老人ホームでのお正月|新年会の目的や盛り上がる催し物を解説

老人ホームでのお正月|新年会の目的や盛り上がる催し物を解説

公開日 2021/12/23

老人ホームでも新しい1年の始まりにはさまざまな催し物やレクリエーションが開催されています。

今回は、老人ホームの新年会などで開催される催し物について、開催の目的や注意事項などを紹介します。

老人ホームでの新年会の目的

老人ホームで新年会イベントを行うと入居者に季節感を味わってもらえたり身体機能の維持・向上につながる

まず、老人ホームで新年会を開催する目的やメリットなどを紹介していきましょう。

季節感を味わってもらう

老人ホームで新年会を開催する目的のひとつに、入居者のみなさんに季節感を感じてもらうということがあります。どうしても単調になりがちな施設での毎日に、季節の変化を感じてもらうことで、入居者の生活をより豊かなものすることができます。

新しい年を迎えるお正月。楽しく明るく過ごすことによって、この一年を良い年にしようという気持ちを新たにすることができます。

身体機能の維持・向上

新年会で、普段使わない頭を使ったり、少しでも体を動かせるようなゲームやレクリエーションを開催することは、ただ楽しんでもらうだけでははなく、脳の活性化による認知症の予防や、筋力の低下の抑制という効果も期待できます。

例えば、お正月遊びの定番のカードゲームなどは、参加者が季節を感じながら、頭を使って楽しむことができるのでおすすめです。

コミュニケーションの促進

老人ホームでは、家族や住み慣れた街から離れ、日々の生活において孤独を感じている入居者も多くなります。そのような中で、ゲームや催し物にみんなで参加することは、生活を共にする人たちと自然に交流を深めることができる絶好の機会となります。

他人とのコミュニケーションを通じて、もう一度社会生活を思い出し、毎日の生活の中にも新たな生きがいを見つけることができるかもしれません。

ただ、高齢者の生活背景は人それぞれです。強引に他人との交流を進めるのではなく、無理のない範囲で個別に一人ひとりの人生話に耳を傾けるのも、お正月ならではの良いタイミングかもしれません。

おせち料理づくりの注意点

お正月をもっとも感じることができるものといえば、「おせち料理」。老人ホームでももちろん同じです。ここでは、高齢者向けのおせち料理を作る際の注意点をご説明いたします。

塩分やカロリーに気をつける

老人ホームには、糖尿病や心臓病などの食事制限が必要な持病などをもつ入居者も多いもの。おせち料理を提供するのは良いですが、塩分やカロリーへの配慮が大切です。

多めになりがちな塩分については、出汁をしっかりとることで、多少塩分が少なくても出汁の旨味で十分美味しくすることができます。

また、カロリー制限については、炭水化物や糖質を減らし野菜中心の料理を提供したり、1人分を取り分けることなどでカロリーをコントロールするようにしてください。

飲み込みやすく料理を工夫する

施設の入居者の中には、食べ物を嚙む力や飲み込む能力が弱くなってきてる人もいるでしょう。食材を小さめにカットして提供することは、食べ物を喉につまらせてしまうリスクの軽減できます。

おせち料理の定番の黒豆の煮付けや、野菜の煮物などは時間をかけて煮込むことでやわからかくなるので、しっかり煮込むことで噛む力が弱くなっている高齢の人にも安心して食べてもらえます。

喉に詰まりにくい代替餅料理を使用する

お正月の食べ物の定番といえばお餅ですが、高齢者のお餅による事故が毎年多く発生しています。老人ホームではそのような事故を防止するため、基本的にはお餅の提供は禁止されています。

ただ、やはりせっかくのお正月にお餅を楽しみたいという入居者のために、白玉や大根餅をお餅の代用として提供しているところが多いようです。

大根餅の作り方は、大根をすりおろし、ざるで水をきって水分を絞り、片栗粉とボウルに入れて混ぜた後に形を整えてフライパンで焼くだけ。お餅のように美味しく食べられるのでとても簡単です。

気をつけたい窒息事故や誤嚥 高齢になるとなぜ食べ物が喉につまりやすくなるのかというと、食べ物を口にいれたあとに喉を通り胃に到達するまでの過程となる嚥下機能が、高齢になったことにより衰えてしまい、食べ物が喉に詰まってしまうようになるためです。

特にお餅は、べたつきが強いため、嚥下機能が低下している高齢者には危険な食べ物になりやすく、提供の際には注意が必要になります。

新年会を楽しむための催し物

老人ホームでも、新たな1年の始まりを感じながら楽しめる催し物が開催されています。おすすめの催し物をいくつかご紹介をいたします。

お正月といえば「書初め」

1年の始まりの行事のなかで「書初め」は高齢の入居者にとっても馴染みも深いものです。各自が思い思いに年の初めにぴったりな言葉を選び、指先に集中しながら筆を使って文字を書くことは、脳の活性化にも繋がります。

展示会形式にしてお互いの作品の感想を言い合ったり、うまく書けた人を表彰するなどの機会を設けてもよいかもしれません。

また、どの作品作りでもそうですが、できるだけその人の個性が出るように、見本をたくさん準備しておくと良いでしょう。「なぜ、この言葉を選択したのですか?」そんな一言がきっかけで、高齢者の意外な一面に触れることができるかもしれません。

願いを込めて書こう「絵馬」

書初めと同様に、新年の願いや抱負を「絵馬」に書くということも日本ならではの行事です。なかなか神社やお寺に行けない高齢の人も、絵馬に思いを書くことで初詣気分を味わうことができます。

また、何を書くべきかを考えることで脳の活性化の機会にもなりますし、願いや抱負を書くことで、この1年を前向きに生きていこうという気持ちをもってもらえます。施設内にみんなが書いた絵馬を飾ったりすると、よりお正月の雰囲気を出すことができますよ。

新年初笑い「福笑い」

「福笑い」もお正月にみんなで楽しめるゲームです。目隠しをした人が、紙の顔の中にパーツを置いていき顔を完成させるシンプルなゲームですが、予想ができないおもしろい顔ができあがった時など、とても盛り上がります。

笑うことは気持ちを前向きにすることだけでなく、高齢者の身体にもさまざまな良い影響があるといわれています。みんなで盛り上がれる福笑いの開催はおすすめですよ。

白熱!「こま回し」

「こま回し」もお正月の定番の遊びです。高齢者の中には、子供の頃にこま回しで遊んでいた人も多く、かなり上手な人もいるのではないでしょうか。

こま回しは、こまを長く回すために指先や腕の動きに集中する必要があり、脳の活性化にも繋がります。誰が一番長く回せるか、大会形式にしてみてもより盛り上がるかもしれません。

みんな楽しみ「餅つき」

お正月に大いに盛り上がるイベントとしては、「餅つき」があります。みんなで大きな掛け声を出しながら餅つきを見るのは楽しいですし、ストレスの発散にもなります。

参加者の中で餅つきができそうな人には、実際にお餅をついてもらえば体を動かす良い機会にもなります。その際は、無理はせずにケガをしないようなサポートが必要です。

また、お餅は、すでに記載したように、提供の際には十分な注意が必要なので気をつけましょう。

気持ちの良い新年をスタートさせよう

老人ホームでのお正月の過ごし方についてご紹介いたしました。老人ホームの入居者の方々も普通に過ごしている人と同様に、新たな1年の始まりを味わいたいものです。それはさまざまな催し物を開催することで実現可能です。

紹介した催し物を通じて、季節を感じるだけでなく、普段使わない頭や体を使ってみたり、ともに生活している人たちと交流を深めることになります。

老人ホームでもお正月という行事を楽しむことで、今後の生活がより充実した楽しいものになるでしょう。

また、今の社会状況では、家族との面談に躊躇することもありますが、良い年をスタートさせるためにも、本人・家族との交流も一案と言えるでしょう。短時間の面談・会食・オンラインでの面会・お互いに手紙を書くなどを実施するのも良いでしょう。

老人ホームでの新年会に関するよくある質問

老人ホームでの新年会は何をしていますか?

老人ホームでも新年会らしい催し物が実施されています。主に「書初め」「絵馬」「福笑い」「こま回し」「餅つき」などが挙げられます。新年会らしい催し物をおこなうことで新たな1年の始まりを感じることができます。

老人ホームで新年会らしい料理などは出ますか?

老人ホームでも新年会らしい料理は出てきます。施設側では食事制限をしている人のために、塩分やカロリーに配慮をすることはもちろんのこと、噛む力が衰えている人に対しては食材を小さくカットして提供するなどしています。

また、お正月定番のお餅については窒息事故を防ぐため、比較的小さい白玉などを使用しお餅の代用としているところが多いです。

老人ホームで新年会をする目的は何ですか?

老人ホームで新年会をおこなう目的として「季節感を味わってもらう」ということが挙げられます。

老人ホームへ入居すると日々の生活が単調になりがちで季節感を感じる機会が少ないです。入居者に季節感を感じてもらうために、新年会を含め行事に関しては各施設さまざまな工夫をしています。

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

article-image

【動画でわかる!】グループホームの費用はいくらかかる?月額利用料の内訳や初期費用を徹底解説!

認知症の方の入居先を探す際、選択肢に挙がるのが認知症の高齢者が共同生活を営む小規模介護施設「グループホーム」です。 この記事では、グループホームの入居一時金や月額利用料を詳しく解説。グループホームで使える助成制度についてもご紹介しています。 https://youtu.be/5Bec4lhyW4M グループホームにかかる費用の相場 グループホームの費用には、入居時に必要な「初期費用」と毎月発生する「月額利用料」があります。民間、社会福祉法人、医療法人、NPO法人とさまざまな団体がグループホームを運営していることから、施設ごとの費用やサービスには差があります。 初期費用は0円の施設から100万円程度の施設まであり、平均すると10~20万円程度。月額利用料は施設の立地やサービス内容によっても異なり、おおむね15~30万円程度です。 一般的な有料老人ホームに比べると、初期費用・月額利用料ともに費用を抑えて入居することが可能です。 項目 ...

2021/11/15

article-image

グループホームに必要な人員基準|注意点と他施設との比較

「グループホームの職員はどれくらい配置されてるの?」「夜間に人が少ないと徘徊などに対応できないのでは?」などとグループホームの人員基準に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、グループホームの人員基準と注意点、他施設との比較に関して解説しています。 「グループホームの入居を検討しているけど、どんな人からサポートを受けられるの?」などと悩まれている方は、是非、参考にしてみてください。 グループホームは主に4つの人員基準で成り立っている グループホームの人員基準は主に次の4つの職種で設定されています。 介護職員 計画作成担当者 管理者 代表者 それぞれの人員基準について詳しく見ていきましょう。 介護職員の人員基準 介護職員は入居者の生活援助や身体介助などの業務を担っており、入居者3人に対して1人以上配置されます。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 入居者の見守りは深夜も必要なため、介護職員は24時間体制で常駐しています。また、複数のユニットがあるグループホームは、ユニットごとに専任の介護職員が配置されます。 計画作成担当者の人員基準 計画作成担当者は入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成する職員で、ユニットごとに1人以上配置されます。なお、1つの事業所に2ユニットある場合は計画作成担当者も2人必要です。 計画作成担当者になるには次の要件を満たす必要があります。 実務者研修基礎課程または認知症介護実践者研修を修了していること 専らその職務に従事する者であること また、計画作成担当者のうち最低1人は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格の保有が必要です。 管理者の人員基準 管理者とは経営や人事・労務管理など管理業務を担う職員で、ユニットごとに常勤の管理者が配置されます。自らも介護サービスの実施や他の職員の指導をおこなうため、介護の知識や経験も必要です。 管理者になるには次の要件が求められます。 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで3年以上従事した経験があること 厚生労働省が規定する管理者研修を修了していること 特定の介護施設における3年以上の実務経験に加え、認知症高齢者介護の経験も必要です。さらに厚生労働省の管理者研修を受けて、ようやく管理者になるための基準を満たせます。 なお、管理業務に支障をきたさなければ、ほかの職種との兼任も可能です。 代表者の人員基準 管理者の管理対象がユニット単位なのに対し、代表者はグループホーム全体を管理します。代表者になるには、次の要件を満たす必要があります。 介護施設で認知症高齢者介護に従事した経験を持つこと、もしくは保険・医療・福祉サービスの提供をおこなう事業所の経営に携わった経験があること 厚生労働省が定める認知症対応型サービス事業開設者研修を修了していること グループホームの人員基準の注意点 グループホームの人員基準を職種ごとに説明してきましたが、注意する点もあります。しっかり把握したうえで入居施設を選びましょう。 介護職員が常勤ではない場合がある 介護職員の人員基準は入居者3人に対して1人以上のため、1ユニットあたり最低でも2~3人が配置されます。全員が常勤である必要はなく、1人以上の常勤職員がいればパートやアルバイトなどの臨時職員も起用できます。このため、特に食事や入浴など人手が多く必要な時間帯では、非常勤職員が担当となる場合も多いです。 規定の人数が必ず24時間確保されているわけではない グループホームの人員基準は入居者3人に対して介護職員1人と決められています。しかし、適用されるのは日中のみで、24時間この人数が常駐するわけではありません。 人員基準は時間帯によって異なり、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。このように、時間帯によっては介護職員が手薄になる場合もあると把握しておきましょう。 規定の3:1を超えない場合もある 入居者3人に対して介護職員1人という比率は、実際に介護現場で働いている職員数ではなく労働時間をもとに計算します。つまり、人手が多く必要な時間帯を手厚くした分、それ以外の時間帯の職員数を抑えることも可能です。このように実際に働く職員数は人員基準をもとに調節されるため、時間帯によっては既定の「3:1」を超えないこともあります。 グループホームによってサービスの質や人員は大きく変わる グループホームの人員の最低基準は厚生労働省によって決められていますが、実際にどのくらい配置するかは施設の裁量に任せられています。このため、基準をギリギリクリアする施設もあれば、基準を上回る人員を確保している施設もあります。 人員が豊富なグループホームは職員一人ひとりにかかる負担が抑えられるため、サービスの質が向上します。逆に人員が少ないと、時間帯によってはサービスが行き届かなくなることも。人員配置によってサービスの質や量は変わるため、入居前に確認することが大切です。 グループホーム以外の介護施設の人員基準 グループホームだけでなく、ほかの介護施設の人員基準も知っておきましょう。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、特別養護老人ホームの人員基準を紹介します。 介護付き有料老人ホームの人員基準 介護付き有料老人ホームは、主に介護を必要とする高齢者が介護や生活支援を受けながら生活する施設です。 介護付き有料老人ホームの人員配置の最低基準は、要支援2以上の入居者3名に対して介護職員または看護職員を1名配置する「3:1」と決められています。施設によっては「2.5:1」「2:1」「1.5:1」などさらに手厚い配置にしている場合もあり、サービスが向上する分上乗せ介護費用が発生することもあります。 その他の主な人員は下記の通りです。 施設長(常勤の管理者) 事務員 生活相談員 看護職員 機能訓練指導員 計画作成担当者 栄養士 調理員 住宅型有料老人ホームの人員基準 住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯、清掃といった生活支援サービスを受けられる高齢者施設です。 管理者を1人配置する必要がありますが、そのほかの職種の配置義務はありません。このため、下記の職種の配置は施設ごとに必要に応じて決められます。 介護職員 看護職員 生活相談員 機能訓練指導員 サービス付き高齢者向け住宅の人員基準 サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化された高齢者向けの賃貸住宅です。一般型と介護型があり、一般型は介護施設のような人員基準は特にありません。 一方、介護型は「特定施設」の認定を受けているため、入居者3人に対して介護職員1人以上の配置義務があります。 特別養護老人ホームの人員基準 特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上の高齢者が入居する施設で、介護だけでなく医療ケアにも対応しています。人員基準は入居者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置が定められています。 また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。 グループホームの人員基準に関するよくある質問 グループホームの職員の人員基準は? 入居者3人に対して介護職員を1人以上配置することが定められています。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 グループホームでは24時間規定の人員配置? 入居者3人に対して介護職員1人を配置するのは、日中にのみ適用されます。よって、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。 グループホームはどのような人員配置なの? グループホームの人員配置は、介護職員・計画作成担当者・管理者・代表者の4つの職種で成り立っています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "グループホームの職員の人員基準は?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/02/13

特集

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面など様々な方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト