橋本さんは、優しいトーンで聞いているこちらを安心させてくれる声の持ち主。特別養護老人ホームで介護職員をしたりケアマネジャーをしたりと、介護業界歴はなんと18年!さまざまな立場で介護に携わってきた橋本さんだからこそのお話を聞けました。
―以前は老人ホームの運営会社で入居相談員をしていた橋本さんですが、「いい介護」の入居相談員はどうですか?紹介センターの入居相談員は、ちょっと違うんでしょうか?
橋本
やっぱり違いますね。以前は自分の会社が運営している施設の知識だけで良かった。でも、「いい介護」は全国いろいろな施設の紹介をしているので、幅広い知識が必要ですよね。なので、今はたくさんの施設の知識を勉強中です。
―橋本さんは大阪支社で勤務されていますよね。大阪支社の雰囲気はいかがですか?
橋本
室長の北野をはじめ、にぎやかですよ。同じく大阪支社の相談員である林や奥田との会話は軽快で、常に漫才を見ているような感覚です(笑)。
それに、他の相談員の様子を見ていると、「ストレスなく働いてるんやろな」というのを感じています。もちろん、それぞれ忙しいとは思うんですよ。でも、やっぱりみんなベテランですから、忙しさを電話の相手に伝えないようなトークが上手いんです。
―「忙しさを伝えないトーク」ですか。
橋本
そう。「今、めっちゃ忙しいんやろな」というときも明るくて。ベテランならではの余裕というんですかね。見習わないとなぁと、いつも思っています。
それに「いい介護」の相談員を見ていると、「信頼関係を築くのが上手いな」と感じますね。私たちは、基本的にお客様とは電話だけでお話しします。顔が見えないとお客様としても不安に感じることもあると思うのですが、林や奥田はお客様が信頼してくれていろいろとお話しをしていただけるんですよ。
この間なんて、奥田は初めて電話いただいたお客様と1時間くらい世間話してましたよ(笑)。
―つまり、初対面の方と1時間も世間話をしているってことですよね!すごい(笑)。
橋本
僕はけっこう時間をかけてお客様と信頼関係を築いていくタイプなので、奥田みたいに初めての電話のお客様に信頼していただいてたくさん話していただけるのは本当にすごいなぁ、と思います。
―施設探しをお手伝いするだけだったら、希望条件をヒアリングするだけでも良いと思います。でも、なぜ世間話をたくさんできるような信頼関係が大切なんでしょうか?
橋本
確かに、ご希望の条件がわかればそれに合った施設のご提案はできます。でも、そのお客様の希望をすべて話していただくには、やっぱり信頼関係がないと。信頼関係がないと本当の希望を話していただけないと思うんですよ。
もちろん、最終的に親御さんを預けるのは施設さんです。でも、その前の施設探しの段階で信頼できる人に相談したいのがご家族のお気持ちだと思うんです。なので、「この人ならうちの親を任せられる」と思ってもらえるかどうかというのは重要ですね。
―橋本さんが、信頼関係を築くために大切にしていることはありますか?
橋本
まずはお話をよく聞くことですかね。相談員としてだけではなく介護現場の経験をふまえても、自分の意見を言うだけでなくて相手の言葉を聞き入れる、共感するのが重要なのかなと思っています。
―これまで橋本さんが体験した、ご入居のエピソードを教えてください。
橋本
お体の状況的に在宅介護が難しくなってしまったお客様の入居相談をいただきました。ご家族は「どうしても入居させたい」、でもご本人は「入居したくない」となかなか入居が難しいケースがありました。
ご家族の負担やご本人の身体状態を考えると、入居した方が良い状況ではありましたが…。どう入居してもらうかが大変でしたね。
―橋本さんはどのように対応したんですか?
橋本
僕は、ご家族とご本人に「一旦は、ご自宅で過ごせるところまでご自宅にいるのも良いんじゃないですか」とお話ししました。その方は最終的には入居していただきましたが、もし僕がご家族と一緒に入居の説得をしていたら入居しなかったかもしれません。
たぶん、ご家族は僕の言葉を聞いて「なんでそんなことを言うの?在宅介護するのは私たちなのに」って考えたと思うんです。でも、ご本人が納得しないと本当に良い入居はできませんから。なので、ご本人に納得してもらうために無理には入居を勧めませんでした。
―どうしてそのお客様は、施設に入居したくなかったんでしょう?
橋本
やっぱり、皆さん”老人ホーム”って聞くと良いイメージを持っていない方が多いんです。寝たきりの人が多くて、ほったらかしにされて、家族とも会えなくて…。「老人ホームに入居したら終わり」というイメージを持っておられます。
なのでまずは、そのイメージは違うということを伝えるのが大切。居室はお一人部屋の施設が多くて、ケアプランに沿ってその方らしい生活を実現できることをお話しします。
寝たきりにしてほったらかしでもないし、レクレーションに参加できるし、外出レクでお出かけする機会もあって、レクの参加不参加も自由に選択できることもお伝えしています。
―意外とイベントも多いですもんね。
橋本
そうそう!そういうことをお話しして、ちょっとでもご本人が入居に前向きになったら良いな、と。あとは見学に行ってもらって、レクレーションをやっている雰囲気を見てもらったりとか。昼食を用意してくれる施設もあるので、「施設の見学がてらお昼食べに行きませんか」と言ってみたり。
食事の美味しい施設も多いので、施設見学というよりお昼を食べに行くような感覚ですよね(笑)。
―実際に施設を見学してみて、イメージは変わるものなんですか?
橋本
そうですね。「見学してみたら、イメージが変わったわ」とおっしゃる方もいらっしゃいますね。
最初は「入りたくない」と思っているのを「あの施設だったら入っても良いわ」と思ってもらえたら、老人ホームへの思いも変わるかなと。もしかしたら、実際に入居するタイミングはまだまだ先かもしれないですけど、介護施設のイメージが変わっただけでも大きいですからね。
なので、お昼を食べに行ったら「次はレクレーションを見に行ってみましょうか」とお誘いしてみたり。今はコロナの関係で、なかなか何度も見学に行かしてもらえる施設さんも少ないかもしれないですが…。
でも、一度、実際の老人ホームを見ていただけると、「入居したくない」という気持ちは軽減されるのかなと思います。
―施設探しに悩んでいる方もいらっしゃると思います。”施設探しのコツ”ってありますか?
橋本
とにかく施設を見学することですね。それも1ヵ所だけじゃなくて、2ヵ所、3ヵ所…といろんな施設を見てほしいです。パンフレットやネットの情報だけではなくて、介護職員さんの声掛けとか実際の現場を自分の目で見ていただきたいですね。
施設ごとに雰囲気もまったく違いますしね。老人ホームって、同じ運営会社の施設であっても施設長さんや職員さんで雰囲気が大きく異なるんですよ。
―へぇ、施設長さんや職員さんで変わるんですね!
橋本
施設長さんがしっかりとケアの方針を定めていて、職員さんがそれをきちんと実行しているような、僕自身が「自分の親もここに入居させたいな」と思える施設もあります。かと思えば、声掛けも全然できていないような施設もあるのが実情なんです。
施設長さんの考え方で介護職員さんのケアが左右されることが多いので、見学の際には「自分の親を任せられる」と思える施設長さんがいるかどうかも見ていただけると良いと思います。
―なるほど、施設長さんの対応も見学時のポイントなんですね。
橋本
あとは、”押し売り”をしないかどうかですね。さっきも言いましたが、入居をするご本人が納得しないと施設に入ってもしょうがないです。なので、無理やり入居させるような”押し売り”をする施設は良くないと思っています。
もちろん、僕も押し売りはしませんよ!(笑)「入りたいと思った施設であれば入ってくださいね」という感じでお話ししています。
ご本人が納得いかなかったら早期に退去しやすいですし。そうなると、入居したご本人やご家族はもちろん、施設さんにとっても痛手ですからね。
何はともあれ、まずは実際の施設を見学していただきたいです。自分の目で見て、耳で聞いて、大切な親御さんを任せられる施設かどうかを見極めてくださいね。
【プロフィール】
橋本 隆
大阪府堺市堺区生まれのO型。福祉系大学を出て特別養護老人ホームに入職し、デイサービスの管理者やケアマネジャーを経験。介護業界一筋18年のベテラン。趣味は野球観戦。やはり生粋の阪神ファン…かと思いきや、実は巨人ファン。「大きな声では言えないんですけどね…(by橋本)」
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。