特別養護老人ホームとは|入居条件や特徴、どんなサービスが提供される?

比較的費用負担を抑えて利用でき、終の棲家として選ばれることも多い特別養護老人ホーム。この記事ではその種類や入所条件・費用・施設の設備・サービス内容など、幅広く解説します。
また、メリット・デメリットをまとめて比較するとともに、早く入所するためのポイントもご紹介します。特養への入居を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください!
特別養護老人ホームってどんな施設?
特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な高齢者に対し介護を提供する施設で、略して「特養」とも呼ばれます。公的な介護施設で、次の3つの特徴があります。
- 老人ホームの中では比較的安価に入所できる
- 看取りの対応が可能な施設も多く、終身で利用できる
- 入所待機者が多く、地域によっては入所までに数年かかることもある
特別養護老人ホームでは、入浴や排泄・食事といった介護のほか、日常生活の介助・機能訓練・健康管理・療養上のお世話などが受けられます。終身での利用ができるため、「終の棲家(ついのすみか)」として選ぶ方の多い施設です。
特別養護老人ホーム3つの種類
特別介護老人ホームは入所者の数やサービス内容から、「広域型特別養護老人ホーム」「地域密着型特養」「地域サポート型特別養護老人ホーム」の3つに分けられます。
それぞれの違いを見ていきましょう。
広域型特別養護老人ホーム
「広域型特別養護老人ホーム(広域型特養)」は、定員が30人以上の特別養護老人ホームです。所在地の市区町村に限らず、どこに住んでいる方でも入所の申し込みが可能です。
地域密着型特別養護老人ホーム
「地域密着型特別養護老人ホーム(地域密着型特養)」は定員29名以下の小規模な特養で、「地域密着型介護老人福祉施設」とも呼ばれます。原則として、施設のある市区町村に住んでいる方のみ申し込めます。
地域密着型特養は、さらに「サテライト型」と「単独型」に分けられます。
サテライト型
広域型特養などを本体施設とし、その周辺で連携して運営をおこなう地域密着型特養を「サテライト型」といいます。本体施設から通常の交通手段で20分以内に設置され、通常の特養に比べて設備や人員配置の基準が緩和されています。
単独型
「単独型」は広域型特養と同等の設備やサービスを単独で提供する地域密着型特養です。少人数で本体施設もない分、アットホームな雰囲気の中で介護が受けられます。
また、ショートステイの実施や、小規模多機能介護・デイサービスの併設など、複数の介護サービスを提供している施設が多いのも特徴です。
地域サポート型特別養護老人ホーム
「地域サポート型特別養護老人ホーム」は、在宅で介護を受けている高齢者に対し24時間体制で見守りなどのサービスを提供する施設です。
特別養護老人ホームの費用目安は?
特別養護老人ホームは、民間の有料老人ホームとは異なり入居一時金などの初期費用は不要です。月々の費用には居住費や食費などがあり、金額は要介護度や居室のタイプにより異なります。
従来型個室
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
多床室
要介護度 | 合計 | 内訳 | ||
---|---|---|---|---|
介護保険 自己負担額 | 賃料 | 食費 | ||
要介護1 | 86,190円 | 17,190円 | 25,650円 | 43,350円 |
要介護2 | 88,230円 | 19,230円 | ||
要介護3 | 90,360円 | 21,360円 | ||
要介護4 | 92,400円 | 23,400円 | ||
要介護5 | 94,410円 | 25,410円 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
ユニット型個室
要介護度 | 合計 | 内訳 | ||
---|---|---|---|---|
介護保険 自己負担額 | 賃料 | 食費 | ||
要介護1 | 123,090円 | 19,560円 | 60,180円 | 43,350円 |
要介護2 | 125,130円 | 21,600円 | ||
要介護3 | 127,320円 | 23,790円 | ||
要介護4 | 129,390円 | 25,860円 | ||
要介護5 | 131,400円 | 27,870円 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
ユニット型準個室
要介護度 | 合計 | 内訳 | ||
---|---|---|---|---|
介護保険 自己負担額 | 賃料 | 食費 | ||
要介護1 | 112,110円 | 19,560円 | 49,200円 | 43,350円 |
要介護2 | 114,150円 | 21,600円 | ||
要介護3 | 116,340円 | 23,790円 | ||
要介護4 | 118,410円 | 25,860円 | ||
要介護5 | 120,420円 | 27,870円 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
※特養の入所条件は要介護3以上ですが、特例で要介護1、2の方の入所も認められているため要介護1から記載しています。
賃料
「賃料」は通常の賃貸物件の家賃にあたり、施設に入所するために毎月必要な費用です。
特別養護老人ホームの賃料は厚生労働省の定める「基準費用額」に基づいて設定されており、ユニット型個室や従来型個室など、居室のタイプにより金額が異なります。
食費
「食費」も賃料と同じく基準費用額に基づいて決められています。1日3食分で計算されるため、外出などで1食抜いたとしても1日分で請求されます。
ただし、入院や外泊で数日不在になる場合は食事を停止することができ、その間の食費は請求されません。
施設介護サービス費
「施設介護サービス費」は、介護サービスを受けるために必要な費用です。
要介護度が上がるほど高額になるほか、居室のタイプによっても異なります。介護付き有料老人ホームなどとは異なり、おむつ代も施設介護サービス費に含まれます。
日常生活費
「日常生活費」は、理美容代や日用品代・お菓子など、日常生活で発生するさまざまな費用です。また、施設内のレクリエーションで利用する材料費なども日常生活費に含まれます。
介護サービス加算
「介護サービス加算」は、手厚い人員体制や入所者の状態に応じたサービスの提供など対し、施設介護サービス費に上乗せして支払う費用です。
ここでは、主な加算を一部紹介します。
夜間職員配置加算
「夜間職員配置加算」は、夜間に基準よりも多くの介護・看護スタッフを配置することに対して加算されます。この加算の対象施設は夜間の見守り体制が手厚いだけでなく、24時間褥瘡(床ずれ)のケアなどにも対応してもらえます。
経口維持加算
「経口維持加算」は、嚥下機能や認知機能の低下などにより普通の食事が困難になった入所者への、口から食べる楽しみを得るための支援に対して加算されます。
具体的には、口から食べるための「経口維持計画書」を入所者ごとに作成し、医師または歯科医師の指示のもと、管理栄養士または栄養士が栄養管理をおこなうなどの要件があります。
個別機能訓練加算
「個別機能訓練加算」は、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などを常勤の機能訓練指導員として配置し、個別機能訓練計画書の作成と計画に基づく機能訓練が受けられる施設で加算されます。
専門的なスタッフがリハビリをサポートしてくれるため、日常生活に必要な機能維持に役立ちます。
夜間看護体制加算
「夜間看護体制加算」は、常勤看護師を1人以上配置し、看護師または病院・看護ステーションなどと連携して24時間連絡体制を確保している施設で加算されます。また、適用される施設では、重度化したときの対応について入居時に本人や家族に説明し、同意を得る必要があります。
医療サポートが充実したケアハウスを希望する方は、夜間看護体制加算のある施設を選ぶと良いでしょう。
費用負担の軽減~特定入居者介護サービス~
前述の月額利用料は、所得に応じて支払い額が決まる仕組みになっています。簡単に言うと、所得が少ない人ほど支払いの負担が軽くなる、ということです。
この分類は5段階に分かれているので、以下で入居者本人がどれに当てはまるのか確認しておきましょう。
- 第1段階:生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で本人及び世帯全体が市民税非課税
- 第2段階:世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金収入額が80万円以下
- 第3段階(1):世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金収入額が80万円より大きく120万円以下
- 第3段階(2):世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額120万円を超える人
- 第4段階:上記以外の方
段階ごとの負担限度額
第1段階
生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で本人及び世帯全体が市民税非課税
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 0円 | 9000円 |
従来型個室 | 9600円 | |
ユニット型個室的多床室 | 1万4700円 | |
ユニット型個室 | 2万4600円 |
第2段階
本人及び世帯全体が市民税非課税で合計所得金額+課税年金収入額が80万円以下の方
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 1万1100円 | 1万1700円 |
従来型個室 | 1万2600円 | |
ユニット型個室的多床室 | 1万4700円 | |
ユニット型個室 | 2万4600円 |
第3段階(1)
世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額80万円を超え120万円以下の人
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 1万1100円 | 1万9500円 |
従来型個室 | 2万4600円 | |
ユニット型個室的多床室 | 3万9300円 | |
ユニット型個室 | 3万9300円 |
第3段階(2)
世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額120万円を超える人
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 1万1100円 | 4万800円 |
従来型個室 | 2万4600円 | |
ユニット型個室的多床室 | 3万9300円 | |
ユニット型個室 | 3万9300円 |
第4段階
上記以外の人
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 2万5200円 | 4万3350円 |
従来型個室 | 3万4500円 | |
ユニット型個室的多床室 | 4万9200円 | |
ユニット型個室 | 5万9100円 |
特別養護老人ホームの入所条件は「要介護3以上」

特別養護老人ホームは、常時介護が必要で在宅での介護が困難な高齢者を対象とした高齢者介護施設です。もともと要介護1~5の方が入所対象でしたが、2015年からは要介護3以上の認定が入所の条件となりました。
基本的には65歳以上の高齢者が対象ですが、特定疾病に罹患している場合は40~64歳までの希望者にも入所が認められます。
特例として要介護1、要介護2でも入所できるケースも
基本的には要介護3以上が特別養護老人ホームへの入所の条件です。しかし、次の条件に当てはまる要介護1や2の方も入所できる場合があります。
- 認知症である者であって、日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること
- 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること
- 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難であること
- 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること
入所は申込み順ではなく、要介護度や家庭の状況などを総合的に判断して緊急性を点数化し、点数の高い順に入所が決定する仕組みになっています。
以前に比べると待機人数は少なくなったものの、短くて1~2ヵ月、長い場合は数年の待機期間が発生することもあります。特養への入所を考える際には、まず近隣施設の入所待機者を把握することから始めてみましょう。
特別養護老人ホームではどのようなサービスが受けられるの?
介護施設は、費用だけでなく受けられるサービスも重視して選びたいですね。
ここからは、特別養護老人ホームで受けられるサービスについて解説していきます。
栄養を考えた食事

特別養護老人ホームでは、栄養士が作成した献立をもとに食事が作られます。栄養バランスが整っているだけでなく、入所者の持病やそのときどきの健康状態、好みなどにも配慮されます。
また、咀嚼・嚥下能力に応じて、硬い食材をミキサーにかけたり汁物にとろみをつけるなどの対応も可能です。
さらに、毎日同じ時間に食事をすることで、生活のリズムが整うというメリットもあります。
施設職員・委託業者による定期的な清掃・洗濯
特別養護老人ホームでは、共有スペースはもちろん居室内の掃除も、施設の職員や委託業者によりおこなわれます。洗濯物も、外部のクリーニングに出す必要のあるものを除き施設内で洗濯してもらえます。
日常生活のための能力や身体機能の維持のため、スタッフの援助を受けながら自分で掃除や洗濯ができる場合もあります。このような「自立支援」を希望する場合は施設担当者に相談してみましょう。
入浴は最低でも週2回以上

多くの特別養護老人ホームでは週2回の入浴機会が設けられ、スタッフの介助により安全に入浴できます。健康上の利用等で入浴できない場合は、清拭などで体を清潔に保ちます。
施設によっては寝たままの姿勢で入浴できる「機械浴槽」が設置され、寝たきりの入所者でも定期的な入浴が可能です。
介護スタッフによる排泄介助
一人で排泄するのが難しい入所者は、介護スタッフによる排泄介助が受けられます。排泄を介助することで、清潔を保つとともに感染症の予防にもなります。
尿意や便意を感じにくくなっている場合は排泄の間隔を考慮してトイレに誘導したり、寝たきりなどトイレでの排泄が困難な方には尿器やおむつで対応するなど、入所者ごとの状態に合わせた介助がおこなわれます。
豊富なレクリエーション

特別養護老人ホームでは、入所者に楽しんでもらうためだけでなく身体機能や認知機能低下防止も目的として、手芸やゲーム・カラオケなどのさまざまなレクリエーションがおこなわれます。
また、誕生日会のほかクリスマスやお花見・七夕といった季節のイベントが毎月のように開催されたり、美術館やショッピングなどで外出することも。
さらに、外部から演奏者を招いて音楽会を開いたり、近隣の幼稚園や小学校と提携して子どもと触れ合うイベントをおこなっている施設もあります。
筋力維持のリハビリテーション
特別養護老人ホームでは、食事や排泄などの日常的な動作が自分自身でできるよう「自立支援」を目的とした「生活リハビリ」を中心にリハビリメニューが組まれます。
集団での体操のほか、ゲームや運動などがレクリエーションの一環として提供されます。
医療ケア

特別養護老人ホームには最低でも1人以上の看護師が配置され、日々の健康管理や服薬管理がおこなわれます。看護師は、介護スタッフとともに入所者の体調の変化をチェックし、医療機関での診察が必要な場合には受診のサポートもしてくれます。
施設によっては、胃ろうなどの経管栄養法や、人工肛門・インスリン療法・人工透析・疼痛管理などの医療ケアが受けられることも。対応できる施設は限定されるため、これらのケアが必要な場合は施設の担当者に確認しましょう。
看取り体制を整えた施設も多い
従来特別養護老人ホームでは、入所者の急変時は救急車を呼んで搬送するという対応が主流でした。しかし現在では、看取りに対応できる施設も多くなっています。
看取り介護加算の算定が認められている施設では、医師や看護・介護スタッフが連携して終末期に適したケアが施されます。
ただし設備面での条件もあるなど、すべての施設が看取りに対応しているわけではありません。施設での看取りを希望する場合は、看取りの実施状況について事前に確認しましょう。
特別養護老人ホームの設備

特別養護老人ホームでは、必要な設備やそれぞれの基準が決められています。ここでは、代表的な施設についてご紹介します。
居室
1人あたりの床面積は10.65㎡以上
浴室
介護を必要とするものが入浴するのに適したものとすること
トイレ
居室のある階ごとに分けること。ブザーまたはそれにかわる設備を設けること。
廊下
1.8m以上の幅とすること
廊下および階段
手すりを設けること
特別養護老人ホームの居室タイプ特徴
特別養護老人ホームの居室は4種類のタイプに分けられ、このタイプにより賃料や施設介護サービス費も変わります。
それぞれの居室タイプについて特徴を見ていきましょう。
ユニット型個室

基本は1室1ベッドの個室。「ユニット」は、10人以下でロビー・ダイニング・簡易キッチン・浴室・トイレを共有して共同生活を送る小さなグループを指します。
1ユニットごとに専任の施設スタッフが担当することになっています。
ユニット型準個室

ユニット型個室と異なる点は、多床室を改装・分割して作られた個室という点。施設によっては完全な個室になっていない場合もあるため、入居前にしっかりと確認しておく必要があります。
従来型個室

1室を1人で利用するタイプの居室。以前は単に「個室」と称していましたが、ユニット型個室が登場したことによって「従来型個室」と称することに。
多床室

1室に対して複数のベッドが配置されているタイプで、現在の多床室は4人部屋となっているケースが多いようです。プライバシーなどの観点から、ユニット型個室に切り替える施設が増えてきています。
特別養護老人ホームのメリット、デメリット
特別養護老人ホームのメリットは、費用の安さだけではありません。一方、入所基準が厳しいなどのデメリットもあるため、施設を探す前にしっかり把握しておきましょう。
メリット
- 最大の魅力は費用の安さ
- 終身的に利用できる
- 安心の24時間介護体制
最大の魅力は費用の安さ
特別養護老人ホームは公共の介護施設のため、比較的費用負担が軽いのが魅力です。入所時の一時金は不要で、月額利用料も10万円前後と民間の介護付き有料老人ホームなどに比べて安い傾向にあります。
また、介護付き有料老人ホームでは介護サービス費・食費・居住費は医療費控除の対象外ですが、特別養護老人ホームでは2分の1に相当する額が対象となります。このため、確定申告により所得税や住民税が安くなるメリットもあります。
終身的に利用できる
同じ公的介護施設でも、介護老人保健施設の入所は原則3ヵ月までと決められています。
一方特別養護老人ホームでは、入所期間に限度はなく終身での利用も可能です。費用負担も比較的軽いため、長期でも安心して利用できます。
安心の24時間介護体制
特別養護老人ホームでは、入所者3人に対し介護(看護)スタッフ1人以上の配置が義務づけられており、手厚い介護が受けられます。
日中に比べると少ないものの、夜間も最低1人以上が常駐するため24時間安心して過ごせます。
デメリット
- 入所条件が厳しい
- 医療ケアが整っていない場合も
入所条件が厳しい
民間施設では要介護度を問わず入居できる施設も多いのに対し、特別養護老人ホームでは要介護3以上が入所の条件です。要介護1~2の方も特例として入所できるケースもありますが、基本的には要介護度が高い方が優先されます。
また、要介護度だけでなく家族環境などを総合的に判断し、緊急性が高い方から入所が決まります。このため、自宅での介護が可能な場合はなかなか入居できないことも。
さらに費用の安さゆえに人気が高く、地域によっては入居まで数年待ちが必要な場合もあります。
医療ケアが整っていない場合も
特別養護老人ホームでは、看護師の夜間の配置は義務づけられていません。このため多くの施設では、看護師による医療ケアは日中のみに限られます。
設備についても充実している施設は限られており、施設内で対応できない場合は退所を求められることもあります。
特別養護老人ホームへ早く入所するには?
入所基準が要介護3以上になったことで以前と比べる待機期間は減少傾向ですが、それでも入所まで1年以上かかることもあります。
少しでも早期の入所を希望する場合は、次の方法を試してみてはいかがでしょうか。
同時に2ヵ所以上申し込む
入所を申し込める施設の数に制限はありません。申込み費用もかからないので第1希望だけでなく第2・第3希望の施設にも申し込んでおきましょう。複数申し込んでおけば、先に空きが出た施設に入所することができます。
人気の低い居室タイプに申し込む
特別養護老人ホームは居室のタイプで費用が変わるため、ほかより月額利用料が数万円高くなるユニット型個室とユニット型個室的多床室は比較的人気がありません。
このため費用が許容範囲であれば、ユニットタイプに絞って複数の施設に申し込むことで、早期に入所できる確率が高まります。
探す地域を拡げてみる
一般的に人気の高い特別養護老人ホームですが、入所待ちの人数は地域によって差があります。数年待ちが必要な激戦区もあれば、定員割れしていることも。
広域型特養ならどこにお住まいの方でも申し込めるため、探す地域を広げてみてはいかがでしょうか。近隣地域まで範囲を広げることで、比較的早期に入れる施設が見つかるかもしれませんよ。
特別養護老人ホームに関するよくある質問
特別養護老人ホームに入居する人はどんな人でしょうか?
特別養護老人ホームは誰もが入居できるわけではなく、要介護3以上で65歳以上の高齢者を対象としています。ただし特例として、要介護1、要介護2の人が入居できるケースもあるので気になる施設がある場合、一度問い合わせてみましょう。
特別養護老人ホームと有料老人ホームの違いは何ですか?
両施設を比較すると「入居条件の違い」「費用の違い」「サービス内容の違い」「設備の違い」が挙げられます。
入居条件について、有料老人ホームが比較的自立の人から入居できるのに対し、特別養護老人ホームは要介護3以上からが入居条件になります。
また、費用感も入居一時金が基本的に必要になってくる有料老人ホームに対し、特別養護老人ホームは入居一時金は不要で月額利用料のみです。
サービス内容においては、レクリエーションなどが豊富な有料老人ホームに対し、特別養護老人ホームでは基本的に介護サービスが中心で、それに伴い有料老人ホームと比較すると居室面積も最低限に作られている施設が多いです。
特別養護老人ホームは何故安いのでしょうか?
特別養護老人ホームは、国からの助成金や税金面で優遇されているため安価で運営できています。
入居者にとって初期費用がかからないことはメリットで、介護度が上がっても終身的に生活できるのは魅力的です。その反面、安価ということもありどの施設も満室の傾向が強いというのが現状です。