサ高住であれば認知症の父でも入居できるんですね。
はい。特定施設であれば、認知症ケアの実績があるところも多いです。何より、看護師が常駐していたり、介護士が夜間も勤務しているので夜のトイレ誘導などにも対応してもらえるのが魅力です。
でも、介護体制が手厚いとなると、料金が高いんじゃないですか?
それが介助が必要な量が多い場合、一般的なサ高住よりも特定施設の方が費用が抑えられることがあるんですよ。
と言うのも、一般的なサ高住の介護サービス費がサービスを利用しただけの”都度払い”であるのに対して、特定施設の介護サービス費は”定額制”。つまり、介助を何度頼んでも費用は上がりません。
そうなんだ!まだ、トイレの介助が必要な状況ではないですが、今後のことを考えると特定施設の方が良いのかな。
これまでの話をまとめると、父のような認知症の人が入居できる施設は特定施設の認定を受けているサ高住ということで良いですか?
サ高住にこだわるのであればそうなります。ただ、特定施設のサ高住はかなり少ないです。もしかしたら、希望の地域にはないかもしれません。
なので、サ高住にこだわらずに他の種類の介護施設にも目を向けてみるのはどうでしょうか?
そうか、サ高住しか頭にありませんでしたが、介護施設は他にもいろいろありますよね。父が入れそうな施設というと、どんなものがありますか?
例えば、以下のような介護施設であれば、認知症の方の受け入れをしています。
有料老人ホームってさっきの話に出てきましたよね。どんな施設なんですか?
有料老人ホームは「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類あります。
住宅型有料老人ホームは、サ高住と同じように外部の在宅介護サービスを利用しながら生活する老人ホーム。認知症ケアには対応していることが多いですが、介護が必要な量が増えた場合、サ高住と同様、介護費用が高くなってしまう可能性があります。
一方で介護付き有料老人ホームは、有料老人ホームの中でも特定施設の認定を受けている施設。そのため、介護サービス費は定額ですし、職員の人員や設備の面で充実した介護体制が整っています。
へぇ、そうなんですね。有料老人ホームも良いかなぁ。
その次のグループホームはどんな施設ですか?
グループホームは、認知症の方だけが入居できる施設です。最大9名のユニットごとに生活しているのが特徴で、職員とご入居者の距離が近くてアットホームな雰囲気なのが特徴です。
認知症の方しか入居していないこともあり、認知症ケアに特化しています。もし、お父様が大人数よりも少人数での生活が向いているようであれば、グループホームが合っていると思いますよ。
なるほど。父は、そもそも他人と生活したことがない人ですから、もしかしたら少人数のところの方が良いのかもしれません。
最後の特別養護老人ホームというのは、「要介護3」以上の介護認定を受けた人が入れる老人ホームです。そのため、認知症はもちろん、寝たきりの状態になってもケアができる体制が整っています。また、公的な介護施設ということもあり、料金が安いのが魅力です。
ただ、料金が安いためにとても人気。入居の順番待ちが発生していることが多く、申し込みから1年以上待つこともあるんですよ。
1年以上!父の状態を考えると、そんなに待っていられません。料金が安いのはうれしいですが…。
となると、比較的に入居待ちの少ない、有料老人ホームやグループホームなどの民間施設の方が良いかもしれません。
まとめると、以下の介護施設であれば認知症のお父様も安心して生活できるでしょう。
後悔しない施設探しのためにも、じっくり検討してみてくださいね。
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