老人ホームの費用を安くするための補助制度|制度の種類と申請の流れ

老人ホームの費用を安くするための補助制度|制度の種類と申請の流れ

更新日 2023/05/15

「老人ホームにかかる毎月の費用が高く困っている…」「月々の費用を安くする方法はないのかな?」「将来的に老人ホームへの支払いが滞るかも…」などと悩んでいる方も多いのではないでしょうか?そんなとき、少しでも費用を抑えられる術があるとしたら活用したいですよね。

この記事では、「どのような制度を利用したら老人ホームへの費用を抑えられるか」「老人ホームへの支払いが滞ってしまったらどの制度を利用すれば良いのか」など補助制度を徹底解説しています。

特定入所者介護サービス費

特養や老健、介護医療院といった「公的施設」に入居する際に活用できる制度で、住居費や食費を安く抑えることができます。

特定入所者介護サービスは、所得の低い人を対象とした補助制度です。特養老健介護医療院といった「公的施設」に入居する際に活用できる制度で、住居費や食費を安く抑えることができます。

なお、特定入所者介護サービス費を利用できる対象者は4段階に分かれます。以下で入居者本人がどれに当てはまるのか確認しておきましょう。

  • 第1段階:生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で本人及び世帯全体が市民税非課税
  • 第2段階:世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金収入額が80万円以下
  • 第3段階(1):世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金収入額が80万円より大きく120万円以下
  • 第3段階(2):世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額120万円を超える人
  • 第4段階:上記以外の方

出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)

特定入所者介護サービス費の申請方法

制度を利用するには、本人または代理人の住まいの各自治体の窓口へ申請します。以下、主に必要な書類をまとめました。

  • 介護保険被保険者証のコピー
  • 介護保険負担限度額認定申請書
  • 同意書
  • 被保険者本人および配偶者名義の全通帳のコピー
  • 有価証券や投資信託などのその他資産のコピー

高額介護サービス費

「高額介護サービス費制度」は、1ヵ月の介護保険サービス自己負担額が限度額を超えた場合、超えた分の金額が戻ってくる制度です。支給対象の方には自治体から「高額介護サービス費支給申請書」が送られてくるので、忘れずに申請しましょう。

高額介護サービス費の申請方法

高額介護サービス費の支給を受ける際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、申請時に必要な主な書類をまとめました。

  • 高額介護サービス費支給申請書
  • 介護保険被保険者証
  • 振込先が確認できるもの

高額医療・高額介護合算制度

同一世帯で支払った介護保険サービスと医療費の自己負担額の合計が基準を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。

「高額医療・高額介護合算制度」は、同一世帯で支払った介護保険サービスと医療費の自己負担額の合計が基準を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。合算期間は8月1日から翌年の7月31日です。

ただし、同一世帯内でも「夫が75歳以上で後期高齢者医療保険、妻が75歳未満で国民健康保険」など、加入する保険が異なる場合は合算することができません。さらに、基準を500円以上越えない場合は適用外です。

高額医療・高額介護合算制度の申請方法

高額医療・高額介護合算制度を利用する際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、主に必要な書類をまとめました。

  • 高額医療・高額介護合算申請書
  • 健康保険証
  • 介護保険証
  • 振込先が確認できるもの

介護保険料の減免制度

条件を満たすことで介護保険料の減免措置を受けることができます。各自治体による条件をクリアし、減免措置を受けられた場合、介護保険料は最大で7割程度安くなります。

以下、主な条件をまとめました。

  • 低所得者で生計が困難な方
  • 入院や失業により世帯の生計維持者の所得が前年に比べて著しく減少した方
  • 災害により、住宅や家財に3割以上の損失を受けた方

条件により必要な書類は異なるので、減免制度を利用する際は各自治体の窓口に確認しましょう。

自治体独自の助成制度

条件として、収入や資産が一定以下であるということや、住民税非課税世帯であることなどが挙げられます。

各自治体では、高齢者の生活を支援するための助成制度が設けられている場合が多いです。条件として、収入や資産が一定以下であるということや、住民税非課税世帯であることなどが挙げられます。

以下は、独自の助成制度を設けている自治体の内容をまとめました。

  • 横浜市:特養や老健などのユニット型個室の居住費を月額5,000円程度助成
  • 渋谷区:対象となるサービスを利用したとき、利用者負担額に対し70%を助成
  • 飯能市:対象となる居宅サービスを利用したとき、利用者負担額の1/4を助成(老齢福祉年金受給者は利用者負担額の1/2を助成)
  • 甲府市:利用者負担額の支払いが困難と考えられる低所得者に対して保険適用分の1/2を助成

上記以外にも独自の助成制度を設けている自治体は多数あります。まずは、お住まいの自治体の窓口に助成制度の有無、内容を確認しましょう。

自治体独自の助成制度を利用する際の申請方法

自治体独自の助成制度を利用する際は、各窓口に申請する必要があります。各窓口は自治体により名称がさまざまで、「保険年金課」「介護保険課介護給付係」「介護福祉課」などが挙げられます。

また、助成制度を利用する際の必要な書類は各自治体により異なります。以下、主に必要な書類をまとめました。

  • 各自治体の助成申請書
  • 通帳など保有資産のわかる書類
  • 介護保険被保険者証
  • 申請する本人のマイナンバーがわかる書類

生活保護受給

老人ホームへの料金の支払いが難しい場合は、生活保護の受給も検討すると良いでしょう。

老人ホームへの料金の支払いが難しい場合は、生活保護の受給も検討すると良いでしょう。しかし、すべての老人ホームが生活保護受給者を受け入れているわけではなく、生活保護法による指定を受けた施設に限られるため、入居中の施設から退去しなくてはいけないケースも。入居を希望する際は、以下の窓口で生活保護受給者を受け入れてくれる老人ホームを探してもらうと良いでしょう。

  • 市区町村の生活支援窓口
  • ケースワーカー
  • ケアマネジャー
  • 老人ホームの紹介センター

特に老人ホーム紹介センターは、入居までのサポートをおこなってくれることはもちろん、各老人ホームに対して幅広く知識を持っていることが特徴です。そのため、費用面で困っている方に対して最適な施設を紹介することが可能なので、一度相談してみるのも一案です。

補助制度についてよくある質問

どこで申請をすれば補助制度を利用できますか?

各自治体の窓口で申請をおこなうことで、該当する補助制度を利用できます。窓口は各自治体により名称がさまざまで「介護福祉課」「保険年金課」「介護保険課」などが挙げられます。詳しい窓口は各自治体へ確認しましょう。

介護保険自己負担額の限度額を超えてしまった場合、どんな制度が該当しますか?

介護保険自己負担額の限度額を超えてしまった場合は、超えた分の金額が戻ってくる「高額介護サービス費制度」が該当します。支給対象の方には自治体から「高額介護サービス費支給申請書」が送られてくるので、忘れずに申請しましょう。

老人ホームへの料金の支払いが難しい場合はどうすれば良いですか?

老人ホームへの支払いが滞りそうな場合は、生活保護を受給するのも一案です。ただし、生活保護を受給するとさまざまな制限を受けることになるため、あくまで最終手段として認識しておきましょう。

▶「いい介護」で低価格な老人ホームを探してみる

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY ▶介護付き有料老人ホームの費用に関してはこちらのページをご覧ください 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

article-image

グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

グループホームとは認知症高齢者のための介護施設で、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスのこと。正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 費用や入居条件などの主な特徴は以下の通りです。 入居時費用約0円~100万円月額利用料約15~30万円入居条件要支援2以上認知症の受け入れ重度認知症も受け入れ可看取り対応対応していない施設が多い この記事では、各項目について詳しくご説明していきます。ご家族が認知症で、在宅での介護生活に不安のある方などはとくに、グループホームへの入居検討の際の参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM グループホームの特徴 グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 項目 ...

2021/11/15

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

特集

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト