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特集

ニュース

介護者への支援 介護職員 地域の取り組み

ケアマネ同士が交流できる!スキルを高める講座「ケアマネcafe」

NPO法人未来をつくるkaigoカフェは、ケアマネジャーが集まってお互いのスキルを高めていく新たなプラットフォーム「未来をつくるケアマネcafe」を創設することを明らかにしました。原則として、すでにケアマネジャーの資格を持っている人、もしくはこれから資格取得を目指す人が対象だといいます。 コミュニティに参加すると、2ヵ月に1回開催される専門講座とそのアーカイブ視聴、参加者同士の勉強会、非公開フェイスブックグループなどに参加できるそうです。 また、現在予定される専門講座の概要は以下のとおりです。 10月16日:「ケアマネに求められるコミュニケーション力とは」  12月22日:「知っておきたい2024年介護保険制度改正」 2024年2月21日:「医療との連携に必要なことは」 専門講座はコミュニティに所属していない一般の人も参加可能な形で開催するとしています。 未来をつくるkaigoカフェとは NPO法人未来をつくるkaigoカフェは、これまでにも介護業界で働いている人々が対話できる場として、「未来をつくるkaigoカフェ」というイベントを度々開催してきました。 2012年にこの事業を開始してから現在にいたるまで、介護関係者を中心に、のべ3万人以上が参加。都内のカフェで月に1回、介護や医療に関するグループワークをおこなったり専門家を招待して講演会を開いたりしているそうです。 また、通常のkaigoカフェ開催のほか、小・中・高校での介護にまつわる出張授業、専門学校や大学でのキャリアアップ勉強会や公園なども手がけてきたといいます。 NPO法人未来をつくるkaigoカフェの代表を務める高瀬比左子氏は「この活動を通じて、高齢になっても、障害を持っても、自分らしく豊かに生きられる人を増やしていきたい」と話しています。 kaigoカフェは50を超える全国の拠点で開催されているといいます。多くの介護に携わっている人が参加していけば、より高齢者が豊かに生きられる社会をつくっていけそうですね。 参考:「NPO法人未来をつくるkaigoカフェ」

2023/09/29

人材不足 最新テクノロジー 認知症

高齢者向けロボット「だいちゃん」新機能!より快適なやり取りが可能

以前の記事で、認知症を患っている高齢者向けのコミュニケーションロボット「だいちゃん」について紹介しました。今回はその続報です。 認知症の高齢者向けロボットの開発・販売や介護施設の運営などをおこなっているザ・ハーモニー株式会社は、自社が開発した認知症の高齢者向けのコミュニケーションロボット「だいちゃん」に新機能を搭載したことを明らかにしました。 具体的には、あらかじめ設定することで、「だいちゃん」と会話できる「おはなしモード」から「うたモード」に自動で切り替えることが可能に。これにより、利用者がより集中して「だいちゃん」とのコミュニケーションに取り組めるようになるといいます。 コミュニケーションロボット「だいちゃん」について そもそも、「だいちゃん」とはどのようなロボットなのでしょうか? 「だいちゃん」は、ザ・ハーモニーが自社の高齢者施設で培った知見を活かし、認知症の高齢者が楽しくコミュニケーションに取り組めるように開発されたぬいぐるみ型のコミュニケーションロボットです。 「だいちゃん」にはザ・ハーモニーが独自に開発したAIが搭載されており、認知症を患っている高齢者の会話のテンポに合わせたコミュニケーションが可能。具体的には、以下のような機能が搭載されているといいます。 おはなしモード:「だいちゃん」が利用者と同じテンポで会話をおこなう クイズモード:ことわざや都道府県に関するクイズを「だいちゃん」が出題 うたモード:「だいちゃん」が歌を披露するモード セリフ機能:利用者が嫌がることも少なくない入浴や服薬を「だいちゃん」がお願いし、スムーズな介護につなげる機能 ザ・ハーモニーは、「だいちゃん」とのコミュニケーションを通じて、認知症の人が抱える不安や意欲低下などの症状を和らげられるとしています。 「おはなしモード」から「うたモード」に自動で切り替え可能 ザ・ハーモニーが「だいちゃん」の導入施設で検証をおこなったところ、「だいちゃんと会話していた利用者が、一定時間経過すると疲れてきてしまう」などの声が挙がったといいます。 それを受けて、ザ・ハーモニーは「だいちゃん」に、あらかじめ設定することで「おはなしモード」から「うたモード」に自動で切り替わる機能を新たに搭載。10分程度でモードが切り替わるようにしておくと、利用者がより集中してコミュニケーションに取り組むようになるそうです。 また、「おはなしモード」や「セリフ機能」で「だいちゃん」が話すセリフのバリエーションも新たに追加。より多彩な場面でコミュニケーションがおこなえるようになったといいます。 今回紹介した「だいちゃん」がさらにさまざまな場所で普及していけば、介護者の負担が軽減され、より手厚いケアを提供できるようになるかもしれませんね。

2023/09/28

最新研究 糖尿病予防

ビタミンDで糖尿病になりにくい体に!?日光を浴びて体を強くしよう

ビタミンDには、骨や筋肉の増強を促す効果があると言われています。 今回、新たな研究で、ビタミンDを十分に摂取している人はそうでない人に比べて、糖尿病を発症するリスクが低下する可能性が示されたのです。 この研究は、アメリカのタフツ大学医療センターの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は米国内科学会にて発表されました。 ビタミンDの効能とは そもそも、ビタミンDにはどのような効能があるのでしょうか? ビタミンDは体内のカルシウム吸収を促して骨を強くしたり、体内のたんぱく質の働きを良くして、筋肉の増強を促す効能があることで知られています。 また、日光の紫外線を浴びることで体内で生成できる唯一のビタミンでもあり、1日15~30分程度の適度な日光浴が奨励されています。 ビタミンDが豊富に含まれるとされる食品は以下のとおりです。 サバ、アジ、イワシなどの魚介類 シイタケ、エリンギなどのキノコ類 チーズ 卵 ビタミンDを摂取している人は糖尿病になりにくい 今回、研究グループは、ビタミンDが糖尿病の発症リスクに及ぼす影響を比較した、3件の臨床試験を分析。その結果、ビタミンDを十分に摂取していると、糖尿病リスクが約15%低下することが明らかになったのです。 タフツ大学医療センターの糖尿病・内分泌代謝部に所属するアナスタシオス・ピタス氏は以上の結果について、「今回の研究結果を世界中の糖尿病を患っている成人に当てはめると、ビタミンDを補給することで、1000万人以上の糖尿病の発症や進行を遅らせることにつながる」と話しています。 ビタミンDは健康で過ごすためになくてはならない栄養素のひとつですが、体内で蓄積されるため摂取しすぎると害が及ぶ可能性もあります。極力サプリメントなどではなく、食事や日光から摂取するようにすると良いかもしれませんね。

2023/09/27

看取り 社会保障 見守りシステム

「お看取りアラート」看取りのタイミングがわかる!?新たなシステム

エコナビスタ株式会社は、自社が開発した見守りシステム「ライフリズムナビ+Dr.」に、独自のAIを活用した「お看取りアラート」機能を新たに実装したことを明らかにしました。 センサーが利用者の血圧などを感知し、その数値が弱くなってきたら介護職員に通知が行くため、看取りの準備をスムーズにおこなえるといいます。 「ライフリズムナビ+Dr.」について そもそも、エコナビスタが開発した「ライフリズムナビ+Dr.」とはどのようなものなのでしょうか? ライフリズムナビ+Dr.とは、睡眠解析技術をベースにした高齢者施設見守りシステムで、現在、200以上の高齢者施設で利用されているそうです。 このシステムにはセンサーが搭載されていて、そのセンサーが血圧・脈拍などのバイタルサインや身体の動きといった、利用者の状態を24時間感知。介護記録システムとのデータ連携もできるといいます。 「お看取りアラート機能」を実装 今回、エコナビスタは複数の高齢者施設でヒヤリングや有用性の検証をおこないながら、ライフリズムナビ+Dr.に「お看取りアラート」機能を新たに実装したことを明らかにしました。 お看取りアラート機能が搭載されたライフリズムナビ+Drを使うと、心拍や体動などの身体活動が低下した利用者の状態のデータを解析。AIが血圧などのバイタルサインの推移を予測するといいます。 その結果、死期が近づいてきていると判断される場合には、介護職員にアラートで通知。正確な看取りのタイミングを知らせることで、利用者の家族や介護職員がスムーズに看取りに立ち会える状況をつくるとしています。 すでに、お看取りアラート機能は2023年9月の段階で、19施設で利用されており、今後さらなる普及が期待されます。 お看取りアラート機能がさらに普及していけば、高齢者が最期まで安らかに過ごせる社会をつくっていけるかもしれませんね。

2023/09/26

地域の取り組み 認知症予防

「訪問落語」が高齢者施設に来る!?落語で笑って認知症を予防しよう

エンタメ事業を手がけるシバハマ合同会社は、すべての人をエンターテインメントで元気にすることを目的に「エンタメ・ギフト」と呼ばれるプロジェクトをスタート。今回、その第二弾として、高齢者施設の利用者向けの「訪問落語」をリリースすることを明らかにしました。 利用者に落語を届ける事業をスタート シバハマ合同会社は、2023年4月から「エンタメ・ギフト」と名づけたエンターテインメント事業をスタート。これまでは、児童福祉施設にいる子どもたちを中心に「ピーター・パン」などの作品を届けてきました。 今回、その第二弾として、落語会に行きたくても外出が難しい高齢者施設の利用者を対象に「訪問落語」をおこなっていくと発表。2023年の10月から真打の落語家が特別養護老人ホームを訪問し、落語会を開催するとしています。 今回の訪問落語は、担当者が介護老人保健施設で働いていたときに、「昔はよく落語鑑賞をしていた。また見に行きたい」という声が利用者から挙がったことがきっかけだといいます。 担当者は「訪問落語は医療系のリハビリではない。何かの目的のために鑑賞するのではなく、ただ楽しんでいただければそれで良い」と述べています。 笑うことで認知症の予防にも 新たな研究で、笑うことは認知症のリスクを軽減する可能性が示されました。 福島県立医科大学は、約1000人の65歳以上の男女を対象に調査を実施。物忘れなどの認知機能に関する症状と笑いの頻度をアンケート方式で調べました。 その結果、「笑う機会がほとんどない」と回答した人は、「ほぼ毎日笑う」と回答した人に比べて、男性では2.11倍、女性では2.6倍多くの人に、認知機能の低下症状がみられたことが明らかになりました。 言い換えると、ほぼ毎日笑う人は笑う機会が少ない人に比べて、認知機能の低下を抑えられる可能性が示されたのです。 今回の「訪問落語」の取り組みがさらにさまざまな施設に広まっていけば、利用者も笑う日々が増え、より健やかな毎日を過ごせるようになりそうですね。 参考:「エンタメ・ギフト《訪問らくご》」(Shibahama) 参考:「笑って認知症を予防できるか」(健康長寿ネット)

2023/09/25

社会保障 認知症

認知症のための会社設立!?医者と対話できるアプリなどの商品開発

アルツハイマー病の進行を遅らせる治療薬を開発したエーザイ株式会社は、9月12日に認知症の臨床試験などのデータを活用する新会社「テオリアテクノロジーズ」の設立を発表。患者と医師が対話できるアプリなどを開発し、認知症の正しい理解を促していくとしています。 エーザイが新会社を設立 2023年9月12日、製薬大手のエーザイは、新会社「テオリアテクノロジーズ」の設立を明らかにしました。資金準備金など計7億円はすべてエーザイが出資。2024年4月に控える事業開始日までに、外部からデータサイエンティストなどのデジタル人材を集めていくとしています。 新会社では、患者と医師が対話できるアプリや、認知症の発症リスクを予測するアルゴリズムの開発などをおこなう予定。根強い偏見があり、健診などを渋る人も少なくない中、対話ツールなどを通じて、認知症への正しい理解や認識を促していくといいます。また、保険会社などとも連携し、認知症の保険商品を開発することも検討していく構えを見せています。 健診を受ける人は認知症リスクが下がる 千葉大学がおこなった新たな研究によると、健康診断を定期的に受診する人は、そうでない人に比べて認知症リスクが低下する可能性が示されました。 研究グループは、65~74歳の高齢者3万1012人を対象に、健診受診と認知症発症との関連性を分析。その結果、過去1年以内に健診を受診した人は、受診していない人に比べて5年間の認知症発症リスクが約13%低下したことが明らかになりました。 以上の結果を受けて、研究グループは「健診や特定保健指導で、生活習慣病を予防できれば将来の認知症リスクを減らすことができるかもしれない」と述べています。 認知症以外に、心筋梗塞や脳卒中などの致命的な疾患を予防するためにも健診は重要です。近くの自治体で健診を受けられることもあるので、チェックしておくと良いかもしれませんね。 出典:「健診受診者で認知症リスク13%少ない 」(千葉大学)

