杉並区の高齢者支援の取り組み
杉並区では、高齢者の生活や介護の支援の取り組みをおこなっています。以下の主な事業について紹介します。
- 区高齢者住宅「みどりの里」
- 緊急ショートステイ(医療型)
- 高齢者緊急通報システム
- 徘徊高齢者探索システム
- みまもりあいプロジェクト
区高齢者住宅「みどりの里」
杉並区には、区が運営する高齢者住宅「みどりの里」があります。この住宅には生活協力員と呼ばれるスタッフが配置され、入居者の安否確認や緊急通報があった際の対応をおこないます。
住宅には、冷暖房機、手すり、IHクッキングヒーター、緊急通報システム、暖房便座トイレ 、電気温水器などが設置されており、高齢者が自立した生活ができる環境が整っています。
入居の対象となるのは、一人暮らしの場合は256万8000円以下、2人世帯は294万8000円以下の世帯となります。
参考:「区高齢者住宅「みどりの里」」(杉並区)
参考:「区高齢者住宅「みどりの里」の空き室待ち登録者の募集について」(杉並区)
緊急ショートステイ(医療型)
日常的に医療的なケアが必要な高齢者が、葬儀などの介護者の用事で介護を受けられなくなった場合に、一時的に病院に介護をしてもらえるのが「緊急ショートステイ(医療型)」です。
最大10日間、病院で食事や清拭といった介助と、在宅酸素、インシュリン注射、経管栄養、尿管留置といった医療行為を受けられます。
利用料は、食費込みで1日あたり5000円。担当ケアマネジャーから区役所に相談することで利用申請ができるので、まずはケアマネジャーへ相談が必要です。
参考:「緊急ショートステイ(医療型)」(杉並区)
高齢者緊急通報システムの設置
高齢者緊急通報システムは、65歳以上の高齢者を対象に提供されるサービス。ペンダント型の救急ボタンの貸与と安心センサーや火災センサーを設置し、急病や火災の際に受信センターに通報し、救急車や消防車を要請する仕組みです。
安心センサーは、一定時間、人の動きを感知しない場合に自動通報、火災センサーは煙を感知することで自動通報します。
対象者は慢性疾患がある方や在宅生活に不安のある高齢者。利用できない条件として、固定電話や携帯電話がない、自宅の鍵を預けられない、他の防犯システムを利用している、認知症などによって緊急通報システムを適切に利用できない場合などが挙げられます。
利用料金は所得に応じて変動し、最大600円かかります。
参考:「高齢者緊急通報システム」(杉並区)
徘徊高齢者探索システム
「徘徊高齢者探索システム」は、認知症高齢者が徘徊した場合に介護者に位置情報を提供するシステム。介護者は手のひらサイズのGPS端末を高齢者に装着して利用することでサービスが受けられます。
高齢者が徘徊して行方不明になった場合は、パソコンで位置情報を検索するか、事業者に電話で位置情報の検索依頼をします。依頼された事業者はGPSを通じて高齢者の位置を特定し、介護者に電話で位置情報を伝えます。
対象となるのは、認知症高齢者を介護する家族。利用料金は所得に応じて変動し、最大800円の負担があります。
参考:「徘徊高齢者探索システム」(杉並区)
みまもりあいプロジェクト
「みまもりあいプロジェクト」は、スマートフォンの無料アプリを使って認知症高齢者の見守りをする取り組みです。
このプロジェクトでは、認知症で家に帰れなくなった高齢者の家族や地域の協力者がアプリをダウンロードし、見守りのネットワークを構築。認知症高齢者が行方不明になった場合、家族がアプリから捜索依頼を送信して協力者がその情報をもとに目撃情報などを提供します。
依頼には高齢者の写真や特徴が含まれており、情報を公開することで迅速に高齢者を発見・保護することを目的としています。
参考:「みまもりあいプロジェクト」(杉並区)
杉並区の老人ホーム事情
杉並区にある特別養護老人ホームは23施設。杉並区では特別養護老人ホームを増やすことで、入居待機期間を短縮する取り組みをしています。その結果、2018年3月末時点では平均待機期間が1年1ヵ月でしたが、2022年1月末時点では5ヵ月にまで短縮しています。
また、杉並区では待機者の約3割が入居の緊急性の高い人であると推計しています。2022年1月末時点では入所申し込みから3ヵ月以内に入居できた割合は約4割に上っており、特別養護老人ホームを増やしたことで緊急性の高い待機者は解消したとしています。
地域によっては特別養護老人ホームの申し込みから入居まで数年かかることもありますが、杉並区では比較的スムーズに入居できそうです。
参考:「杉並区高齢者保険福祉計画 第8期介護保険事業計画」(杉並区)