老人ホームに入りたいのに「認知症だから入居拒否」と言われました。どうしたらいいですか?

老人ホームに入りたいのに「認知症だから入居拒否」と言われました。どうしたらいいですか?

更新日 2026/01/16
母(79歳)が認知症の診断を受けていて、最近は物忘れだけでなく、夕方になると不安定になって怒りっぽくなることもあります。同居している私も限界が近く、老人ホームを探し始めました。

ただ、何件か問い合わせたところ、「認知症の方は難しいかもしれません」「症状が進んでいると入居は厳しいです」「医療体制的に受け入れができません」と言われてしまい、正直ショックでした…。

認知症だと入居拒否されることって普通なんでしょうか? もし断られた場合、どう動けばいいのか、具体的に教えてください。

(田中さん・パート・55歳)

お母さまの介護を続けながら施設探しをするのは、本当に心身ともに消耗しますよね…。

まず結論からお伝えすると、「認知症=必ず入居拒否」ではありません。ただし老人ホームにもいろいろな種類があり、施設側が「安全にお預かりできない」と判断すると、結果として“お断り”になってしまうケースはあります。

大事なのは、「なぜ断られたのか(理由)」「どのタイプの老人ホームなら合うのか」「入居までに何を整えておくと通りやすいのか」の3点を押さえて探し方を変えることです。

今日はここを、田中さんと一緒に整理しながら進めていきましょう。

認知症で「入居拒否」と言われるのはなぜ?

まず知っておいていただきたいのが、施設が断るときって、意地悪で言っているわけではなくて、「この施設の体制では責任をもって受け入れられない」という判断であることが多いんです。

そうなんですか?

施設側には“受け入れ条件”があって、認知症の症状の内容によっては対応が難しくなることがあるんですね。

よくある理由を整理すると、主にこのあたりです。

  • 徘徊のリスクが高い
  • 暴言・暴力が出ている(頻度が高い)
  • 夜間の不眠・せん妄が強い
  • 医療行為が必要(インスリン、胃ろう等)
  • 他入居者とのトラブルが起きやすい
  • 受け入れ可能な職員配置になっていない

たしかに…母も夕方に怒りっぽくなって、外に出ようとすることがあります。

そういう状態だと、施設としては「職員数が少ない時間帯に対応しきれないかも」と不安になるんです。

つまり“拒否”ではなく、“体制の相性が合わない”ということなんですね。

「老人ホーム」とひとくちに言っても、認知症の受け入れに強い/弱いがある

ここがとても重要なのですが、老人ホームと一言で言っても“得意分野”が全然違います。

たとえば、認知症の方の受け入れに強い施設として代表的なのがこちらです。

逆に「条件次第では難しい」と言われやすいのがこちらです

  • 住宅型有料老人ホーム(介護は外部サービス頼み)
  • 一般型のサ高住(見守り中心)
  • 自立〜軽介護が中心の施設

なるほど…。私は「施設ならどこも介護してくれる」と思ってました。

そう思われる方も多いです。でも実際には“介護の手厚さ”が施設によって違うので、認知症の状態に合った場所を選ぶのが、入居成功のカギになります。

施設から断られたとき、まず確認すべき「断られた理由」

北野さん、断られた時って、どう聞けばいいんでしょう…。なんかこっちもショックで…。

それは当然の気持ちです。ただ、ここで一歩だけ踏ん張って、次の一言を確認してみてください。

「ちなみに、今回はどの点が懸念でしたか?改善できれば再検討は可能ですか?」

なるほど…“改善できるか”も聞くんですね。

これを聞くだけで、次の選択肢が見えるんです。たとえば施設側の返答は、よくこう分かれます。

  • 「徘徊があるので難しい」→施錠・見守り体制が強い施設へ
  • 「暴力があるので難しい」→精神科や認知症治療の調整が先/受け入れ経験が豊富な施設へ
  • 「医療処置が必要なので難しい」→医療対応型施設 or 看護師常駐施設へ
  • 「今は満床で…」→待機リストに入れる/別施設へ並行

断られた理由によって、やるべきことが変わるんですね。

その通りです。「認知症だからダメ」ではなく、“何が課題なのか”を分解すると、進みやすくなります。

認知症の入居拒否を減らすために「事前に整えておくと強い情報」

もう一つ大事なのが、施設へ相談するときに伝える情報です。

何を伝えればいいんでしょう?

おすすめは、この4点をあらかじめメモにしておくことです。

  • 要介護度(要支援/要介護1〜5)
  • 認知症の診断名と症状(物忘れ、夜間不穏、徘徊など)
  • できること・できないこと(排泄、食事、服薬管理)
  • 医療面(持病、服薬、通院状況)

たしかに、聞かれてもその場で全部答えられないかも…。

焦ると整理できませんよね。ただ施設側は「この方を安全に受け入れられるか」を判断するために、情報が必要なんです。

特に認知症の場合は、こんなことも聞かれやすいです。

  • 夕方〜夜に症状が強くなるか(夕暮れ症候群)
  • 転倒リスクが高いか
  • 大声、暴言、手が出ることがあるか
  • お風呂や着替えを嫌がるか

うちは…夕方がちょっと大変です。

それも正直に伝えて大丈夫です。ただそのうえで、「その時どう対応すると落ち着くか」まで伝えられると、受け入れされやすくなりますよ。

たとえば、「好きな飲み物を出すと落ち着く」「音楽を流すと穏やかになる」「女性職員のほうが安心する」などですね。

なるほど…“困ってます”だけじゃなくて、“どうすれば落ち着くか”も伝えるんですね。

はい、施設側もイメージしやすくなるので、検討がスムーズになります。

入居拒否されやすい“状態”でも、受け入れ先が見つかるケースは多い

正直、母の状態で入れるところってあるんでしょうか。

あります。大丈夫です。

ただし、探し方を「合う施設に切り替える」必要があります。認知症の方で受け入れ先が見つかるケースは、たとえばこんなパターンです。

  • 徘徊がある→フロアが広く、安全に歩ける動線がある施設/見守りセンサーなど導入している施設
  • 夜間に不穏・不眠がある→夜勤体制が手厚い施設/看護師がいる・医療機関連携が強い施設
  • 暴言・暴力が出る→まずは主治医や精神科で薬の調整/そのうえで受け入れ実績が豊富な施設
  • 認知症が進行している→介護付き有料老人ホームや特養など/介護スタッフが常駐している施設

「状態が悪い=無理」じゃなくて、「施設の向き不向き」なんですね。

「グループホームなら安心」と思いきや、注意点もある

認知症ならグループホームがいいって聞いたことがあります。

グループホームは認知症ケアに特化していて、とても良い選択肢です。

ただし、田中さんには注意点もお伝えしておきたいです。

  • 医療対応は手厚くない場合がある
  • 重度化すると退去になるケースもある
  • 空きが少なく待機になりやすい
  • 共同生活が合わない人もいる

えっ…退去になることもあるんですか?

可能性はゼロではありません。

たとえば医療依存度が上がったり、症状が強くなって共同生活が難しくなると、施設側が対応しきれなくなることもあるんです。

なるほど…。入ったら終わりじゃないんですね…。

「今合うか」だけでなく「今後どうなるか」も一緒に見ておくと、施設選びの失敗が減りますよ。

認知症の入居拒否が続くときは「医療・介護の調整」を同時に進める

施設探しが進まないと、家での介護がしんどくて…。

はい…ここは本当に重要な話です。施設探しだけを頑張ってしまうと、田中さんが倒れてしまいます。

入居拒否が続くときは、並行してこういう手段も使ってください。

ショートステイ、実は気になってました!

選択肢のひとつとして、とても良いですよ。「いきなり入居」じゃなくても、ショートステイで慣れていくと、施設側も状態が掴みやすくなります。

それなら母も受け入れやすいかもしれませんね!

はい。“家族も本人も慣れる時間を作る”のは、認知症介護ではとても効果的です。

どうしても急ぐなら「入居までのつなぎ方」を作っておこう

現実問題として…仕事もあるし、母の状態も悪化してるし、早く決めたいです。

そこも大事ですよね。“早く入れる施設”を探すこと自体は悪くありません。

ただ、焦るほどミスマッチも起きやすいので、私はこう提案したいです。「本命の施設探し」と「つなぎの手段」を並行しましょう。

つなぎ…ですか?

たとえば、「まずはショートステイを確保する」「デイサービスの回数を増やす」「訪問介護を追加する」「夜間がきついなら夜間対応型のサービスも検討する」といった感じですね。

こうして「今日・今週を乗り切る仕組み」を作るんです。

確かに…“探している間”がいちばんつらいです…。

入居先が決まるまでの期間をどう支えるかが、家族にとって最大の課題になります。

では後に、“施設への伝え方”のコツをお伝えしますね。

ぜひお願いします!

認知症の方の場合、施設が知りたいのは「困っている」よりも“どんな時に、何が起きるか”です。

だから、こういう言い方が伝わりやすいです。

  • 「最近すごく大変で…」→「夕方16〜19時に不穏が出やすく、外に出ようとします」
  • 「たまに怒るんです」→「否定すると怒るので、共感して声かけすると落ち着きます」

なるほど…“再現できる情報”が大事なんですね!

その通りです。施設は「受け入れ後の生活」をイメージできるほど、検討しやすくなりますよ。

  • 認知症=入居拒否ではなく、施設との相性(体制)の問題が多い
  • 断られた理由を確認し、合う老人ホームの種類へ切り替えるのが近道
  • 症状・医療面・できることを整理して伝えると受け入れされやすい
  • ショートステイや医療調整を使いながら“入居までのつなぎ”も同時に作る

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