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半年ほど前から、電車で片道1時間ほどのところの実家に住む母を介護しています。週2回くらい実家に通っている状況です。 今まで父は家のことは母に全部任せきりだったので、父はなかなか家事がこなせないようです。実家に帰る度に家がめちゃくちゃになっているんです。 父も家事が上手くできないことを母に指摘されることが度々あり、毎日のようにケンカしています。父も私も疲弊しているのを感じています。 こんな状況をどうにかしたいのですが、どうしたら良いかわかりません。何か良い方法はないでしょうか? (岩本さん・62歳・パート) 仕事や自分の家のことをしながら、通いで介護をするのはとても大変ですよね…。お母様は介護サービスを利用していますか?まだ利用していないのであれば、まずは介護認定から始めましょう。介護認定が下りれば介護サービスが利用できますから、できるだけ介護サービスに頼って、介護をもっと”楽”にしましょう!それでも「通い介護は難しい」と感じたときは、介護施設への入居を考えてください。親御さんを介護施設に入れることに抵抗がある方もいらっしゃいます。が、ご自分の生活が一番大切です。無理して通い介護を続けていると、体調をくずしたり「介護うつ」になってしまうこともあります。介護サービスを活用して”ほどほどにがんばる介護”を心がけてみてくださいね。 通い介護に疲れたときの相談先 半年ほど前に母が脚を骨折してから、片道1時間ほどの実家に住む母の介護をしています。母は長い時間立つのが難しいので家事がほとんどできず、主に父が家事や介護をおこなっています。ただ、父はこれまで家のことを母に任せっぱなしで、料理も洗濯もろくにできなかった人です。家事が上手くできなくてしょっちゅう母に指摘されるので、毎日のようにケンカしているのでこちらもイライラしてしまいます。それに、週に2回ほど実家に私が帰ると、家の中がめちゃくちゃになっていてそれを見るのも憂鬱です。でも、私も自分の家のことや仕事もあるのでこれ以上帰る回数を増やせません。どうにかしたいとは思うのですが、どうしたら良いかわからないし、どこに相談したら良いのかもわからなくて…。 なるほど…。通い介護は大変ですし、お父様の負担も大きそうですね。でしたら、まずは介護で悩んだときの相談先をお伝えします。「何から手を打ったら良いのかわからない」という疑問も解決できると思いますよ。 地域包括支援センター 「地域包括支援センター」とは、市区町村に1つは必ず設置されている窓口。介護に限らずご高齢者の生活全般について相談できます。 市区町村の福祉相談窓口 地域包括支援センターはどこにあるのかわからない場合でも、市役所の場所はわかりますよね。なので、もしかしたらこちらの方が相談しやすいかもしれません。「高齢者福祉課」「介護保険課」など、自治体によって名前が異なるので、窓口がわからなければとりあえず役所に行ってみるのもありですよ。 なるほど、役所なら相談しやすいです。行ってみます! 医療機関 医療機関でも介護の相談ができるんですか? そうなんです。特に認知症が疑われる場合は、ドクターが強い味方になります。具体的には、「最近、物忘れが多いかも」「会話が噛み合わない」などの異変を感じたときはドクターの出番です。あとは、病気や怪我が原因で入院して、介護が必要になったときも医師に相談するのが良いでしょう。 認知症か…。まだうちの母はそんな感じはしないですが、気をつけておいた方が良いのかも。 地域の民生委員 また、地域の民生委員さんも介護の相談に乗ってくれます。民生委員さんは、地域のご高齢者の家を訪問して顔見知りになっていることも多いので、ご両親の住む地域の民生委員さんに相談してみるのも良いかもしれません。 知り合い もし、身近に介護の経験をしたことがある人がいたらその人に相談してみるのもあり。ご家庭によって状況が異なるので、その人の解決法が必ずしも岩本さんの悩みも解決できるとは限りませんが、誰かに話すだけでも気持ちが楽になることもあるので、積極的に頼ってみましょう。 そういえば、うちの近所でお母さんを介護している人がいた気がします。その人に相談してみるのも良いのかな。 通い介護に限界を感じたら在宅介護サービスの活用を そういえば、お母様は介護サービスを利用していますか? 利用していないです。まだ、そこまでの状況ではないと思って…。介護サービスって認知症とか、自分でトイレにも行けないとか、そういう状態の人が使うものじゃないんですか? いえいえ!もっと状態の軽い人でも利用できますよ。特に岩本さんのお宅は、通い介護で負担が大きいと思うので、積極的に活用していきましょう! と言われても…。どうやって介護サービスを利用したら良いのかわからないです。 では、介護サービスを利用するまでの流れをお話ししていきますね。 初めて利用する場合は介護認定から 介護サービスを利用するには、はじめに介護認定を受ける必要があります。その介護認定によって「要介護度」が決定し、介護度に応じて利用できる介護サービスの量がわかります。介護認定を受けるときの流れは以下の通りです。 介護認定の申請をする 認定調査を受ける 認定結果の通知を受ける ケアマネジャーを選ぶ 介護サービスを利用開始する 1.介護認定の申請をする 介護認定の申請は、認定を受ける人が住んでいる市区町村の役所でおこないます。つまり、お母様が住んでいる地域の役所で手続きをおこなうわけです。 2.認定調査を受ける 認定調査は「介護認定調査員」がお母様を訪ねて、直接の面談でおこなわれます。この面談でお母様の受け答えや身体の動き、普段の生活能力などを確認します。 3.認定結果の通知を受ける 介護認定の申請から30日以内に認定結果が知らされます。介護認定は「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」のいずれかに分類され、「要介護1~5」に認定されると「介護保険サービス」が利用できるようになります。 4.ケアマネジャーを選ぶ 介護認定が下りたら、介護サービスを利用するためにケアマネージャーを探しましょう。ケアマネージャーとは、「ケアプラン」と呼ばれる介護サービスの計画書を作る専門家。介護サービスや介護の悩みの相談窓口でもあります。このケアマネージャーは、役所か地域包括支援センターに相談するとケアマネージャーの事業所(居宅介護支援事業所)のリストをもらえるので、その中から選びます。 5.介護サービスを利用開始する ケアマネージャーにケアプランを作成してもらい、それに沿って介護サービス事業所と契約をすれば、あとは介護サービスの利用が開始されます。 初めて聞く言葉も多いし、なんだかややこしいですね…。 そうなんですよね…。初めてのことでわからないことが多いと思うので、わからないことがあったら逐一、担当者に質問したり、役所の窓口に相談してみてくださいね。 在宅介護サービスの種類 えーっと…。介護認定が下りたら介護サービスを利用できるわけですよね。でも、介護サービスってどんなものがあるんですか?よくわからなくて…。 では、ここからは在宅介護サービスの代表的なものについて簡単にお伝えしましょう。他にも在宅介護サービスはいくつもあるので、詳しく知りたい場合は以下の記事もチェックしてみてくださいね。 訪問介護 訪問看護 通所介護(デイサービス) 短期入所生活介護(ショートステイ) 訪問介護 訪問介護は、ご自宅の訪問ヘルパーさんが来て掃除や食事の支度などの身の回りの世話や、排泄介助、入浴介助といった介護をしてくれるサービスです。介護サービスの対象者であるお母様に関する家事・介護しかしてもらえませんが、食品の買い物などもやってもらえるので、どうしても岩本さんやお父様の手に余るような家事をお願いするのも良いかもしれません。 訪問看護 訪問看護は、訪問介護と同じように訪問看護師さんがご自宅に来て健康管理や、薬の管理、医療ケアを提供してくれるサービスです。健康な人には日常的な健康管理をおこない、医療的ケアが必要な人には点滴や注射といった医療処置も提供可能です。 通所介護(デイサービス) デイサービスは、介護施設にご高齢者が通ってケアを受けるサービス。具体的には、食事、入浴、排泄介助といった身の回りの介助に加えて、レクリエーションや機能訓練なども提供します。ご高齢者の集いの場となっているので、自宅にこもりがちな人でも自然と人との交流ができる環境です。 短期入所生活介護(ショートステイ) ショートステイはその名の通り、介護施設に短期間宿泊できるサービスです。1日から利用でき、最長30日間連続の宿泊もできます。利用するご高齢者も気分転換になりますし、ご家族も介護から離れてリフレッシュする時間が確保できるのが魅力。介護をするご家族が休憩するためのサービスとも言えるんです。 施設入居も検討して 在宅介護サービスっていろんなものがあるんですね。もっと早く使っておけばよかった…。 そう思っていただけたのなら良かったです!介護は他の人に相談しにくく、一人で抱え込む方が多いんです。なので、ご紹介したようなサービスを活用して、どんどん介護のプロに頼りましょう!ただ、もしかしたら在宅介護サービスを使っていても「介護がきつい」と感じるときが来るかもしれません。そういうときは、老人ホームなどの介護施設に入居することも検討してくださいね。 えっ、老人ホームですか?でも、私もまだまだ介護できますし…。何より、父は「介護は家族がするもの」と口癖のように言う人です。それで母を施設に入れるなんて、父が首を縦に振るはずありません。 なるほど…。もしかしたらお父様は「施設に入れるのはかわいそう」と思っているのかもしれませんね。でも、無理して在宅介護を続けることで、岩本さんやお父様が体調を崩してしまうこともあるかもしれません。そうなってしまっては元も子もないですよ。介護は楽をして良いんです。むしろ岩本さんとお父様が体調を崩してお母様の介護ができなくなったら、お母様が生活できなくなってしまいますよね。そうならないように、「在宅介護は限界かも」と感じたらすぐに施設探しを始めましょう。 うーん、そうですね…。でも、老人ホームにもたくさんの種類があるんですよね?違いがよくわからなくて…。 でしたら、主な介護施設について簡単にお話ししていきますね。代表的な介護施設には以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) グループホーム 特別養護老人ホーム(特養) 介護施設の種類 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、24時間介護職員さんが常駐しているので、トイレ介助といった夜間の介助が必要な方におすすめです。また、日中には看護師さんも常駐しているため、インスリン注射などの医療ケアが要る場合でも入居ができます。 住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームは、訪問介護やデイサービスなどの在宅介護サービスを利用しながら生活する施設。そのため、介護サービスの組み合わせの自由度が高いのが特徴です。 サービス付き高齢者向け住宅 サービス付き高齢者向け住宅は、基本的には介護の必要のないご高齢者向けの住まい。中にはカラオケやフィットネスジムなど、元気に活動できる設備が整っている施設もあります。サ高住に入居して介護サービスを使いたい場合は、在宅介護サービスの事業者と別途契約が必要になります。 グループホーム グループホームは、認知症のご高齢者限定の施設です。少人数の「ユニット」単位で生活しており、1ユニット9名までと定められているのが特徴なんです。ただ、「介護度が要支援2以上」「施設のある市区町村に住民票があること」などいくつか入居条件があるので、入居を希望する場合は注意が必要です。 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、公的施設のため比較的、費用が安いのが特徴です。ただ、安価なためとても人気で、入居までに1年以上待つケースも。「すぐに入居したい」と思っても入居できないのがネックなんです。そのため、特養に入居したい場合は、余裕のあるうちから入居の申込みをするのがおすすめです。 介護施設ってこんなに種類があるんですね…。 実は、ここでお話ししたのは一部だけ。詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。 通い介護を無理して続けて起きる問題 通い介護は介護をする人にとって負担が大きいですよね。移動時間もかかりますし、頻繁に通うとなると交通費も高額になってしまいます。それでも、無理をして通い介護を続けていくと次のような問題が起こる可能性があります。 介護離職 老老介護 介護うつ 介護虐待・殺人 テレビで聞いたことがあります…。でも、これって寝たきりの人を介護していたり、介護がすごく大変なケースですよね?うちの母はまだ元気ですし…。 いえ、これらの問題は介護をするすべての人に起こる可能性があります。現に、岩本さんのご実家でもお父様がお母様を介護する「老老介護」の状態になっていますよね。老老介護は、介護をしている人も高齢のために体調を崩しやすいですし、「気がついたら介護している人が認知症になっていた」という話もあるんですよ。それくらい共倒れしやすい状況なんです。 え、父が認知症に…?うーん、確かに父も高齢ですし、ありえないことではないですよね…。 不安になるようなことを言ってすいません。ただ、そういうリスクを想定して介護サービスを積極的に使ったり、少しでも異変があったらケアマネージャーなどの専門家に相談しましょう。お母様の介護も大切ですが、岩本さんとお父様の生活が第一です。いろんなサービスを頼りながら”楽”に介護できる環境を整えてくださいね。 在宅介護サービスを活用して、通い介護の負担を軽減して 介護サービスを利用するときは、まず介護認定から 老老介護は介護する人が認知症になって介護できなくなることも… pre { margin: 40px 0; ...
