高齢者への虐待はなぜ起こる?|虐待の種類と原因、防ぐ方法

高齢者への虐待はなぜ起こる?|虐待の種類と原因、防ぐ方法

公開日 2022/01/24

超高齢社会である日本では、高齢者への虐待が年々増加し、問題視されています。

そこで今回は、虐待が起こる理由や、どのような行為が虐待になってしまうのかを解説。さらに、虐待を防ぐための方法や専門機関も紹介します。

高齢者への虐待が起きる理由

在宅介護で虐待が起きる理由は介護疲れとストレスによるもの

まず高齢者への虐待を防ぐために、虐待の原因を知る必要があります。ここでは、なぜ虐待が起こってしまうのか、その理由を見ていきましょう。

在宅介護の場合

在宅での介護で虐待が起こる一番の理由は、虐待者の介護疲れやストレスです。介護は食事・入浴・排泄の介助など、身体的に負荷がかかるものが多く、肉体的な疲労が精神的疲労にもつながりやすいものです。

さらに、高齢者の生活を支えていくには、一日の中で長時間の付き添いが必要です。そのため、介護者がゆっくりと過ごす時間が減り、自宅にこもりきりになります。

いつまで介護が続くかわからない状況で、外部との交流が減ったり、肉体的な疲れから追い詰められ、虐待に発展してしまうことも多いです。

また、介護費用がかかることや、介護に時間を使うことで収入が減り、経済的な不安から虐待につながることもあります。在宅介護は閉鎖的な環境で、一人で抱え込みがちになってしまうため注意が必要です。

養護者による虐待の種別

養護者による高齢者虐待の相談・通報件数と虐待判断件数の推移を表した折れ線グラフ。過去約15年で相談・通報件数が約2倍にまで増加している

出典:「令和2年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」(厚生労働省)

養護者から受けている虐待で、最も多いのが身体的な虐待です。次に侮辱や無視などの心理的虐待、介護を放棄するネグレクト、金銭の管理や運用の際に起こりやすい経済的虐待と続いています。さらに、割合としては少ないですが、性的虐待も発生しています。

虐待する家族の内訳

昨今では、生涯未婚率は男女ともに上昇しており、未婚の人が実家で暮らして親の介護をおこなうことも増えています。

また、子どもが仕事や結婚によって家を出て、夫婦のどちらかが介護をおこなうケースもあります。核家族化や未婚率の上昇により、男性介護者が増加しているのが現代の特徴です。

こういった風潮があることを踏まえ、家庭内での介護による虐待者の内訳を見ていきましょう。

被虐待者からみた虐待者の続柄の割合を示した円グラフ。家族の中でも息子が親を虐待しているケースが多いことがわかる

出典:「令和2年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく応状況等に関する調査結果」(厚生労働省)

被虐待者からみた虐待者の続柄は全体の、息子39.9%、夫22.4%と、半数以上が男性介護者です。この結果は、これまで仕事をしていた男性が慣れない介護や家事をすることによってストレスを感じ、虐待に発展したことが要因のひとつと考えられています。

一人で抱え込まないように、周囲が介護をサポートする環境をつくるなど、男性介護者への支援策が求められています。

施設介護の場合

施設で虐待が起きる理由としては、スタッフの教育・知識・技術不足が挙げられる。

高齢者への虐待は在宅介護だけでなく、介護施設でも見られます。

介護施設で起こる虐待は、介護に関する教育・知識・技術の不足が原因です。介護経験が浅かったり、十分に教育を受けられなかった介護スタッフが、誤った対応をしてしまうケースが多いです。

また、介護業界の人手不足も挙げられます。施設で人手不足に陥ると、介護スタッフの業務の負担が大きくなり、心身ともに余裕がなくなってしまうのです。

さらに、若手のスタッフは業務に慣れないうちから戦力として求められ、疲労やストレスが溜まってしまいがちになります。こういった労働環境の悪化も、虐待を引き起こす理由のひとつとして挙げられます。

介護従事者による虐待の種別

介護施設でおこなわれている虐待でもっとも多いのが身体的虐待です。身体的虐待の割合は圧倒的に高く、そのあとに身体的拘束、心理的虐待、ネグレクトと続きます。

介護従事者による虐待を種別に表した棒グラフ。介護施設職員からの虐待では身体的虐待が最も多いことがわかる

出典:「令和2年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく応状況等に関する調査結果」(厚生労働省)

また、認知症などの意思疎通やコミュニケーションが容易ではない高齢者に対し、虐待が発生するケースが多くなっています。認知症に対しては、気持ちの理解や正確な対応が求められます。しかし、これらが十分でないと適切な対応ができず、虐待へと発展することがあります。

高齢者への虐待を防ぐ方法

虐待を防ぐには相手を尊重する気持ちが大事

ここでは高齢者への虐待を防ぐ方法について見ていきましょう。

相手の気持ちを尊重し、やりやすい介護をする

認知症の人は、怒られたり否定されたりしても、その内容を忘れてしまうことがほとんどです。しかし「怒られて怖かった」「否定されて嫌だった」といった、マイナスの感情記憶は残ってしまいます。

それが繰り返し続くと、本来できることが萎縮してできなくなってしまったり、不安を紛らわすために怒ったりと、より症状を悪化させる可能性もあります。

スムーズな介護をおこなうために、「怒らない」「否定しない」を意識しましょう。イライラしたときは、「一旦部屋を出て気持ちが落ち着くまで待つ」「こまめにストレスを解消する」などの対策がおすすめです。

家族間で情報共有をする

介護を一人でおこなうと、介護者が悩みを抱え込んでしまったり、プレッシャーを感じてしまったりすることもあります。家庭での介護は一人に任せきりにするのではなく、家族で協力する体制をつくることが大切です。

そのときには、対応する人でケア方法が変わらないように、必ず家族間で情報共有をしましょう。

介護サービスを利用して介護者の負担を減らす

デイサービスデイケアは、高齢者が日帰りで介護サービスを受けたり、リハビリをおこなう施設です。こういった介護サービスを利用して、介護者の休息や気分転換の時間を作ることも大切です。

さらにショートステイであれば、最短で1日から入所することができます。冠婚葬祭や出張、介護者の体調不良など、一時的に介護ができないときに利用する人が多いです。

在宅介護には休暇がありません。上手に制度を利用して負担を減らし、身体的・精神的安定を図ることが、結果的に虐待防止へとつながります。

専門機関へ相談する

周囲が虐待の兆候に気づいたときには、専門機関に相談しましょう。地域包括支援センターや法務省の常設する人権相談所など、公的な窓口が複数用意されています。

他人の家庭の場合、つい相談をためらってしまいますが、虐待を防ぐためにも早めに相談することが大切です。

行政による高齢者虐待防止策 介護事業者向けの虐待防止策では「外部に開かれた施設」を目指し、見直しがおこなわれています。介護施設で虐待の事実が隠されるのを防ぐために、地域の住民との交流の機会が積極的に設けられたり、地域支援事業の介護相談員派遣事業が積極的に活用されています。

また地域住民向けに、高齢者の虐待防止や通報窓口の周知徹底を強化しています。

さらに介護者に向けては、各自治体や地域のボランティア団体などが主催する「介護者の集い」や「認知症カフェ」などの相談できる場所が増えています。介護者のケアができる場所が増えることで、虐待の防止だけでなく、介護うつの予防にも役立っています。

高齢者虐待の種類

高齢者への虐待には、身体的なものがイメージされやすいですが、それだけではありません。精神的・経済的にダメージを与えるものもあり、虐待の種類はさまざまです。どんな種類の虐待があるのか見ていきましょう。

  • 身体的ダメージを与える虐待
  • 日々の介護放棄による虐待
  • 精神的疲労を与える虐待
  • 性的な虐待
  • 経済的な虐待

身体的ダメージを与える虐待

身体的ダメージを与える虐待とは、殴る・蹴るなどの暴力行為をはたらくことです。

また、高齢者の意思を無視し、必要以上の身体拘束をおこなうことも身体的虐待に含まれます。身体拘束はベルトやひもでの拘束だけでなく、脅迫や威嚇など、言葉で高齢者の行動を制限することも該当します。

しかし、身体拘束がすべて虐待にあたるわけではありません。高齢者本人や介護者の怪我や命に関わる場合や、身体拘束の代替になる方法がない場合、拘束が一時的である場合には虐待とはいえないため、覚えておきましょう。

日々の介護放棄による虐待

高齢者の介護をおこなわない、介護放棄による虐待も発生しています。介護放棄は、子どもに対しておこなわれる育児放棄を、高齢者に置き換えることでイメージしやすくなります。

具体的には、「入浴や排泄ケアをしない」「食事や水分を与えない」「医療機関などへ受診する機会を与えない」などの行為です。

介護を必要とする人を適切にサポートしないことは、高齢者の生活環境や心身状態の悪化につながります。さらに、介護放棄から死に至ったり、身体的虐待に発展するケースもあります。

精神的疲労を与える虐待

精神的疲労を与える虐待とは、侮辱する、脅すなどの言葉の暴力、無視、嫌がらせなどです。高齢者を言葉や態度で傷つけたり、尊厳を踏みにじったりするような行為は、すべて心理的虐待にあたります。

また、精神的疲労を与える虐待では、介護者が気づかないうちに虐待をしてしまっていることもあります。介護によるストレスを無意識のうちに高齢者にぶつけ、虐待をしてしまうのです。

心理的な虐待は目に見えず、外からわかりづらいため注意が必要です。

性的な虐待

高齢者に対してわいせつな行為をはたらく、性的な虐待がおこなわれることもあります。具体的には、性行為の強要、性器を触る、キスなどがあり、どれも高齢者の尊厳を傷つける悪質な虐待です。

また、わいせつ行為だけでなく、懲罰的に裸にして放置するなど、高齢者を辱める行動や言動も性的な虐待です。さらに、入浴の介助や着替えのサポート、排泄ケアの際に、プライバシーの配慮をしないままおこなうことも性的虐待のひとつです。

経済的な虐待

高齢者への虐待は、心身にダメージを与えるものだけでなく経済的なものもあります。例えば、本人の合意なく財産や金銭を使用したり処分することが挙げられます。

また、本人の希望する金銭の使用を理由がないにも関わらず制限したり、生活に必要なお金を渡さないことも、経済的な虐待となります。

しかし、認知症で判断能力の低下した高齢者であれば、家族が金銭管理をおこなうケースもあります。その際には、お金や財布をむやみに取り上げないことが大切です。

高齢者に増えているセルフネグレクト

セルフネグレクトとは、生活を維持する能力が低下してしまい、自身の健康や生活環境が悪化してしまっている状態のことです。入浴や掃除、洗濯などの身の回りのことをしない、ゴミを溜め込む、福祉サービスを拒否するなどの行為が挙げられます。

どの年代でも陥る可能性があり、高齢者の中にもセルフネグレクトに陥ってしまう人が増えています。老化で体が思うように動かず、家事や日常生活を放棄してしまったり、認知症が進み生活に必要な判断能力が低下してしまうことが主な原因です。

セルフネグレクトは、周りからのサポートが解決の糸口になります。医療機関や地域包括センターなどに相談しましょう。

高齢者虐待防止法が制定された背景

高齢者虐待防止法の特徴は早期発見・早期対応

高齢者への虐待が年々増加し、2006年に高齢者虐待防止法が施行されました。高齢者虐待防止法とは、一体どのような法律なのか解説していきます。

高齢者虐待防止法とは?

高齢者虐待防止法とは、正確には「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援に関する法律」と言われるものです。高齢者の尊厳を保持するため、高齢者虐待を防止することを目的として施行されました。

また、高齢者虐待防止法の特徴に「虐待の早期発見・早期対応」があります。介護サービス施設や介護サービス従事者には、虐待の早期発見が努力義務として規定されました。

自身の働く施設などで虐待が発生した際には、市町村へ必ず通報しなければいけません。さらに、通報者が通報することによって不利益な扱いを受けないよう、ルールが定められています。

高齢者への虐待が年々増加傾向

現在の日本は超高齢社会を迎えており、家族や介護サービスに携わる人々に、介護の負担が押し寄せているのが現状です。

超高齢社会が要因となり、高齢者に対する虐待が年々増加しています。さらに、虐待は、施設内や家族内などの閉鎖的な環境でおこなわれるため、周囲からわかりづらいことも問題です。

これら高齢者虐待の増加や、虐待の事実が知れ渡りにくい課題を解決するため、高齢者虐待防止法が制定されました。

高齢者虐待は身近にある重要な問題

高齢者への虐待の種類や要因、防ぐ方法などを紹介しました。

虐待は高齢化社会が進むにつれて、今後も増えていくことが予想されます。「身近で虐待が起こるはずがない」「自分は虐待しない」と過信せず、周囲と支え合って介護をしていくことが大切です。

また、深刻な事態になることを防ぐため、日頃から介護サービスに関わる人や地域と交流を図り、虐待を早期発見することも重要です。

高齢者への虐待に関するよくある質問

自宅で高齢者虐待が起きる原因は何ですか?

介護で虐待が起こる一番の理由は、虐待者の介護疲れやストレスです。

介護を自宅でするとなると昼夜問わず付き添いが必要で、次第に外部との交流が減ります。介護がいつまで続くかわからない状況化に陥ると、身体的負担と精神的負担から虐待に発展する可能性があります。

最も多い虐待はどのようなものですか?

在宅介護、施設介護ともに最も多いのは身体的な虐待です。

身体的な虐待とは、殴る・蹴るなどの暴力行為をはたらくことで、社会問題としてメディアにも取り上げられるほどです。また、高齢者の意思を無視し、必要以上の身体拘束をおこなうことも身体的な虐待に含まれます。

誰から虐待を受ける可能性が高いですか?

被虐待者からみた虐待者の続柄は、息子が最も多く、次いで夫と続き、半数以上が男性介護者です。核家族化や未婚率の上昇、これまで仕事をしていた男性が慣れない介護や家事をすることによってストレスを感じ、虐待に発展していると考えられています。

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「グループホームの職員はどれくらい配置されてるの?」「夜間に人が少ないと徘徊などに対応できないのでは?」などとグループホームの人員基準に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、グループホームの人員基準と注意点、他施設との比較に関して解説しています。 「グループホームの入居を検討しているけど、どんな人からサポートを受けられるの?」などと悩まれている方は、是非、参考にしてみてください。 グループホームは主に4つの人員基準で成り立っている グループホームの人員基準は主に次の4つの職種で設定されています。 介護職員 計画作成担当者 管理者 代表者 それぞれの人員基準について詳しく見ていきましょう。 介護職員の人員基準 介護職員は入居者の生活援助や身体介助などの業務を担っており、入居者3人に対して1人以上配置されます。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 入居者の見守りは深夜も必要なため、介護職員は24時間体制で常駐しています。また、複数のユニットがあるグループホームは、ユニットごとに専任の介護職員が配置されます。 計画作成担当者の人員基準 計画作成担当者は入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成する職員で、ユニットごとに1人以上配置されます。なお、1つの事業所に2ユニットある場合は計画作成担当者も2人必要です。 計画作成担当者になるには次の要件を満たす必要があります。 実務者研修基礎課程または認知症介護実践者研修を修了していること 専らその職務に従事する者であること また、計画作成担当者のうち最低1人は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格の保有が必要です。 管理者の人員基準 管理者とは経営や人事・労務管理など管理業務を担う職員で、ユニットごとに常勤の管理者が配置されます。自らも介護サービスの実施や他の職員の指導をおこなうため、介護の知識や経験も必要です。 管理者になるには次の要件が求められます。 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで3年以上従事した経験があること 厚生労働省が規定する管理者研修を修了していること 特定の介護施設における3年以上の実務経験に加え、認知症高齢者介護の経験も必要です。さらに厚生労働省の管理者研修を受けて、ようやく管理者になるための基準を満たせます。 なお、管理業務に支障をきたさなければ、ほかの職種との兼任も可能です。 代表者の人員基準 管理者の管理対象がユニット単位なのに対し、代表者はグループホーム全体を管理します。代表者になるには、次の要件を満たす必要があります。 介護施設で認知症高齢者介護に従事した経験を持つこと、もしくは保険・医療・福祉サービスの提供をおこなう事業所の経営に携わった経験があること 厚生労働省が定める認知症対応型サービス事業開設者研修を修了していること グループホームの人員基準の注意点 グループホームの人員基準を職種ごとに説明してきましたが、注意する点もあります。しっかり把握したうえで入居施設を選びましょう。 介護職員が常勤ではない場合がある 介護職員の人員基準は入居者3人に対して1人以上のため、1ユニットあたり最低でも2~3人が配置されます。全員が常勤である必要はなく、1人以上の常勤職員がいればパートやアルバイトなどの臨時職員も起用できます。このため、特に食事や入浴など人手が多く必要な時間帯では、非常勤職員が担当となる場合も多いです。 規定の人数が必ず24時間確保されているわけではない グループホームの人員基準は入居者3人に対して介護職員1人と決められています。しかし、適用されるのは日中のみで、24時間この人数が常駐するわけではありません。 人員基準は時間帯によって異なり、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。このように、時間帯によっては介護職員が手薄になる場合もあると把握しておきましょう。 規定の3:1を超えない場合もある 入居者3人に対して介護職員1人という比率は、実際に介護現場で働いている職員数ではなく労働時間をもとに計算します。つまり、人手が多く必要な時間帯を手厚くした分、それ以外の時間帯の職員数を抑えることも可能です。このように実際に働く職員数は人員基準をもとに調節されるため、時間帯によっては既定の「3:1」を超えないこともあります。 グループホームによってサービスの質や人員は大きく変わる グループホームの人員の最低基準は厚生労働省によって決められていますが、実際にどのくらい配置するかは施設の裁量に任せられています。このため、基準をギリギリクリアする施設もあれば、基準を上回る人員を確保している施設もあります。 人員が豊富なグループホームは職員一人ひとりにかかる負担が抑えられるため、サービスの質が向上します。逆に人員が少ないと、時間帯によってはサービスが行き届かなくなることも。人員配置によってサービスの質や量は変わるため、入居前に確認することが大切です。 グループホーム以外の介護施設の人員基準 グループホームだけでなく、ほかの介護施設の人員基準も知っておきましょう。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、特別養護老人ホームの人員基準を紹介します。 介護付き有料老人ホームの人員基準 介護付き有料老人ホームは、主に介護を必要とする高齢者が介護や生活支援を受けながら生活する施設です。 介護付き有料老人ホームの人員配置の最低基準は、要支援2以上の入居者3名に対して介護職員または看護職員を1名配置する「3:1」と決められています。施設によっては「2.5:1」「2:1」「1.5:1」などさらに手厚い配置にしている場合もあり、サービスが向上する分上乗せ介護費用が発生することもあります。 その他の主な人員は下記の通りです。 施設長(常勤の管理者) 事務員 生活相談員 看護職員 機能訓練指導員 計画作成担当者 栄養士 調理員 住宅型有料老人ホームの人員基準 住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯、清掃といった生活支援サービスを受けられる高齢者施設です。 管理者を1人配置する必要がありますが、そのほかの職種の配置義務はありません。このため、下記の職種の配置は施設ごとに必要に応じて決められます。 介護職員 看護職員 生活相談員 機能訓練指導員 サービス付き高齢者向け住宅の人員基準 サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化された高齢者向けの賃貸住宅です。一般型と介護型があり、一般型は介護施設のような人員基準は特にありません。 一方、介護型は「特定施設」の認定を受けているため、入居者3人に対して介護職員1人以上の配置義務があります。 特別養護老人ホームの人員基準 特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上の高齢者が入居する施設で、介護だけでなく医療ケアにも対応しています。人員基準は入居者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置が定められています。 また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。 グループホームの人員基準に関するよくある質問 グループホームの職員の人員基準は? 入居者3人に対して介護職員を1人以上配置することが定められています。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 グループホームでは24時間規定の人員配置? 入居者3人に対して介護職員1人を配置するのは、日中にのみ適用されます。よって、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。 グループホームはどのような人員配置なの? グループホームの人員配置は、介護職員・計画作成担当者・管理者・代表者の4つの職種で成り立っています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "グループホームの職員の人員基準は?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

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