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認知症介護

認知症 認知症介護 介護認定

認知症だけど身体は元気な母親。介護認定は下りない?

最近、母が認知症の診断を受けたのですが、それ以来、どんどん症状が進行しています。物忘れがひどくなったり、夜中に起き出して大声で叫んだりします。しかも、つい先日、1人で外出して帰れなくなって警察に保護されました。 こんな状況で、家族だけの介護はもう限界。なので、介護認定を受けて介護サービスを利用しようと思っています。ただ母は、身体は元気なんです。杖なしで歩けるし、ある程度、自分のことは自分でできます。 身体が元気だったら、介護認定は受けられないですよね?家族で介護するしかないんでしょうか? (篠原さん・パート・63歳) そんなことありませんよ!お身体が元気でも認知症であれば、介護認定が下りることは多いんです。お身体が元気な方でも、認知症の状態によっては要介護3が下りることもあります。ただ、その方の心身の状態を総合的に考えて要介護度は決定されるので、お母様の要介護度がどうなるか、はっきりとしたことはお伝えできません。もし、介護認定の結果に納得できなかった場合は、「区分変更」の申請をすることをおすすめします。その際に主治医の意見書が必要なので、主治医に認定結果に不満があることを伝えて、より実情に合った意見書を作成してもらえるようにお願いしましょう。 認知症だけど身体は元気。介護認定は下りる? 最近、検査をして母親が認知症ということがわかりました。それ以降、どんどん症状がひどくなっているような気がして…。つい先日は、1人で外出して帰れなくなり、警察に保護されてしまいました。それに夜中には大声で騒ぐので、私も夫もまともに寝られていません。こんな状況なので、家族だけの介護はもう難しいと感じていて…。介護サービスを使いたくても、介護認定が必要なんですよね?となると、母は身体だけはとても元気なので介護認定は下りないんじゃないかと思って…。どうなんでしょうか? そんなことはありませんよ!お身体が元気でも、認知症の診断が下りていれば、介護認定を受けられるケースが多いです。特に、認知症が進行していると、お身体が元気でも介助が必要な場面が出てくると思います。介助が必要な方であれば、介護認定が受けられるでしょう。 そうなんですね!母は、入浴やトイレの付き添いが必要です。身体は元気なんですけど、認知症のせいか、身体を洗ったりトイレを流すことを忘れるようになってしまって。なので、付き添って手伝ったり声をかけないといけないんです。…ちなみに、うちの母の場合、介護度はいくつになりそうでしょうか? うーん…。介護認定は、その方の心身の状態を総合的に見て判断されます。そのため、一概には言えませんね。過去の例を挙げると、認知症だけで要介護3の認定を受けた方もいらっしゃいます。要介護3というと、終身利用が多い特別養護老人ホームに入居できる状態。一般的に、ご家庭での介護は難しいと言われています。 要介護度の目安は? 母に介護認定が下りそうで安心しました。介護認定って、その人の状態に合わせて「要介護1」とか「要介護3」とかの認定が下りるんですよね? そうです!介護認定は、「要支援1」「要支援2」と「要介護1」から「要介護5」までの合わせて7段階で判定されます。 7段階もあるんですね!介護度ごとの身体状態のイメージがつかないのですが、介護度の目安ってありますか? ありますよ。介護度の目安を以下の表にまとめました。参考にしてみてください。 要介護度要介護認定の目安状態の目安となる具体例自立支援が必要ない状態。一人で支障なく日常生活を送れる要支援1基本的に一人で生活ができるが、家事などの支援が必要。適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。掃除や身の回りのことの一部において、見守りや手助けが必要。要支援2基本的に一人で生活ができるが、要支援1と比べ、支援を必要とする範囲が広い。適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。身だしなみを自分だけでは整えられない、立ち上がりや歩行などでふらつく、入浴で背中が洗えないなど支援が必要な場面がある。要介護1基本的に日常生活は自分で送れるが、要支援2よりも身体能力や思考力の低下がみられ、日常的に介助を必要とする。排泄や入浴時に見守りや介助が必要。認知機能の低下がみられる。要介護2食事、排泄などは自分でできるが、生活全般で見守りや介助が必要。自力での立ち上がりや歩行が困難。爪切り、着替えなどにも介助が必要。「薬を飲むのを忘れる」「食事をしたことを忘れる」などの認知症初期症状がみられる。問題行動をとる場合もある。要介護3日常生活にほぼ全面的な介助が必要。食事、着替え、排せつ、歯みがきなど、日常生活において基本的に介助を必要。認知機能の低下によって問題行動をとる場合もある。要介護4介助がなければ日常生活を送れない。排せつ、食事、入浴、着替えなどすべてにおいて介助が必要。思考力の低下もみられ、認知症の諸症状への対応も必要になることもある。要介護5介助なしに日常生活を送れない。コミュニケーションをとることが難しく、基本的に寝たきりの状態。日常生活全般が自分でおこなえないため、寝返りやオムツの交換、食事などのすべてで介助が必要。会話などの意思疎通も困難。 介護認定の基準は? 介護認定の判定は、どういう基準でされているんでしょうか? その方の身体や認知機能の状況に加えて、「要介護認定基準時間」というものも考慮されます。要介護認定基準時間とは、1日あたりの介護にかかる時間のこと。つまり、介護にかかる時間が長ければ長いほど、要介護度が上がっていくわけですね。その方の心身の状況をふまえて総合的に判断するので、「要介護認定基準時間」はあくまでもひとつの目安ですが、参考になるかもしれません。 介護認定 要介護認定基準時間 自立(非該当) 25分未満 要支援1 25分以上32分未満 要支援2 32分以上50分未満 要介護1 要介護2 50分以上70分未満 要介護3 70分以上90分未満 要介護4 90分以上110分未満 要介護5 110分以上 介護認定の流れ さっそく、母の介護認定を受けようと思います!まずはじめに何をすれば良いんですか? まずは、お住まいの役所などで介護認定の申請をおこないましょう。役所には「高齢者福祉課」「介護保険課」といった名前の窓口があるはずです。名称は地域によって異なりますが、高齢者の生活や介護サービスに関する窓口なので、この窓口に相談すれば介護認定の申請ができるでしょう。 まずは申請ですね。その後は? その後は、お母様の現状を知るための調査が始まります。申請の後の流れは以下のようになります。 いくつか段階を踏まないといけないんですね。申請から認定結果が出るまでは、どのくらいの期間がかかりますか? だいたい1~1ヵ月半ほどかかります。もし、その期間内に介護サービスを利用したい場合は、役所の窓口で相談しておきましょう。 介護認定を受けるときの注意 介護認定を受けるときに、注意しておいていただきたいことがあります。 注意すること?何でしょうか? それは訪問調査です。訪問調査は、ケアマネジャーなどの認定調査員がご自宅に訪問してお母様の状態を調べるもの。この調査で、お母様の心身の状態を確認して、どの程度、介護が必要なのかを判断します。主治医の意見書も判定に影響がありますが、もっとも影響が大きいのが訪問調査。つまり、訪問調査でお母様の状況をしっかり伝えられないと、実情とは異なる介護度が出てしまう可能性も…。 えっ、そうなんですか!? よくあるのは、認定を受けるご高齢者が認定調査で”がんばって”しまって、実際の心身状況よりも軽い介護度が出てしまうケースです。 「がんばってしまう」?どういうことですか? 訪問調査では、認定調査員から「片足立ちができるか」「外出頻度はどれくらいか」「金銭管理ができるか」といった内容を聞かれます。もちろん、実際にその動作をしてできるかどうかの確認をされることもあります。ただ、このときになんでも「できます」と答えてしまうことも。できないと認めたくない気持ちや、初対面の認定調査員に「できない」と伝えるのが恥ずかしくて「できます」と言ってしまうんですね。 なるほど…。うちの母も見栄を張って「できます」と答えそうです。 それに、認知症の方は普段と状況が変わると意識がはっきりすることもあります。めったに会わない人や初対面の人を前にすると、ハキハキと話せることも…。なので、認知症の方が認定調査のときには普段よりもはっきり受け答えができる、ということもよく聞くケースです。 確かに。母もたまにしか会わない知人がやってきたときは、認知症になる前のようにはっきり会話ができることが多いです。 そうなんですね…。認定調査のときだけ元気となると、介護度が普段の状態よりも軽く判定されてしまい、利用できる介護サービスの量が減ってしまうこともあるんです。 それは困ります!どうしたら良いんでしょうか? 第一に、認定調査にご家族が同席すること。特に中心となって介護をしている方が同席するのがおすすめです。お母様の状態をよく把握していらっしゃると思うので。 となると、私ですね。どうして認定調査に同席するのが良いのでしょうか? お母様の普段の状況を認定調査員に伝えられるからです。もしお母様が張り切ってしまったとしても、篠原さんから普段の様子や介護で困っていることを伝えられますよね。 母の受け答えだけで、介護度の判断をするわけではないんですね! もちろんです。普段の様子を明確に認定調査員に伝えるために、事前にメモをしておくのがおすすめです。伝え漏れを防げますし、メモを認定調査員に手渡すこともできますから。また、お母様の目の前で、介護で困っていることを伝えるとお母様の自尊心を傷つけてしまう可能性があります。なので、お母様がいないところで伝えるようにしましょう。 介護認定の結果に納得できなかったら 介護度が実際よりも低く出ることがあると知って、うまく認定を受けられるのか不安になってきました…。もし、介護認定の結果が想定よりも低かったら、どうしたら良いんでしょう? 介護度が実際よりも低い結果になってしまっても、介護認定のやり直しができるので安心してください! そうなんですね!よかった。介護認定のやり直しは、どうやってするんでしょうか? 介護認定をやり直すには2つの方法があります。「審査請求(不服申し立て)」と「区分変更」です。ただ、審査請求は申請から数ヵ月かかることも珍しくありません。その一方で区分変更であれば、1ヵ月前後で結果がわかります。そのため、大半の方は区分変更をしていますね。 それなら区分変更を選びますよね。区分変更はどうやってするんですか? 区分変更の流れは、ほとんど介護認定と同じです。1点、最初の介護認定の申請が区分変更に変わるだけ。介護認定と同じく、お住まいの役所の窓口で申請ができます。 介護認定と同じであれば、手続きの流れは問題なさそうです。 ちなみに、介護認定と同様に区分変更にも、かかりつけ医の意見書が必要です。かかりつけ医に実際よりも低い介護度が出てしまったことを伝えれば、より実情に合った結果になるような意見書を作成してくれるでしょう。介護認定のやり直しについては、以前のご質問でもお答えしているので参考にしてみてください。 認知症の人が利用できる介護サービス 介護認定を受ければ、介護サービスが利用できるようになりますし、篠原さんご家族の負担が軽くなると思いますよ。 それは本当に助かります!今は、常に気を抜けない状況なので、気が休まらなくて…。ちなみに、認知症であるうちの母の場合、どんな介護サービスが利用できるんでしょうか? いろんな介護サービスを利用できますよ!介護サービスには、大きく分けて「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」の2種類がありますから、それぞれについてお話ししていきますね。 在宅サービス 在宅介護サービスには、以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 福祉用具レンタル 介護リフォーム こんなにたくさんの種類があるんですね!どのサービスを使ったら良いんでしょうか? 先ほど、「気が休まらない」とおっしゃってましたよね。なので、デイサービスを利用するのはどうでしょうか?デイサービスは、日中の時間帯に介護施設を利用するサービス。デイサービスで昼食や入浴、レクリエーションなどを提供してくれます。週に数回だけでも、お母様が介護施設で過ごしてくれれば、気が休まる時間を作れるのではないでしょうか。 それは良いですね!利用したいです。 また、ショートステイも良いかもしれません。ショートステイは、介護施設に1日から宿泊できるサービス。宿泊中の食事や入浴はもちろん、レクリエーションやリハビリなどを提供しているところもあります。ショートステイは最大30日まで利用できるので、ご家族が家を空ける場合にも安心してお母様を任せられるんです。 なるほど、そんなサービスがあるんですね。介護認定が下りたら利用してみようかな。 施設介護サービス 施設介護サービスは、以下の3種類の公的施設に入居することで受けられるサービスのことです。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 介護医療院 この3つの施設は、介護が必要な方向けのため、要介護1もしくは要介護3以上の介護認定が下りていないと入居できません。公的施設の特徴は、以下の表にまとめたので確認してみてください。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ特別養護老人ホーム(特養)0円8~14万円要介護3以上○介護老人保健施設(老健)0円7~14万円要介護1以上○介護医療院0円7~14万円要介護1以上○養護老人ホーム0円0~14万円自立×ケアハウス0~数十万円6~17万円自立~要介護3程度△ このなかでも、終身利用が可能な特別養護老人ホームは人気で、入居まで数年待つこともあるくらいなんです。 そんなに待つんですか!介護施設ってすぐに入りたいと思っても入れるものじゃないんですね。 いえ、公的施設ではなく民間施設であれば、比較的早めに入居できますよ。 民間施設?というと、どんな施設なんですか? 民間施設には、以下の4種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 介護施設にも、いろんな種類があるんですね。 そうなんです。民間施設のなかにも入居条件が設定されていることがあるので、施設の特徴を以下の表にまとめました。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ介護付き有料老人ホーム0~数千万円15~30万円自立~要介護5○住宅型有料老人ホーム0~数千万円11~25万円自立~要介護3程度△サービス付き高齢者向け住宅0~数十万円11~25万円自立~要介護1程度△グループホーム0~数十万円10~15万円要支援2以上◎ グループホームという施設は、認知症の受け入れが「◎」になっていますね。どういう施設なんですか? グループホームは、認知症の方限定で介護施設のなかでも認知症ケアに特化している施設なんです。小規模でアットホームな雰囲気が合うのであれば、お母様が入居する施設の候補に挙げても良いかもしれません。認知症の方のなかでも、お身体が元気な方が多く暮らしている施設ですから。 それは良いですね!母に合いそうです。介護サービスを利用できるのは、身体が不自由で介護が必要な人だけだと思っていました。母の要介護度がいくつになるかはわかりませんが、まずは介護認定の申請をしてきます。 身体が元気でも、認知症なら介護認定は下りる! 要介護度は要支援1~要介護5の7段階 認定調査の前に、普段の様子をメモに残しておこう! pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/08/14

施設入居 認知症介護 特別養護老人ホーム

特養の入所を一度断ったら、もう入所はできなくなりますか?母親がかわいそうになって入所させるのをためらっています

母親を特別養護老人ホーム(特養)に入所させるかどうか迷っています。先日、母の介護度が要介護3に上がったので特養の見学をして、これから順番待ちの申し込みをしようと思っています。ただ、そのことを叔母に話したところ「施設に入れるなんてかわいそう!」と言われてしまって…。 叔母に言われたことで、私ももうしばらく自宅で介護を続けた方が良いのかと迷っています。幸い、私の妻も介護を手伝ってくれるので、まだ在宅介護でも大丈夫かなとも思っています。 一度入所の順番が回ってきたときに断ったら、入所はできなくなってしまうんでしょうか? (伊東さん・会社員・63歳) 自治体によって異なりますが、一度入所を断ったからといって入所ができなくなることはまずないですよ。ただ、いつ空室が出るかわからないので、次に声がかかるかもわかりません。100人以上順番待ちが出ている施設もありますから、1年後になる可能性もあります。そうなると、お母様の身体状況が変わってより介護の負担が大きくなることも。要介護3以上となると在宅介護が難しくなるタイミングですので、「まだ大丈夫」と思わずに無理をしないで済む選択をしてくださいね。 特養の入所を一度断ったら、もう入所できなくなる? 母が要介護3に上がったので、特養の入所の申し込みをしようか悩んでいます。その話を叔母にしたら、「施設に入れるなんてかわいそう!」と言われて…。私も妻も仕事をしながら母の介護をしていて大変なので申し込みをしようと考えていたのですが、そう言われると迷ってしまって…。なので、特養に入所させるのはもう少し待ってみても良いのかなと思っています。もし、順番が回ってきたときに、断ったらもう入所はできなくなってしまうのでしょうか? 自治体によって対応が異なりますが、多くの場合は一度断ったからといって二度と入所できなくなることはないですよ。「今回は見送ります」と伝えれば、次に空室ができたときに再び声をかけてもらえるはずです。 よかった!それを聞いて安心しました。 ただ、気をつけていただきたいのは、次に順番が回ってくるのがいつになるかわからない点です。すぐの場合もあれば、1年後になる可能性もあるんです。 1年後…。そこまで在宅介護を続けられるかな…。 今後、介護の負担がより大きくなることも考えられますから、断るかどうかよく考えてくださいね。 特養の入所の順番は申し込み順ではない? 見学に行った特養は、何十人も入所の順番待ちをしている人がいるそうです。もし今、申し込みをしたら、どれくらい待つことになるんでしょうか? 正直なところ、まったくわかりません。というのも、特養の入所の順番は申し込み順ではなくて緊急度をもとに決められているからです。 緊急度、ですか? 緊急度とは、「本人の状況」「介護者の状況」「個別評価」という3つの観点から判断されるもの。つまり、介護の状況が逼迫している人が優先的に入所できるようになっているんです。施設や自治体によって判断基準が少しずつ異なるので、例として北九州市の判断基準をご紹介します。 本人の状況 項目 配点 説明 要介護度 要介護1 20点 申し込み時の要介護認定が1である場合 要介護2 40点 申し込み時の要介護認定が2である場合 要介護3 60点 申し込み時の要介護認定が3である場合 要介護4 80点 申し込み時の要介護認定が4である場合 要介護5 100点 申し込み時の要介護認定が5である場合 特別な状況 排泄 10点 介護者が、オムツや尿とりパットの交換などの介助を要する場合に限る 摂食 10点 食事中に介助を要する場合に限る 徘徊 15点 当てもないのに外へ出かけてしまう、自宅や施設などでひっきりなしに歩き回ったりする行動がある場合に限る 暴力などの問題行動 15点 介護者が話しかけたり、介護をおこなう際に、手で払いのける、足で蹴る、たたくなど、介護の支障となる行動を取る場合に限る 非該当 0点 上記の特別な事情のいずれにも該当しない場合 参考:「入所判定基準」(北九州市) こんなに明確に点数を付けて判断されているんだ! もちろん、この項目以外にも入所の必要度が高くなる理由がある場合は、それも加味されます。この点数をもとに、施設の「判定会議」で入所の優先順位が決定されます。判定会議には施設長や職員、生活相談員などが参加し、さまざまな観点から優先順位の判断がされていますよ。 特養入所の申し込みの流れ そういえば、特養の入所申し込みをする場合ってどうすれば良いんでしたっけ?まだ、申し込みをするか迷っているのですが、念のため確認しておきたくて。 でしたら、改めて特養の入所までの流れを確認しておきましょうか。特養に問い合わせしてから入所するまでは、以下のような流れで進めていきます。 問い合わせ・資料請求・見学 見学後に申込書を提出 審査 優先順位通知が届く 面談 入所 1.問い合わせ・資料請求・見学 まず、入所を検討している施設に電話やメールなどで問い合わせます。資料を用意している施設もあるので、資料を取り寄せても良いでしょう。もし、対応や費用の面で疑問がある場合には電話で問い合わせると具体的に回答がもらえると思います。より詳細に施設の様子が知りたい場合は、見学することをおすすめします。 2.申込書を提出 資料を見たり実際の施設を見学して気に入れば、入所の申し込みをおこないます。見学日当日に施設に申し込みしたいことを伝えれば、すぐ申込書を受け取れるでしょう。後日、申し込みをする場合は施設に問い合わせて申込書を取り寄せてください。あわせて、提出が必要な書類についても確認しておきましょう。 3.審査 地域ごとに定められた審査の指針があり、それにそって申し込みの対象者が入所できるかどうかが判断されます。 4.優先順位通知が届く ここでさっきの優先順位が決まるんですね。 はい。入所審査の後、施設の判断基準によって入所の順番が決まります。この優先順位を伝えるのが「優先順位通知」ですね。自治体にもよりますが、新宿区の場合は3ヵ月に1度のペースでこの通知を郵送しています。申し込みをしている人の状況によって順番はその都度変わるので、通知に記載されている順番はおよその目安と考えましょう。 5.面談 入所の順番が回ってくると、施設から連絡が来ます。入所の意向を伝えたら、その後には施設の担当者との面談。健康診断書の提出もおこないます。 6.入所 面談や健康診断書の情報をもとに、入所できるかどうかが決定されます。 えっ?ということは、入所できない場合もあるんですか? 問い合わせなどの段階で、大まかに身体状況を施設に伝えますから、この段階で入所ができないことはまずありません。ただ、以前よりも大きく心身の状態が悪化していたり、医療ケアが頻繁に必要だったり、施設で受け入れが難しい状態であることがこのタイミングでわかったら入所を断られることもあります。そうならないように、入所の順番待ちをしている段階でも定期的に施設と情報の共有をしておくことが大切ですね。 要介護3以上で在宅介護は難しい 特養に入所させるかどうか、まだ決断ができずにいます。やっぱり施設に入れるのはかわいそうだし…。 そう考えるのももっともです。ただ、一般的に要介護3は、在宅介護が難しい状態とされています。 そうなんですか!? というのも、要介護3とは1人で立ち上がったり歩くのが難しい状態。歩行器や車椅子を使うこともありますので、入浴や排泄にも介助が必要になるので常に誰かの手助けが要ります。ちなみに、お母様はどんな状態ですか? ちょっとふらつきはありますが、なんとか1人で歩いています。ただ、トイレに行くことを忘れてしまったり、トイレの使い方も忘れてしまうことがあります。なので、トイレに行くように声掛けしたり付き添いが必要です。身体の機能としては問題ないと思うのですが、認知症のせいでやり方や道具の使い方がわからなくなってしまって。それに、1人で外に出て帰れなくなったこともあるので、目が離せないんです。 なるほど…。となると、お母様を1人にするのは心配ですよね。 そうなんです。私は日中は仕事ですから、妻にパートの仕事を減らしてもらって、母から目を離さないようにしています。でも、夜中に大声で叫んだり、暴言を吐くこともあって。なんとかもうしばらくは在宅介護を続けられるとは思うんですが、妻も私も精神的な負担が大きくて…。 そう感じていらっしゃるなら、特養に申し込みすることをおすすめします。お話を聞くと、伊東さんご夫婦の負担が大きいように感じます。先ほどお話ししたように、入所の順番は緊急性に基づいて決まります。他の申込者に緊急性の高い人が多い場合は、申し込みしてもすぐに入所とならない場合もありますので、順番待ちをしている間に入所するかどうかを考えても良いと思いますよ。順番待ちをしている間に状態が変わって、入所の緊急度が上がる可能性もあります。そのときにすぐに入所できるように、早い段階で申し込みをしておくのがおすすめです。 特養入所を一度断っても、空室が出れば再度声がかかる 次の空室はいつになるかわからないので、辞退はよく考えて 要介護3以上で在宅介護は難しい。介護する人の負担が大きくなることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2023/07/20

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症でも入院できる病院はありますか?母の認知症が悪化して手に負えません!

認知症でも入院はできるのでしょうか?同居している母に毎日のように暴言を吐かれ、「認知症だからしょうがない」と思っても精神的にきついです。 それに、最近は夜中に大声で「助けて」と騒いだり徘徊するようになりました。なので、夜にまともに眠れない日が続いています。 ずっとこんな日々が続くのかと思うとしんどいです。入院させたら症状は良くなるのでしょうか? (本間さん・主婦・67歳) それは大変ですね…。認知症の治療に注力している病院がありますので、そちらへの入院を検討するのが良いかもしれません。入院すると、薬物療法や作業療法、回想法などの方法で治療がおこなわれます。認知症の専門家による治療やサポートが受けられるので、ご自宅にいるよりも症状が良くなると思いますよ。 認知症の人は入院できる? 認知症でも入院はできますか?母の認知症がひどくて介護に限界を感じており、同居がしんどいです。なので、入院させて認知症の治療を受けさせたいと思っています。ここ最近、症状がどんどん悪化しているような気がして…。 認知症が進行してくると、ご家庭での介護は大変ですよね…。認知症の人を受け入れている施設はあります。認知症の専門家による治療を受ければ、きっとお母様の症状も良くなると思いますよ。認知症の人を受け入れている病院には、以下のようなものがあります。 認知症疾患医療センター 認知症治療病棟がある病院 認知症疾患医療センター 認知症疾患医療センターとは、認知症専門の医療機関です。自治体が指定する病院に設置されて、認知症の診断や治療といった医療的なケアから、もの忘れの相談や介護保険の申請に関する相談まで、幅広いサポートをしています。 認知症疾患医療センターって初めて聞きました。認知症疾患医療センターなら入院ができるんですね。 はい、入院できます。ただ注意したいのが、認知症疾患医療センターには「基幹型」「地域型」「連携型」の3タイプがあり、入院できるのは総合病院である基幹型のみ。その他は入院設備が整っていない病院なので、基幹型の認知症疾患医療センターを探しましょう。探すのは、お住まいの都道府県のサイトでできます。受診するにはかかりつけ医からの紹介状や予約が必要なことが多いので、まずはかかりつけ医に相談してみてくださいね。 認知症治療病棟がある病院 認知症治療病棟とは、認知症による精神症状や行動障害のために日常生活に支障があったり、自宅や介護施設での介護が難しい人を治療するための病棟。精神科など、認知症治療をおこなっている診療科を持つ病院に設けられていることがあります。 まさに母がそういう状態です。毎日、私に対してひどい暴言を吐いたり夜中に大声で「助けて」と騒いだり徘徊します。なかなかゆっくり眠れていないので、体力的にきつくて…。 それはしんどいですね…。認知症治療病棟は、長期入院ではなく短期入院で在宅復帰を目指す病院なので、集中的に認知症の治療をしてご自宅に戻るのもひとつの手だと思います。先ほどお話しした認知症疾患医療センターで、近隣の認知症治療病棟を紹介してもらえることがあるので、相談してみるのも良いかもしれません。 一般の病院だと入院を拒否されることがある? 認知症だと、普通の病院には入院できないんですか? すべての一般の病院で入院できないわけではありませんが、入院を拒否されることはあるでしょう。例えば、暴言・暴力の症状があると、入院を拒否されることがありますし、入院後に他の患者さんや職員さんに暴言を吐いたり暴力を振るうようなことがあれば、早期退院させられることもあります。 そうなんですか…。母は暴力はないですが、誰彼かまわず暴言を吐きます。となると、一般の病院だと受け入れてくれなさそうですね…。 また、入院するご本人が嫌がっている場合も、受け入れてくれないことがあります。無理やり入院させても治療を拒否したり、無理に入院したことで認知症の症状が進行してしまうことがあるためです。これは、認知症の人を受け入れている病院であっても同じこと。無理やり入院させようとすると余計に拒否されるおそれがあるので、認知症の専門家に相談しながらお母様に入院を勧めてくださいね。 認知症の入院治療費は? 認知症の治療のために入院した場合、公的な医療保険が適用されます。原則として1~3割の費用負担ですが、高額になる場合は「高額療養費制度」を使うとさらに費用が安くなりますよ。ちなみに、高額療養費制度を使った場合の自己負担限度額は以下の通りです。所得によって金額が異なるので、確認してみてくださいね。 69歳以下の場合 適用区分世帯ごとの1ヵ月の上限額年収約1,160万円~25万2,600円+(医療費-84万2,000)×1%年収約770万円~約1,160万円16万7,400円+(医療費-55万8,000)×1%年収約370万円~約770万円8万100円+(医療費-26万7,000)×1%~年収約370万円5万7,600円住民税非課税者3万5,400円 70歳以上の場合 適用区分世帯ごとの1ヵ月の上限額年収約1,160万円~25万2,600円+(医療費-84万2,000)×1%年収約770万円~約1,160万円16万7,400円+(医療費-558,000)×1%年収約370万円~約770万円8万100円+(医療費-26万7,000)×1%年収約156万円~約370万円5万7,600円II住民税非課税者2万4,600円I住民税非課税者(年金収入80万円以下など)1万5,000円 参考:「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(厚生労働省) 入院するとお金がかかりますもんね…。うちの場合、限度額がいくらなのか確認しておかないと。 入院したらどんな認知症治療が受けられる? 母が入院するとなると、どんな治療が受けられるのでしょうか? もちろん病院によっても異なりますが、主に以下のような治療が受けられます。 薬物療法 作業療法 運動療法 生活機能回復訓練 回想法 薬物療法とは、薬を使った治療方法です。認知症は、今のところ完治する薬は発見されていません。そのため、現在、認知症の治療に使用されている薬はあくまでも症状を抑えるもの。脳を活性化したり気持ちを落ち着けることで認知症の症状を緩和させるというわけですね。 今も、母は認知症の薬を飲んでいます。認知症の薬はいくつか種類があるとかかりつけの先生が言っていたのですが、どんな薬があるんですか? 認知症の薬として認められているのは、以下の4種類です。 アリセプト® (塩酸ドネペジル) レミニール® (ガランタミン) イクセロンとリバスタッチパッチ®(リバスチグミン) メマリー®(メマンチン) 認知症の薬は、その人によって相性があります。とある薬では効果がなかった人も、薬を変えることで症状が落ち着くこともよくあるんです。入院することで、通院しているときよりも柔軟に薬での治療ができるようになるでしょう。 生活機能回復訓練 生活機能回復訓練とは、薬を使わない「非薬物療法」のひとつ。その人の残っている身体機能や認知機能の維持・向上を目的とした治療法です。具体的には、はみがきやトイレでもズボンの上げ下げ、髭剃りといった日常生活に必要な動作のトレーニングをします。認知機能が低下すると、今まで当たり前にできていたことができなくなることがあります。日常生活の動作を回復させることで、在宅復帰を目指します。 作業療法 作業療法は、レクリエーションのような活動が中心です。例えば、トランプなどのゲームや手芸、ぬりえといった頭と指先を使うもの、音楽を聴く音楽療法などをおこないます。中には園芸療法をしたり、趣味の延長でできる活動もおこなっています。 「治療」と聞くと大変そうだけど、作業療法は楽しんでできそうですね! 運動療法 身体を動かす運動療法も認知症の治療法です。体操や関節の動きを良くするリハビリ、ストレッチや筋力トレーニングなども無理ない範囲で実施されます。病院の外の散歩も取り入れられているので、入院中の気分転換になるでしょう。 回想法 回想法は、認知症の人の「昔の記憶が残りやすい」という特徴に注目した治療法です。認知症になると、その日の朝ごはんや直前に話していたことなど、直近の出来事を忘れやすくなります。こういった直近の記憶のことを「短期記憶」と言います。対して、子どもの頃の出来事などの昔の記憶のことを「長期記憶」と呼びます。認知症の人は短期記憶を忘れやすく、長期記憶が忘れにくい傾向があり、それを生かしたのが回想法なんです。 具体的にはどんなことをするんですか? その人の背景や経歴に基づいた会話をしていきます。例えば、子どもの頃の思い出や趣味について、昔を思い出しながら語ってもらいます。昔の写真やよく食べていたお菓子、若い頃に流行っていた音楽などを活用しながら、話をすることが多いですよ。 認知症の治療というと、薬を使って落ち着かせるイメージしかなかったけど、いろんな形があるんですね。楽しみながらできそうなものもあるので、前向きな気持ちで母に入院を勧められそうです! 認知症疾患医療センターや認知症治療病棟がある病院であれば、安心して入院できる 認知症治療に特化していない一般の病院だと、症状によっては入院拒否されることも 病院では、薬物療法や作業療法、回想法などの治療方法がある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/07/11

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の父親がトイレ以外の場所で用を足すときの対策は?トイレの仕方がわからなくなってしまったんでしょうか

認知症の父親が、廊下やゴミ箱など、トイレではないところで用を足すようになってしまって…。ただでさえ大変なのに掃除の手間も増えているので、余計に大変なんです。 最近まで自分でトイレに行っていたのに、なぜできなくなってしまったんでしょう? (宮田さん・会社員・62歳) もしかしたら、認知症の影響でトイレの場所がわからなくなってしまったり、間違った場所をトイレと思い込んでいる可能性があります。ですので、トイレのドアに「トイレ」などと貼り紙をしたり、排泄の間隔を把握してトイレに誘導することで、トイレ以外の場所で用を足すことを防げるかもしれません。 認知症の人がトイレ以外で用を足すのはなぜ? 最近、認知症の父がトイレ以外の場所で用を足すようになってしまいました。廊下やゴミ箱など、まったく違うところでおしっこをしてしまうんです。ついこの間まで、問題なく一人でトイレに行っていたのに…。なんで急にトイレ以外の場所で用を足すようになってしまったんでしょう? それは大変ですね…。認知症の症状が進行したことで、トイレで排泄ができなくなってしまったのかもしれません。具体的には、以下のようなことが理由に考えられます。 場所がわからなくなる がまんができない 違う場所をトイレと思いこんでいる 不快な場所と感じている 便器をトイレと理解できない 幻視を見ている 場所がわからなくなる 認知症による記憶障害や見当識障害の影響で、トイレの場所がわからなくなっている可能性があります。 記憶障害って物忘れってことですよね?それは以前からありました。もうひとつの見当識障害とは何ですか? 見当識障害とは、時間や場所がわからなくなる症状です。例えば、記憶が若い頃に遡ってしまって、今の時間がわからなくなる、同時に記憶が遡っているので今いる場所もどこかわからなくなるといった状態です。例えば、「昔と家の様子が変わったからトイレの場所がわからなくなる」といったこともあり得るわけです。 見当識障害とは 見当識障害とは、今、自分がいる時刻や日付、場所、周囲の環境などを総合的に判断する能力が失われる障害です。アルツハイマー型認知症になると、記憶障害に続いて見られる症状です。 見当識障害には「時間の見当識障害」「場所の見当識障害」「対人関係の見当識障害」の3つの種類があります。まず最初に症状としてあらわれるのが時間の見当識障害と場所の見当識障害です。症状が進行すると対人関係の見当識障害も目立つようになります。 時間の見当識障害 昼か夜かわからなくなる 今日が何月何日かわからなくなる ...

2023/06/27

在宅介護 認知症介護

認知症の父親がタバコを止めようとしません。一人暮らしで火事が心配なのでどうにか禁煙させたいです

実家で一人暮らしをしている父を介護しています。父は認知症で、私が週に3~4回通ってなんとか暮らしている状況です。 若いころから吸っているタバコを止めるように言っているのですが、耳を貸そうとしません。最近、タバコの火がきちんと消されていなかったり、火が着いたままタンスの上に無造作に置いてあったことがありました。火事が心配なので、どうにか禁煙させたいです。 どうしたら父のタバコを止めさせられるでしょうか? (大石さん・会社員・59歳) 火の不始末は心配ですね…。禁煙を促す方法としては、まずはタバコのデメリットや危険性をしっかり伝えることが大切。ご家族だけで説得が難しいときにはかかりつけ医などの専門家から禁煙を勧めてもらうのも有効でしょう。すぐに禁煙させたいからといって、タバコを取り上げたり、お父様の気持ちを否定する言動はNG。お父様に共感して話を聞きながら禁煙を進めていきましょう。 認知症の人を禁煙させるときのNG対応 実家で一人暮らしをする認知症の父の介護をしています。最近、物忘れがひどくなって、認知症の進行を感じています。それに関係するのか、このところタバコの火をきちんと消していなかったり、火が付いたまま机の上に置きっぱなしになっていることが何度かありました。 それは怖いですね…。 そうなんです。火事が怖いので禁煙するように言っているのですが、聞く耳を持たず…。いつも最後には口論になってしまうので、疲れました。 口論になってしまうんですね…。もしかしたら、認知症の人のタバコを止めさせるのにNGな対応をしてしまっているのかもしれません。 NGな対応ですか?どんなものでしょう? 例えば、タバコを勝手に取り上げることです。認知症の方は、認知機能の低下の影響で、不安感が大きくなったり他の人への不信感が大きくなる傾向があります。なので、お父様の許可を得ずにタバコを取り上げてしまうと、お父様が自分の気持ちや嗜好を否定されたように感じてしまうんです。 この間、一度タバコを取り上げたことがありました。あまりに騒ぐので返したのですが、あんなに大騒ぎしたのは認知症の影響もあったんですね。父の安全のことを考えてしたことですが…。父の気持ちを考えていませんでした。 それに、喫煙者がタバコを止めるとイライラしやすくなります。特に認知症の方は、感情の抑制がしにくくなっているので、暴言や暴力が出やすい傾向があります。つまり、気持ちを否定せずにタバコを止められるようにするのが大切なんですね。 認知症の人に禁煙させる方法 具体的には、どうやって禁煙させれば良いんでしょう? 既にやっていらっしゃるかもしれませんが、まずは説得が大切です。タバコを吸うことのデメリットや、タバコを止めることのメリットを伝えるんです。このときに、お父様の気持ちに共感することを心がけましょう。長年の習慣を止めることは寂しさがあるかもしれませんし、喫煙がストレス解消になっているのかもしれません。説得は、感情的にならずに落ち着いて話をするのがカギ。共感しつつ伝えたいことを話しましょう。 父があまりにも頑固なので、毎回、感情的になっていました…。だから、ケンカになってしまったのかな。 また、かかりつけ医に禁煙を勧めてもらうのも良いでしょう。ご高齢者は、ご家族の言葉には耳を貸さなくても、第三者、特に専門家の言葉なら聞き入れる傾向があります。なので、タバコを吸い続ける危険性や、無理のない禁煙方法などを説明してもらえると、納得して禁煙してくれるかもしれません。 認知症の人がタバコを吸う危険性 タバコは「百害あって一利なし」と言いますよね。ここで改めて、タバコを吸うことの危険性について確認しておきましょう。 タバコが認知症を進行させる可能性あり 実は、喫煙が認知症の症状を進行させる可能性があります。 えっ!そうなんですか!? タバコに含まれているニコチンの影響で脳に酸素が届かなくなり、脳細胞が死滅してしまうと言われています。そのせいで、脳の機能が低下してしまうんです。そもそも、タバコは認知症の原因のひとつとされています。50~60歳の頃から毎日タバコを吸っていると、高齢になって認知症のリスクが倍増するとも言われています。それくらいタバコは脳に悪影響を与えるものなので、少しでも認知症の進行を抑えるためにお父様の禁煙を進めていきましょう。 火事の危険性も 私は火事も心配です。認知症が進行したせいか、火の始末がきちんとできていないことが増えてきて。はじめに話したとおり、灰皿を使わずに適当なところに火の付いたタバコを放置してしまうんです。物忘れも進んでいるので、タバコを置いたことも忘れてしまっているのかもしれません。 それに、お父様が一人暮らしであるのも心配ですよね…。認知症が進行すると、それまで普通にできていたことができなくなってしまうことがあります。もしかしたら、そのせいでタバコの火の始末の方法がわからなくなってしまったのかもしれません。寝タバコをして火事になってしまうケースもありますから、なんとか説得して禁煙を進めたいですよね。 父の健康のためにも安全のためにも、どうにかタバコを止めるように説得します。 認知症の人がタバコを吸うと、症状が進行する危険性がある タバコの危険性を説明したうえで、少しずつ本数を減らして 無理やり取り上げると、暴力・暴言につながることも… pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2023/06/13

施設入居 在宅介護 認知症介護

父親の老人ホームの入居を親戚に反対されています。手伝いもしないのに口だけ出す親戚に困っています。

同居している父親を老人ホームに入居させようとしたら、叔母から反対されて困っています。 父親は認知症が進行しており、ほぼ毎回トイレを失敗。なのに、私の介助を拒否したり、怒鳴って私に手を上げることもあります。こんな状況なので、もう疲れて仕事にも支障が出ているんです。 だから施設に入居させたいのに叔母は「介護施設に入れるなんてかわいそう」と反対。たまに顔を見せるだけで介護を手伝うわけでもないのに、口だけ出されて困っています。 (高山さん・パート・63歳) それは大変な状況ですね…。そういうご相談はよくいただきます。例えば、老人ホームに入居すると身体状態が悪くなったり、認知症が進行すると考えていて、入居を反対されたり。また、介護の状況を理解していないために「老人ホームに入る必要がない」と思っていたり…。そういう場合は、老人ホームを見学してもらって実際の施設について理解してもらう、普段のお父様の状況を動画などで記録して見てもらうなどの対応ができます。在宅介護を続ける場合は、そのご親戚に介護の一部を担当してもらったり金銭的な支援をしてもらうなどの交渉をすることも検討してください。まずはお父様と介護をしている高山さんの生活が最優先。お二人が安心して暮らせる選択をしてくださいね。 親戚が老人ホーム入居に反対する5つの事例 父の在宅介護が限界なので、老人ホームに入居させようといくつかの施設を候補に考えています。そのことを叔母に話すと、「介護施設に入れるなんてかわいそう」と反対されてしまいました。父は身体は元気なものの、認知症の影響でトイレに間に合わなかったり、ちょっとしたことで怒鳴り出したりと面倒をみるのも大変。私の介助を拒否して手を上げられることもあり、自宅で介護を続けるのに限界を感じています。でも父と叔母は仲の良い兄妹なので、叔母の言葉を無視するわけにもいかなくて…。 なるほど…。私も入居相談を受ける中で、そういったご相談はよくいただきます。これまでいただいた相談から、以下の5つの事例と対応方法をご紹介しますね。 施設に入居したら状態が悪化すると思っている 施設入居の必要がないと思っている 家族や地元から引き離すのがかわいそうだと思っている 老人ホームの費用の支払いを心配している 入居する施設が気に入らない 施設に入居したら状態が悪化すると思っている まだまだ介護施設に悪いイメージを持っている人がいます。いわゆる「姥捨て山」のイメージですね。なので、介護施設に入居したら身体状態が悪化したり、認知症が進行すると思っているんです。そう言う人は、施設に入ったら「自由がなくてベッドで寝たきりにさせられる」と考えているんですね。 確かに、叔母は「施設に入れたら何もできなくなる!」と言っていました。老人ホームに良い印象を持っていないのは確かですね…。 その印象を少しでも良くしてもらうために、一緒に老人ホームの見学をするのはどうでしょうか?高山さんもご存知のとおり、一昔前とは異なり、最近の老人ホームはかなり良いものになっています。レクリエーションや体操を生活に組み入れ、「入居したらベッドの上で寝かせっぱなし」ということはまずありません。そういった実際の老人ホームの様子を叔母様に見ていただくのがおすすめですよ。 施設入居の必要がないと思っている 介護の状況を正しく理解していないために「施設に入居する必要はない」と、ご親戚が思っているケースもありました。たまにしか顔を合わせない人であれば、お父様の普段の様子はなかなか把握できないですよね…。それに、介護の経験がない人だと介護の大変さをイメージできず、「そこまで大変ではない」と思っていることもあります。 本当にそうなんですよ!「こんなに元気なのに施設に入れる必要があるのか」と言われました。父も叔母の前では、昔と同じように振る舞います。認知症の症状もなく、元気になってしまうんです。だからなのか、叔母も父の認知症がそこまでひどいとは思っていないようで…。 となると、いつものお父様の状況を動画やメモなどで記録して見せるのが良いかもしれません。認知症の人は、普段会わない人の前では頭がはっきりとして、認知症になる前と同じように振る舞えることも多いんですよ。なので、いつもの姿をはっきりと見てもらいましょう。もしくは、かかりつけ医やケアマネジャーさんからお父様の状況を説明してもらうのもひとつの手。第三者の専門家から説明を受けると納得できるケースも数多くあります。 家族や地元から引き離すのがかわいそうだと思っている ご家族や地域の愛情が強い人の介護施設の入居を検討している場合、「引き離すのがかわいそう」という理由で反対されるケースもあります。特に、長年連れ添ったご夫婦のお一人だけが入居する場合だと、「お父さん(お母さん)から引き離すのはかわいそう」という反対意見が出るといった話をよく伺います。 そういうこともあるんですね。うちはすでに母が亡くなっていますし、そういうことはないですね。ただ、父は生まれてからずっと地元から離れたことがない人なので、「地元から離すのがかわいそう」と叔母は考えているのかもしれません。 そういうときは、介護の負担が大きくて大変なことだけではなく、入居するご本人のためにもなることを伝えましょう。特に、在宅介護を続ける危険性について話すと良いかもしれません。具体的には「ガスコンロなどの火の管理ができずに火事の危険がある」「ふらつくことが増えて転倒するリスクがある」「部屋にこもりきりで、認知症の進行や身体機能の低下の可能性がある」といったことです。老人ホームに入れば、こうした危険性は回避できるでしょう。介護施設だからこそ、安全・安心な暮らしができることが伝われば、反対する気持ちも和らぐかもしれません。 老人ホームの費用の支払いを心配している 特に他のご兄弟から反対を受けるケースで多いのが、老人ホームの費用の支払いを心配しているパターンです。入居するご本人の財産から費用を出すのか、ご家族が出すのか…。「自分がお金を出さないといけないのでは」と考えて反対していることもあります。 私は一人っ子なので、兄弟から反対を受けるということはなかったですね。ちなみに今回の父の入居は、基本的に父の年金と貯金から出そうと思っています。足りなさそうであれば、私が多少出すかもしれませんが…。 もし、お金のことが心配で反対されている場合、「どこからお金を出すのか」を明確に伝えた方が良いですね。はっきり老人ホームの費用がわかっていれば、「本人のお金から◯万円」「私(子ども)のお金から◯万円」と内訳を伝えるのも良いでしょう。もし、金銭的な支援を頼む場合も、「我が家から◯万円出すから、◯万円出してくれない?」とお願いするのがわかりやすいですね。 入居する施設が気に入らない まれなケースですが、「入居予定の施設が気に入らない」という理由で反対されることも。気に入らない理由は「アクセスが悪くて行きにくい」「大手ブランドではない」「悪い噂を聞いた」「〇〇という種類の施設は対応が悪いと聞いた」などさまざまです。こうした場合も、実際の施設を一緒に見学してもらうのがおすすめです。反対している懸念を払拭し、噂話などではなく自分の目で見て納得してもらいましょう。可能であれば、施設の担当者に実際の対応内容を確認するのも良いですね。「どこまでが対応できて、どこからは対応できないのか」を理解してもらうことで、老人ホームでの暮らしをイメージしやすくなると思いますよ。 在宅介護を続けるなら、役割分担をしよう いろんな理由で、親戚に老人ホームの入居を反対される人がいるんですね。具体的な例を聞けてよかったです。ただ、もし叔母の説得ができなかったらどうしたら良いんでしょう…。叔母は頑固なので説得ができないかもしれません。 在宅介護を続けるということですよね。高山さんのお話を聞く限り、今のままで在宅介護を続けるのは難しいでしょう。高山さんが体調を崩してしまう可能性もあります。なので、在宅介護を続けるように言われたら、叔母様に介護の協力を依頼しましょう。「週◯回は介護をする」「通院の送り迎えを担当する」など、具体的にお願いすることが大切です。 叔母に介護を頼むんですか?やってくれるかな…。叔母も年ですし…。 叔母様が実際に介護ができない場合でしたら、金銭的な支援をお願いするのはどうでしょうか?在宅介護でも介護サービスをたくさん使うことで、かなり負担は減ります。もちろんそのためには今よりもお金がかかりますから、その分の費用を出してもらうんです。正直なところ、「介護もできない」「お金も出せない」と言う人の意見よりも、介護をする人・介護をされる人の安全や健康の方が優先です。何より、高山さんの生活ですからご自分の暮らしや健康を一番に優先した選択をしてくださいね。 「姥捨て山」のイメージがある、介護の実情を理解していないことで親戚から入居を反対されることも 動画やメモを使ったり、かかりつけ医やケアマネジャーから説明をしてもらって、介護の実情を理解してもらおう 在宅介護を続けるなら、介護の分担や費用の負担の相談をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/06/06

在宅介護 認知症介護

認知症の母親が頭を洗わない!しばらく洗髪しておらず、におうので困ってます。

同居している母が入浴しても頭を洗わないことに困っています。「自分でできる」と言うので、入浴に関しては本人に任せていたのですが、ここ数ヵ月、頭を洗っていないようなんです。認知症のせいか、入浴前に「頭洗ってね」と言っても忘れてしまうし…。 そのせいで髪の毛はべたついているし、においもします。私が手伝おうとしても怒って嫌がるのでどうしようかと…。何か良い手はないでしょうか? (石橋さん・会社員・61歳) もし、頭を洗うこと自体を忘れてしまっているのであれば、シャンプーボトルに大きな文字で「シャンプー」と書いておいたり、張り紙をすることで解決するかもしれません。それでも洗髪できないのであれば、訪問介護サービスやデイサービスを利用してみましょう。ご家族の介助は嫌がってもプロの手助けであれば受け入れてくれる人も多いですよ。 認知症の親が頭を洗わないのはなぜ? この数ヵ月、母がお風呂に入っても頭を洗っていないようでにおうんです。髪もべたついているし…。だからといって、お風呂の前に「髪の毛洗ってね」と言っても認知症のせいか忘れてしまっている様子。入浴後に「髪は洗った?」と聞くと「洗ってるわよ!」と怒鳴って不機嫌になり、手を付けられなくなります。でも明らかに洗っていません。どうにか解決策はないでしょうか? なるほど…。髪の毛を洗わないのは衛生的にも良くないですよね。では、まずはお母様がどうして髪を洗わないのか、原因を整理してみましょうか。そこから解決策が見えてくるかもしれません。 洗うことを忘れてしまう 石橋さんもおっしゃるとおり、認知症の人の場合、「身体を洗う」「お湯に浸かる」といったことができても、なぜか「髪を洗う」ということだけを忘れてしまうことがあります。これは、認知症の中核症状のひとつである「記憶障害」によるもの。さらに、認知症になると注意力が散漫になることもありますから、始めは頭を洗うことを覚えていても、別のことに気を取られて忘れてしまうこともあるんです。 へぇ、そういうこともあるんですね!最近は、入浴の前に毎回「髪の毛も洗ってね」と声をかけているのですが、別のことをしているうちに忘れてしまっていたということなんですね…。 洗い方がわからなくなってしまう 「洗い方がわからなくなってしまう」ってどういうことですか?当たり前ですが、母は認知症になる前から頭を洗っていましたよ? 認知症の症状のひとつに「失行」というものがあります。これまで当たり前のようにできていたことができなくなることです。例えば、「テレビのリモコンの使い方がわからなくなる」「お箸が使えなくなる」といったことです。お母様の詳しい状況はわかりませんが、「シャンプーボトルの使い方がわからない」などが原因で洗髪ができなくなっている可能性があります。 認知症って昔からやっていたこともわからなくなってしまうことがあるんですね!知らなかった…。 また、洗髪の手順がわからなくなってしまうこともあります。髪を洗うには、髪をぬらして、シャンプーを手に出して、頭を手でこすり、シャンプーを洗い流す…といった手順がありますよね。認知症になると順序立てて考えることができなくなることがあるので、それが原因で頭を洗えないことも考えられます。 認知症の親が頭を洗わないときの対策は? 母が頭を洗わない原因について、いくつか思い当たることがありました。では、具体的にはどうしたら良いんでしょうか? そうですね。髪を洗わないことの対策は、主に以下のようなものがあります。順番にお話ししていきますね。 家族が入浴介助をする 訪問介護サービスを使う デイサービスを使う ボトルに大きな文字で「シャンプー」と書く 家族が入浴介助をする まずは、ご家族が入浴介助をすることです。髪を洗う以外はご自分でできているようでしたら、洗髪だけ手伝ってみるのが良いでしょう。 以前、「髪を洗うの手伝うよ」と言ったら、「自分でできるわよ!」と怒鳴って拒否されてしまいました…。 そうだったんですね…。でしたら、「手伝う」とは言わず、「たまには一緒にお風呂に入ろうよ」といった風に声掛けしてみるのも良いかもしれません。どうしても「手伝う」というと、ご本人のプライドを傷つけてしまうことがありますから。ちょっと言い方を変えるだけでスムーズに介助できることがあるので、ぜひ試してみてください。 ボトルに大きな文字で「シャンプー」と書く ボトルに「シャンプー」と書くだけで、頭を洗うようになるんでしょうか? もし、お母様が頭を洗うことを忘れてしまっている場合、シャンプーボトルに「シャンプー」と書いて目のつきやすいところに置いておけば、髪を洗うこと思い出して洗髪するようになるかもしれません。それに、どれがシャンプーのボトルなのかわからなくて洗髪ができない可能性もあります。ボトルが似ていてわからなくなっていることもありますから、「シャンプー」「リンス」「ボディソープ」など、すべてのボトルに書いておくとどれがどのボトルなのか区別しやすくなるでしょう。 確かに、ボトルの「シャンプー」や「リンス」の文字が小さくて、私もわからなくなることがあります。それだけで、髪を洗ってくれるようになるなら試してみようかな。 それか、髪の洗い方の手順を簡潔に書いて、壁などに貼っておくのもひとつの手。「髪をぬらす」「シャンプーを髪につける」「シャンプーを洗い流す」などと短くわかりやすい文章で書くのがコツです。お風呂場の中では濡れてしまうので、ビニール袋などに入れて貼っておいてくださいね。 訪問介護サービスを使う 訪問介護サービスを利用するのも良いでしょう。ご家族の介助は気恥ずかしくて嫌がる人も、まったくの他人である訪問ヘルパーさんだったら受け入れてくれることがあります。「プロに髪を洗ってもらったら気持ち良いかもしれないよ」と言うと、介助の拒否感が和らぐかもしれません。 デイサービスを使う 頭を洗うだけなのにデイサービスを使うんですか? 実は、お風呂に入るためにデイサービスを利用している人は多いんです。トイレや食事などの他のことはできても、足腰が弱ることで浴室での転倒を心配して「お風呂だけは手伝ってもらいたい」と思う人が多いんですね。それに、デイサービスではレクリエーションや機能訓練で身体を動かす機会もあります。身体機能の維持や認知症進行の緩和につながることもありますから、洗髪以外のメリットもたくさんありますよ。 母はまだ自分でできることが多かったので、介護サービスを使ったことがなかったのですが、私たちの力だけで難しそうだったら、そろそろ利用を検討しても良いのかもしれませんね。まずは、すぐにできそうなことから試してみます。 認知症の人が洗髪しないのは、洗髪することを忘れる、洗い方がわからなくなるなどの原因があるかも 家族が介助するときは、声掛けを変えて何度か試してみて 家族で難しいときは、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスも頼って pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...

2023/05/29

在宅介護 認知症介護

認知症の母親が夜中に大声で叫ぶので眠れません。ご近所にも聞こえているので止めさせる方法を教えてください。

認知症の母親が夜中、大声で叫ぶので困っています。昼間は落ち着いているのですが、夜になるとそわそわしだして、深夜12時ごろには大声で「お父さん、お父さん」と亡くなった父のことを大きな声で呼ぶんです。 ご近所の迷惑になるので私が必死になだめているんですが、まったく落ち着きません。こんなことが毎晩なのでいつも寝不足です。 何か解決方法はありませんか? (片山さん・会社員・61歳) どうしてお母様が夜に大声を出すのか考えてみましょう。認知症になると睡眠ホルモンが出にくくなるので、睡眠障害が起こりやすくなることがありますし、見当識障害によって時間や自分の居場所がわからず、不安になっているのかもしれません。また、大声を出したときに怒ったり、お母様の言葉を否定するのはNG。お母様に寄り添うような声掛けをしたり、温かい飲み物を飲むと落ち着くと思いますよ。 認知症の人が夜に叫ぶときのNG対応 最近、認知症の母が夜中に大声で叫ぶようになって困っています。昼間はおとなしいのですが、暗くなるとそわそわと落ち着かなくなって、日付が変わる頃に起き出してきて大声で騒ぐんです。これが毎晩続いているのでずっと寝不足ですし、仕事にも影響が出ています。先日は寝不足と疲れが重なって大声を出す母に怒鳴ってしまいました…。 うーん、認知症の人に対して、叱ったり怒ったりするのはNGなんです。 そうなんですか!?あまりにも騒ぐので、何度も叱ってしまったことがあります。 叱ったり怒ったりすることも含めて、以下のように認知症の人への対応としてNGなものがいくつかあります。理由も含めて紹介しますね。 怒る・叱る 言葉を否定する 睡眠薬で無理やり眠る 怒る・叱る まず、認知症の人は怒られたり叱られたりすると気持ちが不安定になることも。また、もっと興奮してしまって眠れるまでに時間がかかることがあります。精神状態が不安定になると、認知症の症状が進行してしまう恐れがあります。疲れや寝不足でストレスが溜まっているかもしれませんが、一旦、気持ちを落ち着けて対応しましょう。 言葉を否定する また、認知症の人の言葉を否定するような声掛けも、認知症の症状を進行させてしまうことがあります。特に、認知症の中でも「レビー小体型認知症」の場合、幻視や幻聴といった実際にはないものを見たり聞いたりする症状が出ることがあります。なので「知らない人が庭に立っている」「誰かに悪口を言われている」と言うこともあるでしょう。そのときに、「そんな人はいないよ」「誰の声も聞こえないよ」と否定すると、不安感が増して状態が悪化することも。実際には起こっていないことでも、認知症のご本人にとっては現実の出来事なので、否定されると混乱してしまうんですね。 そうなんですね。母は幻視や幻聴のような症状はありませんが、母の言葉を否定しないように注意します…。 睡眠薬で無理やり眠る 眠れないなら睡眠薬を使うこともあるんじゃないですか? そうなんですが、睡眠薬に頼りすぎるのは良くありません。特にご高齢者は薬の効果が出すぎる傾向があり、睡眠薬の影響で朝になっても起きれないことがあります。また、日中にも眠気が取れないことがあり、夜の睡眠に悪影響が出ることもあるんです。 認知症の人が夜に叫ぶときの対策は? 知らず知らずのうちに、やってはいけない対応をしていることがわかりました。では、正しい対応ってどんなことなんでしょうか? 正しい対応は、お母様の状況にもよりますので一概には言えません。ですが、以下のような対応を試してみて、状態が良くなったら継続してみてください。 大声を出す理由を聞いてみる 優しい声掛け 温かいものを飲む 日中の活動量を増やす 短時間の昼寝 大声を出す理由を聞いてみる 片山さん、お母様にどうして大声を出すのか聞いたことがありますか? そういえば、聞いたことはないですね…。「お父さん、お父さん」と亡くなった父のことを呼んでいるので父の夢でも見たのかなと思っていました。 それも理由のひとつかもしれませんね。ただ、実際のところはわからないので、お母様に直接聞いてみても良いかもしれません。認知症の影響で、お父様が生きていたころに記憶が遡っていて、お父様の姿が見えないことに不安を感じた可能性もあります。いつも一緒にいた人が急にいなくなるのは不安ですよね。理由を聞くことで、対応方法がわかることもあります。まずは、お母様に大声を出す理由を聞いてみるのも良いでしょう。 優しい声掛け 認知症の方は常に不安を感じています。そのため、その気持ちに寄り添うような優しい声掛けをしてください。それだけでも不安感は和らぐと思いますよ。 例えば、どんな風に声掛けすれば良いんでしょうか? 何かを怖がっているようなら「怖かったね。もう大丈夫だよ」「私が一緒にいるから安心して」という声掛けが良いでしょう。お父様がいないことに不安を感じている様子であれば、「お父さんは今日は泊まりで出かけているよ」と言うのも効果があるかもしれません。 温かいものを飲む お母様がなかなか寝付けない様子であれば、温めた牛乳やココアを飲むのもおすすめです。お母様が落ち着かないときには、温かいものを飲みながらゆっくりおしゃべりをするのも良いかもしれませんね。 日中の活動量を増やす お母様がよく眠れるようにするには、日中の活動量を増やすのも効果的です。昼間に趣味の活動や運動などをしてほどよく疲れることで睡眠状態が良くなりますし、太陽の光を浴びれば体内リズムの調整にもつながります。具体的には、近所を数十分でも散歩するのも良いでしょう。デイサービスを活用して、昼間の活動時間を確保するのもおすすめです。 デイサービスは使ったことがなかったです。きちんと夜に眠るためには、規則正しい生活が大切って言いますもんね。 短時間の昼寝 昼寝ってむしろ夜に眠れなくなりそうですけど…。 確かに、長時間、寝てしまうと夜の睡眠に悪影響があるでしょう。ですが、15~30分のお昼寝なら夜の睡眠の影響が少ないと言われています。お母様があまりにも眠い様子があれば、短いお昼寝時間を作ってみるのがおすすめです。 認知症の人が夜に叫ぶ理由は? いくつか対応方法がわかって安心しました。…でも、そもそもどうして母は夜中に叫ぶようになったのでしょうか?少し前までは、そんなことはなかったんですが…。 認知症を発症すると夜に眠れなくなる理由がいくつかあります。具体的には以下のようなものです。 夜間せん妄 睡眠障害 レム睡眠行動障害 見当識障害 身体的な原因 夜間せん妄 「せん妄」とは幻覚や妄想、興奮状態にあること。先ほども言った通り、認知症の影響で幻覚症状が出ることがあります。それに、認知症の人は認知機能の低下で自分が置かれている状況が理解できず、常に不安を抱えています。そのうえ、夜は真っ暗で周りの状態がわからなくて不安感が強くなる傾向があります。そういったさまざまな原因が重なって、認知症の人は夜になると不安感が強くなり興奮状態になって大声で叫ぶケースが多々あるんです。幻覚への対応については、以前のご質問でも答えているので、参考にしてみてください。 睡眠障害 認知症と睡眠状態に関係あるんですか? そうなんです。認知症によって脳の機能が低下すると睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌が低下します。それによって体内リズムが狂い、夜眠れなくて昼間に眠る「昼夜逆転」状態を起こしやすくなるんです。昼夜逆転については、以前のご相談でもお話ししています。参考にしてみてくださいね。 レム睡眠行動障害 「レム睡眠行動障害」はレビー小体型認知症の人に多い症状です。睡眠は、深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」を繰り返します。レム睡眠行動障害は、脳の機能低下の影響でこのレム睡眠の間に身体が動いてしまう状態。眠っているのにも関わらず、夢の中と同じ行動を起こしてしまいます。つまり、怖い夢を見ているせいで現実でも大声で叫んでいるのかもしれません。 見当識障害 認知症の症状のひとつに「見当識障害」があります。これは、自分が「今、どこにいるか」「今、何時なのか」「目の前の人は誰か」といったことがわからなくなる状態です。誰でも、目を覚ましたら知らないところにいたら不安ですよね。だから、助けを求めてお父様のことを呼んでいる可能性があります。 それはあるかもしれないですね。いつも不安そうに父を呼んでいるので…。 身体的な原因 それに、身体的なことも大声を出す原因となることがあります。具体的には、手足が痛んだり、便秘で不快な場合です。認知機能の低下の影響で、痛みや不快感を上手く表現できなくなることがあります。そうした「嫌な感覚」が総じて不安感になって叫んだり暴れたりといった行動につながるケースもあるんです。 便秘が夜に騒ぐ原因になることがあるんですね…。母の様子をよく見て、対応したいと思います。 認知症の人はせん妄や見当識障害などの影響で夜中に叫ぶことがある 夜中に叫んだときに怒ったり、言葉を否定することはNG。逆効果になることも 昼間の活動量を増やしたり、優しい声掛けを心がけることで症状が緩和されることがある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/04/28

施設入居 認知症介護 サービス付き高齢者向け住宅

認知症でもサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に入居できますか?入居先を探すときのポイントも教えてください。

先週、認知症の父が勝手に家を出て迷子になり、警察に保護されました。家に一人でいるときのことだったので、できるだけ父を一人にしたくないのですが、家族が仕事や学校でいなくなるためどうしても平日は一人になる時間があります。 なので、そろそろ介護施設に入居させた方が良いと思って、近くの介護施設をネットで検索したところ、自宅の近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という施設があることがわかりました。 サービス付き高齢者向け住宅というのは、認知症の父でも入居できるのでしょうか? (田辺さん・会社員・57歳) サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の中でも、認知症の方を受け入れているかどうかは施設によって大きく異なります。というのも、サ高住のほとんどは外部の介護事業所と契約して介護サービスを利用する形式。常に介護職員さんの見守りがあるわけではないので、転倒などによって怪我をするリスクがあります。そのため、認知症の方が入居するなら「有料老人ホーム」や「グループホーム」などの認知症の方の受け入れ体制が整っている施設を探すことをおすすめします。 サービス付き高齢者向け住宅は認知症でも入居できる? 父の認知症が進行して、一人で外出すると自宅に帰って来れなくなってしまいました。先週、隣町の交番で保護されたばかりです。一人で家にいるときに出かけてしまったのですが、どうしても平日の日中は家族が家を空ける時間帯ができてしまって…。なので、そろそろ介護施設に入居させることを検討しています。ただ、ネットで調べてみると近所だけでもいろんな種類の介護施設があるみたいで迷っています。家のすぐ近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という施設があるようなのですが、この介護施設は認知症の父でも入居できるのでしょうか? うーん…。正直、サ高住が認知症の方を受け入れるかどうかは施設によって大きく異なります。入居を希望する方の認知症の状況によっては受け入れているサ高住もありますし、認知症の方を全く受け入れていないところもあるんですよ。 えっ、そうなんですか!同じ種類の施設でも、受け入れるかどうかは異なるんですね…。 もし、入居できたとしても認知症の方がサ高住で生活するのはリスクがあります。順番にお話ししていきますね。 認知症の人がサ高住に入居するリスク まず、サ高住には2つのタイプがあります。それは、「一般型サービス付き高齢者向け住宅」と「介護型サービス付き高齢者向け住宅」です。介護型サービス付き高齢者向け住宅は、正式には「特定施設入居者生活介護」と呼ばれる介護サービスです。詳しくは後でお伝えしますが、一般型よりも介護体制が整っているタイプのサ高住ですね。対して、一般型のサ高住は介護サービスを提供していません。一般型に入居して介護サービスを利用するには、外部の介護サービス事業者と契約する必要があります。 介護施設なのに、入居しても介護サービスを提供してくれないんですか? そうなんです。というのも、サービス付き高齢者向け”住宅”という名前の通り、サ高住は介護を提供する施設というよりも、「ご高齢者が生活しやすいような環境を整えた住宅」という位置づけ。基本的には介助が必要がないご高齢者を想定した施設なんです。なので、介護サービスを利用したいときは外部の訪問介護サービスやデイサービスを使うことになります。在宅介護サービスを、自宅ではなくサ高住の部屋で利用するようなイメージですね。 つまり、介護サービスを利用できないわけではないんですよね。じゃあ、父は介護サービスを利用しながら生活したら良いってことですよね。 はい、そのように生活している方もいらっしゃいます。ただ、介護が頻繁に必要な方の場合、介護サービス費がかさんでしまう可能性があります。サ高住の場合、介護サービスの費用は都度払い。介護保険の自己負担額の上限を超えてしまった分は、全額負担なんです。そのため、「想定よりもずっとお金がかかってしまった…」なんてことも。介護が常に必要な方は、あまりサ高住はおすすめできません。 えっ、あまりお金がかかるのは困ります。うーん、父さんの場合はどれくらいかかるんだろう? そこは、実際の介護の量によるので施設に相談する必要があり、私からは何とも言えませんね…。あともうひとつ、認知症の方がサ高住に入居するときに注意しておいていただきたいのは、サ高住は出入口に施錠がされていないことが多い点です。有料老人ホームなどの認知症ケアに対応している施設では、認知症の方が一人で外出して迷子になるのを防ぐために、玄関を施錠していることがほとんど。しかし、サ高住の場合、認知症ではない方が自由に外出できるように、施錠していないことが多いんです。 そうなんですね…。となると、父がサ高住で暮らすのは難しいかもしれないですね。もし、一人で出かけてしまったら、迷子になってしまうかもしれませんから。 認知症の人を受け入れられる「特定施設」とは 正直なところ、お父様の状況だと、ほとんどのサ高住で対応が難しいかもしれません。ただ、数は少ないものの、有料老人ホーム並みに介護体制が整ったサ高住があるんです。そこであれば、お父様も安心して生活できるでしょう。 そうなんですか?そのサ高住は、他のサ高住と何が違うんでしょうか? その介護体制が整っているサ高住というのは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」という認定を受けている施設です。「特定施設」とも呼ばれます。この特定施設の認定を受けるためには、介護士や看護師などの人員や設備などの細かい基準をクリアしないといけません。つまり、手厚い介護をおこなうための職員や設備を整えたサ高住だけがこの「特定施設」の認定を受けられます。以前の質問で、特定施設のサ高住について詳しくお答えしているので、そちらも参考にしてください。 へぇ!では、特定施設の認定を受けているサ高住であれば認知症の父でも入居できるんですね。 はい。特定施設であれば、認知症ケアの実績があるところも多いです。何より、看護師が常駐していたり、介護士が夜間も勤務しているので夜のトイレ誘導などにも対応してもらえるのが魅力です。 でも、介護体制が手厚いとなると、料金が高いんじゃないですか? それが介助が必要な量が多い場合、一般的なサ高住よりも特定施設の方が費用が抑えられることがあるんですよ。と言うのも、一般的なサ高住の介護サービス費がサービスを利用しただけの”都度払い”であるのに対して、特定施設の介護サービス費は”定額制”。つまり、介助を何度頼んでも費用は上がりません。 そうなんだ!まだ、トイレの介助が必要な状況ではないですが、今後のことを考えると特定施設の方が良いのかな。 認知症の人を受け入れている介護施設はサ高住以外にも これまでの話をまとめると、父のような認知症の人が入居できる施設は特定施設の認定を受けているサ高住ということで良いですか? サ高住にこだわるのであればそうなります。ただ、特定施設のサ高住はかなり少ないです。もしかしたら、希望の地域にはないかもしれません。なので、サ高住にこだわらずに他の種類の介護施設にも目を向けてみるのはどうでしょうか? そうか、サ高住しか頭にありませんでしたが、介護施設は他にもいろいろありますよね。父が入れそうな施設というと、どんなものがありますか? 例えば、以下のような介護施設であれば、認知症の方の受け入れをしています。 有料老人ホーム グループホーム 特別養護老人ホーム 有料老人ホームってさっきの話に出てきましたよね。どんな施設なんですか? 有料老人ホームは「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類あります。住宅型有料老人ホームは、サ高住と同じように外部の在宅介護サービスを利用しながら生活する老人ホーム。認知症ケアには対応していることが多いですが、介護が必要な量が増えた場合、サ高住と同様、介護費用が高くなってしまう可能性があります。一方で介護付き有料老人ホームは、有料老人ホームの中でも特定施設の認定を受けている施設。そのため、介護サービス費は定額ですし、職員の人員や設備の面で充実した介護体制が整っています。 へぇ、そうなんですね。有料老人ホームも良いかなぁ。その次のグループホームはどんな施設ですか? グループホームは、認知症の方だけが入居できる施設です。最大9名のユニットごとに生活しているのが特徴で、職員とご入居者の距離が近くてアットホームな雰囲気なのが特徴です。認知症の方しか入居していないこともあり、認知症ケアに特化しています。もし、お父様が大人数よりも少人数での生活が向いているようであれば、グループホームが合っていると思いますよ。 なるほど。父は、そもそも他人と生活したことがない人ですから、もしかしたら少人数のところの方が良いのかもしれません。 最後の特別養護老人ホームというのは、「要介護3」以上の介護認定を受けた人が入れる老人ホームです。そのため、認知症はもちろん、寝たきりの状態になってもケアができる体制が整っています。また、公的な介護施設ということもあり、料金が安いのが魅力です。ただ、料金が安いためにとても人気。入居の順番待ちが発生していることが多く、申し込みから1年以上待つこともあるんですよ。 1年以上!父の状態を考えると、そんなに待っていられません。料金が安いのはうれしいですが…。 となると、比較的に入居待ちの少ない、有料老人ホームやグループホームなどの民間施設の方が良いかもしれません。まとめると、以下の介護施設であれば認知症のお父様も安心して生活できるでしょう。 特定施設のサービス付き高齢者向け住宅 有料老人ホーム グループホーム 特別養護老人ホーム 後悔しない施設探しのためにも、じっくり検討してみてくださいね。 サ高住の中には認知症の人が入居できる施設と入居できない施設がある 「特定施設」なら介護体制が整っているので認知症の人も安心 有料老人ホーム、グループホームなど、他にも認知症の人が入れる介護施設はたくさんある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/03/24

認知症対策 在宅介護 認知症介護

悪口ばかり言う認知症の母親との関わり方がわかりません。夜中に起こされることも増えました。

同居している母の介護をしています。半年ほど前にアルツハイマー型認知症と診断されました。物忘れが多くなってきたのはしょうがないと思っているのですが、急に殴りかかってきたり、ひどい悪口を言ってくるようになりました。以前はそんなことをする人じゃなかったのに…。 「認知症だからしょうがない」と割り切っているものの、どうしてもこちらも感情的になって怒鳴り返してしまいます。認知症の母との上手い関わり方を教えてください。 (平井さん・67歳) 一生懸命に介護しているのに、ひどいことを言われたり暴力を受けるのはつらいですよね…。認知症の人が不安にならないような対応をしてみると、お母様も安心して穏やかに話せるかもしれません。例えば、ゆっくり大きな声で話をしたり、お母様のペースに合わせて行動をしてみましょう。反対に、早口で話したりお母様の行動を急かすような声掛けは、お母様の不安感を大きくしてしまいます。また、認知症の方との関わり方で注意が必要なことは、シチュエーションによって少し異なります。その辺りも注意してみてくださいね。 認知症の人との関わり方のポイント 認知症の母の介護をしています。昔は働き者で料理好きの明るい人だったのですが、このところ急に怒鳴ったり殴りかかってくることが多くなりました。物忘れが多くなってきたのは認知症のせいだと割り切れるのですが、悪口を言われたり暴力を振るわれるのは、私もショックが大きくて…。認知症の母と上手く関わるためにはどうしたら良いんでしょうか? 暴力や暴言はショックが大きいですよね。大切に思っている家族だからこそ、なおさらショックが大きくなるのは自然なことですよ。認知症の方との関わり方は、対応に慣れている介護職員でも頭を悩ませることです。なので、いくつかのコツをお伝えするので、それを1つずつ試してみてください。認知症の方との関わり方のコツを以下にまとめてみたので、参考にしてみてください。 話し方 ゆっくり話す 大きな声で話す 目線を合わせて話す 話をよく聞く 接し方 ペースを合わせる 無視をしない 役割を持ってもらう 認知症の人にはこんな話し方をしてみて ゆっくり大きな声で話す 認知症の方との基本は、「ゆっくり大きな声で話す」ことです。年齢とともに聴力が衰えていくうえに、認知症の影響で認知機能が低下して話の理解力も低下しています。そのため、お母様が言葉を聞き取れているかどうかを確認しながら会話をしてみましょう。そうすれば「私のことを気にかけてくれる」とお母様が感じて、不安な気持ちが落ち着いてくると思いますよ。 目線を合わせて話す 「目線を合わせて話す」というのは、気にしたことがなかったです。 忙しいと遠くから話しかけてしまったり、座っているお母様に対して立ったままで会話することもあると思います。ただ、認知症の方は感情の変化に敏感です。立ったままで話すと怒っているような威圧感を与えてしまいかねません。お母様が椅子に座っていたら平井さんも椅子に座って話しかけるなど、目線を合わせて、目を見ながら話すのを意識してみてください。 話をよく聞く 「話をよく聞く」ことは、相手が誰であってもコミュニケーションの基本。でも、家事に介護に…と、忙しいとないがしろにしてしまいがちですよね。認知症の方の話は要領を得なかったり、ちぐはぐなことがありますが、その言葉の中に不安の要因が隠れていることもあります。なので、毎日忙しいかと思いますが、お母様の話を聞く時間を設けてみてください。 「話をよく聞く」ですか…。「認知症になって何言っているかよくわからないし」と思って、母と会話する機会が減っていたような気がします。気をつけないと…。 認知症の人にはこんな対応をしてみて ペースを合わせる また、認知症の方には、話し方だけではなく接し方にもコツがあります。例えば、認知症によって脳が障害を受けることで引き起こされる直接的な症状「中核症状」には、物事を順序立てて効率よく作業できなくなる「実行機能障害」というものがあります。そのため、ご家族から見たら手際が悪くて「早くして」と急かしたくなることもあるかもしれません。それをぐっとこらえて、お母様のペースに合わせてみましょう。それだけでもお母様が安心して行動できるので、不安による症状の悪化が抑えられるかもしれませんよ。 実行機能障害とは 実行機能障害は、物事を順序だてて考えたり、計画を立てる能力が衰える症状で、認知症になると初期段階からあらわれるようになります。実行機能障害になると、料理や洗濯、掃除といった日常の家事をこなすことが難しくなります。それまで普通にできていたことができなくなることで、本人のストレスや不安も大きくなります。また、家族などの介護者の負担も増すことになります。例えば料理については、「その日の献立を考える」「必要な食材を必要な分だけ買う」「買ってきた食材を使って料理を作る」というような何段階にもわたる工程を順序立てておこなうことが難しくなります。 突発的な事態への対処が難しくなる また、突発的な状況に対する対処も実行機能障害になると困難になります。乗ろうとしていた電車が出発してしまったときに、次の電車に乗ろうというような選択ができずにパニックになることもあります。実行機能障害の方のサポートは、本人の気持ちに寄り添って安心感を与えながらおこなうことが大切です。焦らさずに落ち着いて、一つひとつの手順を一緒に確認しながら対応しましょう。 無視をしない 「無視をしない」って当然のことじゃないですか? そうなんです。でも、家のことや仕事、育児などで忙しいと、認知症の方のことを無視してしまったり話しかけられても後回しにしてしまうこともあるかもしれません…。認知症の方も、一般の方と同様に自尊心があります。無視をすると自尊心が傷つけられたりストレスを感じて、認知症の症状が悪化してしまうこともあり得るんです。 役割を持ってもらう 「役割を持ってもらう」ってどういうことですか?よくイメージできないのですが…。 例えば、「食後に食器を流し台に持っていく」「テーブルを拭く」「味見をする」など、簡単なことでも何でも良いので、お母様に役割を持ってもらうんです。誰でも「役に立っている」という感覚はうれしいですよね。それは認知症の方も同じです。ちょっとしたことでも良いので役割を持ってもらって、「お母さんのおかげで助かったよ」といった感謝の声掛けをしてみましょう。介助が必要なご高齢者の場合、「迷惑をかけている」という罪悪感を感じているかもしれません。感謝の言葉をかけるだけでも、その罪悪感が軽減されることがありますよ。 こんな関わり方はNG! 介護や家事で余裕がなくて、「目線を合わせて話す」「ペースを合わせる」といったことができていませんでした。むしろ、立ったまま話しかけていましたし、朝の支度が遅い母を「早くして」と急かしてしまっていました…。 介護をしていると、気持ちや時間の余裕がなくなってしまいますよね…。なので、認知症の方が不安やストレスに感じやすい対応をしてしまいがちかもしれません。そこで、認知症の方にしてはいけない関わり方を次のようにまとめました。やらないように意識していくだけでもお母様の気持ちが落ち着くと思いますよ。 発言や行動を否定する 細かく指摘や指示をする 家から出られないようにする 認知症の人へのNG対応 発言や行動を否定する 認知症の方へのNG対応の中で、一番やってしまいがちなのが「発言や行動を否定する」ことではないでしょうか。認知症の方は、認知機能の低下で事実とは異なることを話したり、同じことを何度も話すことがあるでしょう。そうしたときに「それは違うよ」「それは何度も聞いたよ」と否定してしまうのはNGです。たとえ、事実と違う話でも、認知症の方の頭の中では事実です。それに、以前に同じ話をしていたとしても、認知症の方にとって話したのが今回で初めてのことなんです。それを毎回否定してしまうと、認知症の方のストレスになってしまいます。 でも、認知症になっていたら否定したことも忘れてしまうのではないですか? はい。「否定された」という出来事は忘れてしまうでしょう。ただ、否定されて「嫌な気持ちになった」という感情だけは記憶に残ると言われています。そのため、発言や行動を否定することを繰り返していると、否定してきた人の顔を見るだけで嫌な気持ちを思い出すようになる可能性も。その結果、顔を見るだけで感情的になったり介護拒否につながるケースもあるんです。 え!?そうなんですね…。では、どうしたら良いんでしょうか。 まずは、話をよく聞くことが大切です。事実とは違うことを話していても、以前に聞いた話でも「そうなんだね」と共感するようなリアクションをしましょう。それだけでも、話をきちんと聞いてもらっていることを感じるのでお母様が安心できると思いますよ。 細かく指摘や指示をする 先ほどお話ししたように、認知症になると効率的に作業を進めるのが難しくなります。なので、「こうした方が良いよ」「先にこれをして」など、口をはさみたくなりますよね。でも、常にそうされると、誰でも良い気持ちにはならないと思います。なので、失敗しないように指摘したくなる気持ちを抑えて、お母様のことを見守りましょう。 はい…。私は「早くして」と急かしてしまうことが多いので、我慢して見守ることにします。 家から出られないようにする 「家から出られないようにする」ってどういうことですか? 認知症が進行すると、一人で外出して帰り道がわからなくなり帰ってこれなくなることがあります。認知症の周辺症状のひとつである「徘徊」と呼ばれるものです。家に帰ってこれなくなると、事故にあったり衰弱してしまったりと、認知症の方に危険が及びます。なので、ご家族としては危険から守るために玄関に鍵を締めたりして家から出られないようにするんです。 徘徊ですか…。聞いたことがあります。今のところ、母は勝手に家を出ていくことはないですが…。 玄関に鍵がかかっていて外に出られないことがわかると、認知症の方はパニックになることがあります。自宅が自分の家だとわからなくなっていることもあるので、閉じ込められると「ここから逃げ出さなければ」となおさら外に出ようとするんですね。「知らない場所に閉じ込められた」と感じれば、ものすごいストレスになります。そのストレスから認知症が悪化してしまう可能性もあるわけです。 でも、鍵をかけないと勝手に出て行ってしまうんですよね?どうしたら良いんですか? 理想としては、出ていこうとしたときに一緒についていって近所を散歩することです。外に出て歩いているうちに、どうして外に出ようとしたのか忘れてしまうこともあります。ただ、忙しいとなかなかそうした時間が取れないかもしれませんが…。そういうときには、出ていこうとしたときに「おやつでも食べない?」「好きなテレビ番組が始まるよ」などと声をかけるのも良いでしょう。外に出ることから気持ちがそらされて、外出しなくなることがあります。 こんなシチュエーションではどうする? ここまで、認知症の方との基本的な関わり方とNGな対応方法についてお話ししてきました。ただ、具体的な状況でないとイメージしにくかったかもしれません。 はい…。まだイメージができていません。例えば、うちの母の悪口や暴力にはどのように対応すれば良いんでしょうか? 認知症の方の暴力・暴言に加えて、具体的な以下のシチュエーションでの対応方法についてもお伝えしていきますね。 暴力・暴言をする 物盗られ妄想をする 家族の顔がわからなくなる 昼夜逆転する 失禁・便いじりをする 異食をする 幻覚を見る 困ったシチュエーションごとの対応方法 暴力・暴言 認知症の方からの暴力・暴言を受けたら、まずは物理的に距離を取りましょう。介護を一生懸命にしているのに手を上げられたりひどい言葉を浴びせられるのは、とても辛いですよね。なので、まずは別の部屋に行ったり外出したりして、お母様から離れてみましょう。それでも気持ちが落ち着かなかったら、音楽を聞いたりして気分転換するのも良いかもしれません。 母から離れればよかったんですね。悪口を言われると口論になってしまっていたので、気分転換なんてしたことがなかったです。 そうですよね。余裕がなくなってしまうと上手く対応できなくなってしまいますよね。気持ちに余裕がないと感じたときには、誰かに相談してみるのも良いでしょう。他のご家族やケアマネジャーさんに相談してみるのはどうでしょうか。他にも、日記などに記録しておくことも効果的。言葉にすることで気持ちが整理できることもありますし、あとで誰かに相談するときにも役に立ちますよ。 なるほど…。落ち着いて書けるときに、ノートに記録してみます。 認知症のご家族からの暴言についてのご質問を以前もいただいたことがあります。そちらでも詳しくお答えしているので、ぜひ参考にしてみてください。 物盗られ妄想をする その次の「物盗られ妄想」とは何ですか? 認知症の方が自分でしまったことを忘れて、財布や貴重品がなくなったことを「お金が盗まれた!」と誰かのせいにすることです。ときには、身近なご家族が盗んだ犯人にされてしまうこともあります。そういうときは、一緒に家の中を探したり「おやつを食べよう」と他のことに気をそらすことが有効です。物盗られ妄想については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 家族の顔がわからなくなる 認知症の症状の中でもご家族のショックが大きいのが、「家族の顔がわからなくなる」ことでしょう。毎日、介護しているのにも関わらず、急に「どちら様?」とわからなくなるのは大変ショックですよね。もし、誰か別の人と勘違いしている場合は、その人になりきって返答するとスムーズにやり取りできることがあります。ただ、仲の悪い人と勘違いしている場合、認知症の方が興奮してしまう可能性もありますので、刺激をしないように離れた場所に移動して落ち着くのを待つのもひとつの手です。 昼夜逆転する うちの母も、昼夜逆転しているかもしれません。夜中に起き出して私を起こしに来たり、昼間に寝ていることがあって…。 なるほど…。それは昼夜逆転の傾向がありますね。昼夜逆転は、認知症の「見当識障害」という時間の感覚がわからなくなる症状の影響で起こります。対策としては、昼間に散歩したり活動する機会を増やしたり寝室の環境を整えましょう。とくに運動することは、認知症の進行緩和にも効果があるとされていますから、身体を動かす時間を増やしてみてください。昼夜逆転については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 異食をする 「異食」って何ですか?初めて聞きました。 異食とは、食べ物ではないものを食べてしまうことです。例えば、ティッシュや乾電池を食べてしまうのがよく聞くケースですね。食べてはいけないものなのに、認知機能が低下した影響で食べ物だと思い込んでしまったり、空腹のせいで口にしてしまうんです。異食をしてしまう場合は、口に入れやすい小さなものを認知症の方の手の届くところに置かないようにしたり、空腹にならないように少量をおやつなどを用意しておくと良いでしょう。また、食べることに気持ちがいかないように、趣味などの食べること以外の楽しみを増やすのも異食を防止できるかもしれません。 幻覚 認知症になると、幻覚を見るんですか? そういうケースもあります。例えば、「庭に知らない人が立っている」と実際には存在しないものが見える「幻視」や、壁の模様などが虫に見えてしまったりする「錯視」、実際にはない声や音が聞こえる「幻聴」などの症状が現れます。 へぇ、目で見えるだけではなくて、存在しない声や音が聞こえることもあるんですね。これにはどう対応したら良いんですか? 例えば「庭に知らない人が立っている」という幻視だったら、「追い払っておいたよ」と返すのが効果的です。幻覚を否定するのではなく、ある程度、付き合ってあげつつ安心できる声掛けをすると良いでしょう。こうした幻覚も認知症の方の不安感から現れることが多いです。そのため、安心できる返答を意識してみてくださいね。幻覚については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 普段からゆっくり大きな声で話したり、目線を合わせて話すのが大切 発言や行動を否定するのはNG!作業の手際が悪くてもそっと見守って pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...

2023/02/27

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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