2023/03/03
同居している母の介護をしています。半年ほど前にアルツハイマー型認知症と診断されました。物忘れが多くなってきたのはしょうがないと思っているのですが、急に殴りかかってきたり、ひどい悪口を言ってくるようになりました。以前はそんなことをする人じゃなかったのに…。 「認知症だからしょうがない」と割り切っているものの、どうしてもこちらも感情的になって怒鳴り返してしまいます。認知症の母との上手い関わり方を教えてください。 (平井さん・67歳) 一生懸命に介護しているのに、ひどいことを言われたり暴力を受けるのはつらいですよね…。認知症の人が不安にならないような対応をしてみると、お母様も安心して穏やかに話せるかもしれません。例えば、ゆっくり大きな声で話をしたり、お母様のペースに合わせて行動をしてみましょう。反対に、早口で話したりお母様の行動を急かすような声掛けは、お母様の不安感を大きくしてしまいます。また、認知症の方との関わり方で注意が必要なことは、シチュエーションによって少し異なります。その辺りも注意してみてくださいね。 認知症の人との関わり方のポイント 認知症の母の介護をしています。昔は働き者で料理好きの明るい人だったのですが、このところ急に怒鳴ったり殴りかかってくることが多くなりました。物忘れが多くなってきたのは認知症のせいだと割り切れるのですが、悪口を言われたり暴力を振るわれるのは、私もショックが大きくて…。認知症の母と上手く関わるためにはどうしたら良いんでしょうか? 暴力や暴言はショックが大きいですよね。大切に思っている家族だからこそ、なおさらショックが大きくなるのは自然なことですよ。認知症の方との関わり方は、対応に慣れている介護職員でも頭を悩ませることです。なので、いくつかのコツをお伝えするので、それを1つずつ試してみてください。認知症の方との関わり方のコツを以下にまとめてみたので、参考にしてみてください。 話し方 ゆっくり話す 大きな声で話す 目線を合わせて話す 話をよく聞く 接し方 ペースを合わせる 無視をしない 役割を持ってもらう 認知症の人にはこんな話し方をしてみて ゆっくり大きな声で話す 認知症の方との基本は、「ゆっくり大きな声で話す」ことです。年齢とともに聴力が衰えていくうえに、認知症の影響で認知機能が低下して話の理解力も低下しています。そのため、お母様が言葉を聞き取れているかどうかを確認しながら会話をしてみましょう。そうすれば「私のことを気にかけてくれる」とお母様が感じて、不安な気持ちが落ち着いてくると思いますよ。 目線を合わせて話す 「目線を合わせて話す」というのは、気にしたことがなかったです。 忙しいと遠くから話しかけてしまったり、座っているお母様に対して立ったままで会話することもあると思います。ただ、認知症の方は感情の変化に敏感です。立ったままで話すと怒っているような威圧感を与えてしまいかねません。お母様が椅子に座っていたら平井さんも椅子に座って話しかけるなど、目線を合わせて、目を見ながら話すのを意識してみてください。 話をよく聞く 「話をよく聞く」ことは、相手が誰であってもコミュニケーションの基本。でも、家事に介護に…と、忙しいとないがしろにしてしまいがちですよね。認知症の方の話は要領を得なかったり、ちぐはぐなことがありますが、その言葉の中に不安の要因が隠れていることもあります。なので、毎日忙しいかと思いますが、お母様の話を聞く時間を設けてみてください。 「話をよく聞く」ですか…。「認知症になって何言っているかよくわからないし」と思って、母と会話する機会が減っていたような気がします。気をつけないと…。 認知症の人にはこんな対応をしてみて ペースを合わせる また、認知症の方には、話し方だけではなく接し方にもコツがあります。例えば、認知症によって脳が障害を受けることで引き起こされる直接的な症状「中核症状」には、物事を順序立てて効率よく作業できなくなる「実行機能障害」というものがあります。そのため、ご家族から見たら手際が悪くて「早くして」と急かしたくなることもあるかもしれません。それをぐっとこらえて、お母様のペースに合わせてみましょう。それだけでもお母様が安心して行動できるので、不安による症状の悪化が抑えられるかもしれませんよ。 無視をしない 「無視をしない」って当然のことじゃないですか? そうなんです。でも、家のことや仕事、育児などで忙しいと、認知症の方のことを無視してしまったり話しかけられても後回しにしてしまうこともあるかもしれません…。認知症の方も、一般の方と同様に自尊心があります。無視をすると自尊心が傷つけられたりストレスを感じて、認知症の症状が悪化してしまうこともあり得るんです。 役割を持ってもらう 「役割を持ってもらう」ってどういうことですか?よくイメージできないのですが…。 例えば、「食後に食器を流し台に持っていく」「テーブルを拭く」「味見をする」など、簡単なことでも何でも良いので、お母様に役割を持ってもらうんです。誰でも「役に立っている」という感覚はうれしいですよね。それは認知症の方も同じです。ちょっとしたことでも良いので役割を持ってもらって、「お母さんのおかげで助かったよ」といった感謝の声掛けをしてみましょう。介助が必要なご高齢者の場合、「迷惑をかけている」という罪悪感を感じているかもしれません。感謝の言葉をかけるだけでも、その罪悪感が軽減されることがありますよ。 こんな関わり方はNG! 介護や家事で余裕がなくて、「目線を合わせて話す」「ペースを合わせる」といったことができていませんでした。むしろ、立ったまま話しかけていましたし、朝の支度が遅い母を「早くして」と急かしてしまっていました…。 介護をしていると、気持ちや時間の余裕がなくなってしまいますよね…。なので、認知症の方が不安やストレスに感じやすい対応をしてしまいがちかもしれません。そこで、認知症の方にしてはいけない関わり方を次のようにまとめました。やらないように意識していくだけでもお母様の気持ちが落ち着くと思いますよ。 発言や行動を否定する 細かく指摘や指示をする 家から出られないようにする 認知症の人へのNG対応 発言や行動を否定する 認知症の方へのNG対応の中で、一番やってしまいがちなのが「発言や行動を否定する」ことではないでしょうか。認知症の方は、認知機能の低下で事実とは異なることを話したり、同じことを何度も話すことがあるでしょう。そうしたときに「それは違うよ」「それは何度も聞いたよ」と否定してしまうのはNGです。たとえ、事実と違う話でも、認知症の方の頭の中では事実です。それに、以前に同じ話をしていたとしても、認知症の方にとって話したのが今回で初めてのことなんです。それを毎回否定してしまうと、認知症の方のストレスになってしまいます。 でも、認知症になっていたら否定したことも忘れてしまうのではないですか? はい。「否定された」という出来事は忘れてしまうでしょう。ただ、否定されて「嫌な気持ちになった」という感情だけは記憶に残ると言われています。そのため、発言や行動を否定することを繰り返していると、否定してきた人の顔を見るだけで嫌な気持ちを思い出すようになる可能性も。その結果、顔を見るだけで感情的になったり介護拒否につながるケースもあるんです。 え!?そうなんですね…。では、どうしたら良いんでしょうか。 まずは、話をよく聞くことが大切です。事実とは違うことを話していても、以前に聞いた話でも「そうなんだね」と共感するようなリアクションをしましょう。それだけでも、話をきちんと聞いてもらっていることを感じるのでお母様が安心できると思いますよ。 