要支援と要介護の違い|その違いと受けられるサービスを比較

要支援と要介護の違い|その違いと受けられるサービスを比較

更新日 2023/02/28

さまざまな介護サービスを利用できて、介護の負担を減らしてくれる要介護認定。お住まいの市区町村で申請をすると、要介護と要支援どちらかの認定を受けることになります。

認定結果が要介護か要支援かで、受けられるサービス内容や自己負担額にも差が生まれます。そこでこの記事では、要介護と要支援について詳しくご説明していきます。

自立・要支援・要介護とは?

要介護認定は、どのくらい介護が必要かという一定の基準のもと、ケアマネジャーや専門家によって認定を受けることです。

また、要介護認定には介護度に低い順に要支援1〜2と、要介護1〜5と分類されており全部で7段階の認定基準があります。

自立とは

自立の高齢者の生活

歩行や起き上がりなどの基本的日常動作や、薬の内服や電話の利用などの手段的日常動作が可能な状態を自立と言います。

介護や支援の必要のない自分で生活ができる状態のことを指すため、認定調査の結果は「介護認定非該当」(要支援や要介護に該当しない)となり、65歳以上であっても介護保険サービスを受けることができません。

要支援とは

要支援の高齢者の生活

日常生活における基本的動作についてはほぼ自分で行うことが可能で、現時点では介護が必要ではありません。ただし手段的日常生活動作について、一部支援が必要な状態のことを要支援と言います。

簡単にいうと、食事や入浴などは自分で行うことができるが、料理や浴槽の掃除はできないといった状態で、生活するのための支援が必要な状態のということです。

要支援では介護保険サービスは受けられませんが、生活習慣の見直しや運動によって要介護状態になることを予防する介護予防サービスや予防給付を受けることができます。

要介護とは

要介護の高齢者の生活

日常生活の基本的動作についても自分で行うことが困難で、何らかの介護を要する状態のことを要介護と言います。

日常生活全般において自分で行うことが難しく、入浴介助や排泄介助、食事介助といった身体介護が必要な方のことを言います。

要介護に認定されると介護保険サービスを受けることができるほか、介護保険の給付についても対象になります。

介護度別の状態を比較してみましょう

ここでは具体的に要支援1〜2、要介護1〜5それぞれどういった状態なのかを見ていきます。

要支援1

要介護状態区分の中でも最も介護度が軽く、ほとんど自立的に生活ができる状態を指します。ただし自立と異なる点として、「日常生活の中で見守りや支援が必要」という挙げられます。

要支援2

要支援1と同様にほとんど介護を必要とせず、排泄や食事なども自分で行うことができる状態ではあるものの、要支援1と比べてより支援が必要な状態のことを指します。

具体的には立ち上がる時に補助が必要だったり、移動時に支えが必要だったりします。

要介護1

要支援よりも掃除や家事などの手段的日常動作を行う能力が低下し、部分的に介護を必要とする状態を指します。また身体機能の低下だけではなく、思考力や判断力の低下も見られ、意識が混乱したり問題行動を起こしたりすることもあります。

要介護2

要介護1の状態に加えて、食事や排泄といった基本的日常生活動作についても部分的な介護を必要とする状態を指します。また思考力や判断力も要介護1と比べて大きく低下しています。

要介護3

要介護2と比べて、日常動作を行う能力が著しく低下している状態を指します。洗濯や料理といった身の回りの家事だけではなく、昇降や歩行なども不自由になります。これまで補助があればできていたことも難しくなり、日常的に介護が必要になります。

要介護4

要介護3の状態に加えて、日常生活動作能力がさらに低下している状態を指します。介護なしの生活は難しいと考えて良いでしょう。また思考力、判断力の低下も著しく不安行動が見られることもあります。

要介護5

要介護4の状態からさらに動作能力が低下し、介護なしでは生活できない状態を指します。要介護状態区分の中でも最も重く、自立して生活することはできず、意思疎通がとれないこともあります。

要支援2と要介護1は何が違う?

要支援2と要介護1の状態はとても似ています。しかし、状態の安定性、認知症高齢者の日常生活自立度という2つの要素で判別されます。

状態の安定性とは、病状そのものではなく今後介護量が増加する可能性があるかどうかということです。認定後6ヵ月以内に介護度の再評価が必要かどうかという観点で状態の安定性を判断。再評価が必要な場合には、要支援2から要介護1になることもあるようです。

認知症高齢者の日常生活自立度とは、認知症の状況をⅠ~Mの7段階で評価するものです。この評価が高い場合、要介護に判定される可能性があります。

最終的には介護認定審査会で議論されて介護度が決定するので、一概に線引きはできません。参考程度に考えておきましょう。

要支援・要介護で使えるサービスの違い

要支援と要介護では利用できるサービスにどのような違いがあるのでしょうか。下記にそれぞれ利用可能なサービスをまとめてみました。

サービス名要支援1・2要介護1~5
訪問介護
訪問入浴
訪問看護
訪問リハビリテーション
夜間対応型
訪問介護
×
定期巡回・随時対応型
訪問介護看護
×
通所介護
(デイサービス)
通所リハビリテーション
デイケア
地域密着型
通所介護
認知症対応型
通所介護
小規模多機能型
居宅介護
看護小規模多機能型
居宅介護
×
短期入所生活介護
短期入所療養介護
介護老人福祉施設
特別養護老人ホーム
×
原則要介護3から
介護老人保健施設×
介護療養型医療施設×
介護医療院×
認知症対応型
共同生活介護
グループホーム

要支援2から利用可能
地域密着型
介護老人福祉施設
入所者生活介護
×
地域密着型
特定施設
入居者生活介護
福祉用具貸与△※1△※1
特定福祉用具販売
住宅改修費の支給

自己負担額の違い

介護認定で要支援と認定されるか、要介護と認定されるかによって自己負担額も変わってきます。

要介護度特定施設
入居者生活介護
居宅介護
サービス
要支援15,460円5,032円
要支援29,330円10,531円
要介護116,140円16,765円
要介護218,120円19,705円
要介護320,220円27,048円
要介護422,140円30,938円
要介護524,210円36,217円

出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)

どちらも1割負担の金額になりますが、上記の表を見ると要支援か要介護かでかなり金額が変わることがわかります。

要介護か要支援かは専門家の判断になりますが、日々の健康状態や認知症の進行具合によって要介護度は定期的に見直すことが可能です。

利用者に合った介護サービスが受けられるようケアマネジャーと適宜相談し、適切なサービスを受けられるようにしましょう。

要支援と要介護の違いに関するよくある質問

要支援、要介護はどんな状態を指しますか?

要支援は、日常生活における基本的動作についてはほぼ自分でおこなうことが可能で、現時点では介護の必要はありません。

ただし、食事や入浴などは自分でおこなうことができるが、料理や浴槽の掃除はできないといった一部支援が必要な状態を要支援と言います。

一方、要介護は日常生活の基本的動作についても自分でおこなうことが困難で、何らかの介護を要する状態を指します。主に入浴介助、排泄介助、食事介助などが挙げられます。

要支援、要介護で使えるサービスに違いはありますか?

訪問介護や訪問入浴、訪問看護といった在宅介護サービスであれば一部を除いて、要支援、要介護ともに利用できます。

ただし、公的施設へ入居する際、入居条件として要介護1からが多く、特別養護老人ホームに至っては要介護3からが入居条件として設定されているので入居のハードルは高いです。

要支援2と要介護1の違いを判定する要素は何ですか?

基本的な状態は要支援2と要介護1でほぼ変わりません。ただし、理解力や判断力の低下が見られ認知症の疑いがある場合や、病気などで状態が不安定な場合は要介護1の判定が出やすい傾向にあります。

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