突然のことで、戸惑いも大きかったと思います。「ホスピス」という言葉、最近はよく耳にしますが、実際にはいくつかの形があって少しわかりづらいんです。
まずは、“どんな場所なのか”を整理するところから始めてみましょうか。
まず、病院の「緩和ケア病棟」というのは、末期がんや難病の方の痛みや苦しさを和らげる医療を行う専門病棟です。治療というよりも、“その人ができる限り穏やかに過ごす”ことを目的にしています。
医師や看護師が常駐しているので医療的な安心感はありますが、入院期間が限られていたり、状態が落ち着くと退院を勧められることもあります。
そうなんですね。私はてっきり、ホスピスってそういう病棟のことかと思っていました。
実はそれも間違いではないんです。もともと「ホスピス」というのは、“人生の最期の時間を穏やかに過ごすための場所”を指していて、緩和ケア病棟もそのひとつの形なんです。
ただ、最近ではもうひとつ、“住まいの形”としてのホスピスも増えています。それがホスピスの機能をもった老人ホームです。
ホスピスであり老人ホームでもある……って、なんだか少し不思議な感じです。病院じゃないんですか?
はい。医療機関ではなく、あくまで“暮らしの場”として作られた施設なんです。
でも、24時間看護師が常駐していたり、提携している医療機関の医師が定期的に往診してくれたりと、医療的なサポート体制は整っています。
痛みのコントロールや酸素吸入など、在宅では難しいケアにも対応できる場合が多いですね。
病院のように医療スタッフがいて、でも自宅のように過ごせる場所なんですね。
そうです。ですから、お父さまのように「できるだけ苦しまず、穏やかに過ごしたい」という方には、非常に向いています。
生活の延長線上で最期の時間を大切に過ごせる——そんな特徴があるのが老人ホームの機能を持ったホスピスなんです。
でも、老人ホームでも看護師さんがいるところはありますよね?何が一番違うんでしょうか?
たしかに介護付き有料老人ホームなどにも看護師がいますが、基本的には「介護」を中心としたサポートです。
医療行為に対応できる範囲が限られており、夜間は看護師がいなかったり、痛みが強くなった場合に対応できないこともあります。
対してホスピス機能をもった老人ホームは、“看取り”を前提にしています。
最後まで痛みのコントロールをしながら、本人が望む形で最期を迎えられるように支援してくれるんです。
「最期まで」を前提にしている……。言葉の重みがありますね。
父も「病院は嫌だ」と言っていたので、そういう場所があると少し安心します。
そうおっしゃる方も実際に多いですね。
ホスピス住宅では、医療と介護のスタッフがチームになって支えるので、入居後に状態が変わっても、最後まで同じ場所で過ごせるケースがほとんどです。
ご家族にとっても、「病院に呼び出される」より「いつでも会いに行ける」ほうが、ずっと自然ですよね。
確かに……。ただ、父のように余命が短い場合、すぐ入れるものなんでしょうか?
地域によってはすぐに空きが見つからないこともあります。また、医療依存度の高い方を受け入れるため、入居時に医師の診断書や紹介状が必要な場合も多いです。
でも、「まだ早いかも」と思っても、早めに情報を集めておくことが何より大切です。
どんな医療処置を受けているか、どの程度の介護が必要か——その情報を整理しておくだけでも、選択肢が広がりますよ。
なるほど。実はまだ主治医と今後の方針について話し合えていないんです。早めに相談しておいた方がいいですね。
そうですね。主治医や訪問看護師にも、どんな施設なら合うかを一緒に考えてもらうと安心です。
そして、施設の見学にもできれば早いうちに行ってみてください。雰囲気やスタッフの関わり方を見ると、「ここなら!」と感じられる場所がきっと見つかると思いますよ。
また、「いい介護」にご相談いただければ、ご希望の地域や条件でホスピスをお探しすることも可能です。ぜひご連絡ください!
ホスピス住宅の費用はどのくらいかかるんでしょう?病院より高いですか?
月額でいうと20〜40万円前後が多いですね。
家賃や食費、生活支援費などに加え、医療保険・介護保険が適用される部分もあります。病院と違い、“生活の場”としての費用構成になっているのが特徴です。ただその分、生活の自由度が高いんですよ。
面会制限が少なく、好きな音楽を流したり、好きなものを食べたり。ご本人らしさを尊重できるのは、大きな違いです。
父も「好きなジャズを聴きながら過ごしたい」とよく言っていました。そういう願いが叶えられる場所なんですね。
ホスピスは“命を支える”場所であると同時に、“生きることを支える”場所なんです。
その人が大切にしてきた時間や習慣を、最期まで守れるように——スタッフ全員で寄り添ってくれるはずです。
今日お話を聞いて、少し気持ちが整理できました。父と、どんなふうに過ごしたいか改めて話してみようと思います。
それが一番の第一歩ですね。
ホスピスを選ぶときに大切なのは、ご本人の意思です。「静かに過ごしたい」「家族に囲まれていたい」——その思いを大切に、施設を選ぶことが後悔のない選択につながります。焦らず、一緒に考えていきましょう。
お父さまにとっても、真理さんにとっても、穏やかな時間が続くようにお手伝いしますので、「いい介護」にもいつでもご相談くださいね!
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