細かく指摘や指示をする 先ほどお話ししたように、認知症になると効率的に作業を進めるのが難しくなります。なので、「こうした方が良いよ」「先にこれをして」など、口をはさみたくなりますよね。でも、常にそうされると、誰でも良い気持ちにはならないと思います。なので、失敗しないように指摘したくなる気持ちを抑えて、お母様のことを見守りましょう。 はい…。私は「早くして」と急かしてしまうことが多いので、我慢して見守ることにします。 家から出られないようにする 「家から出られないようにする」ってどういうことですか? 認知症が進行すると、一人で外出して帰り道がわからなくなり帰ってこれなくなることがあります。認知症の周辺症状のひとつである「徘徊」と呼ばれるものです。家に帰ってこれなくなると、事故にあったり衰弱してしまったりと、認知症の方に危険が及びます。なので、ご家族としては危険から守るために玄関に鍵を締めたりして家から出られないようにするんです。 徘徊ですか…。聞いたことがあります。今のところ、母は勝手に家を出ていくことはないですが…。 玄関に鍵がかかっていて外に出られないことがわかると、認知症の方はパニックになることがあります。自宅が自分の家だとわからなくなっていることもあるので、閉じ込められると「ここから逃げ出さなければ」となおさら外に出ようとするんですね。「知らない場所に閉じ込められた」と感じれば、ものすごいストレスになります。そのストレスから認知症が悪化してしまう可能性もあるわけです。 でも、鍵をかけないと勝手に出て行ってしまうんですよね?どうしたら良いんですか? 理想としては、出ていこうとしたときに一緒についていって近所を散歩することです。外に出て歩いているうちに、どうして外に出ようとしたのか忘れてしまうこともあります。ただ、忙しいとなかなかそうした時間が取れないかもしれませんが…。そういうときには、出ていこうとしたときに「おやつでも食べない?」「好きなテレビ番組が始まるよ」などと声をかけるのも良いでしょう。外に出ることから気持ちがそらされて、外出しなくなることがあります。 こんなシチュエーションではどうする? ここまで、認知症の方との基本的な関わり方とNGな対応方法についてお話ししてきました。ただ、具体的な状況でないとイメージしにくかったかもしれません。 はい…。まだイメージができていません。例えば、うちの母の悪口や暴力にはどのように対応すれば良いんでしょうか? 認知症の方の暴力・暴言に加えて、具体的な以下のシチュエーションでの対応方法についてもお伝えしていきますね。 暴力・暴言をする 物盗られ妄想をする 家族の顔がわからなくなる 昼夜逆転する 失禁・便いじりをする 異食をする 幻覚を見る 困ったシチュエーションごとの対応方法 暴力・暴言 認知症の方からの暴力・暴言を受けたら、まずは物理的に距離を取りましょう。介護を一生懸命にしているのに手を上げられたりひどい言葉を浴びせられるのは、とても辛いですよね。なので、まずは別の部屋に行ったり外出したりして、お母様から離れてみましょう。それでも気持ちが落ち着かなかったら、音楽を聞いたりして気分転換するのも良いかもしれません。 母から離れればよかったんですね。悪口を言われると口論になってしまっていたので、気分転換なんてしたことがなかったです。 そうですよね。余裕がなくなってしまうと上手く対応できなくなってしまいますよね。気持ちに余裕がないと感じたときには、誰かに相談してみるのも良いでしょう。他のご家族やケアマネジャーさんに相談してみるのはどうでしょうか。他にも、日記などに記録しておくことも効果的。言葉にすることで気持ちが整理できることもありますし、あとで誰かに相談するときにも役に立ちますよ。 なるほど…。落ち着いて書けるときに、ノートに記録してみます。 認知症のご家族からの暴言についてのご質問を以前もいただいたことがあります。そちらでも詳しくお答えしているので、ぜひ参考にしてみてください。 物盗られ妄想をする その次の「物盗られ妄想」とは何ですか? 認知症の方が自分でしまったことを忘れて、財布や貴重品がなくなったことを「お金が盗まれた!」と誰かのせいにすることです。ときには、身近なご家族が盗んだ犯人にされてしまうこともあります。そういうときは、一緒に家の中を探したり「おやつを食べよう」と他のことに気をそらすことが有効です。物盗られ妄想については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 家族の顔がわからなくなる 認知症の症状の中でもご家族のショックが大きいのが、「家族の顔がわからなくなる」ことでしょう。毎日、介護しているのにも関わらず、急に「どちら様?」とわからなくなるのは大変ショックですよね。もし、誰か別の人と勘違いしている場合は、その人になりきって返答するとスムーズにやり取りできることがあります。ただ、仲の悪い人と勘違いしている場合、認知症の方が興奮してしまう可能性もありますので、刺激をしないように離れた場所に移動して落ち着くのを待つのもひとつの手です。 昼夜逆転する うちの母も、昼夜逆転しているかもしれません。夜中に起き出して私を起こしに来たり、昼間に寝ていることがあって…。 なるほど…。それは昼夜逆転の傾向がありますね。昼夜逆転は、認知症の「見当識障害」という時間の感覚がわからなくなる症状の影響で起こります。対策としては、昼間に散歩したり活動する機会を増やしたり寝室の環境を整えましょう。とくに運動することは、認知症の進行緩和にも効果があるとされていますから、身体を動かす時間を増やしてみてください。昼夜逆転については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 異食をする 「異食」って何ですか?初めて聞きました。 異食とは、食べ物ではないものを食べてしまうことです。例えば、ティッシュや乾電池を食べてしまうのがよく聞くケースですね。食べてはいけないものなのに、認知機能が低下した影響で食べ物だと思い込んでしまったり、空腹のせいで口にしてしまうんです。異食をしてしまう場合は、口に入れやすい小さなものを認知症の方の手の届くところに置かないようにしたり、空腹にならないように少量をおやつなどを用意しておくと良いでしょう。また、食べることに気持ちがいかないように、趣味などの食べること以外の楽しみを増やすのも異食を防止できるかもしれません。 幻覚 認知症になると、幻覚を見るんですか? そういうケースもあります。例えば、「庭に知らない人が立っている」と実際には存在しないものが見える「幻視」や、壁の模様などが虫に見えてしまったりする「錯視」、実際にはない声や音が聞こえる「幻聴」などの症状が現れます。 へぇ、目で見えるだけではなくて、存在しない声や音が聞こえることもあるんですね。これにはどう対応したら良いんですか? 例えば「庭に知らない人が立っている」という幻視だったら、「追い払っておいたよ」と返すのが効果的です。幻覚を否定するのではなく、ある程度、付き合ってあげつつ安心できる声掛けをすると良いでしょう。こうした幻覚も認知症の方の不安感から現れることが多いです。そのため、安心できる返答を意識してみてくださいね。幻覚については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 普段からゆっくり大きな声で話したり、目線を合わせて話すのが大切 発言や行動を否定するのはNG!作業の手際が悪くてもそっと見守って ぴよぴぴよ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...
2023/02/27
同居している母の認知症が進んできたみたいで、毎日のように「物がなくなった」と騒いで探しものの手伝いをさせられています。先日は、母が通帳がなくなったと言うので再発行したら、その2~3日後にタンスの奥から出てきました。しかも、通帳がなくなったことに対して「泥棒に盗られた」と言いだす始末…。 「自分でしまったんでしょ」と言っても耳を貸しません。こんな母に振り回されてうんざりしています。どうしたら良いでしょうか? (松村さん・主婦・54歳) 探しものに毎日付き合うのは大変ですよね…。ただ、お母様の言葉や行動を否定するのはNGなんです。認知症の方は直近の出来事が記憶から抜けてしまいますから、「自分でしまったんでしょ」と言っても全く思い出せません。なので、「物がなくなった」とお母様が言うときにはタンスや押入れの奥など、お母様が物をしまい込む”定番の場所”をお母様が探して自分で見つけるように誘導してみましょう。そして、お母様が物を発見したら、「見つかって良かったね」とポジティブな声掛けをしてくださいね。 認知症の親が物をなくす…対策はある? 母は1年ほど前に認知症であることがわかりました。ただ、このところ症状が進行してきたみたいで、毎日のように物をなくしては探しものをしています。先日なんて、「泥棒に盗られた」と言っていた通帳を再発行したら、その2~3日後にタンスの奥から出てきたんですよ!こんな風にいつも母に振り回されていて、いい加減、疲れました…。「自分でしまい込んでるんでしょ」と言っても聞く耳を持たないし。母の探しものを減らすためにはどうしたら良いでしょうか? 毎日のように探しものの手伝いをするのは大変ですよね…。ただ、認知症の方の言葉や行動を否定するのは、より症状が悪化してしまうことがあるのでNG。「泥棒に盗られた」という言葉に、「自分でしまったんでしょ」「忙しいから一人で探して」などと返答すると、ストレスを感じてしまうこともあります。 えぇ!?「自分でしまったんでしょ」と言ってはダメなんですか?実際に、通帳は泥棒に盗られたわけではなかったですし。もっとちゃんと探していれば、通帳を再発行する必要はなかったんですよ? 事実としてはそうかもしれませんが、お母様は認知症の影響で自分で通帳をタンスにしまった記憶がすっぽり抜けてしまっています。松村さんも、記憶が全くないことを「自分でしたんでしょ」と言われても理解ができずに混乱してしまいますよね。それに、否定されたことで認知症の方がストレスを感じて、それが原因で症状が悪化してしまう可能性も…。なので、まずはお母様の言葉を否定せずに話を聞くことが大切です。 否定をしないって難しいです。どうしたら良いんですか? まずは、「物がなくなったんだね」と否定をせずに受け止めましょう。否定をしないだけでも、お母様はいつもより穏やかな反応をすると思いますよ。それでも落ち着かない様子であれば、一緒に家の中を探してください。通帳がタンスの奥から出てきたように、大切なものほど思いもよらないところから出てくることが多いです。 毎日、一緒に探しものをしていますが、「お母さんが自分でしまったんじゃないの」と言いながらしていました。その度に母は「違う、泥棒に入られたの!」と言い返してくるので、口論になっていました。探しものを一緒にするのは同じでも、声掛けが違うだけで母の態度は違うんですね。 そうなんですよ。ただ、探しものをしているときに注意が必要なのが、できるだけお母様自身の手で見つけられるようにすること。というのも、松村さんが探しものを見つけると松村さんが隠した犯人にされてしまうこともあるんです。 えっ?私、母の物を隠したりしないですよ! はい。でもお母様は自分でその場所に隠したことはすっかり忘れています。なので、「隠し場所を知っている人=隠した犯人」ということになってしまうんです。そのため、お母様自身がなくしものを見つけられるように、「私はあっち探すから、お母さんはそっちを探して」などとそれとなく誘導しましょう。はじめのうちはどこに物を隠しているのかわからないと思いますが、認知症の方は隠す”定番”の場所があることが多いです。慣れてきたら定番の場所をお母様が探すように誘導すると良いでしょう。 なるほど。探しものをするのにもコツがいるんですね…。 加えて、物が見つかったときに「やっぱり自分でしまったんでしょ」といったネガティブな声掛けをするのもNG。「見つかって良かったね」とポジティブな声掛けを心がけてください。 うーん…。忙しいとどうにもイライラしてしまって、ポジティブに声掛けできる気がしません…。 確かにそうですよね…。どうしてもイライラしてしまうときは、一時的に別の部屋に行ったり外出したり、とりあえずその場から離れましょう。忙しかったり疲れているときにいらだってしまうのはしょうがないことですから、長く介護を続けていくためにも溜め込まずに適度にガス抜きしていきましょう。 認知症の親が物をなくす理由は? 上手くできるかわかりませんが、母が物をなくしたときの対応方法についてはよくわかりました。でも、なんで母はこんなにも物をなくすことが増えたんでしょうか? 認知症の症状のひとつである、「記憶障害」が進行していることが考えられます。先ほどもお話しした通り、記憶障害によってしまったことをすっかり忘れているんですね。認知症の記憶障害は、「どこにしまったか忘れる」ではなくて「しまったこと自体を忘れる」のが特徴なんです。 だから、「自分でしまったんでしょ」と言ってもわからないんですね。 おっしゃる通りです。それに認知症になると、注意力も低下します。そのため、無意識に物を置いてしまい、置いたこと自体も忘れてしまうんです。さらに、認知症の影響で物の整理が苦手になります。部屋が散らかって余計に探しものが増える原因になってしまいます。 そういえば、母はきれい好きだったのに最近は部屋がごちゃついています。どこに何があるかわからない状態なんです。それも認知症のせいだったんだ…。 そうなんです。はじめにお伝えしたように、「物がなくなった」と言われてもお母様の言葉を否定するのはNGです。否定をせずに受け止めることは大変かもしれませんが、認知症の進行を抑えるためにも試してみてください。 なくしものをしたときに、怒ったり否定するのはNG 本人が自分でみつけられるように、一緒に探してみて 認知症によって記憶障害が起こったり注意力が低下することでなくしものが増える pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...
2023/02/21
認知症の母を老人ホームに入れようか迷っています。最近、汚れた尿パッドを自分で片付けられなくなり、タンスの奥にしまい込んでいるのをみつけてしまいました。そんなことが毎日なので、もううんざりです。でも、まだ一人暮らしはできているし、施設に入れるのは早いのかな、とも思っています。 そもそも、認知症の母を受け入れてくれる施設はあるのでしょうか?認知症になってしまうと、介護施設に入れませんか? (早川さん・パート・64歳) 認知症という理由だけで介護施設に入居を断られることはまずありませんよ!むしろ、ご入居者のほとんどが認知症である施設は珍しくないんです。もし、入居のタイミングを迷っているようでしたら、「自宅で暮らし続けるのが不安かどうか」をひとつの判断基準にしてみてください。お母様が「一人で外出して帰って来れなくなった」という状態になったり、介護をしている早川さんの仕事や家事に影響が出ている状況でしたら、施設に入居することをおすすめします。 認知症でも入れる介護施設はある? 認知症の母を介護施設に入居させるかどうか迷っています。最近、使用済みの尿パッドの片付け方がわからなくなったのか、タンスの引き出しの奥にしまいこむようになってしまいました。なので、いつも部屋の中がひどい匂いがして…。毎日のように私が通って介護しているのですが、匂いがひどいので行くのも気が滅入っています。でも、認知症だと老人ホームに入れたくても受け入れてくれないでしょうか? そんなことはありませんよ!認知症というだけで、入居を断る老人ホームはほとんどありません。むしろ、ご入居者のほとんどが認知症の方、という施設も珍しくないんです。 そうなんですね!それなら良かったです。でも、介護施設っていろいろありますよね?この間ネットで調べてみたら、たくさんありすぎてよくわからなくて…。 そうですよね。ひとくちに「介護施設」と言ってもたくさん種類があります。正直なところ、とてもややこしいです。なので、認知症の方の受け入れができる主な介護施設を次にまとめてみました。 特別養護老人ホーム(特養) 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) グループホーム あ、「特別養護老人ホーム」は聞いたことがあります。友達のお母さんが入所していたような…。 特養は公的な介護施設ということもあり費用が安いので、比較的身近な介護施設かもしれません。ただ、入所するにはいくつか条件があって「要介護3以上」の介護認定を受けている人でないと入れません。それでも費用が安くて終身利用ができる施設のため人気が高く、多くの特養は満室。入居まで1年以上待つ、なんてこともあるんです。 えっ!1年以上も待つんですか!?そんなに人気なんですね…。 はい。なので、すぐに介護施設に入居したい場合は、民間企業が運営している施設をおすすめします。例えば、「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」。有料老人ホームには「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類あり、介護付きの方がより介護体制が充実しているのが特徴です。介護付きであれば介護度が重くなっても対応ができます。もし、長期的に利用することを考えているのであれば、介護付きがおすすめです。 なるほど…。もうひとつの「サービス付き高齢者向け住宅」というのはどういう施設ですか? サ高住は、基本的には介護の必要のない”自立”の人向けの施設。ただ、最近では訪問介護サービスの事業所やデイサービスを併設している施設もあり、介護が必要な人にも対応できるサ高住が増えています。ただ、介護付き有料老人ホームが介護サービス費がどれだけ利用しても変わらない定額制であるのに対して、一部の例外を除いたほとんどのサ高住では介護サービス費は利用した分だけお金がかかります。なので、介護が必要な量が増えると介護サービス費がかさむため、常に介護が必要な人にはおすすめできません。介護サービス費が定額制になっている「特定施設」のサ高住については、以前のご相談でお答えしています。こちらも参考にしてみてくださいね。 うーん…。このまま母の認知症が進んだら、介護の必要な量が増えると思うんですよね。となったら、介護付きの方が良いのかしら…。 もしくは、認知症を発症していてもお体が元気な方にぴったりな施設があります。それが、「グループホーム」です。グループホームは、認知症の方限定の施設。要支援2以上でグループホームがある市区町村に住民票がないといけない、という入居条件はありますが、認知症ケアに特化しているので安心して生活できると思いますよ。 へぇ!認知症の人限定の施設があるんですね。他の施設と何が違うんですか? 具体的には、小規模であることがグループホームの一番の特徴ですね。認知症の方は新しいことを覚えるのが苦手になります。なので、たくさんの人が出入りする環境では、常に見知らぬ顔に囲まれているような気持ちに。そのため、大型の介護施設では不安が大きくなってしまう可能性があります。そこで、グループホームは少人数のユニット制を採用。1ユニット9名までしか入居できませんし、対応する介護職員さんもユニットごとの担当制なので、名前と顔がはっきり一致していなくても”なじみの顔”の中で生活できるわけです。 そういう配慮がされているんですね。確かに、母も新しいことを覚えることができなくなってきているので、そういう環境の方が良いのかもしれません。 それと、グループホームが他の介護施設と異なるのは、食事の支度や掃除、洗濯などの家事全般を自分でおこなうこと。もちろん、介護職員さんのサポートはありますが、できるだけご自分の手でできるように配慮されています。というのも、調理をしたり掃除機をかけたりといった何気ない家事が認知症の進行緩和のためのリハビリになるから。生活すべてがリハビリになるので、一人ひとりが今できることや得意なことを生かして協力しながら生活しているんですね。 うちの母は手伝いがあれば身支度や簡単な家事ならできるので、ちょうど良いかもしれません。 認知症の親が介護施設に入居するタイミングは? 介護のために母のところに通うのは大変なんですが、一人暮らしはできているし、まだ介護施設に入るには早いのかな、とも思っています。たぶん、母も「家にいたい」と言うと思いますし…。どんな状況になったら、介護施設探しを始めたら良いでしょうか? 施設に入居するご本人やご家庭の状況によって異なるので一概には言えませんが…。「このまま自宅で暮らし続けられるか不安」と感じるかどうかが、介護施設に入居する時期の判断基準のひとつになると思います。具体的には、認知症が進行して自宅での生活に支障が出ている場合です。「一人で外出して迷子になってしまう」「火事を起こしてしまう」など、誰かがついてないと危険だと感じたら施設に入居することを検討した方が良いでしょう。 一度、一人で外出して家に帰って来れなくなり、警察に保護されたことがあります。そのときは何事もなかったのですが…。それ以降、一人では出かけないように言い聞かせています。 そうだったんですね…。もしくは、介護する人が「精神的・身体的にきつい」と感じたときも施設への入居をおすすめしています。例えば、介護に時間を取られて、睡眠時間が確保できなかったり仕事や家事に支障が出ているような場合です。その状態が続くと、介護する人が体調を崩してしまうこともありえます。介護する人が倒れてしまえば、介護を受けている人と共倒れになってしまいかねません。介護をする人の体調を優先して、介護施設に入居することを考えてみてください。 認知症の親が入れる施設の探し方は 北野室長の話を聞いていたら、早めに施設探しをした方が良いんじゃないかと思えてきました。認知症のうちの母が入れる介護施設は、どうやって探したら良いんですか? まずは、ケアマネジャーさんに相談してみましょう。特養の空室状況など地域の介護施設の情報を案内してくれることもありますし、お母様に合った施設を一緒に探してくれることもあります。また、幅広く施設探しをしたい場合は、インターネットで情報収集するのも良いでしょう。地域や予算などの希望条件がはっきりしている場合は、ピンポイントで施設を探せます。 希望条件ですか…。まだ、介護施設がどういったものなのかもよくわかっていないので、はっきりしていないですね。 確かに、介護施設はいろいろとややこしいのでイメージしづらいと思います。なので、「どういった介護施設が合っているのか知りたい」という場合は、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談ください。介護施設を熟知した入居相談員が、お母様の状況やご希望を考慮してぴったりな施設をご案内しますよ。 特養、有料老人ホーム、グループホームなど認知症の人が入れる施設はたくさんある 認知症の症状が進行した、介護する人が精神的・身体的に「つらい」と感じたら ケアマネジャーやネットから施設の情報を収集。実際の施設を見学をしてみよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...
2023/02/20
認知症の父が一人で入浴できなくなってしまったので、デイサービスを利用し始めました。でも、「今日は行かない」とデイサービスに行くのを嫌がります。 デイサービスに行かないと、日中は家に父一人になってしまい、トイレを汚したりと大変なんです。いくら説得しても聞く耳を持たなくて、この数週間、デイサービスを毎回キャンセルしています。 父がデイサービスに行ってくれる、良い方法はないでしょうか? (大島さん・会社員・59歳) まずは、お父様がデイサービスに行きたがらない理由を探ってみましょう。もしかしたら、デイサービスで相性の良くない人がいるのかもしれませんし、慣れない環境で気を使うのがストレスになっているのかもしれません。そこで、まずは短時間から利用するのはどうでしょうか?デイサービスは短い時間から利用することも可能ですから、慣れるまでは短時間の利用ができるように施設に相談してみましょう。 デイサービスに行きたがらない理由は 同居している父が一人でお風呂に入るのが難しくなってしまったので、1ヵ月ほど前からデイサービスを利用し始めました。でも、デイサービスの日の朝になると「今日は行かない」と言ってデイサービスを嫌がるんです。なので、このところは毎回、キャンセルしています。家族がお風呂の手伝いをするのを嫌がりますし、認知症が進行しているので、できるだけ日中は家で一人にさせたくないんです。どうしたら父がデイサービスに行ってくれるようになるでしょうか? うーん…。お父様はどうしてデイサービスに行きたくないんでしょうか? それがはっきりと理由を言わないのでわからなくて…。 お父様に当てはまるかはわかりませんが、一般的には以下のような理由でデイサービスに行きたがらないケースが多いです。思い当たるものはありますか? 出かけるのが面倒 慣れない環境で不安 知らない人の世話になりたくない 相性の悪い人がいる デイサービスが合わない 「出かけるのが面倒」というのが当てはまっている気がします。たぶん、父は家から出るのが億劫なんだと思います。もともと出かけるのが好きな人ではありませんし…。 なるほど…。そういうこともあるかもしれません。デイサービスに行くには、朝食を食べて、身支度をして、荷物の準備をして…。とお迎えの時間までに出かける準備をしなければいけませんよね。認知症になると「実行機能障害」が現れて、計画を立てて効率良く行動することが難しくなります。そのため、お迎えまでに準備をするのが以前よりも大変になっているので、デイサービスを嫌がっている可能性はありますね。 そんなこともあるんですね!確かに、たまに朝の準備にまごついていることがある気がします。 それに、まだ利用し始めたばかりでデイサービスに慣れていないことも原因かもしれません。認知症の人は、新しい物事を覚えるのがとても苦手です。なので、新しい環境に慣れたり、新しい人の顔を覚える負担が大きいんですね。そのため、まだ慣れていないデイサービスに行くのは負担が大きくて嫌がっていることも考えられます。 最初の何回か行ったきり全然デイサービスに通えていないので、ほとんど慣れていないと思います。 また、ご高齢者の中には「知らない人の世話になりたくない」と考えて、介護サービスを拒否する人もいます。子供の頃から「他人に迷惑をかけてはいけない」と言われて育てられた人も多く、介護サービスを利用することが「他人に迷惑をかけている」と感じてしまうんですね。 あぁ、うちの父もそういうところがあるかもしれません。「一人でできる!」と言って、私の手伝いも嫌がることがありますから。「誰かの世話になりたくない」と考えているかもしれませんね。 そういうことがあったんですね。介護の拒否をされるのは大変ですよね…。最後の2つはデイサービスでのお父様の様子を確認してみないとわかりませんが…。もし、「相性の悪い人がいる」「デイサービスが合わない」と感じたら、デイサービスに相談してみたりデイサービスを変更してみるものありですよ。 デイサービスを嫌がるときの対応方法 北野室長が言っていたデイサービスに行きたがらない理由にいくつか思い当たるものがありました。でも、どうしたら父はデイサービスに行く気になるんでしょう?父はデイサービスに行きたくなくていつになっても出かける準備をしないし、「今日はデイサービスの日だから早く準備して!」と毎回のように父とケンカになるので、いい加減、疲れました…。 うーん、言いにくいのですが…。実は、「早くして」と急かしたり叱るのは逆効果になる事が多いんです。 えぇ!?そうなんですか?どうしてですか? 先ほどもお話ししたように、お父様は認知症の影響で効率よく支度を進めるのが苦手になっている可能性があります。デイサービスに行きたくなくて出かける準備をしないのではなく、何をしたら良いかわからずに混乱して支度に取りかかれていないのかもしれないんです。なので、混乱している状況で急かされると余計に混乱してしまうこともあります。 でも、私が「早くして」というと「今、準備しているだろ!」と怒鳴り返されるんですよ。混乱しているようには見えません。 もしかしたら、支度ができなくなっていることを知られたくなくて、怒鳴ることで自分の変化を隠しているのかもしれません。認知症が進行していることを自分自身で感じていると、できないことが増えていく不安や焦りを常に感じていることが多いので、ちょっとしたことでも怒って自分を守ろうとするんですね。 そうだったんですね…。 ですので、以下のように対応してみてください。お父様の体調によって効果があるときとないときがあると思うので、1つの方法に限らずにいくつかの方法を試すことをおすすめします。 本人の意思を尊重する デイサービスに行きたがる理由をつくる 家族が同行する 短時間から利用する 最初の「本人の意思を尊重する」ってどういうことですか?あいまいでよくわからないのですが…。 例えば、朝の支度のときに着ていく服をお父様に選んでもらう、デイサービスに行くかどうかをあえてお父様に決めてもらう、というのはどうでしょうか? 父が自分でデイサービスに行くかどうか判断したら、毎回「行かない」って言いますよ! はじめのうちはそうかもしれません。でも、無理やりデイサービスに行かせようとしたり急かしたりすることを一切止めて、「今日はデイサービス行くか行かないか、どっちにする?」とお父様に判断してもらうんです。もしかしたら「自分の意思が尊重されている」と感じられれば、自然と自分から「デイサービスに行きたい」と言うようになるかもしれません。 そうなのかな…。ちょっと想像できませんけど…。 確かに、すぐには効果は出ないかもしれませんが根気強く続けることも大切です。あとは、デイサービスに行きたくなるような理由を作ることも効果があるかもしれません。例えば、デイサービスの利用者としてではなく、デイサービスにお手伝いをしに行ってもらうのはどうでしょうか。お父様の得意なことを生かして、デイサービスで「習字の先生」「歌の先生」などをしてもらうんです。「誰かの役に立っている」と感じることは、生きがいにつながります。デイサービスの人と協力して、「ボランティアとして来てほしい」とスタッフさんに言ってもらうのもひとつの手ですよ。 ボランティアとして、ですか…。あ、そういえば、父は囲碁が好きなので、それなら教えられるかもしれません。「デイサービスで囲碁の先生をしてきてほしい」と伝えれば良いんですよね。デイサービスに相談してみます! 良いですね!他のご利用者との交流のきっかけにもなりそうですね。 その次に書いてある、デイサービスに「家族が同行する」って可能なんですか?初めて知りました。 はい。デイサービスには送迎サービスが含まれていますが、実はご家族が送迎するのもOKなんです。慣れるまではご家族が送迎すると、お父様もリラックスしてデイサービスに通えるんじゃないでしょうか。 私が送迎する時間が作れるかわかりませんが…。仕事の調整ができそうだったらしばらくの間は送迎しても良いかも。 また、お父様が慣れるまでは短時間でのデイサービスの利用も検討してみてください。これまでほとんど外出をしていなかった人だと、いきなり朝から夕方までデイサービスに行っているのは疲れてしまいますよね。なので、まずは3時間などの短い時間でデイサービスを利用してみて、慣れてきたら利用時間を夕方までにのばしていくのもおすすめですよ。お父様の状態や体調によっても効果のある方法は異なります。いろんな方法を試してみてくださいね。 まずは、デイサービスに行きたがらない理由を理解しよう デイサービスを嫌がるからといって叱ったり急かしたりするのはNG デイサービスでの役割を作る、短時間から利用するなどの対応をしてみて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...
2023/02/20
認知症の父を自宅で介護することが難しくなってきました。なので、施設探しを始めたところ、ネットで「特定施設」と記載のあるサービス付き高齢者向け住宅を見つけました。「特定施設」の記載のないサービス付き高齢者向け住宅もあるようですが、何が違うんでしょうか? (堀さん・会社員・62歳) 特定施設ではない一般型のサ高住では、介護サービスを提供していません。なので、介護サービスを利用したいときは別途、外部の介護事業者との契約が必要です。対して特定施設のサ高住は、施設が介護サービスを提供します。しかも、介護サービス費は介護度に応じた定額制になっています。つまり、 サ高住の中でも介護体制が充実しているのが特定施設と言えます。 サービス付き高齢者向け住宅の「特定施設」とは? つい先日、父が自宅で転倒してから脚が痛むのか歩くのを嫌がるようになりました。すると、どんどん身体が衰えて介護の負担がとても大きくなってしまって。私も仕事があるので自宅で介護するのは限界です。なので、介護施設を探し始めたところ、サービス付き高齢者向け住宅に「特定施設」と記載があるものとないものがあると知りました。この「特定施設」の記載の有無は何が違うんですか? 「特定施設」という表記のないサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、いわゆる”「一般型」のサ高住”と”特定施設のサ高住”には、いくつか違いがあります。順番にお話ししていきますね。 サ高住の「特定施設」とは まず、「特定施設」は正式には「特定施設入居者生活介護」と呼ばれ、介護職員の人員基準などの複数の条件を満たした施設だけが都道府県の指定を受けられます。つまり、特定施設の指定を受けている施設はそうでない施設に比べて充実した介護体制が整っているというわけですね。 なるほど。一般型のサ高住は、介護体制は整っていないんですか? 施設によって異なりますが…。基本的には重度の介護度の方にはサ高住はおすすめできません。というのも、一般型のサ高住に入居して介護サービスを利用するときには、別途、外部の介護事業者と契約が必要。施設の介護職員が介護サービスを提供してくれる訳ではないんですね。さらに、特定施設の介護サービス費が介護度に応じた定額制であるのに対して、一般型は利用した分だけ発生します。つまり、常に介護が必要な人は、介護サービス費が高額になってしまうことがあるんです。 えっ!そうなんですか!費用が高いのは困ります。 また、一般型のサ高住の中には夜間に職員がいなくなるところもあります。万が一のときに知らせられるように緊急ボタンを居室に設置している施設もありますが…。このボタンを押すと介護職員さんではなく、警備員さんが駆けつけます。介護のためではなく緊急時対応のためのボタンですので、一般型のサ高住は「トイレに行きたいから手伝って」と気軽に頼める環境ではないことはイメージできるかと思います。 そういう状況なんですね…。父はトイレに付き添いが必要な状態ですから、一般型では難しそうです。 頻繁に介助が必要な状況でしたら、やはり特定施設の方が合っているかもしれません。というのも、サ高住でも特定施設であればケアマネージャーさんが常駐しており、一人ひとりに合わせたケアプランを作成してくれます。それに基づいて食事や排泄などの介助をおこないますので、頻繁に介助が必要な場合でも安心なんです。 サ高住以外にも特定施設はある! ちなみに、「特定施設」の指定を受けられる介護施設はサ高住だけではありません。サ高住も含めて、以下の4種類の介護施設が条件を満たせば、特定施設の指定を受けられます。 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 ケアハウス(軽費老人ホーム) 養護老人ホーム へぇ、特定施設ってサ高住だけの話ではないんですね。そういえば、特定施設の指定を受けるための条件ってどんなものなんですか? 厳しい条件がたくさんあるので、全てはお伝えできませんが…。例えば、職員さんの人員配置についてであれば、以下のような条件があります。 入居者:介護・看護職員 =3:1 看護師1名以上 ケアマネジャー1名以上 こうした人員配置基準など、たくさんの条件を満たしていないと特定施設にはなれません。つまり、特定施設はそれだけ介護や看護の体制が整っていると言えますね。 一般型と特定施設のどちらを選ぶ? やはり、特定施設の方が介護体制が整っていますし、特定施設を選ぶのが良いですよね? うーん、一概にそうとも言えません。それぞれに特徴がありますからね。一般型と特定施設を比較して選んでみることも大切です。なので、一般型のサ高住と特定施設のサ高住を比べるために、それぞれの特徴をまとめてみました。「介護体制が充実しているから」と、特定施設だけに限定してしまうのではなく、どちらがお父様に合うのかに注目して比較してみてください。 一般型のサ高住 生活の自由度が高い 居室にキッチン、浴室がついていることも 共用施設が充実している 特定施設のサ高住 職員体制が手厚い 介護サービス費は定額制 認知症、重介護度の人も対応可能 一番上にある一般型のサ高住の「生活の自由度が高い」とはどういう意味ですか? もともと、サ高住というのは自立して生活できるご高齢者向けの住宅なんです。”「安否確認」「生活相談」といった見守りサービスが付いた賃貸住宅”という位置付けなんですね。なので、一般型のサ高住では外出が自由にできますし、外食や自炊することにも制限がないことがほとんどです。対して、特定施設のサ高住は介護が手厚い反面、行動に制限がかかることがあります。認知症の人も入居しているので、安全のために建物の玄関に施錠がされている場合もありますし、居室にお風呂がないことが多いので自分の好きなタイミングで入浴するのは難しいでしょう。 そうなんですね!確かに、認知症の人が一人で外出してしまって帰れなくなったら危険ですもんね…。 つまり、介護の必要がなかったり介護が必要な量が少ない場合は、一般型のサ高住の方が自由な生活ができるのでおすすめです。もし、定期的に介護が必要な状況、例えば「トイレに見守りや介助が必要」といった場合は、特定施設の指定を受けたサ高住の方が安心した生活を送れるでしょう。 なるほど…。となると、父はトイレに付き添いや介助が必要なので、特定施設の方が安心かもしれません。 一般型、特定施設のどちらのサ高住もメリットとデメリットがあります。入居する方の身体状況や希望する生活スタイルに合わせて選択してくださいね。 サ高住の特定施設には、常に介護できる体制が整っている 介護量が少ないなら一般型、介護量が多いなら特定施設のサ高住がおすすめ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
2023/02/20
認知症の母が何度も同じ話を繰り返すので困っています。しょっちゅう「今、何時?」と聞いてきますし、母の若い頃の話を何度も何度も繰り返すんです。数え切れないくらい聞いている話なので、段々とイライラしてきて「うるさい!前にも聞いたよ」と怒鳴ってしまいました。 「認知症だからしょうがない」とは思っているのですが、忙しいときに話をされるといらだってしまって…。同じ話を繰り返すときにはどう対応したら良いんでしょうか? (荒井さん・パート・64歳) 介護や仕事、家事などで忙しいとついイライラしてしまいますよね…。ただ、認知症の人の言葉を否定してしまうのはNGなんです。同じ話を繰り返すときは言葉をオウム返ししたり、はじめに質問されたときと同じように答えることが効果的です。また、繰り返す話の中にご本人の不安や不満が隠されているときがあります。なので、その不安や不満を解決することで同じ話を繰り返すことが減るかもしれませんよ。 認知症の人が同じ話を繰り返すときはどうしたら良い? 認知症の母が何度も同じ話を繰り返すので困っています。「今、何時?」「今日は何月何日?」と質問されるのはしょっちゅうのことですし、亡くなった父との思い出話も何十回と聞かされました。なので、ついイライラしてしまって「うるさい!」「さっき答えたでしょ」と言い返してしまい、毎日のように口論になります。でも、いい加減、母の話に対応するのに疲れました…。同じ話をされたときの良い対応法ってあるんでしょうか? 介護や仕事が忙しいとイライラしてしまいますよね…。ただ、認知症の人との接し方として、「さっき答えたでしょ」や「同じ話を何度も聞いたよ」と相手の言葉を否定するのはNGなんです。 えっ?なんでですか? 認知症の人の多くは、自分でできることが減っていることで不安を感じています。なのに、そのうえ自分の考えを否定されてしまうと、さらに不安が強くなってしまうんです。認知症の人の中には、不安から自分を守るために大声で怒鳴り返したり、常に怒っている人もいます。また、自分の言葉を否定されるので心を閉ざしてしまい、信頼関係が壊れることもあるでしょう。さらに、強い不安によるストレスから認知症が進行してしまう可能性まであるんです。 そうなんですか!?そういえば、最近、母の認知症が悪化しているような気がします…。 ですので、認知症の人には適切な対応をすることが大切です。例えば、お母様が同じ話をしたときに以下のような対応をしてみるのはどうでしょうか? 初めて尋ねられたときと同じように答える オウム返しをする 意識をそらす やっぱり、「初めて尋ねられたときと同じように答える」のが適切な対応なんですね。イライラしてしまうので、これまでできていなかったです…。 忙しいとなかなか難しいですよね…。認知症の人は数時間前の出来事でも忘れてしまうことがあります。なので、ちょっと前に会話したことも忘れてしまうんですね。お母様のケースだと、「今日は何月何日?」と聞いたことを忘れてしまっているのかもしれません。ですので、「今日は◯月◯日だよ」と、最初に答えたのと同じように答えることを意識してみましょう。 簡単なことなんですけど、心に余裕がないと難しそう。できるだけ、心がけてみます。 もっと気軽にできるのが、”オウム返し”をすることかもしれません。例えば、「昔、お父さんと映画に出かけたんだよ」と何度も話すのであれば、「お父さんと映画に出かけたんだね」とオウム返しをするんです。言葉を繰り返すだけですが、「私の話をちゃんと聞いてくれている」と安心できるので、お母様の不安感も和らぐと思いますよ。 オウム返しですか…。それだけなら、まだやりやすいかも。 最後の「意識をそらす」はちょっと工夫が必要なので、余裕があるときに試してみてください。具体的には、「今日は何月何日?」と聞かれたら、「今日は◯月◯日だよ。もうすぐ冬至だけど、昔はどんなことをしていたの?」などと違う話題を振ってみるんです。すると、「今日の日付がわからない」という不安から意識をそらせるので、楽しく思い出話ができるかもしれません。 なるほど!そういう手があったんですね。全く思いつきませんでした。 イライラを減らすには? どうしても同じ話をされるとイライラしてしまうんですよね。イライラしないための方法はありませんか? そうですね…。先ほどお話しした対応法ができるのが理想的ですが、気持ちや時間に余裕がないと適切な対応をしようとすること自体にもイライラしてしまいますよね。そこでイライラを軽減するために、毎回お母様の話を真剣に受け止めるのではなく、たまには受け流しても良いと私は思います。 えっ?受け流して良いんですか? ええ。毎回しっかりと話を聞いていると荒井さんが疲れてしまいますよね。なので、「そうなんだね」などの軽いリアクションだけのときもあって良いと思います。ただ、そっぽを向いて軽いリアクションをしてしまうと、自分がないがしろにされているようにお母様が感じてしまう可能性があります。なので、顔をお母様の方に向けてリアクションしてくださいね。 認知症の人が同じ話を繰り返す原因は? 母が同じ話をするのは、おそらく認知症が原因なんですよね?なんで認知症になると同じ話を繰り返すようになるんでしょうか? いくつか理由があります。その中でも「記憶障害」「見当識障害」が主な理由だと考えられます。まず、記憶障害とは記憶がなくなることや記憶ができなくなることです。特に、認知症の人は直近の出来事をその出来事があったこと自体も忘れてしまうことが特徴。具体的には、食事の内容だけでなく食事をしたこと自体を忘れてしまうのが認知症の記憶障害なんです。 じゃあ、母は父との思い出話をしたこと自体を忘れてしまっているんですね。 おっしゃる通りです。話したことをすっかり忘れているので、「その話は何度も聞いたよ」と言われても理解ができないんですね。それに、認知症の人は常に「何か大切なことを忘れているかもしれない」という不安を感じている人が多いんです。記憶障害が日常生活に悪影響を与えている場合、「大切なことを忘れて家族に迷惑をかけているかも」と感じていることもありえます。なので、何度も同じことを質問して不安を解消しようとしていると考えられます。 なるほど…。もう一つの見当識障害というのは何ですか? 見当識障害は、自分がいる場所や現在の時間がわからなくなることです。自宅が自分の家だとわからなくなったり、朝や夜の感覚もなくなります。 だから、母は日付や時間を1日に何度も聞いてくるんですか? その可能性があります。それに、見当識障害によっても不安を感じることがあります。「今、自分がどこにいるか」「朝なのか夜なのか」がわからないと、誰しも不安に感じますよね。そういう理由で、お母様は何度も日付や時間を確認しているのかもしれません。 母はたくさん不安を感じていたんですね…。 おそらく、そうだと思います。何回も質問することや話を繰り返す内容が、お母様の不安や不満を表している可能性もあります。なので、その不安や不満を解消することで、同じ話を繰り返すことが減る可能性もありますよ。 そうなんですか? はい。例えば、お母様の目に付きやすい場所に時計やカレンダーを置いてみるのはどうでしょうか。そうすれば、時間や日付がわからなくなったときでもすぐに自分で確認できますから、荒井さんに質問する回数が減るかもしれません。 なるほど!それは良いですね。家に帰ったらやってみます。 何度も同じ話を聞くとイライラしてしまいがちですが、それが不安の理由を知るきっかけになることもあります。余裕があるときだけでもお母様の話に耳を傾けてみてください。 認知症の人が同じ話を繰り返すときは、否定せずに耳を傾けよう ときには話を受け流してもOK。イライラを軽減しよう 記憶障害、見当識障害などによる不安が話を繰り返す原因に pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...
2023/02/02
母が入る老人ホームを探しています。親が介護施設に入っている友人から「2~3日に1回、洗濯物を取りに施設に行っている」と聞きました。介護施設では、洗濯はしてもらえないのでしょうか? (川村さん・会社員・59歳) 介護施設では施設側で洗濯をしていることが多いです。ただ、施設ごとに対応が大きく異なります。例えば、施設の洗濯機で職員さんに洗ってもらえるパターンや、洗濯業者に外注していて週に1~2回、回収するパターンなどがあります。施設の対応の方法によっても洗濯料金が異なるので、入居前に施設に確認が必要です。 老人ホームでは洗濯はどうしている? 母の施設入居を考えています。親が老人ホームに入居している友人から「2~3日に1回、洗濯物を取りに施設に行っている」という話を聞きました。洗濯物は施設では洗ってくれないんでしょうか?仕事があって忙しいので、そんなに頻繁に施設に行けないんですが…。 施設で洗濯してくれるケースもたくさんありますよ。ただ、ご入居者の洗濯物の対応は、施設によって大きく異なるんです。介護施設の洗濯物の対応は、大まかにわけて以下の3つのパターンに分けられます。 施設職員が洗濯する 外部業者が洗濯する 入居者自身で洗濯する ひとつめの「施設職員が洗濯する」はイメージしやすいかもしれませんね。これは、施設内に洗濯機などを設置して介護職員さんが衣服を洗う方法です。洗濯機はご家庭にあるものと同じようなものを設置していることが多いです。なので、手洗いやクリーニングのみの衣服の場合、破損を防ぐために受け取ってもらえないことがあります。 自宅で洗濯するのと同じようにイメージしておけば良いんですね。その次の「外部業者が洗濯する」というのは、どういうことですか?毎回、洗濯物をクリーニングに出さないといけないんですか? いえいえ、これも施設の職員さんに洗濯機を預ければOKです。施設の中には、人員不足を解決するためにご入居者の衣類の洗濯を外部の洗濯業者に委託している場合があります。その場合は、週に1~2回、洗濯物を職員さんが回収して業者に預けます。洗濯物の回収・返却の曜日が固定されていることが多く、手元に戻るまでに数日かかることもあります。そのため、少し多めに衣服を持ち込んでおくと良いかもしれませんね。 へー、洗濯を業者に委託していることがあるんですね。施設内で洗濯してくれるものとばかり考えていました。 外注業者と施設内での洗濯を組み合わせている施設もありますよ。具体的には、失禁して汚れてしまった衣服はすぐに洗わないといけないので施設の洗濯機で洗ったり、反対にドライクリーニングが必要なものだけを業者に依頼している施設もあります。 なるほど。じゃあ、基本的には洗濯は施設に任せてしまっても大丈夫ということですね! いえ、身の回りのことがご自分でできる方の場合、ご自分で洗濯機を使って洗濯しているケースもあります。施設が共用の洗濯機を用意していることもありますし、サービス付き高齢者向け住宅のような自立している人向けの施設であれば、自室に洗濯機置き場があって洗濯機を設置して洗濯できるようになっていることも。この場合は、一般的な賃貸住宅での暮らしと同じように考えていただいてOKです。どのケースにしても施設によって対応が異なりますので、入居前によく確認してくださいね。 老人ホームでの洗濯の料金は? 母の場合、歩くのもままならない状態で自分で洗濯できる状態じゃありませんから、洗濯を施設に任せられるところの方が良いと思っています。施設に洗濯を依頼する場合、追加料金はかかりますか? それも、施設によって異なるんですよね…。もともと毎月の費用に含まれていることもあります。また、毎月、追加で費用が発生する場合もあります。外注業者に洗濯を委託しているケースだと、費用が発生することが多いですね。 うーん。これも、施設に確認する必要がありそうですね。 そうなんです。施設ごとに対応がまったく違うので…。ちなみに、共用部の洗濯機を利用する場合も費用が別途かかることがあります。その場合、「1回につき200円」などのコインランドリーと同じような形で料金が設定されていることが多いですね。洗濯の頻度や、外注業者の金額などによって金額も異なります。洗濯は毎日の生活に大きく関わることなので、事前によく確認しておいてくださいね。 施設の洗濯機で洗ったり、外部の洗濯業者に依頼するなど、対応はさまざま 費用は月額料金に含まれていたり、別途、費用が発生することもある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...
