不安なお気持ち、わかります。確かに、定員20名に対して夜間スタッフが1人というのは、多いか少ないかと言えば、決して多いとは言えませんね。
ただし、こうした数字だけで見るのは老人ホームの選び方として正しいとは言えないかもしれません。なぜなら昨今では、マンパワーを補うためのテクノロジーも進化してきているからです。
最近のトレンドも交えて、老人ホームにおける夜間の人員体制についてご説明していきますね。
現在、母の入居を検討している老人ホームがあります。料金や立地条件などもろもろ希望通りではあるのですが、ひとつだけ気になる点が。それが、夜勤スタッフの少なさ、です。
経験豊富なスタッフさんばかりなので介護の体制自体に不安はないのですが、定員20人の老人ホームで夜勤1人というのは少なすぎる気がします…。
このまま母を入居させて良いものでしょうか…?
最初に確認なのですが、その老人ホームは介護付き有料老人ホームですか?
そうです。母は要介護3で、脳梗塞の後遺症で右半身に軽いマヒが残っているので、杖がないと歩けません。なので、特に夜間にトイレに行くときなどに転倒しちゃったりしないか心配で…。
それは確かに心配ですね。介護付き有料老人ホームであれば、日中はもっと多くの介護スタッフが常駐しているでしょうから、その点は安心ですね。
法律的な観点では、入居者20人に対して夜勤スタッフが1人というのは違法ではありませんし、もっと厳しい環境の施設であれば入居者30人に対して夜勤スタッフ1人、という施設も珍しくないくらいです。
もっと少ないところもあるんですか!?
どの施設も人手不足…ということもあるんですが、最近ではテクノロジーの進化もあって、人手を必要としない運用方法も浸透してきているから、ということでもあるんですよ。
例えば、ベッドのマットレスに設置する「離床センサー」や、ベッドサイドに置く「センサーマット」などを用いて、見守りを強化しているホームも増えてきました。
スタッフが部屋やフロアを見回らなくても、センサーをモニタリングするだけで入居者さんの様子を確認できるようになっているんです。
風間さんが不安な「夜間にトイレに行くときの不安」も、こうしたセンサーがあればある程度は解消するのではないでしょうか。
そういえば、介護ロボットの話題なんかも、たまにテレビで見かけますね。
おっしゃる通りです。IoT機器や介護ロボットを活用して夜間の見守りを強化している老人ホームも増えてきている…というのが、昨今の介護業界事情なんですよ。
ということは、“人員体制”という言葉だけで判断しない方が良い、ということですね。
はい、それもおっしゃる通りです(笑)。
ホームページやパンフレットに書かれている文字面だけでは判断できないので、そうした不安があるようでしたら見学時などに施設に聞いてみてください。
ちなみに、介護付き有料老人ホームは人員配置基準「3:1」と聞いているんですが、これは夜間には適用されないということなんでしょうか?
夜間に適用されない…というよりも、“常勤換算で”3:1の割合を満たしている必要がある、ということですね。1日8時間、週にすると40時間勤務するという常勤換算で、常にその割合でスタッフがいるわけではありません。
24時間、常に3:1を保っている必要はないので、入居者の皆さんが寝ていて日中ほど介護の仕事が発生しない夜間に人を割り当てないのも当然と言えば当然、ということになりますね。
なるほど…理解しました。ただ、頭では理解するものの、やはり「1人」というところへの不安は拭いきれないかもしれません…。
そうですね。夜間・日中を問わずの話になりますが、1人しかスタッフがいないときに心配なのが緊急時対応だと思います。
入居者の皆さんはご高齢ということもありますし、体調が急変することもあるでしょう。そうした緊急時には、救急搬送の判断や、場合によっては心臓マッサージなどの蘇生処置が必要になることもあるなど、一刻を争う事態も起こり得ますからね。
母も、高血圧があって一度、脳梗塞をしているので、そこが心配なんですよね。
厚生労働省が出している「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」にも、「入居者の実態に即し、夜間の介護、緊急時に対応できる数の職員を配置すること」とあります。
そのために、緊急時には医師や看護師に電話連絡をして指示を仰いだり、すぐに駆けつけてもらえる「オンコール体制」を取っているホームがほとんどです。
風間さんのお母さまが入居を見当していらっしゃる施設にもそうした体制があるのかどうか、聞いてみてみると安心につながると思いますよ。
次に面談するときに、きちんと確認しておきます!ありがとうございました!!
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