年齢を重ねるにつれ、両親に介護が必要になったらどうしようと不安になることはありませんか。ましてや、すぐに会える距離におらず、様子がわからないと余計に不安は募るものです。
この記事では、突然介護が必要になったときに慌てることがないよう、遠距離介護をおこなうポイントをまとめました。
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今は介護が必要ないという場合でも、いつどのようなタイミングで介護が必要になるかは誰にもわかりません。いざというときに役立てることができるように、以下の8つのポイントを紹介します。
まず、親の起床時刻や就寝時間、食事を摂る時刻など生活リズムについて把握しましょう。また、その中で「日常どういった困りごとがあるのか」「何か不安に思っていることはないか」なども確認しましょう。
近所付き合いや親戚との関係、また普段から参加している集まりなどがあるかについて把握しておくことはとても大切です。
というのも、普段から関わりを持って助け合い、信頼関係を築いてきた人であれば、何かあったときに助けてくれる心強い味方となってくれるからです。
そういった人が親の近くにいる場合は、緊急連絡先を交換したり、ときどき様子を見に行ってもらうなどのお願いをしてみるのも良いでしょう。
介護が本格的に必要になると、介護保険サービスの利用や施設への入居、病院の通院あるいは入院など一定の費用がかかることになります。
これらの費用は基本的に親の年金や貯蓄でまかなうことになるので、経済状況について確認しておくことは重要です。
具体的に下記のような内容は聞いておくべきでしょう。
金銭面に関してはたとえ親でも聞きにくい話題なので、タイミングを見計らって確認しましょう。
いざ介護が必要になると、介護を受ける本人が意思決定をしなくてはならない場面が多くなります。
親の意思と反するような介護サービス、介護施設を選ぶことを避けるために「どのような介護を受けたいのか」「どこで生活をしていきたいのか」というような老後生活の希望を家族の中できちんと共有しておきましょう。
またその際には、あとで誰が見返しても共通認識としてわかるように記録を残しておくことをおすすめします。
遠距離介護の場合、要介護者の状態を細かく確認することはできません。知らないうちに容態が悪化してしまったり、認知症が進行した場合は介護施設への入居を検討する必要があります。
介護施設の種類はひとつではありません。値段もサービス内容もさまざまです。通える範囲でどのような施設があり、どれくらいの費用感なのかを調べておくと良いでしょう。
介護が必要な段階ではない人でも地域包括支援ケアセンターでは相談を受け付けています。情報収集をかねて一度出向いてみるのも良いでしょう。
介護が長期化して大きな経済的負担につながることも多いです。「介護費用はどのくらいかかるか」「誰が負担するか」などについても家族の間できちんと話しておきましょう。
一般的には親の資産や年金でまかなうことが多いのですが、それでは足りないこともあります。本人以外の家族が負担しなければならない場合は、家族間のトラブルを避けるためにも早めに納得できる形で話し合いをしましょう。
自宅の生活環境が生活するのに不向きである場合は、リフォームをおこなう必要も出てきます。
要介護認定を受けている場合は、高齢者一人あたり20万円までの助成金が支給されます。手すりの取付けやスロープの設置、和式便器から洋式便器への変更などをしておくと安心して過ごせるようになります。
また、助成金の申請方法や必要書類などは地域や条件により異なるため、まずは担当のケアマネジャーに相談しましょう。
最近では、離れた家族の見守りができるICT機器もいろいろと登場しています。照明や冷蔵庫などの家電に通信機器機能が付いており、一定時間使われていないと家族に通知がいくようになっています。
監視カメラとは違い、緊急事態の場合にのみ作動して連絡がいくのでプライバシーにも配慮できます。
そのほかにも、体調が悪化したときに緊急ボタンを押すと警備会社が駆けつけてくれるといった緊急通報システムもあります。自治体によっては緊急通報システムを無料で設置してくれるところもあるので、このような自治体サービスを活用してみるのもおすすめです。
遠距離介護をおこなうメリットについて紹介していきます。
遠距離介護をおこなう場合は転居する必要がないため、介護を理由に住み慣れた土地から離れないで済み、仕事を辞める必要もありません。
特に介護を理由に退職をしてしまうと再就職をすることも難しく、そうなった場合に、介護者本人の老後の蓄えや年金を減らすことにもなります。そのため、遠距離介護で自分自身の生活を守りながら介護生活を送ることができる点は大きなメリットとなっています。
在宅介護の場合は基本的に24時間要介護者と一緒に生活をすることになります。介護者にとっては、常に心が休まらず介護中心の生活スタイルを送ることになります。
そのような生活を続けていると、介護者にとって身体的にも精神的にも大きな負担になります。苦しい状況が続くことで追い詰められ、介護うつになってしまうこともあります。
遠距離介護は適度に距離をとって介護をおこなうことができるので、介護者自身の健康を良好に保つ意味でも大きなメリットがあります。
遠距離介護をしている場合は、在宅で介護者がいる場合と比べて生活援助サービスが受けやすいというメリットがあります。
掃除や洗濯、家事などをおこなってくれる生活援助サービスは、介護をおこなう人が同居している場合には原則として利用することができないからです。
また、入居待ちになるケースが多い特別養護老人ホームも、遠距離介護をしていると入居の優先順位が高くなり入居しやすいケースもあるようです。
続いて遠距離介護をおこなうデメリットについて紹介していきます。
遠距離介護をする上で、交通費や宿泊費がかさんでしまう点は経済的な負担になります。
定期的な行き来だけではなく、突発的な移動が発生することもあり、その度に飛行機や新幹線、高速代などがかかります。
また、交通費以外にも通信費や近隣の人への手土産代、親の自宅をリフォームするときは改修費用など、遠距離介護には付帯してさまざまな費用がかかります。
遠距離介護をする上で、「どの程度の費用をかけられるのか」「限度額はどれくらいか」などは事前に考えておきましょう。
離れた場所に住んでいる場合、予期せぬトラブルや急な体調不良が起きたときすぐ駆けつけるといった対応は当然できません。普段から親とこまめに連絡をとったり、見守りシステムを導入したりするなどの対策が必要です。
近隣の人やケアマネジャーとしっかり連携をとって、何かあったときにすぐ助けてもらえるような関係を構築しておくことも大切です。
もし親が入院する場合は、身の回りの世話や病院の手続きなどをする必要があります。そのようなときは必然的に仕事を休む、あるいは介護休暇や介護休業などを選択しなければなりません。
親が近隣に住んでいる場合には仕事と両立しながらおこなうこともできるかもしれませんが、遠方となると両立は難しいでしょう。遠距離介護を続ける場合は、仕事を休む可能性があることも念頭に置きましょう。
いざ遠距離介護が必要になった際に押さえておきたいポイントについて紹介します。
兄弟姉妹がいる場合は、介護をする上で誰がどのようなサポートをするのか、役割分担を決めておきましょう。それぞれの生活状況からできること、できないことを明確化し、誰か一人に負担が集中しないように協力する姿勢が大切です。
介護をおこなうことが難しいのであれば資金面でサポートするといった役割分担の方法もあります。
また、本格的に介護サービスを利用したり、施設へ入居した場合、ケアマネジャーや介護サービス事業所と連絡をとることが増えます。誰が代表して対応するのかについても決めておくと良いでしょう。
すぐに駆けつけることができない距離で介護をおこなう場合は、近隣の人や近くに住む友人の協力は必要不可欠です。
「日頃の見守りや声かけをおこなってもらえないか」「災害時には避難のサポートをしてもらえないか」など、遠くに住んでいるとなかなかできない不安なことをお願いしておくと安心です。
協力してもらう人には帰省した際に、手土産を持参しお礼に出向くなど、日頃から友好的な関係を築いておきましょう。
また、介護のプロであるケアマネジャーとはこまめに連絡をとり、利用する介護サービスの相談や親の健康状態の確認など遠距離介護に協力してもらいましょう。
現在、勤めている会社の介護休暇や介護休業制度について確認し、できるだけ活用しましょう。
現行の制度では、介護休暇は介護の対象となる家族が一人の場合は年間で5日まで、2人以上の場合は年間で10日までとなっています。一方の介護休業は介護の対象となる家族一人につき3回まで、通算93日まで休業できます。
なお、介護休業をする場合には条件を満たしていると介護休業給付金を受け取ることができる場合もあります。
ただし介護休暇や介護休業中の給与については、法的な定めがないため会社によっては無給の場合もあります。制度を利用する際は事前に確認しましょう。
遠距離介護をおこなう上で一番問題になるのは、帰省のための交通費ではないでしょうか。
移動には身体負担が少なく、移動時間も短く済ませることのできる飛行機や新幹線を使いたいという人も多いでしょう。
そんなときに便利なのが交通各社の「介護割引」サービスです。条件によっては3〜4割引きになることもあります。詳しくは交通各社のホームページなどを確認しましょう。
超高齢社会となっている日本では高齢者向けのサービスも年々種類が増えています。
近年では遠距離介護をおこなう人向けのサービスも展開されており、これらを活用し、介護負担を少なくすることも大切です。
また、自立した生活を継続するためには、本人ができることは自分でおこなってもらうことも大切です。その上で何か困っていることがあれば、サポートしてくれるサービスを活用するという方法も良いかもしれません。
具体的なサービスの例としては以下のようなものがあります。
遠距離介護は何かあったときにすぐ駆けつけることができません。親の介護度が上がったり、認知症が悪化した場合は、自宅で生活を継続することが難しくなる場合もあるでしょう。
そのような場合は、老人ホームへの入居も検討しましょう。入居する際の費用はかかりますが、介護のプロに身の回りのことを任せることができて、安心して過ごすことができます。
なお、費用が比較的安い施設に関しては人気が高く、入居待ちになる可能性もあります。自宅での生活が難しいと感じた段階で早めにケアマネジャーに相談しましょう。
遠距離介護のポイントやメリット・デメリットなどを説明しました。遠距離介護をする際には、常に近くにはいられないからこそ、しっかりとした事前準備と、親とのコミュニケーションが大切になってきます。
また、近隣の人や近くに住んでいる友人のサポートも必要不可欠です。こまめにコミュニケーションをとり、信頼関係を築くようにしましょう。
介護する人も介護される人も、それぞれが納得できる環境で生活していくために家族みんなで、介護の備えについて考えておくことをおすすめします。
「費用負担・時間的負担」「緊急時の対応ができない」「仕事を休む可能性がある」などが挙げられます。
特に、遠距離となると片道2時間以上かかることも珍しくなく、費用と時間の負担は非常に大きいです。遠距離介護が長引くことで、帰省の度に費用をどのようにして捻出するか、時間がどれだけとれるかを考えなくてはいけない状況が介護疲れにもつながります。
休業できる日数は介護の対象となる家族一人につき93日とされていて、その日数を最大で3回に分割して休業することが可能です。また93日とは休業中の土日祝日も含めた日数なので、営業日ではないことに注意しましょう。
遠距離介護をおこなう上で、帰省のための交通費が一番の負担です。
交通各社では、介護割引というサービスを取り入れているところも多く、条件によっては3〜4割引きになる場合もあります。遠距離介護では飛行機や新幹線を利用する人も多く、大変重宝するサービスです。
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