2023/01/19
認知症の父親が、ときおり誰かと話している様子があり、どうしたら良いかわかりません。それに私にも「夜になると知らない人の声が聞こえる」と相談してくることもあります。 これも認知症のせいでしょうか?どう対応したら良いか、教えてください。 (永田さん・パート・63歳) もしかしたら、認知症の症状のひとつである「幻聴」が現れているのかもしれません。幻聴が聞こえている様子があったら、お父様の言葉を否定するのはNG。まずは、安心できる声掛けをしてみましょう。具体的には、「知らない人は追い払っておいたよ」というような幻聴に寄り添う声掛けが良いでしょう。また、お父様のお話をよく聞いてみると、幻聴の原因となっている要因がわかるかもしれません。 認知症による幻聴にはどう対応する? 認知症の父親を自宅で介護しています。最近、誰かと会話しているような独り言を言うようになりました。それに、「夜になると、誰かに悪口を言われているのが聞こえる」と言うことも。もちろん、私にはそんな声は聞こえないですし、どうしたら良いかわかりません。 もしかして、お父様はレビー小体型認知症ですか? そうです。それが関係しているんですか? そうなんです。幻聴を含めた幻覚は、レビー小体型認知症の代表的な症状のひとつです。レビー小体型認知症は、脳内に「レビー小体」という物質が現れて神経細胞が破壊されることで発症する認知症。幻覚や、手足の震えなどを伴う「パーキンソン症状」が出るのが特徴です。 そうしたレビー小体型認知症の症状のひとつである幻覚は、現実にはない感覚を見たり聞いたりすること。「幻視」「幻聴」「幻味」「幻臭」など、視覚や聴覚以外でも幻の感覚を作り出してしまうんです。 幻聴の症状は 父の「誰かに悪口を言われている」というのが、レビー小体型認知症による幻聴かもしれないんですね。 そうです。他にも「知らない人の声が聞こえる」といった症状や、幻視も併発して亡くなったはずのご家族と会話するケースもあります。中でも、「悪口が聞こえる」のは幻聴の症状でも多く見られる症状ですね。 幻聴への対応法 幻聴が聞こえている様子の父に、どうやって対応したら良いでしょうか?「そんな声は聞こえないよ」と何度も言っているのに、父は「誰かが俺の悪口を言ってる!」と頑なになってしまって…。 どうしても、お父様にしか聞こえていない声なので否定したくなるのですが、お父様の言葉を否定するのはNGなんです。 えぇ!なんでですか? 幻聴は、周りの人には聞こえませんが、お父様にとっては確かに聞こえている声なんです。なので、それを否定してしまうと「わかってくれない」と不満に感じてしまいます。自分には確かに聞こえている声が「そんな声は聞こえないよ」と言われてしまうと、ストレスに感じてしまいますよね。ストレスが大きくなると、興奮して暴れてしまうこともあります。精神的ストレスは、認知症を進行させるきっかけのひとつでもありますから、お父様の言葉に寄り添って安心できる声掛けをしていきましょう。 「安心できる声掛け」って、具体的にはどんなものですか? 例えば、「誰かの声が聞こえる」と言われたら、「もういなくなったから大丈夫だよ」と答えてみてください。返答する前に「誰かいないか見てくるね」と、周囲を見回りに行くフリをしてみても良いでしょう。また、ご本人と一緒に確認しに行くのも効果があることがあります。お父様と一緒に部屋の外や家の周りを見回ってみて、誰もいないことを確認すると納得してくれるかもしれませんよ。 父の話に合わせるのが良いんですね。 そうなんです。また、同時にお父様の訴えによく耳を傾けてください。幻聴はストレスや不満が原因となっていることもあります。よく話を聞くことで、具体的な原因をつきとめるきっかけをつかめるかもしれませんよ。 話をよく聞く、ですか…。最近は忙しくて父と話をきちんとしていませんでした。 介護やお仕事があると、どうしても忙しくて時間や気持ちの余裕がなくなってしまいますよね。ちょっとした時間でも良いので、お父様と話をする時間を取ると症状が改善する可能性がありますよ。それと、騒音がない環境を整えるのもひとつの手。テレビやラジオなどの声が幻聴の引き金になっていることもありますので、静かな環境を整えてみてください。 幻聴以外にもこんな症状が出ることも レビー小体型認知症では、幻聴に似た症状が出ることもあります。その代表的なものが「幻視」「錯視」です。幻視は、実際にはない物が見えること。具体的には「庭に知らない人が立っている」「亡くなった家族が遊びに来る」といったケースがあります。 父が壁に向かって話しかけていることがあるのですが、それは幻視を見ているのでしょうか? その可能性はあります。実際にはいない人の姿が見え、声が聞こえているのかもしれません。また、錯視というのは、現実にあるものが別のものに見えているパターン。例えば、壁紙の模様が虫に見えたり、クッションが犬に見えることもあります。 そういうこともあるんですね…。 幻視や錯視についても、幻聴と同じように見えているものを否定しないでください。不安感やストレスを感じ認知症の症状が悪化してしまう可能性があります。なので、まずはお父様の言葉をよく聞くことが大切。お父様がどんなことに不安を感じているのかを知って、安心できる声掛けをしてくださいね。 幻聴はレビー小体型認知症が原因になることが多い 認知症による幻聴に対して否定はNG。安心できる声掛けを 他にも幻視や錯視などの症状が出ることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...
2023/01/18
私の自宅の近くに呼び寄せようと思い、父が入れる介護施設を探しています。ネットで調べていて、私の自宅近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という介護施設を見つけ、興味を持っています。 サービス付き高齢者向け住宅には「安否確認」というサービスがあるとネットに記載されていたのですが、これはどんなサービスですか?他の介護施設では、安否確認サービスはないのでしょうか? (尾崎さん・会社員・58歳) サービス付き高齢者向け住宅の安否確認サービスは、ご入居者に異変がないかを毎日確認するものです。具体的には、1日1回、居室を訪問したり室内センサーなどのシステムを使って、状況を確認します。有料老人ホームなどの他の介護施設のほとんどは、身体介助などの介護サービスを提供しているので、安否確認の必要がないんです。対して、サービス付き高齢者向け住宅は、介護の必要のない人を対象としており、ご入居者の状態を把握する機会がないので、安全のために安否確認サービスを提供しています。 サービス付き高齢者向け住宅ではどんな方法で安否確認をする? 私の自宅の近くに呼び寄せるために、父が入る介護施設を探しています。その中で、ネットで私の自宅近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という施設を見つけました。サービス付き高齢者向け住宅では、「安否確認サービス」を提供していると記述があったのですが、このサービスはどんなものなんでしょうか?「安否確認」と言われても、いまいちピンと来なくて。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で提供している「安否確認」とは、ご入居者に異変がないかを毎日確認するサービスです。ご高齢になると、室内で転倒したり急な体調不良で救急車が必要になる可能性が高くなりますから、そういった異変がないかを確認するわけですね。 そういうことなんですね。どうやって安否確認をするんですか? 安否確認には、主にシステムを利用したものと、施設スタッフによるものの2種類あります。システムを使った安否確認の場合、ご入居者の居室内に人の動きを察知するセンサーが設置されており、そのセンサーが一定時間、反応していないときに警報などで異常を知らせます。センサーは居室内の廊下などに設置されていることが多いです。つまり、長時間にわたってセンサーの前を通っていないとなると、室内で倒れているなどの異常が起きている可能性があるというわけですね。 なるほど。センサーの前を通るだけで安否確認ができるんですね。 また、電気やガスなどの使用状況で安否確認する方法もあります。通常よりも極端に電気やガスの使用が少ないときに、異常を知らせるんです。こうしたシステムを使った安否確認の方法は、いつもどおり生活しているだけで良いのでご入居者にとって負担や手間がないのがメリットですね。 あと、施設のスタッフさんによる安否確認もあるんでしたっけ。 はい。施設スタッフが決められた時間にご入居者の居室を訪問して安否確認をする方法があります。サ高住で食事を提供している場合は、食事の際に安否確認をしている施設もありますね。施設スタッフによる安否確認の場合、スタッフが確認を取らないといけないという負担はあります。が、ご入居者と直接コミュニケーションが取れるので、日々のご入居者の状況を把握できるというメリットもあるんです。このように安否確認の方法は、サ高住によってさまざまです。安否確認は安心した生活のために重要なことですから、入居前に良く確認するのが大切ですよ。 サ高住では介護サービスは利用できない!? ネットの情報には、サ高住では安否確認サービスと生活相談サービスを提供していると書いてありました。安否確認サービスと生活相談サービスというのは、介護サービスとは別のものですよね?介護サービスは提供していないんでしょうか? そうなんです。サ高住では介護サービスは提供していません。というのも、サ高住は安否確認・生活相談サービスというご高齢者の安心をサポートするサービスがついた賃貸住宅という立ち位置のため。介護が必要な人を想定した住まいではないんです。 えぇ!そうだったんですね!父は今のところ介護の必要はありませんが、高齢なのでいつ介護が必要になるかわかりません。将来のことを考えると、介護サービスを受けられる施設の方が良いんでしょうか? サ高住でも介護サービスを利用する方法はあります。例えば、外部の訪問介護サービスやデイサービスを利用することで、在宅介護サービスを利用できるんです。中には訪問介護事業所を併設しているサ高住もあります。もし、近い将来、訪問介護サービスを利用する予定がある場合は、訪問介護事業所を併設しているサ高住に住み替えるのも良いかもしれません。 サービス付き高齢者向け住宅と他の介護施設は何が違う? 私の自宅の近くにサ高住があったのでサ高住について調べていますが、介護施設って他にもいろいろとありますよね。サ高住は他の介護施設と何が違うんでしょうか? そうですね。介護施設にもさまざまな種類があります。では、主な介護施設の特徴をご紹介しながら、サ高住との違いをお話ししますね。 種類 サービス付き高齢者向け住宅 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 入居対象者 自立 ◯ △(施設により異なる) ◯ 要支援 ◯ ◯ ◯ 要介護 △(施設により異なる) ◯ ◯ 付帯サービス 食事 オプション ◯ ◯ 緊急時の対応 フロントサービスが対応 ◯ ◯ 介護サービス ◯(外部を利用) ◯ ◯(外部を利用) 終身での生活可否 △(施設により異なる) ◯ ◯ まずサ高住は、先ほどのお話にあったとおり、安否確認と生活相談サービスを提供しています。生活相談サービスとは、電球の交換や重い荷物を運ぶなどのちょっとした生活のお困りごとに対応するもの。さらに、緊急時にご家族への連絡にも対応しています。その他、そのサ高住独自のサービスを提供していることもありますが、基本的には介護サービスは提供していません。 サ高住で介護サービスを利用するには、外部の介護サービスと契約する必要があるんでしたね。 おっしゃるとおりです。対して、有料老人ホームは介護が必要な人を前提とした施設ということもあり、比較的、介護体制が整っています。具体的には、「介護付き有料老人ホーム」では介護サービスがすべて施設の職員さんによって提供されます。そのため、介護サービスを利用するために別途、契約する必要はありません。 へー、つまり、介護施設にすべて任せられるというわけですね。 ただ、同じ有料老人ホームでも「住宅型有料老人ホーム」はサービス付き高齢者向け住宅と同じように外部の介護サービスを利用する必要があります。ただ、サービス付き高齢者向け住宅とは異なるのは、食事の提供や健康管理などのサービスを施設側が提供していることです。つまり、サ高住は他の介護施設よりも介護を必要とする量が少ない人や、まったく必要のない人に向いている施設と言えます。 うーん。父は今のところ介護は必要ないですし、サ高住が良いのかな…。 ただ、サービス内容も施設ごとに大きく異なるので、 それぞれの種類の施設の特徴を頭に入れておきつつ、個々の施設のサービス内容を確認した方が良いでしょう。介護施設は、施設ごとにサービスがまったく異なります。ですので、いろんな施設があって迷ってしまうかもしれません。そういうときは、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談ください。介護施設を熟知した入居相談員が、お父様に合う施設をお探ししますよ! サ高住の安否確認は、入居者の異変がないか確認するサービス 安否確認にはセンサーなどのシステムによるもの、スタッフの訪問などの方法がある サ高住では介護サービスの提供はないため、自立~軽介護度の人に向いている pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: ...
2023/01/17
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面など様々な方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。