2023/09/22

最新研究 認知症

オリーブオイルで認知症の死亡リスクが低下!?毎日の摂取がおすすめ

新たな研究で、オリーブオイルを摂取する習慣がある人はそうでない人に比べて、認知症による死亡リスクが低下する可能性が示されました。 今回の研究はハーバード大学公衆衛生大学院の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は米国栄養学会の「Nutrition2023」にて発表されました。 オリーブオイルを摂取した人は認知症の死亡リスクが低下 今回、研究グループは1990~2018年に収集された9万2393人の食事アンケートを分析。対象者のうち、4749人が追跡期間中に認知症で死亡したことがわかりました。 研究グループが対象者のデータを解析した結果、1日あたり大さじ半分以上のオリーブオイルを摂取した人はそうでない人に比べて、認知症による死亡リスクが28%低下したことが明らかになりました。 さらに、1日あたり小さじ1杯のマーガリンやマヨネーズを同量のオリーブオイルに置き換えると、認知症による死亡リスクが8~14%低下することが示されたのです。 オリーブオイルに含まれるポリフェノールがカギ 研究グループが今回の研究を実施するきっかけとなったのは、オリーブオイルをふんだんに使う、アクアパッツァやアヒージョなどの「地中海食」の健康効果が高い関心を集めたからでした。 しかし、今回の研究によると、オリーブオイルを積極的に摂取していた人は、食事の内容にかかわらず認知症の死亡リスクが減少したことが判明。オリーブオイルに豊富に含まれるオレオカンタールというポリフェノールをはじめ、ビタミンEや不飽和脂肪酸が好ましい結果につながったとみられています。 ハーバード大学公衆衛生大学院に所属するアンジュリー・テシエ氏は「今回の研究で、マーガリンやマヨネーズなどの(人工的な)脂肪の代わりに、天然物であるオリーブオイルを使用するほうが、致命的な認知症のリスクを下げられる可能性が示された」と述べています。 パスタなどの地中海食だけでなく、さまざまな場面で活用できるオリーブオイル。ぜひ、日々の食事に取り入れてみてくださいね。 参考:「Opting for olive oil could boost brain health」(the American Society for Nutrition)

2023/09/21

社会問題 高齢者の一人暮らし

身元保証などの支援サービスでトラブル!?身寄りのない高齢者に被害

高齢化社会が進展するにつれて、家族と連絡が取れない独り身の高齢者が増えています。 そんな中、家族に代わって入院時の身元保証や葬儀などをおこなう、民間サービスに関するトラブルの相談が消費生活センターに多数寄せられていることがわかりました。 今回、法規制も視野にトラブル対策を検討するため、国が実態把握の調査を開始しました。 身寄りのない高齢者が増加傾向 2023年8月7日、岸田文雄首相は身寄りのない高齢者が抱える実情を把握するため、東京都の豊島区役所を訪問。視察後、記者団に対し「安心して、民間事業者による身元保証などのサポートを受けられる仕組みをつくる」と述べたそうです。 2020年の国勢調査によると、全国における高齢者の一人暮らし世帯は約672万世帯で、20年前と比べて倍増したことが判明。特に、今回岸田首相が訪れた豊島区は、一人暮らしの高齢者の割合が全国の市区の中で最高水準にあることがわかりました。 民間の支援サービスでトラブル多発 身寄りのない高齢者を支援するため、入院や高齢者施設に入所する際の身元保証の代行や財産管理、葬儀の代行などのサービスを提供する民間業者が増加。中には、悪質な業者によるトラブルも少なくないといいます。 消費者庁の調べによると、消費生活センターに寄せられた、民間の支援サービスに関する相談件数は年間で平均100件にも上ることが判明。「年金を預かると言われて渡した通帳と印鑑が返ってきていない」「解約したいが返金額に納得できない」などの相談が寄せられているそうです。中には事業者が経営破綻して、預けたお金が返還されないケースもあるといいます。 トラブルの背景には、契約内容が複雑になりやすいこと、提供されているサービスが多すぎて自分に合ったものを選択するのが難しいことなどが指摘されています。 契約後にトラブルにならないためにも、時間をかけてサービスの内容を精査していくと良いかもしれませんね。

2023/09/20

介護職員 地域の取り組み

介護職員へギフトカード配布!介護や福祉、保育などの職員へ支援策

2023年8月30日、大阪府の吉村洋文知事が記者会見を開催。介護や福祉、保育関係で働いている職員に対し、1人あたり2万円のギフトカードを配布する方針を明らかにしました。 また、配布するギフトカードの財源を盛り込んだ、今年度の補正予算案を9月の府議会に提出するといいます。 介護などの職員にギフトカードを配布 8月30日に開かれた記者会見にて、大阪府の吉村知事は介護や福祉、保育などの現場で働く職員に対し1人2万円分のギフトカードを配ることを発表。厳しい物価高騰が続く中で、新型コロナウイルスとの戦いも続いていることを踏まえた措置だと考えられます。 会見で吉村知事は「介護や福祉、保育などの仕事に従事されている方々へ、コロナ禍が残る緊張感の中で働いていただいていることに感謝する。十分なものではないかもしれないが、支援策を講じることにした」と述べています。 ギフトカード配布の対象者は40万人以上に 今回、2万円分のギフトカードが配布される対象者は、公務員を除き、大阪府内で介護や福祉、保育などの現場でサービスを提供しているすべての職員。その人数は約41.4万人に上るとみられています。 ギフトカードは、対象領域の施設や事業所を通じて職員に配布する仕組みを想定。実際に配布する時期は2023年12月~2024年2月頃を予定しているそうです。また、予算はおよそ87億円に上るといいます。 吉村知事は会見の中で、数あるエッセンシャルワーカーの中でも介護や福祉、保育の領域で働いている職員の収入が特に上がりにくい現状について言及。「国を挙げて、給料を上げていかなければならない。政府にはぜひ実行してもらいたい」と述べました。 ギフトカードの配布は喜ばしいことですが、根本的な解決にはつながらないのも事実。手厚いケアをおこなえる体制をつくっていくためにも、国には介護報酬の引き上げなどより抜本的な対策を打ち出していってほしいですね。

2023/09/19

地域の取り組み 難聴

補聴器じゃなく「軟骨伝導イヤホン」!?難聴の入居者に施設が導入

奈良県河合町にある介護付き有料老人ホームにて、耳の聞こえにくい入居者に向けて「軟骨伝導イヤホン」を導入するという全国初の試みがおこなわれようとしています。 イヤホンを利用してもらい、入居者のコミュニケーションをより円滑にするねらいがあるといいます。 奈良県の老人ホームで「軟骨伝導イヤホン」を導入 奈良県河合町にある老人ホーム「奈良ニッセイエデンの園」は、入居者向けの窓口に「軟骨伝導イヤホン」の導入を決めたことを明かしました。 今回導入されるイヤホンには、奈良県立医科大学の細井裕司氏が発見した「軟骨伝導」の技術を応用。軟骨伝導とは、耳の軟骨を振動させて音を伝える仕組みで、これを使ったイヤホンなら従来の補聴器よりも音漏れがせず、痛みも少ないといいます。 細井氏は2023年9月4日に「奈良ニッセイエデンの園」を訪問し、「軟骨伝導イヤホンを利用して人の話を理解しようとすることで、脳が活性化して認知症の予防につながる」と説明しました。 また、老人ホームの枡田悦弘総園長は「園内には難聴で困っている人も多い。1人でも多くの人の役に立てれば」と話しています。 聴力と認知機能の関連性 聴力は加齢とともに低下しやすいと言われています。その原因は、騒音による聴覚細胞の損壊や脳の聴力をつかさどる部位の衰えなどさまざま。「年のせいだから」と放っておく人も少なくありません。 しかし、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学による研究によると、加齢とともに低下した聴力をそのままにしておくと認知症を発症するリスクが高まることが明らかになりました。 研究グループは「難聴の人は言葉の聞き取りに集中する必要があるため、記憶への注意力がおろそかになる。また、コミュニケーションが困難なため、社会的にも孤立するリスクも高い」と指摘しています。 また、別の研究で、社会的に孤立してコミュニケーションの機会が少なくなることでも認知症の発症リスクが高まることが示唆されています。 難聴の入居者に軟骨伝導イヤホンを利用してもらう今回の試みは、入居者のコミュニケーション量を増やし、認知機能の低下を防ぐことが期待できます。この試みがさらに広がっていけば、高齢者がより豊かに生きていける社会をつくっていけそうですね。 参考:「加齢による「聴力低下」と「認知機能の衰え」の関連性」

2023/09/15

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY ▶介護付き有料老人ホームの費用に関してはこちらのページをご覧ください 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

グループホームとは認知症高齢者のための介護施設で、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスのこと。正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 費用や入居条件などの主な特徴は以下の通りです。 入居時費用約0円~100万円月額利用料約15~30万円入居条件要支援2以上認知症の受け入れ重度認知症も受け入れ可看取り対応対応していない施設が多い この記事では、各項目について詳しくご説明していきます。ご家族が認知症で、在宅での介護生活に不安のある方などはとくに、グループホームへの入居検討の際の参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM グループホームの特徴 グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 項目 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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