老人ホームへの入居では、思わぬトラブルが発生することもたびたびあるんですよね。今回の川崎さんのケースは入居してみないとわからないことだったと思うので、不運と言えば不運でしたね。
ただ、「不運」のひとことでは片付けられないですよね!大丈夫です、トラブル解決の道はあります!
ただし、ご自身やご家族が直接、対象の方との問題解決にあたるのではなく、まずは施設に相談して対応してもらうことが大前提です。
先日、介護付き有料老人ホームに入居中の父に会いに行ったら、「同じフロアの人でとてもうるさい人がいて困っている」と嘆いていました。
スタッフさんも良い人ばかりですし、まだ入居したばかりなので引っ越すことは考えていません。というか、そのうるさい方に引っ越してもらいたいくらいです。
とはいえ、このままの状況では父もかわいそうなので、どうにかできないでしょうか…?
老人ホームへの入居前に想定していなかったトラブルが発生するのはつらいですね。
そうしたトラブルは主に人間関係が原因になることが多いですが、どんな社会でも同じですね。未然に防ぐのが難しいのも同様です。
もちろん、何もできない…ということはありません。どうにかできます!そのために必要なのは、「職員さんへの相談」です。
つい先日のことで当日はバタバタしていたので、まだ施設の方には相談してなかったですね。
こうしたトラブルを当人同士で解決しようとすると、上手くいかなかった場合に関係性がさらに悪くなってしまう可能性が高いです。
そうすると施設での居心地が悪くなってしまって、最悪の場合、せっかく入居した老人ホームから引っ越さなければならなくなる可能性もあるんです。
それは本当に避けたいですね…。「いい介護」の相談員さんが親身に相談に乗ってくれて、ようやく見つけた理想の施設ですし。
ところで、“職員さん”といってもたくさんいらっしゃるんですが、どなたに相談するのが良いんでしょう?
最初はやはり、現場の介護スタッフでしょうね。川崎さんのお父さまのことも、またお相手の方のこともよくご存知でしょうから。
現場のスタッフさんに相談して解決しない場合は施設長さんに、それでも解決しない場合は市区町村の相談窓口へ…と、順を追っていくと良いですね。
施設内の相談窓口については、重要事項説明書に記入されていることが多いです(※記入がない施設もあります)。入居時に説明を受けたとは思いますが、念のため見直して確認してみてください。
施設に相談すると、どのような対応をしてもらえるのでしょう?
今回の川崎さんのケースですと、「トラブルの渦中にある当人同士が顔を合わせないようにする」というのが一般的でしょうね。
例えば食事やお風呂の時間をずらしたり、どちらかの居室を別のフロアに移したりもしてもらえるかもしれませんね。
施設の職員さん以外にも相談できるところがあるんですね。
施設によっては、いわゆる“自浄作用”がないところも、残念ながらあるんです。その場合、施設の職員さんに相談しても解決する見込みは薄いので、第三者機関に頼った方が良いんです。
そうした場合は、「3」以降の各種第三者機関に相談することも視野に入ってきます。
確かに…施設に相談してトラブルが改善しないとなると、それは施設側の対応にも問題あり、とも考えられますもんね。
おっしゃる通りです。特に「4」の国民健康保険団体連合会、通称「国保連」は、介護保険法の第176条第1項第3号の規定によって、“介護サービス等の質の向上を目的とした指導や助言を行う”と定義されていて、強い強制力をもった機関である、とお考えいただいて結構です。
直接的に施設に相談するよりも時間はかかりますが、こうした方法もある、ということを覚えておいて損はないですよ。
ちなみに、今後のためにも聞いておきたいのですが、今回のケース以外でトラブルになりそうなことって、他にどんなことがあるのでしょうか?
老人ホームにおいて、入居者さんが巻き込まれるトラブルは大きく分けて次の3つです。
1.入居者同士のトラブル
2.契約違反によるトラブル
3.事故によるトラブル
今回の川崎さんの事例は「1」にあたるものですね。他にも、「他の入居者から仲間外れにされたり、陰口を叩かれたりする」「恋愛関係のもつれや三角関係が発生する」「認知症の方の症状(暴力や暴言など)に悩まされる」といったことが考えられます。
恋愛関係…とは意外ですね。
これが意外と多いんですよ。入居者同士での恋愛に発展して、結婚までして、さぁ相続はどうする!?みたいな問題に発展したケースもあるくらいですから。
ただ、恋愛感情が生きる気力になって長生きする…といったこともあるので、一概に良い悪いと判断するのも難しいのですが。
今、入居している老人ホームは認知症可なので、認知症の方のトラブルも、確かに起こり得ますね。
突然、暴言をはかれたり、はたまた暴力を振るわれたり…といったトラブルは、いろんな施設で耳にする話なので、心構えはしておいた方が良いかもしれません。
そういう場合は、すぐに職員さんに相談、ですね!
その通りです!入居者同士のトラブルは特に、施設側での対処ひとつで解決に向かう場合が多いので、ぜひそうしてください!
契約違反、というのはどういうことでしょう?
契約上、例えば「入浴は週3回」とあるのに実際には週に1回しか入浴できていなかった、などですね。
施設の職員体制や設備の問題によるこうしたトラブルも、意外と多いものです。
施設内での出来事ですし、頻繁に面会に行っている方でないと気づきにくいことでもあるので、問題が発覚しにくい、という
そんなに頻繁に面会に行けるわけでもないので、普段の様子から判断するのが難しそうですね…。
そうなんです。施設内での出来事ですし、頻繁に面会に行っている方でないと気づきにくいことでもあり問題が発覚しにくい、という側面があるのが、この「契約違反によるトラブル」なんです。
他にも「食事の内容・クオリティが低くなっている」「訪問診療の回数が少なくなった」など、契約時と異なる内容になることもあり得ます。
契約書にある「1日○回」「週○回」「有料/無料」といった項目については細かく確認すると良いでしょう。
早速、次に面会に行ったときに確認してみます!
そして最後に、事故によるトラブル、です。
一番、想像したくないことですね…。
ときに命に関わることも考え得るので、確かに考えたくはありませんよね。しかし、介護サービスの大部分を人の手が担っていることを考えると、完全にゼロにするのは難しいものです。
ですので、今、川崎さんが取り得る手としては「事故が起こった際、またその後に、施設としてどのように対応するのか」という点を確認すること、ですね。
確かに。「事故は起こるもの」という前提で考えて、そのときの体制に安心感を得られるか、という点が大事になってきますね。
ここまで見ていただいて、トラブルを招かないために大切なポイントがあることにお気づきですか?
…う~ん、なんだろう?コミュニケーションを取ること、ですかね?
その通りです!
施設での過ごし方を知るためにはお父さまとのコミュニケーションが大事ですし、何かあったときにすぐに相談できる体制を取っておくためには施設職員さんとのコミュニケーションが大切ですし。また、入居者同士でのトラブルではお相手の方やそのご家族とのコミュニケーションも大事になってくると思います。
老人ホームは、入居したらひと安心…じゃなくて、入居後も安心して健康で長生きするための場所です。
そのために、必要になり得るコミュニケーションは、ご家族も積極的に取るようにしてください!
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