訪問入浴の選び方│押さえておきたい3つのポイントと注意点

訪問入浴の選び方│押さえておきたい3つのポイントと注意点

公開日 2022/01/28

訪問入浴は要介護度が高い人向けの介護サービスです。訪問入浴を利用することで、家族の負担も軽くなり、要介護者も清潔に自宅で過ごすことができます。

この記事では、訪問入浴の事業所を選ぶときのポイントや注意点について説明していきます。

訪問入浴を選ぶ際のポイント

利用者の自宅に訪問入浴に来るスタッフは看護師1名、介護スタッフ2名の3名体制です。看護師による血圧、脈拍、体温チェック後に問題がなければ入浴介助が始まり、洗髪や洗身含め時間は7~10分程度

リクエストに応じて、入浴後の着替えや保湿クリームの塗布や爪切りもおこないます。

訪問入浴を選ぶ時の3つのポイントは以下の通り。

  1. キャンセル料がかかるのか
  2. 衛生管理が徹底されているか
  3. 緊急時の対応はどうなっているか

どのポイントも基本的なことですが、利用する際は意識した方が良い内容です。それでは詳しく見ていきましょう。

キャンセル料がかかるのか

利用者の体調不良などにより当日キャンセルすることもあるでしょう。この場合、キャンセル料がかからないことも多いですが、キャンセルポリシーについて事前に確認しましょう。

衛生管理が徹底されているか

衛生管理や感染症対策がしっかりしている事業所を選びましょう。

感染症対策は、新型コロナウィルスに限らずC型肝炎や乾癬なども含まれます。スタッフのうがい、手洗い、消毒はもちろん、入浴の水に電解水を使う、浴槽、備品などをしっかり洗浄、消毒しているかどうか確認しましょう。

緊急時の対応はどうなっているか

緊急時、速やかに対応してくれる事業所は信頼度が高いと言えます。入浴中に利用者が急変した場合、看護師やスタッフが救急車を要請したり、主治医や医療機関への連絡体制が整っている事業所を選ぶと良いでしょう。

訪問入浴選びの例

訪問入浴選びの具体的な例を2例紹介します。

寝たきり状態の場合

寝たきり状態の人が訪問入浴を利用する場合、時間に余裕を持ってくれる事業所を探すと良い

寝たきりの人は拘縮(こうしゅく)、つまり手足や関節が縮こまり固まっていることが多いため、スタッフが慌ただしく介助すると洗い残しや流し忘れが起きてしまうことがあります。

そのような事態にならないために、寝たきり状態の人が訪問入浴を利用する際は、余裕を持ったスケジュールを組んでくれて、きめ細かな世話をしてくれる事業所を選びましょう。

念のため、利用予約時に、その日の作業が詰まっていないか事業所側に確認することも大切です。

医療的ケアが必要な場合

医療的ケアが必要な人は、緊急時に速やかな対応をしてくれる訪問看護も併設されている事業所を選ぶと良いでしょう。

また、訪問入浴の看護師は原則として医療行為をおこなうことができません。サービス内容としては、バイタルチェックや湿布の張替え、軟膏の塗布などになり、痰吸引などは訪問看護でおこなうことになるので注意しましょう

訪問入浴を選ぶ際の注意点

それでは、訪問入浴を選ぶ際の注意点を具体的に説明していきます。

  • ストレスに感じる利用者もいる
  • 訪問介護よりも高額になる
  • 利用者の入浴拒否
  • 看護師は医療行為をおこなえない

ストレスに感じる利用者もいる

入浴することにストレスを感じる利用者も多い

入浴をするということは裸になるということなので、利用者にとってはストレスになってしまうこともあります。

入浴は心地の良いものでも、スタッフに裸を見られることが苦痛になってしまう利用者もいるので、きちんとした配慮が必要になります。

気分良くサービスを利用できるようにしっかりと利用者とコミュニケーションを取り、同性のスタッフに対応をしてもらうなどの方法も検討しておくようにしましょう。

訪問介護よりも高額になる

訪問入浴介護は、利用回数も増やすことができないためやや柔軟性に欠けてしまいます。

また費用についても訪問介護での入浴介助よりも訪問入浴のほうが高くなっており、実際に、訪問介護サービス内の入浴介助を60分利用した場合の利用料金は、自己負担割合が1割の場合で約600円。

対して50分程度の利用となる訪問入浴の利用料金は、自己負担割合が1割でも1,260円となっています。

このようなデメリットがあることはしっかりと理解した上で、さまざまなサービスと比較検討をして利用をするようにしましょう。

利用者の入浴拒否

利用者の羞恥心や認知症の症状が原因で、サービスを受ける直前になって入浴を拒否してしまうケースがあります。

そういったことから、同性のスタッフを希望するのもOK。事前に利用者としっかりとコミュニケーションを取り、希望を伝えておきましょう。

また、利用をする上でスタッフとの相性は良いかどうかという点もしっかりと確認し、利用者にとって心地良くサービスが受けられる環境作りをしていくことが大切です。

看護師は医療行為をおこなえない

訪問入浴サービスでは看護師が同伴するので、医療行為をしてもらえると思う人もいるかもしれませんが、訪問入浴は看護師であっても「痰の吸引」「摘便」といった訪問入浴のサービス内容とは異なる医療行為は受けられません。

どの事業所でも看護師がおこなうことは、バイタルチェックや湿布の張り替えといった利用者の健康状態の確認が中心になりますので注意しましょう。

「自宅の浴槽での入浴を介助する」は訪問介護

訪問介護サービス内の入浴介助と、訪問入浴サービスの入浴介助では何が違うのでしょうか。

簡単にまとめると、訪問介護では介護スタッフ1名が自宅の浴槽を使用して入浴介助や見守りをおこなう一方、訪問入浴では専門の浴槽で、看護師を含む介護スタッフ2〜3名で入浴介助や見守りをおこないます。

訪問介護の他にも入浴をサポートするサービスとして、デイサービスデイケアの施設を利用して入浴するケースもあるので、どのサービスが適切なのかをしっかり比較検討し利用しましょう。

訪問入浴を利用するタイミング

訪問入浴サービスの利用者は、要介護度が高い(要介護度4〜5)人が多い傾向にあります。デイサービスで入浴するのも困難になったり、自宅での浴槽の出入りが出来ない人や病気などで寝たきりの人が当てはまります。

そのため、そのような状態に近づいてきたタイミングで訪問入浴の利用を検討し始めましょう。

ケアマネジャーのおすすめを利用すべき?

訪問入浴を利用する際はケアマネのおすすめだけでなく、インターネットの口コミなども参考にする

必ずしも、担当のケアマネジャーから勧められた事業所を選ぶ必要はありません。利用者や家族が納得できる事業所をじっくり選ぶと良いでしょう。

また、ケアマネジャー以外に周辺地域の人やサービスを利用している友人などに聞いたり、インターネットの口コミなども参考にしましょう。

訪問入浴の選び方に関するよくある質問

訪問入浴を選ぶときのポイントは何ですか?

「キャンセル料がかかるのか」「衛生管理が徹底されているか」「緊急時の対応はどうなっているか」などが挙げられます。

特に、衛生管理については感染症対策がしっかりしている事業所を選びましょう。感染症対策は流行中の新型コロナウィルスに限らず、肝炎や乾癬なども含まれます。

訪問入浴は不特定多数の人が入浴をおこなうので、消毒などはもちろんのこと、入浴に使用する水についても確認しましょう。

訪問入浴で医療行為は可能ですか?

訪問入浴は看護師であっても「痰の吸引」「摘便」といった訪問入浴のサービス内容と異なる医療行為は受けられません。訪問入浴サービスの看護師は基本的に、バイタルチェックや湿布の張替え、軟膏の塗布などを主な業務としています。

訪問入浴の所要時間はどのぐらいですか?

訪問入浴の所要時間は、準備から片付けまでのトータルで50分前後の事業所が多いです。入浴前の健康チェックから脱衣までが15~20分、入浴は10分程度、入浴後の健康チェックから着衣までが15~20分の時間配分が大まかな所要時間です。

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?介護付き・住宅型・健康型の特徴や費用感を解説

https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

article-image

【動画でわかる!】グループホームの費用はいくらかかる?月額利用料の内訳や初期費用を徹底解説!

認知症の方の入居先を探す際、選択肢に挙がるのが認知症の高齢者が共同生活を営む小規模介護施設「グループホーム」です。 この記事では、グループホームの入居一時金や月額利用料を詳しく解説。グループホームで使える助成制度についてもご紹介しています。 https://youtu.be/5Bec4lhyW4M グループホームにかかる費用の相場 グループホームの費用には、入居時に必要な「初期費用」と毎月発生する「月額利用料」があります。民間、社会福祉法人、医療法人、NPO法人とさまざまな団体がグループホームを運営していることから、施設ごとの費用やサービスには差があります。 初期費用は0円の施設から100万円程度の施設まであり、平均すると10~20万円程度。月額利用料は施設の立地やサービス内容によっても異なり、おおむね15~30万円程度です。 一般的な有料老人ホームに比べると、初期費用・月額利用料ともに費用を抑えて入居することが可能です。 項目 ...

2021/11/15

article-image

グループホームに必要な人員基準|注意点と他施設との比較

「グループホームの職員はどれくらい配置されてるの?」「夜間に人が少ないと徘徊などに対応できないのでは?」などとグループホームの人員基準に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、グループホームの人員基準と注意点、他施設との比較に関して解説しています。 「グループホームの入居を検討しているけど、どんな人からサポートを受けられるの?」などと悩まれている方は、是非、参考にしてみてください。 グループホームは主に4つの人員基準で成り立っている グループホームの人員基準は主に次の4つの職種で設定されています。 介護職員 計画作成担当者 管理者 代表者 それぞれの人員基準について詳しく見ていきましょう。 介護職員の人員基準 介護職員は入居者の生活援助や身体介助などの業務を担っており、入居者3人に対して1人以上配置されます。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 入居者の見守りは深夜も必要なため、介護職員は24時間体制で常駐しています。また、複数のユニットがあるグループホームは、ユニットごとに専任の介護職員が配置されます。 計画作成担当者の人員基準 計画作成担当者は入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成する職員で、ユニットごとに1人以上配置されます。なお、1つの事業所に2ユニットある場合は計画作成担当者も2人必要です。 計画作成担当者になるには次の要件を満たす必要があります。 実務者研修基礎課程または認知症介護実践者研修を修了していること 専らその職務に従事する者であること また、計画作成担当者のうち最低1人は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格の保有が必要です。 管理者の人員基準 管理者とは経営や人事・労務管理など管理業務を担う職員で、ユニットごとに常勤の管理者が配置されます。自らも介護サービスの実施や他の職員の指導をおこなうため、介護の知識や経験も必要です。 管理者になるには次の要件が求められます。 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで3年以上従事した経験があること 厚生労働省が規定する管理者研修を修了していること 特定の介護施設における3年以上の実務経験に加え、認知症高齢者介護の経験も必要です。さらに厚生労働省の管理者研修を受けて、ようやく管理者になるための基準を満たせます。 なお、管理業務に支障をきたさなければ、ほかの職種との兼任も可能です。 代表者の人員基準 管理者の管理対象がユニット単位なのに対し、代表者はグループホーム全体を管理します。代表者になるには、次の要件を満たす必要があります。 介護施設で認知症高齢者介護に従事した経験を持つこと、もしくは保険・医療・福祉サービスの提供をおこなう事業所の経営に携わった経験があること 厚生労働省が定める認知症対応型サービス事業開設者研修を修了していること グループホームの人員基準の注意点 グループホームの人員基準を職種ごとに説明してきましたが、注意する点もあります。しっかり把握したうえで入居施設を選びましょう。 介護職員が常勤ではない場合がある 介護職員の人員基準は入居者3人に対して1人以上のため、1ユニットあたり最低でも2~3人が配置されます。全員が常勤である必要はなく、1人以上の常勤職員がいればパートやアルバイトなどの臨時職員も起用できます。このため、特に食事や入浴など人手が多く必要な時間帯では、非常勤職員が担当となる場合も多いです。 規定の人数が必ず24時間確保されているわけではない グループホームの人員基準は入居者3人に対して介護職員1人と決められています。しかし、適用されるのは日中のみで、24時間この人数が常駐するわけではありません。 人員基準は時間帯によって異なり、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。このように、時間帯によっては介護職員が手薄になる場合もあると把握しておきましょう。 規定の3:1を超えない場合もある 入居者3人に対して介護職員1人という比率は、実際に介護現場で働いている職員数ではなく労働時間をもとに計算します。つまり、人手が多く必要な時間帯を手厚くした分、それ以外の時間帯の職員数を抑えることも可能です。このように実際に働く職員数は人員基準をもとに調節されるため、時間帯によっては既定の「3:1」を超えないこともあります。 グループホームによってサービスの質や人員は大きく変わる グループホームの人員の最低基準は厚生労働省によって決められていますが、実際にどのくらい配置するかは施設の裁量に任せられています。このため、基準をギリギリクリアする施設もあれば、基準を上回る人員を確保している施設もあります。 人員が豊富なグループホームは職員一人ひとりにかかる負担が抑えられるため、サービスの質が向上します。逆に人員が少ないと、時間帯によってはサービスが行き届かなくなることも。人員配置によってサービスの質や量は変わるため、入居前に確認することが大切です。 グループホーム以外の介護施設の人員基準 グループホームだけでなく、ほかの介護施設の人員基準も知っておきましょう。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、特別養護老人ホームの人員基準を紹介します。 介護付き有料老人ホームの人員基準 介護付き有料老人ホームは、主に介護を必要とする高齢者が介護や生活支援を受けながら生活する施設です。 介護付き有料老人ホームの人員配置の最低基準は、要支援2以上の入居者3名に対して介護職員または看護職員を1名配置する「3:1」と決められています。施設によっては「2.5:1」「2:1」「1.5:1」などさらに手厚い配置にしている場合もあり、サービスが向上する分上乗せ介護費用が発生することもあります。 その他の主な人員は下記の通りです。 施設長(常勤の管理者) 事務員 生活相談員 看護職員 機能訓練指導員 計画作成担当者 栄養士 調理員 住宅型有料老人ホームの人員基準 住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯、清掃といった生活支援サービスを受けられる高齢者施設です。 管理者を1人配置する必要がありますが、そのほかの職種の配置義務はありません。このため、下記の職種の配置は施設ごとに必要に応じて決められます。 介護職員 看護職員 生活相談員 機能訓練指導員 サービス付き高齢者向け住宅の人員基準 サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化された高齢者向けの賃貸住宅です。一般型と介護型があり、一般型は介護施設のような人員基準は特にありません。 一方、介護型は「特定施設」の認定を受けているため、入居者3人に対して介護職員1人以上の配置義務があります。 特別養護老人ホームの人員基準 特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上の高齢者が入居する施設で、介護だけでなく医療ケアにも対応しています。人員基準は入居者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置が定められています。 また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。 グループホームの人員基準に関するよくある質問 グループホームの職員の人員基準は? 入居者3人に対して介護職員を1人以上配置することが定められています。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 グループホームでは24時間規定の人員配置? 入居者3人に対して介護職員1人を配置するのは、日中にのみ適用されます。よって、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。 グループホームはどのような人員配置なの? グループホームの人員配置は、介護職員・計画作成担当者・管理者・代表者の4つの職種で成り立っています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "グループホームの職員の人員基準は?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/02/13

特集

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面など様々な方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト