介護難民とは?原因と対策、2025年問題も解説!

介護難民とは?原因と対策、2025年問題も解説!

公開日 2022/01/04

超高齢社会の日本では、介護を必要としている人に必要な介護サービスが行き届かないという状況はめずらしいことではありません。このような人たちは「介護難民」といわれ、現代日本の深刻な社会問題になっています。

この記事では介護難民の現状やそうならないための対策についてまとめています。将来自分が介護難民にならないためにもぜひ参考にしてください。

介護難民とは?

介護難民とは、介護が必要な高齢者や障害者が、家庭や病院、施設のどこにおいても適切な介護サービスを受けられない人のことを指し、高齢社会である日本が抱えている問題のひとつです。

あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、その数は年々増加。首都圏では2025年に約13万人が介護難民になると推測されています。

介護難民の数を減らすためには介護職を増加させる必要がありますが、仕事内容の面でも給与の面でも厳しい現状があり、人手不足が続いています。

介護難民の現状

介護難民の現状についてさらに詳しく紹介していきます。

2025年問題

介護難民が増え続けている要因は日本の超高齢社会にあります。そして、さらに拍車をかけるように2025年には団塊の世代にあたる約800万人が75歳以上の後期高齢者になるのです。

この超高齢社会を迎えることにより生じるさまざまな問題を2025年問題といい、介護難民もより一層増加していくことが予想されているのです。

年々、増加傾向にある介護難民

高齢者の数が増え続けるのに比例して、介護難民も毎年、増加傾向にあります。

厚生労働省によると、2019年4月末時点で介護保険の第1号被保険者数は約3,528万人、要支援または要介護認定を受けている人の数は約659万人。介護を必要としている人がいかに多いかがわかります。

なかでも、比較的費用が安く、入居期間に定めのない特別養護老人ホームへの入居待機者は2019年には29万人を突破。この待機者の中には十分な介護サービスを受けられず将来の介護の見通しも立たない人もいるようです。

介護難民が増えている原因

介護難民がここまで増えている理由にはいくつかありますが、主だったものは以下の通りです。

  • 介護が必要な高齢者が増加している
  • 介護施設が不足している
  • 介護スタッフが不足している
  • 家庭での介護が難しくなってきている
  • 介護が必要な家庭に経済的な問題がある

介護が必要な高齢者が増加している

介護難民が増える理由のひとつに要介護者が増えていることが挙げられる

介護難民が増えている原因として、先ほどご紹介した2025年問題などの社会問題があります。団塊の世代が後期高齢者になるにつれ徐々に介護を必要する人の数も増加していくのです。

また、高齢者の数が増えれば要介護や要支援認定を受ける人の数も増加します。実際に要介護認定を受けている人の数は、2000年には218万人だったのに対し、2017年には622万人と約3倍にまで増えました。今後も介護を必要とする人が増えていくことが予想されます。

介護施設が不足している

介護を必要とする高齢者が増加すれば、当然、介護サービスや介護施設の需要は高まります。それに伴い介護施設も増加してきていますが、介護施設利用者率が高く、依然として介護施設は不足している状況にあります。

今後さらに高齢化が進み、施設利用者が増加するため、介護施設不足はより一層顕著になるだろうと言われています。

介護スタッフが不足している

介護施設の不足だけではなく、介護施設で働く人材が不足しています。その現状は、介護労働安定センターの調査によると、約60%の事業所が「従業員が不足している」という回答を寄せるほどです。

介護の仕事は想像よりも過酷な上に、給与面でもそれに応じた金額を支払うことが難しい場合が多くなっています。介護の現場で必要な人材を確保できないことが、介護難民問題にも大きな影響を与えています。

家庭での介護が難しくなってきている

介護難民の原因には家族形態の変化もあります。昔は親と子、孫の三世代で同じ家に暮らしている家庭が中心でした。

しかし、家庭の核家族化や、夫婦共働きが当たり前になりつつある社会状況などから、両親の介護をすることが難しくなっているのです。

介護が必要な家庭に経済的な問題がある

介護難民が増える理由のひとつに家計が苦しくなっていることが挙げられる

高齢になると一般的に収入は少なくなります。

仕事を退職して年金だけで生活をしている方の場合、経済的な面で受けられるサービスに限度があります。人によっては、介護サービスを受けたくても金銭的に難しかったり、費用の安い公的な介護施設を利用するしかない場合では長く入居待ちをしなければいけないケースもあります。

都心部での問題は深刻化 日本創生会議が2015年に公表した試算では、2025年には東京圏だけで介護難民が13万人発生するとされており、介護難民問題はさらに深刻化していくことが予想されます。

なぜ東京圏での難民が増えるのかというと、高度経済成長期に職を求めて東京へ移住してきた人たちが高齢世代となり高齢人口が急増しつつあるという背景があります。

介護難民にならないための対策

ここからは、「将来、介護難民にならないために今できること」にポイントを絞ってみます。主な対策を挙げてみましょう。

  • 介護資金を貯めておく
  • 家族のサポートを確保しておく
  • 健康に気を使い日々予防する
  • 生活の拠点を地方に移す
  • 国からのサポートを受ける
  • 介護に関する情報を収集しておく

介護資金を貯めておく

介護難民にならないための対策には、介護資金を貯めておくという方法が挙げられる

介護難民になってしまうひとつの原因として金銭の問題が挙げられます。

介護に利用できる資金が少ないと、選択肢となる介護サービスや施設も限られてきます。また、安価なサービスに頼ろうとしても求める人が多くて利用できないのが現実です。

介護サービスや介護施設を利用するにはある程度の費用がかかることを理解し、将来に向けて介護資金はしっかりと貯めておくようにしましょう。

早めに準備をしておくことで、特別養護老人ホームのような費用の安い公的施設だけではなく、費用はかかりますが、サービスが豊富な民間施設も利用検討できるようになります。

家族のサポートを確保しておく

将来のためにしっかりと費用を貯めておくことも大切ですが、介護が必要な人が自宅で過ごせるよう、家族内で介護ができるような環境を整えておくことも大切です。

例えばデイサービス訪問介護を利用しながら、家族でサポートをしながら生活を送れるような環境作りができれば入居施設がなくても安心です。

とはいえ、在宅介護は想像よりも負担がかかるのも事実。サポートをする側の家族のうち、だれか一人に介護をまかせきりにするといった環境を生み出さないように介護を分担して行うなど工夫をするようにしましょう。

健康に気を使い、日々予防する

介護難民にならないための対策には、健康に気を使って要介護にならないために予防するという方法が挙げられる

いつまでも健康的に過ごすことができれば、必然的に介護を必要とすることもなくなります。そのためには、体を動かすことを意識したり、できる家事は率先して行ったりするなど。日常生活の中で身体機能維持につながることは積極的に取り入れると良いでしょう。

また、デイサービスやデイケアといった通所サービスを介護予防のために利用することもできます。

家に引きこもりがちになることで社会との繋がりが薄れ、認知症が進行してしまうこともあります。人との関わりを持ち続け、おしゃべりを通して新しい情報を獲得するなど脳細胞が活発に活動できるような時間を設けることも大切です。

生活の拠点を地方に移す

東京などの都市圏では、高齢人口が多いのはもちろんのこと介護施設を作る土地も十分ではありません。そのため、すぐに介護施設を拡充して、すべての高齢者に必要なサービスを提供することは難しいのが現状です。

一方で都心部から少し離れた地域でならば介護職員、介護施設ともに余裕があり、受けたい介護サービスの費用も安い場合があります。

そのため一刻も早く施設への入居などを検討している場合は東京から地方へ移住するのも有効な方法と言えるでしょう。

国からのサポートを受ける

介護難民という社会問題について、国もさまざまな対策を打ち出しています。その中でも「地方包括ケアシステム」という地域全体で高齢者をサポートし、自宅にいながら安心して介護支援を受けることができる環境づくりを目指す取組みがあります。

地域包括支援センターでは、高齢者についての課題を解決するためのサポートをしてくれます。まずは一度、相談に行ってみると良いでしょう。

介護に関する情報を収集しておく

介護難民にならないための対策には、将来に向けて情報を収集しておくという方法が挙げられる

介護が必要になってから、「どのようなサービスがあるか」「費用はいくらかかるのか」「利用するにはどうしたら良いのか」などと調べていると、サービスの利用開始が遅くなってしまいます。

そのため、健康であるうちから、住んでいる地域にはどういった介護施設があるのか、どのような介護サービスを提供している事業所があるのかといった情報を収集しておくようにしましょう。

公的施設などの入居待ちを回避する方法

費用が安く、多くの人が入居を希望する公的施設。入居待ちを回避する方法はあるのでしょうか。以下で説明します。

新しい施設への申し込み

スムーズに入居したいのであれば、これから新設される施設への入居を狙うのもおすすめです。

新設される施設には当然のことながら既存の入居者はいません。入居者を募集した段階で応募すれば、待機者の多い施設よりも審査が通りやすい状況にあります。

新規に開設される公的施設の情報は各市区町村のホームページや役所の担当窓口で尋ねることができます。

病院や介護サービスの利用

公的施設の中でも最も人気が高いのが特別養護老人ホームです。

特別養護老人ホームのほとんどは社会福祉法人や医療法人が運営しています。そのため同じ経営母体の病院や介護サービスを利用していると、その特別養護老人ホームに入りやすいという面もあります。

系列の病院や施設からその人の身体状況や家庭状況が共有されていると、入居審査において酌量されるといったことも期待できます。

一刻も早い入居を希望しているのであれば、そのように現状を伝えてもらえるような手段を作るというのもひとつの方法です。

民間施設の入居も検討する

特別養護老人ホームのような費用の安い公的施設は入居待ちの方が多くいるため、利用できるまでに時間が長くかかってしまうのが現状です。一方で、民間施設であれば入居待ちをすることはほとんどなく、必要な介護サービスを受けることができます。

公的施設と比べると費用が高いと言われる民間施設ですが、現在では公的施設と同じくらいの費用感で質の高い介護サービスを提供している施設もあります。民間施設は高いと思い込まずに、まずは資料などを集めてみるのも良いでしょう。

無料 介護施設・老人ホーム入居のサービス
介護施設・老人ホーム探しなら
私たち「いい介護相談室」にお任せください!
介護施設・老人ホーム入居の
サービス
介護施設・老人ホーム探しなら
私たち「いい介護相談室」にお任せください!

介護難民に対する今後の国の動き

適切な介護サービスや介護施設を利用することができない人がいるという介護難民問題について、国は以下のような対策を進めています。

介護施設や介護職員増加のサポート

介護職員が不足しているという現状を踏まえ、介護未経験者に対する入門研修を創設しています。研修が終了したあとには実際に働く施設を探す施設までを紹介したり、介護について理解を深めるための体験型イベントを実施したりしています。

また、介護職員の労働環境改善対策として介護職員処遇改善加算が創設され、給与への反映が期待されています。

介護ロボットや外国人介護職員を導入

国は介護業界の人手不足を受け、平成29年9月より介護福祉士の資格を在留資格とし、就労ビザとして正式に認定しました。それにあわせて介護福祉士の資格取得を目指す外国人労働者の支援や、実際に外国人が施設で働くことができるような環境を作るための支援も行われています。

また近年では介護ロボットの導入も積極的に進めており、専用ロボットの開発に力を注いでいます。

介護ロボットの現状

介護ロボットは移乗支援や移動支援、排せつ支援、見守り、入浴支援などの対応が可能です。慢性的な人手不足や介護に対する身体的・精神的負担の軽減に役立つことに加え、要介護者の心のケアができるロボットも登場。ロボットは介護現場において、今最も注目を浴びている存在と言えます。

しかしながら日本でも多くの介護ロボットが開発、発売されているものの、介護施設への普及スピードが遅く、あまり多く利用されていないのが現状です。今後は介護ロボットをどのように現場に普及させて活用していくかが課題になっています。

都心部の介護難民の地方移住サポート

介護難民が多い都心部では高齢者が希望する地域への移住サポートや、移住した地域で自立した生活ができるよう財政面、人材面で支援する制度作りに取り組んでいます。

中には魅力的な特典や手厚いサポートを用意して都会からの移住者を積極的に受け入れている自治体もあるようです。こうした体制を整え、都市部からの移住を受け入れることを通して、その地域の活性化を図っています。

介護難民問題は今後の動きがカギ

現在の日本において介護難民の問題は決して人ごとではありません。今後さらに高齢化が進み介護難民が増えていくことを考えると、政府や自治体だけではなくひとりひとりが将来についてきちんと考え、向き合っていかなくてはいけない問題だと言えます。

自分が介護難民にならないためにはどういった行動を取っておくべきなのか、知っておかなくてはいけないことは何があるのか。ぜひ今回の記事を参考に介護難民を身近な問題だと捉え、今できることについて考えてみてください。

介護難民に関するよくある質問

介護難民の現状はどうなっていますか?

