介護保険施設とは介護保険サービスを使って利用できる公的な施設のことです。現行の制度では、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院、介護療養型医療施設(療養病床)の4つの種類があります。
それぞれ施設によって特徴や費用に違いがあるので、この記事ではその違いに関して説明します。
介護保険施設とは、介護保険サービスを使用して利用できる施設のこと。
現在では、特別養護老人ホーム(特養)介護老人保健施設(老健)、介護医療院、介護療養型医療施設の4種類がありますが、介護療養型医療施設(療養病床)については2023年に廃止が決定しているので注意が必要です。
また、どの施設も利用者を限定しており、65歳以上であること(または特定疾病によって介護が必要な40~64歳に該当する)、そして要介護1〜5の要介護認定を受けていること(特別養護老人ホームは原則として要介護3以上)という2つの条件を満たしている方が対象です。
40〜64歳でも要介護認定が受けられる特定疾病の一覧は下記をご覧ください。
特別養護老人ホーム(特養)介護老人保健施設(老健)、介護医療院、介護療養型医療施設(療養病床)それぞれにどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な高齢者に対し介護を提供する施設で、略して「特養」とも呼ばれます。公的な介護施設で、次の3つの特徴があります。
特別養護老人ホームでは、入浴や排泄・食事といった介護のほか、日常生活の介助・機能訓練・健康管理なども受けられます。終身での利用ができるため、「終の棲家(ついのすみか)」として選ぶ方の多い施設です。
介護老人保健施設(老健)は高齢者の健康維持のためのリハビリテーションを提供する施設。長く生活する場所ではなく、あくまで自宅に戻るための一時的な施設です。
介護医療院は、「要介護状態の高齢者が長期にわたって療養する生活施設」であると定義されています。
2023年度末で廃止が決められた介護療養型医療施設に代わる施設として2018年4月に創設され、介護だけでなく医療面のケアを受けられるのが大きな特徴です。
介護療養型医療施設ではインスリン注射、痰の吸引といった医療的ケアが充実しています。また食事介助や排泄介助といった身体介護サービスも提供されるのが特徴です。
医療施設という名称なだけに、主な運営主体は医療法人が中心で、多床室がほとんどです。また、あくまで医療機関という位置付けであり、入居期間は終身制ではなく、心身の回復が見られた場合には退所を求められることもあるようです。
長期間の治療が必要な高齢者を対象に創設された介護療養型医療施設ですが、医療保険の対象となる療養型病院(医療療養病床)との違いがなくなっていたなどの理由から2023年には廃止が決定しています。そのため今後は、介護療養型医療施設の代わりに新設された介護医療院へと徐々に転換されていきます。
では、それぞれの介護保険施設を利用するにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。大まかな費用感を以下にまとめました。
入居時費用 | 月額利用料 | |
---|---|---|
特養 | 0円 | 8~14万円 |
老健 | 0円 | 7~14万円 |
介護医療院 | 0円 | 7~14万円 |
ここまで介護保険施設の費用を紹介しましたが、実は費用負担を軽減させる制度もあります。費用軽減制度をきちんと理解することで、金銭的な負担なく利用者に適した介護保険施設を利用することができます。
前述の月額利用料は、所得に応じて支払い額が決まる仕組みになっています。簡単に言うと、所得が少ない人ほど支払いの負担が軽くなる、ということです。
この分類は5段階に分かれているので、以下で入居者本人がどれに当てはまるのか確認しておきましょう。
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
特別養護老人ホーム
負担限度額(日額) | |||||
---|---|---|---|---|---|
第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② | ||
食費 | 300円 | 390円 | 650円 | 1360円 | |
居住費 | 多床室 | 0円 | 370円 | 370円 | 370円 |
従来型個室 | 320円 | 420円 | 820円 | 820円 | |
ユニット型個室的多床室 | 490円 | 490円 | 1310円 | 1310円 | |
ユニット型個室 | 820円 | 820円 | 1310円 | 1310円 |
参考:「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
介護老人保健施設
負担限度額(日額) | |||||
---|---|---|---|---|---|
第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② | ||
食費 | 300円 | 390円 | 650円 | 1360円 | |
居住費 | 多床室 | 0円 | 370円 | 370円 | 370円 |
従来型個室 | 490円 | 490円 | 1310円 | 1310円 | |
ユニット型個室的多床室 | 490円 | 490円 | 1310円 | 1310円 | |
ユニット型個室 | 820円 | 820円 | 1310円 | 1310円 |
参考:「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
手厚い身体介護が必要な方は特別養護老人ホーム、高品質なリハビリや医療ケアを受け在宅復帰を目指していくためには介護老人保健施設、高度な医療ケアを受けながら生活ができる介護医療院。
介護保険施設にはそれぞれ違った目的があるため、提供されるサービスも異なります。特徴やサービスが画一化されていないからこそ、利用者のさまざまなニーズにも応えることができるのです。
それぞれの施設の特徴を適切に理解し、入居する方の心身状態や要望に合わせて最適な施設を選びましょう。
介護保険施設とは介護保険サービスを使って利用できる公的な施設のことです。どの施設も利用者を限定しており、「65歳以上であること」「要介護1〜5の要介護認定を受けていること(特別養護老人ホームは原則として要介護3以上)」という2つの条件を満たしている人が対象です。
介護保険施設は現在、特別養護老人ホーム(特養)介護老人保健施設(老健)、介護医療院、介護療養型医療施設の4種類です。ただし、介護療養型医療施設については2023年に廃止が決定しており、今後は新設された介護医療院へと転換予定です。
介護保険施設へ入居する際の入居一時金は必要ありません。月々の支払い目安として特別養護老人ホームは約8~14万円、介護老人保健施設は約7~14万円、介護医療院は約7~14万円程です。
費用負担を軽減させる制度もあるので入居を検討する際は確認しましょう。
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