親の老人ホームの費用は誰が払う?生活する上でかかる費用目安や活用したい補助制度を解説

親の老人ホームの費用は誰が払う?生活する上でかかる費用目安や活用したい補助制度を解説

公開日 2022/06/24

「親の老人ホームの費用は、子どもが支払うの?」「長男・長女が多く出すべきなのかな?」「どれぐらい費用がかかるの?」などと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。誰がお金を出すかによっては家庭内の問題に発展しかねません。

この記事では、親の老人ホームの費用は誰が支払うのか、生活する上でかかる費用目安や活用したい補助制度を解説しています。

老人ホームの費用に関して少しでも不安を取り除きたい方は、是非、参考にしてみてください。

老人ホームの費用は親のお金で払うのが基本

老人ホームの費用は親のお金で支払うのが基本

親の老人ホームの費用は誰が支払うのかという問題は、子どもの悩みのひとつではないでしょうか。結論から言うと、子どもは自分たちの生活があるため、親の老人ホームの費用は親のお金で支払うのが基本です。親のお金とは「収入」「年金」「貯蓄」「資産」などを指し、子どもはこれらを把握しておくことが大切です。

把握しておきたい親の資産

家族とはいえ、そして家族だからこそお金の話は聞きづらいものですが、お互いの不安を取り除くためには必要なことです。以下では、把握しておきたい親の資産をまとめました。

  • 保有しているすべての銀行口座
  • 株式などの投資有価証券
  • 生命保険の契約有無
  • 所有不動産
  • 負債の状況

上記の内容を確認することで、ある程度親の資産状況を把握することができるでしょう。しかし、すべての親が資産状況を今すぐに教えてくれるとは限りません。そんなときは焦らず、身近な例で話を切り出したり少しずつ内容を聞き出したりしましょう。

また、自分の人生の終末を記すエンディングノートを活用するのも良いです。エンディングノートは、家族や友人に伝えておきたいことや自分の希望などを書き留めておけます。特に法的効力がないので気軽に記すことができ、書き直しをすることもできます。親が資産状況に関して話すことを拒んでいる場合、エンディングノートを勧めるのも一案です。

老人ホームにかかる費用目安

老人ホームの費用に関しては身体状況や希望するにサービスによって変動する

老人ホームにかかる費用はどのくらい必要なのか不安になる方が多いでしょう。費用に関しては入居する方の身体状況や希望するサービスによって変動し、公的施設か民間施設かでも異なってきます。以下では、老人ホームにかかる費用目安と費用を抑える方法をまとめました。

施設の種類公的/民間入居一時金月額利用料
介護付き
有料老人ホーム
民間0~数千万円15~30万円
住宅型
有料老人ホーム
民間0~数千万円11~25万円
サービス付き
高齢者向け住宅
民間0~数十万円11~25万円
グループホーム民間0~数十万円10~15万円
ケアハウス公的0円~数十万円6~17万円
特別養護
老人ホーム
公的0円8~14万円
介護老人
保健施設
公的0円8~14万円
介護医療院公的0円10~20万円
ホスピス民間施設や入院期間
により異なる
施設や入院期間
により異なる

「年金が少ない」「資産がない」という状況の場合は、費用が格段に安い「公的施設」やサービス付き高齢者向け住宅のような初期費用が安い「民間施設」を選択すると良いでしょう。

立地が悪い老人ホームを利用する

都心よりも地方、駅から離れた老人ホームの方が比較的費用を抑えられる傾向にあります。家族にとっては、面会などで訪問する際に利便性が悪く大変な思いをすることは避けられませんが、費用面に関しては都会より安くなることでしょう。

相部屋の老人ホームを利用する

近年では個室のみの老人ホームが増えていますが、中には相部屋の老人ホームもあります。相部屋は金額が安いという特徴があり、個室にこだわりがなければ費用を比較的抑えられます。

しかし相部屋の場合、他の入居者の生活音が気になったりプライベートが確保できなかったりと、さまざまな弊害が生じることもあります。

費用の支払いが難しいときに活用したい補助制度

老人ホームの費用の支払いが難しい場合は補助制度を活用すると良い

各補助制度を活用することで月々の費用を緩和できる場合があります。「子どもたちで足りない部分を出そう」と結論付ける前に、少しでも費用を抑える術がないかを確認しましょう。

特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービスは、特養老健介護医療院といった「公的施設」に入居する際に活用できる制度で、住居費や食費を安く抑えることができます。

なお、特定入所者介護サービス費を利用できる対象者は4段階に分かれます。以下で入居者本人がどれに当てはまるのか確認しておきましょう。

  • 第1段階:生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で本人及び世帯全体が市民税非課税
  • 第2段階:世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金収入額が80万円以下
  • 第3段階(1):世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金収入額が80万円より大きく120万円以下
  • 第3段階(2):世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額120万円を超える人
  • 第4段階:上記以外の方
p>出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)

高額介護サービス費

「高額介護サービス費制度」は、1ヵ月の介護保険サービス自己負担額が限度額を超えた場合、超えた分の金額が戻ってくる制度です。支給対象の方には自治体から「高額介護サービス費支給申請書」が送られてくるので、忘れずに申請しましょう。

高額医療・高額介護合算制度

「高額医療・高額介護合算制度」は、同一世帯で支払った介護保険サービスと医療費の自己負担額の合計が基準を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。合算期間は8月1日から翌年の7月31日です。

ただし、同一世帯内でも「夫が75歳以上で後期高齢者医療保険、妻が75歳未満で国民健康保険」など、加入する保険が異なる場合は合算することができません。さらに、基準を500円以上越えない場合は適用外です。

介護保険料の減免制度

条件を満たすことで介護保険料の減免措置を受けることができます。各自治体による条件をクリアし、減免措置を受けられた場合、介護保険料は最大で7割程度安くなります。

以下、主な条件をまとめました。

  • 低所得者で生計が困難な方
  • 入院や失業により世帯の生計維持者の所得が前年に比べて著しく減少した方
  • 災害により、住宅や家財に3割以上の損失を受けた方

条件により必要な書類は異なるので、減免制度を利用する際は各自治体の窓口に確認しましょう。

自治体独自の助成制度

各自治体では、高齢者の生活を支援するための助成制度が設けられている場合が多いです。条件として、収入や資産が一定以下であるということや、住民税非課税世帯であることなどが挙げられます。

以下は、独自の助成制度を設けている自治体の内容をまとめました。

  • 横浜市:特養や老健などのユニット型個室の居住費を月額5,000円程度を助成
  • 渋谷区:対象となるサービスを利用したとき、利用者負担額に対し70%を助成
  • 飯能市:対象となる居宅サービスを利用したとき、利用者負担額の1/4を助成(老齢福祉年金受給者は利用者負担額の1/2を助成)
  • 甲府市:利用者負担額の支払いが困難と考えられる低所得者に対して保険適用分の1/2を助成

上記以外にも独自の助成制度を設けている自治体は多数あります。まずは、お住まいの自治体の窓口に助成制度の有無、内容を確認しましょう。

老人ホームの費用に関するよくある質問

親の老人ホームの費用は誰が支払ったほうが良いですか?

親の老人ホームの費用は、一般的に親のお金で支払うのが基本です。子どもは子どもで自分たちの生活があることに加え、自身の老後生活に備えなければいけません。

親のお金とは何を指しますか?

基本的に親のお金とは「収入」「年金」「貯蓄」「資産」を指します。子どもはこれらの状況を把握しておくことが大切です。

親が資産状況を教えてくれない…。どうすれば良いですか?

すべての親が資産状況を今すぐに教えてくれるとは限りません。そんなときは焦らず、身近な例で話を切り出したり少しずつ内容を聞き出したりしましょう。

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