現状は依然として増加傾向にあると言えるでしょう。首都圏では2025年に介護難民が約13万人と予想されており社会問題として深刻化しています。

また、2025年には団塊の世代にあたる約800万人が75歳以上の後期高齢者になるのに対し、介護施設の不足や人員不足が未だ解決できずにいるのが現状です。

どのぐらい介護スタッフが不足していますか?

介護労働安定センターの調査によると、約60%の事業所が介護スタッフが不足しているという回答をしています。

介護の仕事は業務が過酷なのにも関わらず、それに見合った給与が支払われていないのが現状です。介護スタッフが不足していることは介護難民問題にも大きな影響を与えているので、国が何らかの施策を打ち出し、早急に人材確保をすることが求められます。

特別養護老人ホームの入居待ちを回避する方法はありますか?

「新設される施設への入居を狙う」「民間施設の入居も検討する」といったことが挙げられます。

公的施設に入居待ちしている人は、民間施設も同時に検討しているケースが多いです。民間施設の中には、公的施設と同等の費用で介護サービスを提供している施設も増えてきており、公的施設の入居まで民間施設で生活していくという手段も珍しくはありません。

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?介護付き・住宅型・健康型の特徴や費用感を解説

https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

article-image

【動画でわかる!】グループホームの費用はいくらかかる?月額利用料の内訳や初期費用を徹底解説!

認知症の方の入居先を探す際、選択肢に挙がるのが認知症の高齢者が共同生活を営む小規模介護施設「グループホーム」です。 この記事では、グループホームの入居一時金や月額利用料を詳しく解説。グループホームで使える助成制度についてもご紹介しています。 https://youtu.be/5Bec4lhyW4M グループホームにかかる費用の相場 グループホームの費用には、入居時に必要な「初期費用」と毎月発生する「月額利用料」があります。民間、社会福祉法人、医療法人、NPO法人とさまざまな団体がグループホームを運営していることから、施設ごとの費用やサービスには差があります。 初期費用は0円の施設から100万円程度の施設まであり、平均すると10~20万円程度。月額利用料は施設の立地やサービス内容によっても異なり、おおむね15~30万円程度です。 一般的な有料老人ホームに比べると、初期費用・月額利用料ともに費用を抑えて入居することが可能です。 項目 ...

2021/11/15

article-image

グループホームに必要な人員基準|注意点と他施設との比較

「グループホームの職員はどれくらい配置されてるの?」「夜間に人が少ないと徘徊などに対応できないのでは?」などとグループホームの人員基準に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、グループホームの人員基準と注意点、他施設との比較に関して解説しています。 「グループホームの入居を検討しているけど、どんな人からサポートを受けられるの?」などと悩まれている方は、是非、参考にしてみてください。 グループホームは主に4つの人員基準で成り立っている グループホームの人員基準は主に次の4つの職種で設定されています。 介護職員 計画作成担当者 管理者 代表者 それぞれの人員基準について詳しく見ていきましょう。 介護職員の人員基準 介護職員は入居者の生活援助や身体介助などの業務を担っており、入居者3人に対して1人以上配置されます。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 入居者の見守りは深夜も必要なため、介護職員は24時間体制で常駐しています。また、複数のユニットがあるグループホームは、ユニットごとに専任の介護職員が配置されます。 計画作成担当者の人員基準 計画作成担当者は入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成する職員で、ユニットごとに1人以上配置されます。なお、1つの事業所に2ユニットある場合は計画作成担当者も2人必要です。 計画作成担当者になるには次の要件を満たす必要があります。 実務者研修基礎課程または認知症介護実践者研修を修了していること 専らその職務に従事する者であること また、計画作成担当者のうち最低1人は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格の保有が必要です。 管理者の人員基準 管理者とは経営や人事・労務管理など管理業務を担う職員で、ユニットごとに常勤の管理者が配置されます。自らも介護サービスの実施や他の職員の指導をおこなうため、介護の知識や経験も必要です。 管理者になるには次の要件が求められます。 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで3年以上従事した経験があること 厚生労働省が規定する管理者研修を修了していること 特定の介護施設における3年以上の実務経験に加え、認知症高齢者介護の経験も必要です。さらに厚生労働省の管理者研修を受けて、ようやく管理者になるための基準を満たせます。 なお、管理業務に支障をきたさなければ、ほかの職種との兼任も可能です。 代表者の人員基準 管理者の管理対象がユニット単位なのに対し、代表者はグループホーム全体を管理します。代表者になるには、次の要件を満たす必要があります。 介護施設で認知症高齢者介護に従事した経験を持つこと、もしくは保険・医療・福祉サービスの提供をおこなう事業所の経営に携わった経験があること 厚生労働省が定める認知症対応型サービス事業開設者研修を修了していること グループホームの人員基準の注意点 グループホームの人員基準を職種ごとに説明してきましたが、注意する点もあります。しっかり把握したうえで入居施設を選びましょう。 介護職員が常勤ではない場合がある 介護職員の人員基準は入居者3人に対して1人以上のため、1ユニットあたり最低でも2~3人が配置されます。全員が常勤である必要はなく、1人以上の常勤職員がいればパートやアルバイトなどの臨時職員も起用できます。このため、特に食事や入浴など人手が多く必要な時間帯では、非常勤職員が担当となる場合も多いです。 規定の人数が必ず24時間確保されているわけではない グループホームの人員基準は入居者3人に対して介護職員1人と決められています。しかし、適用されるのは日中のみで、24時間この人数が常駐するわけではありません。 人員基準は時間帯によって異なり、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。このように、時間帯によっては介護職員が手薄になる場合もあると把握しておきましょう。 規定の3:1を超えない場合もある 入居者3人に対して介護職員1人という比率は、実際に介護現場で働いている職員数ではなく労働時間をもとに計算します。つまり、人手が多く必要な時間帯を手厚くした分、それ以外の時間帯の職員数を抑えることも可能です。このように実際に働く職員数は人員基準をもとに調節されるため、時間帯によっては既定の「3:1」を超えないこともあります。 グループホームによってサービスの質や人員は大きく変わる グループホームの人員の最低基準は厚生労働省によって決められていますが、実際にどのくらい配置するかは施設の裁量に任せられています。このため、基準をギリギリクリアする施設もあれば、基準を上回る人員を確保している施設もあります。 人員が豊富なグループホームは職員一人ひとりにかかる負担が抑えられるため、サービスの質が向上します。逆に人員が少ないと、時間帯によってはサービスが行き届かなくなることも。人員配置によってサービスの質や量は変わるため、入居前に確認することが大切です。 グループホーム以外の介護施設の人員基準 グループホームだけでなく、ほかの介護施設の人員基準も知っておきましょう。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、特別養護老人ホームの人員基準を紹介します。 介護付き有料老人ホームの人員基準 介護付き有料老人ホームは、主に介護を必要とする高齢者が介護や生活支援を受けながら生活する施設です。 介護付き有料老人ホームの人員配置の最低基準は、要支援2以上の入居者3名に対して介護職員または看護職員を1名配置する「3:1」と決められています。施設によっては「2.5:1」「2:1」「1.5:1」などさらに手厚い配置にしている場合もあり、サービスが向上する分上乗せ介護費用が発生することもあります。 その他の主な人員は下記の通りです。 施設長(常勤の管理者) 事務員 生活相談員 看護職員 機能訓練指導員 計画作成担当者 栄養士 調理員 住宅型有料老人ホームの人員基準 住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯、清掃といった生活支援サービスを受けられる高齢者施設です。 管理者を1人配置する必要がありますが、そのほかの職種の配置義務はありません。このため、下記の職種の配置は施設ごとに必要に応じて決められます。 介護職員 看護職員 生活相談員 機能訓練指導員 サービス付き高齢者向け住宅の人員基準 サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化された高齢者向けの賃貸住宅です。一般型と介護型があり、一般型は介護施設のような人員基準は特にありません。 一方、介護型は「特定施設」の認定を受けているため、入居者3人に対して介護職員1人以上の配置義務があります。 特別養護老人ホームの人員基準 特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上の高齢者が入居する施設で、介護だけでなく医療ケアにも対応しています。人員基準は入居者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置が定められています。 また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。 グループホームの人員基準に関するよくある質問 グループホームの職員の人員基準は? 入居者3人に対して介護職員を1人以上配置することが定められています。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 グループホームでは24時間規定の人員配置? 入居者3人に対して介護職員1人を配置するのは、日中にのみ適用されます。よって、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。 グループホームはどのような人員配置なの? グループホームの人員配置は、介護職員・計画作成担当者・管理者・代表者の4つの職種で成り立っています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "グループホームの職員の人員基準は?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/02/13

特集

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面など様々な方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト