介護をすると相続で有利になる?|生前に考えたい6つの重要対策

介護をすると相続で有利になる?|生前に考えたい6つの重要対策

更新日 2024/04/09

親が亡くなり、相続遺産の分割に際して親族間でトラブルが発生してしまったというのはよく聞く話です。理由はさまざまありますが、その原因のひとつとして「親の介護」に関する問題があります。

今回は、相続開始後に親の介護が原因で揉めることのないように、生前にできることを紹介していきます。

介護をすると相続で有利に働く?

親の介護をしていたというだけでは相続を有利にすることはできない

「親の介護をしていたら、相続の遺産分割時に有利になるのか?」。結論から言うとそれだけで有利になることはほぼありません。

基本的に相続の遺産分割は、決められたルールに基づいておこないますが、親の介護の貢献度合いを数値化するのが難しいというのが理由のひとつです。

遺産を相続する家族を相続人と呼びますが、配偶者は常に相続人となり、子、父母、兄弟姉妹の順番で相続人となる優先順位が決まっています。遺言書がある場合には、優先順位にかかわらず、その内容が優先されます。

親の介護をした相続人が遺産を受け取るには

上述のとおり、基本的には親の介護をしたことにより、遺産分割において有利になることはありません。とはいえ、親の介護には大きな負担がかかっていることは間違いありません。

ここからは、親の介護をした場合に少しでも多く遺産を受け取れるようにするためのポイントを紹介します。

親が存命なら遺言書で指定

親が存命の場合なら、親に「介護をしてる人を指定して遺産を多く遺す」という内容を遺言書に記してもらうことにより、遺言書の内容が法定相続分より優先されるため、介護をしている人の遺産を増やすことができます。

ただし、遺留分といって、相続人が最低遺産を受け取れる割合が決まってますので、例えは、遺言書で「すべての遺産を介護をしてる人に遺す」と記されていてもすべてがその通りになるわけではありません。

親が死亡しているなら遺産分割協議で寄与分を主張

もしすでに親が死亡していて遺言書が遺されていない場合は、遺産分割の方法を相続人の間で協議する遺産分割協議という話し合いが必要になります。

介護をしていた人は、この場で自分の貢献度を主張し、他の相続人を納得させることができれば、それを寄与分として遺産を多く得ることができます。その際には、他の相続人に対して、しっかりと納得感のある行動や実績などの説明が必要になってきます。

寄与分とは 寄与分とは、例えば、子の中のひとりが親の介護をすることにより、親の財産の減少を防いだり、財産の増加に貢献した場合に、それを寄与分として他の相続人との公平性を保つために、法定相続分以上に遺産を取得することができる制度です。

ポイントとしては、単に介護に必要な精神面や身体的に関する援助をしたというだけではなく、被相続人の財産の増減への貢献という経済的な寄与が条件。寄与分の対象となるのは相続人のみです。

義理の親の介護をしていれば財産を相続できる?

義理の親を介護していたという理由で財産を相続することはできる

家族の状況によっては、義理の親の介護をするケースも多いと思います。そのような場合に、遺産を有利に相続できるかどうかを説明します。

従来は相続人以外の親族の金銭請求は不可だった

以前までは、例えば長男の嫁が長男の父の介護をしていて、その父が死亡した場合でも、長男の嫁は法定相続人ではないので、基本的には遺産分割で遺産を受け取れる対象ではなく、介護をしたことによる恩恵は受けることができませんでした。

法改正により金銭請求が可能に

しかしながら、上記のような状況における介護の貢献に対して、公平性を保てるよう「特別の寄与の制度」が2019年7月1日に新設されました。

この制度により、義理の親の介護をした人は、引き続き相続人ではなく遺産の分割を受けることはできませんが、相続人に対して、特別寄与の寄与分に応じて金銭の支払いを請求できるようになったのです。

従来は、相続人ではない人が介護をした場合でも、遺言書で記載されていなければその貢献が報われることがありませんでしたが、この制度で場合によっては一部解消されるようになりました。

寄与者が相続人に対し金銭請求する

特別の寄与分の金銭の請求は、直接相続人に申し出る必要があります。その金額については具体的な決まりはなく、本人と相続人とで、その貢献度や遺産総額などを鑑みて決定することとなります。

もし、寄与者と相続人で特別の寄与による金額について折り合いがつかない場合は、寄与者は家庭裁判所に審判を申し立てることができます。

注意点として、家庭裁判所への申請は、寄与者が被相続人の死亡及び相続人を知ってから6ヵ月以内、被相続人の死亡を知らなかった場合には死亡から1年以内におこなう必要があります。

親の介護をしない子供に相続させないことはできる?

親が死亡した場合に、親の面倒をほとんど見てなかった子への遺産を減らしたいというケースもあるでしょう。この場合も、その度合いをはかるのが難しいため、正確に遺産分割に反映させることは困難です。

方法としては、親が存命のうちに、そういう子への遺産を少なくすることを遺言書に記すことが考えられます。しかしながら、上述のとおり遺留分というルールがあるので、その子に遺産のすべてを遺さないということは難しいといえます。

親族間で揉めないための6つの生前対策

ここからは、相続開始時に親族間で揉めないようにするために、生前にしておける対策をいくつか紹介します。

  1. 遺言書を作成する
  2. 養子縁組をする
  3. 生前贈与をする
  4. 生命保険金の受取人に指定する
  5. 専門家に相談する
  6. 良好な親族関係を構築する

遺言書を作成する

相続開始後の揉め事を軽減するためのもっとも有効な手段は、遺言書をしっかりと遺すことです。遺言書は、被相続人の意向がしっかりと反映されるもっとも効力の高い相続方法になります。

特に相続人以外の人に遺産を残したい場合にも遺言書は有効になるので、介護をしている人は生前に親としっかり話し合いをして、遺言書を作っておいてもらうとよいでしょう。注意点として、遺言書に記されてなかったとしても遺留分は一定割合確保されます。

養子縁組をする

介護で貢献してくれたが相続人ではない人に相続をさせる方法として、その人と被相続人が養子縁組をすることで、その人を子と同じ扱いにすることができます。

養子縁組によって子になった場合の法定相続分は、実の子と同じになります。この場合、法定相続人が増えることにより、他の相続人が受け取る遺産が少なくなるので、それによって揉めないように事前に他の相続人にも周知しておくなど注意が必要です。

生前贈与をする

生前贈与により、介護に貢献した人に多く遺産を遺す方法も考えられます。生前贈与のメリットとしては、贈与する相手や時期や贈与するものを自由に選択できるという点にあります。

もちろん相続人以外にも贈与することができます。贈与には受け取った側に贈与税が課税されますが、年間総額で110万円の贈与までは、課税対象から外れます。

生命保険金の受取人に指定する

生命保険の死亡保険金の受取人として、介護に貢献した人を指定するという方法も有効です。保険金は受取人の固有財産になるため、相続人以外にも現金を遺すことができます。

ただし、相続遺産と比較してその保険金額が多すぎる場合、結果相続人で分割できる遺産が少なることになるため、場合によっては揉め事が発生する可能性もあるので注意が必要です。

専門家に相談する

相続時の遺産分割に関しては、複雑な制度やルールも多くなかなか自分だけでは解決できないことも多いです。その場合は、弁護士や司法書士、行政書士や税理士など、相続に詳しい専門家に相談してみるのも良い方法です。

多少の金額が発生しますが、相続に関して揉めそうな場合は、事前に、揉めてしまった場合でもその解決のために専門家に相談することで、スムーズに問題が解消されることも多いです。

良好な親族関係を構築する

遺産相続をスムーズに進めるために一番重要なのは、やはり親族間で良好な関係が築けているかどうかです。

日々コミュニケーション量をできる限り増やして、例えば、介護に貢献してくれた人にはしっかりと感謝の気持ちをもつなど、普段からお互いを信頼し尊重しあう関係性ができていれば、いざ相続が開始したとしても親族間で揉めることも少ないはずです。

大切な家族が亡くなったタイミング、そんな時にわだかまりが起きてしまったら亡くなった人もうかばれません。

トラブルになる前に専門家に相談を

ここまで、主に被相続人の介護をした人の相続について説明をしてきました。介護は、精神面、体力面、金銭面においても負担が大きいため、介護で苦労してきた人は、多少なりとも遺産で報われたい気持ちになるのは当然でしょう。

とはいえ、相続の遺産分割に関しては、制度やルールも複雑でなかなか思った通りにならず、自分だけで解決するのが難しいことも多いです。もしわからないことなどがあれば、弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

[blogcard url=”https://e-nursingcare.com/guide/trouble/nursing-trouble/”]

介護での相続に関するよくある質問

親の介護をしたら遺産がもらえますか?

親の介護をしていたら相続の遺産分割時に有利になることはほぼありません。ただし遺言書がある場合には優先順位にかかわらず、その内容が優先されます。

義理の親の介護をしていても財産を相続できますか?

特別の寄与の制度により相続人に対して、特別寄与の寄与分に応じて金銭の支払いを請求できるようになりました。金額については具体的な決まりはなく、本人と相続人とで、その貢献度や遺産総額などを鑑みて決定します。

遺言書の効力は強いですか?

遺言書は、被相続人の意向がしっかりと反映されるもっとも効力の高い相続方法です。相続人以外の人に遺産を残したい場合にも遺言書は有効です。

遺言書がない場合、いくら介護をしていても有利になることはないので、生前に親としっかり話し合いをして、遺言書を作っておいてもらうと良いでしょう。

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