【医師監修】認知症の症状|中核症状と周辺症状の違い

【医師監修】認知症の症状|中核症状と周辺症状の違い

更新日 2024/04/08

認知症を早期に発見するためには、どのような症状が現れるか知っておくことが大切です。

この記事では、認知症の中核症状と周辺症状について解説するとともに、認知症のサインとなる症状を紹介。予防や早期発見についても説明します。

「症状も出てないし、まだ大丈夫」なんて思っていたら手遅れになることもあるくらいです。きちんと理解して、予防と早期発見に気をつけてくださいね!

認知症の症状は2種類

認知症には「中核症状」「行動・心理症状(BPSD)」という2種類の症状がある

認知症の症状を大きく分けると、脳の障害により直接引き起こされる「中核症状」と、中核症状に環境や人間関係、性格などが関係して発生する「周辺症状」があります。

中核症状は「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」など、認知機能に障害が現れます。一方、周辺症状は行動や心理症状に関わる症状で、抑うつや徘徊、暴力、介護拒否などの多様な症状が見られます。

まずは、中核症状ではどのような症状が現れるか解説します。

中核症状

中核症状とは認知症になると明確に症状としてあらわれるもので、以下のような障害が出ます。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 実行機能障害
  • 失行
  • 失語
  • 失認
  • 理解・判断力の低下

症状としてはっきりしているので、中核症状の内容を知っていれば「認知症かも?」と早めに気づいて、早めに治療することができます。

記憶障害

記憶障害はその名の通り、「ものを覚える」ことができなくなる障害のことです。「もの忘れ」とも似ていますが、食べた料理を忘れることがもの忘れなら、食べたこと自体を覚えていないのが記憶障害の状態です。

見当識障害

認知症の中核書状として、時間や場所がわからなくなる「見当識障害」があらわれることがある

見当識障害は、おもに時間と場所がわからなくなる状態のことです。

今が何月何年なのか、ここはどこなのかということがわからなくなります。季節感もなくなるので、冬なのに薄着をしたり、夏なのにコートを着ようとするといった症状が見られます。

実行機能障害

実行機能障害になると、食材を買い物して、料理を作るという物事の段取りがたてられなくなったり、なにかを計画することが難しくなります。いくつかの工程を経る動作に加えて、複数の動作を同時にこなすこともできません。

失行

それまで当たり前にできていたことができなくなることを、失行と呼びます。

テレビをつける、お風呂を沸かすといった日常の動作も理解できなくなります。自分で身体を動かすことはできますが、誰かの指示どおりに行動したり、お箸などの道具を使うことは難しいようです。

失認

失認は、脳の部位の中で頭頂葉、側頭葉、または後頭葉に損傷が起きたときに見られる症状です。

頭頂葉に障害がある場合は、例えばハサミをさわっても何か理解できなくなる一方で、目で見るとハサミだと理解できます。

後頭葉はその逆で、ハサミを見ても、ハサミだと認識することができません。側頭葉は音が聞こえているのに、その音が何の音か判断することができない状況です。

失語

失語とは、その名の通り言葉を失ってしまう障害です。言葉を司る脳の部位に損傷が起きることによって、文字を読んだり書いたり、言葉を話したり、理解することが困難になります。

同じ失語でも、脳のどの部位に損傷がでたかで、症状はさまざまです。また、原因が進行性の病気なのか、脳卒中などの一時的なものかによって、進行性にも違いがあります。

理解・判断力の低下

理解するまでに時間がかかったり、適切な判断が難しくなります。いつもとは違う出来事に対応できず、混乱することもあります。

また、落ち着いていれば適切な判断ができる方でも、急かされると理解・判断力が低下する傾向にあります。このため、乗り物の運転や道路の横断など、瞬時の理解や判断を求められる場面から対応が難しくなっていきます。

行動・心理症状(BPSD)

認知症の周辺症状である「行動・心理症状」は、「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」を略して「BPSD」という略語で呼ばれることもあります。

中核症状に生活環境や人間関係、本人の性格などが関係して現れることから症状は個人により大きな差があります。

行動・心理症状には、暴力や暴言、徘徊など介護者の心的・身体的疲労につながりやすい症状も多いため、原因や対処方法を知っておくことも大切です。具体的な障害は以下の通りです。

  • 暴力・暴言
  • 介護拒否・服薬拒否
  • 徘徊
  • 妄想
  • 無気力・抑うつ・不安
  • 幻覚

それでは、主な行動・心理症状を見ていきましょう。

暴力・暴言

感情をコントロールする脳の前頭葉が萎縮したり脳が疲れやすくなることにより、認知症の初期の段階から感情を抑えるのは難しくなっていきます。このため納得できないことがあったり尊厳が傷つけられたと感じると、暴言を吐いたり暴力を振るってしまうことも。

このような状況で介護者も感情的になると状況は悪化してしまいます。少し時間を置くなどして落ち着いてから話を聞くようにしましょう。

介護拒否・服薬拒否

認知症の行動・心理症状(BPSD)として、介護拒否や服薬拒否といった症状があらわれる

環境の変化に対する不安や意欲の低下のほか、薬を飲むことを理解できなくなったり、妄想などによっても介護や服薬を拒否することがあります。

無理に介護したり薬を飲ませたりすると嫌な印象を植え付けてしまい、より一層拒否する場合もあります。不安による拒否ならその原因を解消するなど、嫌がる理由を探りながら本人に合わせて介護するようにしましょう。

徘徊

徘徊は事故や事件に巻き込まれる恐れがあるため、介護者にとって特に心配な症状です。

場所の見当識障害が進むにつれて現れるようになり、外出先で道に迷うほか、見慣れているはずの自宅や施設などを知らない場所と感じて外に出てしまう場合もあります。

また、引っ越しなどによる環境変化のストレスや、今いる場所に安心感を抱けないなども徘徊の原因になります。このため、落ち着ける環境づくりも徘徊の予防には大切です。

妄想

妄想とは、現実にはあり得ないようなことをほかの人が訂正できないほどに思い込む症状で、認知症初期からしばしばみられます。これらの妄想は、認知症による不安や焦りが要因となるようです。

代表的な症状に、周囲の人にものやお金を盗まれたと主張する「もの盗られ妄想」や、いじめられたなどの「被害妄想」、配偶者が浮気しているといった「嫉妬妄想」などがあります。

無気力・抑うつ・不安

認知症の行動・心理症状(BPSD)として、無気力や不安、うつといった症状があらわれる

認知機能障害では、日常生活でできないことが徐々に増えていきます。これに不安を感じ、気分が落ち込んで抑うつ状態になることも珍しくありません。

通常の抑うつでは悲観的な気持ちになることが多いですが、認知症ではあらゆることに無関心になることが多いです。

ストレスが大きな原因となるため、ストレスの元を見つけて軽減するのが重要です。また、ゆったり落ち着ける、居心地の良い環境作りも大切です。

幻覚

幻覚は、実在しないものが見えたり聞こえたりする症状です。レビー小体型認知症で多くみられますが、そのほかの認知症でも薬物や水分不足、睡眠不足などにより引き起こされることがあります。

「床に落ちたゴミが虫に見える」のようなほかのものとの見違えから、「自分の部屋に知らない人がいる」など実際にはありえないものがはっきりと見える「幻視」まで、症状は人により異なります。

認知症の方でも入居可能な施設を探す

北海道・東北

北海道札幌市)|青森県岩手県宮城県仙台市)|秋田県山形県福島県

関東

東京都神奈川県横浜市 / 川崎市 / 相模原市)|埼玉県さいたま市)|千葉県千葉市)|茨城県栃木県群馬県

甲信越・北陸

新潟県新潟市)|富山県石川県福井県長野県山梨県

東海

愛知県名古屋市)|岐阜県三重県静岡県静岡市 / 浜松市

関西

大阪府大阪市 / 堺市)|京都府京都市)|兵庫県神戸市)|滋賀県奈良県和歌山県

中国・四国

岡山県岡山市)|広島県広島市)|鳥取県島根県山口県徳島県香川県愛媛県高知県

九州・沖縄

福岡県福岡市 / 北九州市)|熊本県熊本市)|佐賀県長崎県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

認知症のサイン

認知症の初期症状には、物忘れをきっかけとしてあらわれることがある

認知症の初期症状は、認知症の種類によっても異なりますが、「もの忘れ」がきっかけとなり気づくことが多いようです。

また、時間や場所がわからなくなる見当識障害や理解力・判断力の低下も、比較的初期からはじまります。これにより、これまでできていたことができなくなくなったり、精神的に混乱するなどのさまざまな兆候が現れます。

ここからは、認知症のサインとなる症状を紹介します。

もの忘れ

  • 少し前の出来事をすぐに忘れてしまう
  • 同じことを何度も聞いたり話したりする
  • 置き忘れやしまい忘れが増え、いつも何かを探している
  • 約束をすっぽかしたり、約束をしたこと自体を忘れてしまう
  • 人やものの名前が出てこなくなり、「あれ」や「それ」で指すことが増える
  • 同じものを何度も買ってきてしまう

時間や場所がわからない

  • 今日の日付が言えなくなったり、今の季節がわからなくなる
  • 普段から通っている道でも迷ってしまう
  • 過去の出来事がどれくらい前のことなのかわからなくなる

理解力・判断力の低下

  • 役所の手続きやATMでのお金の出し入れができなくなる
  • テレビドラマの筋が途中でわからなくなる
  • 運転ミスが増えたり、事故を起こす

仕事や趣味、身の回りのことができない

  • 仕事や趣味の段取りが悪くなったり、時間がかかるようになる
  • 料理の手順がわからなくなったり、味付けを間違える
  • 季節に合わせた服装を選べなくなる
  • 家電の使い方がわからなくなる
  • 入浴の仕方や服を着る順番がわからなくなる
  • トイレが間に合わないことが多くなる

精神的混乱や落ち込み

  • 一人になるのを不安がったり、怖がったりする
  • 趣味などの好きなことにも興味が持てなくなり、ふさぎこんだり、何をするにもおっくうがる
  • イライラしたり怒りっぽくなる
  • 存在しない人やものを見えると言う
  • 自分のものを盗まれたと疑う
  • 目的があって出かけても、途中で目的がわからなくなり混乱する

もの忘れと認知症の違い

年をとると誰でも記憶力が低下します。加齢によるもの忘れと認知症は混同されやすいのですが、まったく別のものです。

もの忘れの場合は、自分がなにかを忘れてしまったという自覚はありますが、認知症の場合は自覚そのものがありません。自分がしたこと自体を忘れてしまうのが認知症です。

もの忘れと認知症の具体的な違いは下記の通りです。

加齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ
体験した記憶一部を忘れるすべてを忘れている
学習能力維持されている新しいことを覚えられない
もの忘れの自覚あるなくなる
時間や場所見当がつく見当がつかない
探し物に対して(自分で)
努力して見つけられる
いつも探し物をしている
誰かが盗ったなどと他人のせいに
することがある
症状の進行極めて徐々に進行進行する

認知症は予防と早期発見が大切

認知症の予防としての食生活

認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。

認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。

また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。

あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。

認知症の早期発見

認知症には早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。

他の病気と同様に、放置しておくことは非常にリスクがあります。早い段階からさまざまな治療をうけておくことで、たとえ認知症でも、症状を抑えて生活することも可能です。

認知症の症状に関するよくある質問

認知症の症状にはどんなものがありますか?

認知症の症状は、脳の障害により直接引き起こされる「中核症状」と中核症状に環境や人間関係、性格などが関係して発生する「周辺症状」があります。

中核症状は主に「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」「失行」「失語」「失認」「理解・判断力の低下」などが挙げられます。

また周辺症状は主に「暴力・暴言」「介護拒否・服薬拒否」「徘徊」「妄想」「無気力・抑うつ・不安」「幻覚」などが挙げられます。中核症状、周辺症状に該当する行動があった場合は、早めに病院を受診しましょう。

認知症ともの忘れの違いは何ですか?

もの忘れの場合は、自分が何かを忘れてしまったという自覚はあります。

しかし、認知症の場合は自覚そのものがなく、自分がしたこと自体を忘れてしまいます。症状が進行すると物事の計画が立てられなくなったり、時間や場所などもわからなくなるといった症状が出ます。不安な場合は早めに病院を受診しましょう。

認知症の進行スピードはどのぐらいですか?

認知症の進行スピードは人それぞれです。症状は比較的緩やかに8年~10年程かけて徐々に進行していきます。

初期症状として、あったことそのものを忘れてしまう記憶障害などが見られ始め、症状が悪化すると物事を順序立てて考えられなくなる実行機能障害や、時間や場所がわからなくなる見当識障害などの症状も現れます。

地域から老人ホーム・介護施設を探す

北海道・東北

北海道札幌市)|青森県岩手県宮城県仙台市)|秋田県山形県福島県

関東

東京都神奈川県横浜市 / 川崎市 / 相模原市)|埼玉県さいたま市)|千葉県千葉市)|茨城県栃木県群馬県

甲信越・北陸

新潟県新潟市)|富山県石川県福井県長野県山梨県

東海

愛知県名古屋市)|岐阜県三重県静岡県静岡市 / 浜松市

関西

大阪府大阪市 / 堺市)|京都府京都市)|兵庫県神戸市)|滋賀県奈良県和歌山県

中国・四国

岡山県岡山市)|広島県広島市)|鳥取県島根県山口県徳島県香川県愛媛県高知県

九州・沖縄

福岡県福岡市 / 北九州市)|熊本県熊本市)|佐賀県長崎県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

article-image

グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト