「高齢者の一人暮らし」に潜む問題とは?トラブルを回避するための4つの対策

「高齢者の一人暮らし」に潜む問題とは?トラブルを回避するための4つの対策

公開日 2022/06/06

「遠方に住んでいる親が一人暮らしをしていて心配…」「今は夫婦で生活しているが、将来どちらかが一人になったとき生活をしていけるのか不安…」などと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、高齢者の一人暮らしに起こりうる孤独死や特殊詐欺などの問題や、その問題に対する4つの対策を解説しています。

親や親族が一人暮らしをしていて不安を抱えている方は、是非、参考にしてみてください。

一人暮らしによって起きる問題

高齢者の一人暮らしは、孤独死のリスクや犯罪などのトラブルに巻き込まれる可能性がある

「もしかしたら犯罪に巻き込まれてるかもしれない…」「遠方に住む親に連絡がつかない…」など高齢者が一人暮らしをしていると、家族として心配になるのは当然のことでしょう。

以下では、高齢者の一人暮らしによって起きる問題をまとめました。

孤独死のリスクが高まる

孤独死の死亡事例は年々増加傾向にある

高齢者の一人暮らしで一番懸念される問題は「孤独死」です。孤独死と考えられる死亡事例は年々増加傾向にあり、下記は東京23区内における一人暮らしの65歳以上の死亡者数をまとめました。

東京23区内における一人暮らしの65歳以上の死亡者数

出典:「令和2年版高齢社会白書」(内閣府)

原因は主に「誤飲による窒息」「転倒・転落」「浴室での溺死」などが挙げられ、誰かと住んでいれば避けられる事態も、一人暮らしによって誰にも気づかれず、最悪な結末を招くことがあります。

認知症の進行に気づけない

高齢者が一人で暮らすことで起きる問題のひとつに、認知症の進行が挙げられます。

認知症は「早期発見」「早期治療」することで、ある程度進行を遅らせることができます。しかし、一人暮らしをしていると自身の状態の変化には気づけず放置してしまう方が大半です。そのため、家族が気づいた頃には認知症が進行しているケースが後を絶ちません。

犯罪などのトラブルに巻き込まれる

特殊詐欺の件数は減少傾向にあるが、割合自体は増加している

高齢者を狙った特殊詐欺などの件数は減少傾向にはあるのですが、刑法犯認知件数に占める高齢者の被害件数の割合は増加傾向にあります。

家族が身近にいれば回避できますが、一人暮らしの場合、気持ちが焦り犯罪に巻き込まれてしまうことも。犯罪に巻き込まれる要因としては、一人暮らしによって周りとの関わりが少なくなり、防犯に必要な情報を得られないということが挙げられます。

一人暮らしの問題に対する4つの対策

一人暮らしの問題に対する対策はさまざまです。主に見守りサービスや高齢者支援サービスなどが挙げられます。

孤独死や振り込め詐欺など、高齢者の一人暮らしにまつわる問題はさまざまです。これらの問題に対して一番良いのは本人と家族が同居することですが、家庭の状況により同居はできないというケースは多々あります。

それでは、同居のほかにどのような対策があるのでしょうか。

以下では、一人暮らしの問題に対する対策をまとめました。

見守りサービスを利用する

見守りサービスを導入することで、緊急時にセキュリティ会社が急行してくれる

最近では、民間の事業者による見守りサービスが増加しています。主なサービスとして、センサーを設置し、一定時間動きがないと緊急の信号を発してセキュリティ会社を呼んだりカメラを取り付けることで家族が24時間本人の様子を確認できたりと、さまざまなサービスが用意されています。

各自治体による高齢者支援サービスを利用する

高齢社会に伴い、各自治体で高齢者支援サービスに力を入れているところが増えてきました。例えば「緊急通報装置の貸し出し」「配食サービス」「外出支援」など、自治体によってさまざまなサービスが用意されています。ただし、あくまで支援にあたるため介護サービスは受けられないことを認識しておきましょう。

介護保険サービスを利用する

要介護認定を受けることで、介護保険サービスを利用できます。以下では、介護保険を利用して受けられるサービスの例をまとめました。

  • 身体介助や洗濯・掃除などの生活支援を受ける:「訪問介護
  • 日中施設に通い、食事や入浴、リハビリなどのサービスを受ける:「デイサービス
  • 全面的な介護を受ける:「有料老人ホームなどの施設」

上記はあくまで一例で、本人の身体状況や希望によっては、さまざまなサービスを組み合わせることも可能です。介護保険サービスを利用することで、見守りが強化され、本人や家族も安心して生活することができます。

地域住民とつながりを持つ

地域住民とつながりを持っておくことで、災害時に安否確認に来てもらったり体調が悪いときは見守りを頼んだりできる

地域住民とのつながりを持っておくことで最悪のケースを免れることができます。例えば、災害時に安否確認に来てもらったり体調が悪いときは見守りを頼んだりと、地域住民とのつながりは家族としても大きなメリットです。そのため、日頃から地域住民とのコミュニケーションは適度にとっておくと良いでしょう。

高齢者の一人暮らしに関するよくある質問

高齢者の一人暮らしはなぜ、増加しているのでしょうか?

少子化や核家族化などの理由から高齢者の一人暮らしが増加しています。今後も高齢者の一人暮らしは年々増加していき、2040年には65歳以上の高齢者4~5人に1人が一人暮らしをしているという予測がされています。

高齢者の一人暮らしに関する相談はどこですれば良いですか?

まず、各自治体や地域包括支援センターへ相談すると良いでしょう。各自治体では、高齢社会に伴い、高齢者に対する支援活動に力を入れているところが増えてきています。「親が一人暮らしで将来的に心配…」といった悩みを持っている方は、一度、相談窓口を訪問してみると良いでしょう。

遠方に住む一人暮らしの親が心配…。何か対策はありますか?

遠方に親が一人暮らししている場合、民間の事業者による見守りサービスを導入するのはいかがでしょうか。センサーやカメラによる日常の見守りはもちろんのこと、ボタンひとつで緊急通報ができるなどサービスの幅は広いです。

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「グループホームの職員はどれくらい配置されてるの?」「夜間に人が少ないと徘徊などに対応できないのでは?」などとグループホームの人員基準に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、グループホームの人員基準と注意点、他施設との比較に関して解説しています。 「グループホームの入居を検討しているけど、どんな人からサポートを受けられるの?」などと悩まれている方は、是非、参考にしてみてください。 グループホームは主に4つの人員基準で成り立っている グループホームの人員基準は主に次の4つの職種で設定されています。 介護職員 計画作成担当者 管理者 代表者 それぞれの人員基準について詳しく見ていきましょう。 介護職員の人員基準 介護職員は入居者の生活援助や身体介助などの業務を担っており、入居者3人に対して1人以上配置されます。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 入居者の見守りは深夜も必要なため、介護職員は24時間体制で常駐しています。また、複数のユニットがあるグループホームは、ユニットごとに専任の介護職員が配置されます。 計画作成担当者の人員基準 計画作成担当者は入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成する職員で、ユニットごとに1人以上配置されます。なお、1つの事業所に2ユニットある場合は計画作成担当者も2人必要です。 計画作成担当者になるには次の要件を満たす必要があります。 実務者研修基礎課程または認知症介護実践者研修を修了していること 専らその職務に従事する者であること また、計画作成担当者のうち最低1人は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格の保有が必要です。 管理者の人員基準 管理者とは経営や人事・労務管理など管理業務を担う職員で、ユニットごとに常勤の管理者が配置されます。自らも介護サービスの実施や他の職員の指導をおこなうため、介護の知識や経験も必要です。 管理者になるには次の要件が求められます。 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで3年以上従事した経験があること 厚生労働省が規定する管理者研修を修了していること 特定の介護施設における3年以上の実務経験に加え、認知症高齢者介護の経験も必要です。さらに厚生労働省の管理者研修を受けて、ようやく管理者になるための基準を満たせます。 なお、管理業務に支障をきたさなければ、ほかの職種との兼任も可能です。 代表者の人員基準 管理者の管理対象がユニット単位なのに対し、代表者はグループホーム全体を管理します。代表者になるには、次の要件を満たす必要があります。 介護施設で認知症高齢者介護に従事した経験を持つこと、もしくは保険・医療・福祉サービスの提供をおこなう事業所の経営に携わった経験があること 厚生労働省が定める認知症対応型サービス事業開設者研修を修了していること グループホームの人員基準の注意点 グループホームの人員基準を職種ごとに説明してきましたが、注意する点もあります。しっかり把握したうえで入居施設を選びましょう。 介護職員が常勤ではない場合がある 介護職員の人員基準は入居者3人に対して1人以上のため、1ユニットあたり最低でも2~3人が配置されます。全員が常勤である必要はなく、1人以上の常勤職員がいればパートやアルバイトなどの臨時職員も起用できます。このため、特に食事や入浴など人手が多く必要な時間帯では、非常勤職員が担当となる場合も多いです。 規定の人数が必ず24時間確保されているわけではない グループホームの人員基準は入居者3人に対して介護職員1人と決められています。しかし、適用されるのは日中のみで、24時間この人数が常駐するわけではありません。 人員基準は時間帯によって異なり、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。このように、時間帯によっては介護職員が手薄になる場合もあると把握しておきましょう。 規定の3:1を超えない場合もある 入居者3人に対して介護職員1人という比率は、実際に介護現場で働いている職員数ではなく労働時間をもとに計算します。つまり、人手が多く必要な時間帯を手厚くした分、それ以外の時間帯の職員数を抑えることも可能です。このように実際に働く職員数は人員基準をもとに調節されるため、時間帯によっては既定の「3:1」を超えないこともあります。 グループホームによってサービスの質や人員は大きく変わる グループホームの人員の最低基準は厚生労働省によって決められていますが、実際にどのくらい配置するかは施設の裁量に任せられています。このため、基準をギリギリクリアする施設もあれば、基準を上回る人員を確保している施設もあります。 人員が豊富なグループホームは職員一人ひとりにかかる負担が抑えられるため、サービスの質が向上します。逆に人員が少ないと、時間帯によってはサービスが行き届かなくなることも。人員配置によってサービスの質や量は変わるため、入居前に確認することが大切です。 グループホーム以外の介護施設の人員基準 グループホームだけでなく、ほかの介護施設の人員基準も知っておきましょう。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、特別養護老人ホームの人員基準を紹介します。 介護付き有料老人ホームの人員基準 介護付き有料老人ホームは、主に介護を必要とする高齢者が介護や生活支援を受けながら生活する施設です。 介護付き有料老人ホームの人員配置の最低基準は、要支援2以上の入居者3名に対して介護職員または看護職員を1名配置する「3:1」と決められています。施設によっては「2.5:1」「2:1」「1.5:1」などさらに手厚い配置にしている場合もあり、サービスが向上する分上乗せ介護費用が発生することもあります。 その他の主な人員は下記の通りです。 施設長(常勤の管理者) 事務員 生活相談員 看護職員 機能訓練指導員 計画作成担当者 栄養士 調理員 住宅型有料老人ホームの人員基準 住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯、清掃といった生活支援サービスを受けられる高齢者施設です。 管理者を1人配置する必要がありますが、そのほかの職種の配置義務はありません。このため、下記の職種の配置は施設ごとに必要に応じて決められます。 介護職員 看護職員 生活相談員 機能訓練指導員 サービス付き高齢者向け住宅の人員基準 サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化された高齢者向けの賃貸住宅です。一般型と介護型があり、一般型は介護施設のような人員基準は特にありません。 一方、介護型は「特定施設」の認定を受けているため、入居者3人に対して介護職員1人以上の配置義務があります。 特別養護老人ホームの人員基準 特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上の高齢者が入居する施設で、介護だけでなく医療ケアにも対応しています。人員基準は入居者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置が定められています。 また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。 グループホームの人員基準に関するよくある質問 グループホームの職員の人員基準は? 入居者3人に対して介護職員を1人以上配置することが定められています。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 グループホームでは24時間規定の人員配置? 入居者3人に対して介護職員1人を配置するのは、日中にのみ適用されます。よって、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。 グループホームはどのような人員配置なの? グループホームの人員配置は、介護職員・計画作成担当者・管理者・代表者の4つの職種で成り立っています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "グループホームの職員の人員基準は?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

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