ゆとりある老後を送るためにいくら必要?老後資金について解説

ゆとりある老後を送るためにいくら必要?老後資金について解説

公開日 2021/12/21

60歳以降を老後と考えた場合、60歳時の平均余命は、男性で23.84年、女性で29.04年。いわゆる「老後」と呼ばれる期間はことのほか長く、これだけの期間にゆとりある老後生活を送るためには、定年退職後から支給される公的年金だけでは、不足することが予想されています。

快適で充実した老後を送るためにも、老後資金は不可欠です。そこでこのページでは、老後までに準備したほうが良い金額とはどれくらいなのか、考えてみたいと思います。

老後資金の現実

老後資金として年金収入だけを頼りにするのは不安であり、何らかの自助努力が必要

定年退職以降の期間が長くなっている現在、大多数の人が公的年金や老後の生活に不安を感じていることが厚生労働省などの調査からわかっています。公的年金に対する不安を解消するためには、何らかの自助努力が必要になります。

総務省統計局の家計調査より、高齢者夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入と消費支出の実態を見てみると、毎月約4万1,000円不足するという試算が出ています。つまり、平均的な高齢夫婦世帯の月額家計収支は「マイナス」なのです。

この状態でたとえば20年間生活すると、不足する生活費の合計は以下の計算の通り。

4万円×12ヶ月×20年間=960万円

これはあくまでも平均的な家計であり、ここから旅行や趣味などを楽しめるような「ゆとりのある老後生活」を送りたいとなると、さらに多くのお金が必要になってきます。

老後資金の内訳

老後資金の中で最も割合を占めるのは、もちろん「生活資金」です。

食費や生活費などの日常生活にかかる費用はもちろんのこと、80歳以上になると要介護状態になる率が急激に上がり、それまでの日常生活費との構成比が変わってきます。

また、生活資金は日常生活に伴う費用だけではありません。たとえば、子どもがいる人の場合は、子どもの結婚や孫の誕生、新居購入など子どもが迎えるライフイベントに伴い、親として援助などの出費が必要になる場合があります。

それ以外に必要となる資金としては、「入院・手術費用」と「介護費用」があります。さらに「がん治療費用」や「先進医療技術料」も備えておきたいところ。

さらには、葬儀代や入院費用の清算、墓を新規購入する場合の費用など、自身が亡くなった後に相続人が負担する費用「死後清算費用」も必要になってきます。

資⾦計画を立て、老人ホームの入居に備える

老後の資金計画の中に老人ホームの入居費用も検討することが必要

前述の「介護費用」の多くを占めるのが、老人ホーム(介護施設)の費用。時代背景としても、核家族化が進んでいること、長寿化によって介護期間が延びていることにより、家族の介護負担が増えている現状があるため、在宅介護ではなく、有料老人ホームで暮らしたいと思う人が近年増加しています。

また、昔に比べ、高齢者の生き方の価値観も多様化しており、「ひとりで生活するのは大変だから」「誰にも迷惑をかけたくないから」と、積極的に施設入居を希望している人も増加傾向にあります。

ただ、老人ホームに入居するにあたって、気がかりなのがお金の問題です。

老人ホームの入居・生活にかかる費用はいくらくらい?

有料老人ホームをはじめとする介護施設の多くは、月々の基本的な費用のほかに、家賃などの前払い金となる入居一時金が必要です。金額は施設によって異なり、何千万円という単位で入居一時金を設定しているケースもあります。

このように、介護施設に入るためにお金の不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

この入居費用を捻出するための土台となるのが年金ですが、「年金頼り」では介護施設への入居は難しいのが現状です。預貯金などの金融資産に加えて、持ち家などの不動産を活用することも考えていきましょう。

入居費用と年金・預貯金のバランスを考える

公的な介護施設への入居

介護保険制度の中で利用できる公的な介護施設(特別養護老人ホームなど)は、非常に人気があります。金銭的な負担が少ないので、入居待機者が数多くいる状態です。

公的な介護施設に入居するためにかかる平均的な費用は、入居一時金=0円、月額利用料=約7.5~14万円とされています(利用する居室の広さやタイプによって料金が変わります)。

比較的低料金で利用できる公的な介護施設の場合、介護サービス費自己負担額と施設の月額利用料(家賃、管理費、食費)を合計した目安金額で毎月5~15万円くらいなので、いわば自宅で過ごしているときと大きな差はありません。この点はやはり魅力的といえるでしょう。

ただ、費用面での安心感はありますが、やはり入居への“倍率”も鑑みると、あらかじめ有料老人ホームも視野に入れておくと良いでしょう。

民間の老人ホームへの入居

民間事業者が運営する施設に入居するためにかかる平均的な費用は、入居一時金が数十万円から数千万円、月額利用料=12~30万円とされています。

民間運営のため、公的施設より入居一時金の幅が大きいことや月額利用料は高くなりますが、公的施設と比べると入居の順番待ちがほとんどなかったり、金額が高い分、手厚いサービスやケア体制で介護が受けられるなど、プラスアルファが期待できます。

入居一時金と月々の費用、そしてサービス面などを考慮し、5年間や10年間など長期スパンで全体のバランスを比較検討してみましょう。

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介護のお金は自分(親)の預金や財産から

介護にかかる費用は介護される本人の財産から捻出するのが良い

子どもには子どもの人生があり、住宅ローンの支払いや教育費などに日々預貯金を費やしています。そのためのお金を親の介護費用に使ってしまうことは、子どもたちの今の生活をも圧迫することにつながるため、できれば避けたいところです。

また、親が80代になると、子どももおおよそ50~60代になっているので、そうなってくると次は自分自身の老後費用や介護費用に充てなければなりません。

もし親の介護が想定よりも長期に渡れば、後になって大きな後悔を招くことにもなります。

親としても、自分のせいで子どもの将来設計や日常生活を経済的に圧迫させることには気が引けるでしょうから、「介護は自分たちのお金で」と思っている人は多いでしょう。

子ども側としても、親を介護するというとき「介護費用は親のお金を充てる」という基本方針を明確にしておきましょう。

老後資金に関するよくある質問

老後資金はいくらあれば安心できますか?

世帯収入が公的年金だけの場合、不足分を貯蓄などで補う必要があります。仮に、毎月5万円を30年間貯蓄などから補った場合、合計で1800万円が必要です。また自営業などで国民年金の場合は、さらに上乗せが必要なので資金計画は早めにおこないましょう。

老後資金がない場合はどうすれば良いですか?

今からできることとして、「支出を抑える」「収入を増やす」「資産を増やす」が挙げられます。また困ったときは、国の支援制度を利用することを検討しましょう。

老後とはいつからを指しますか?

老後とは何歳頃からなのかについては、人によって捉え方がさまざまです。公益財団法人生命保険文化センターの調べによると、老後資金を使い始める平均年齢は65.9歳というデータがあり、年齢の分布は65歳が最も多く、次いで70歳、60歳という順に続きます。

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グループホームに必要な人員基準|注意点と他施設との比較

「グループホームの職員はどれくらい配置されてるの?」「夜間に人が少ないと徘徊などに対応できないのでは?」などとグループホームの人員基準に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、グループホームの人員基準と注意点、他施設との比較に関して解説しています。 「グループホームの入居を検討しているけど、どんな人からサポートを受けられるの?」などと悩まれている方は、是非、参考にしてみてください。 グループホームは主に4つの人員基準で成り立っている グループホームの人員基準は主に次の4つの職種で設定されています。 介護職員 計画作成担当者 管理者 代表者 それぞれの人員基準について詳しく見ていきましょう。 介護職員の人員基準 介護職員は入居者の生活援助や身体介助などの業務を担っており、入居者3人に対して1人以上配置されます。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 入居者の見守りは深夜も必要なため、介護職員は24時間体制で常駐しています。また、複数のユニットがあるグループホームは、ユニットごとに専任の介護職員が配置されます。 計画作成担当者の人員基準 計画作成担当者は入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成する職員で、ユニットごとに1人以上配置されます。なお、1つの事業所に2ユニットある場合は計画作成担当者も2人必要です。 計画作成担当者になるには次の要件を満たす必要があります。 実務者研修基礎課程または認知症介護実践者研修を修了していること 専らその職務に従事する者であること また、計画作成担当者のうち最低1人は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格の保有が必要です。 管理者の人員基準 管理者とは経営や人事・労務管理など管理業務を担う職員で、ユニットごとに常勤の管理者が配置されます。自らも介護サービスの実施や他の職員の指導をおこなうため、介護の知識や経験も必要です。 管理者になるには次の要件が求められます。 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで3年以上従事した経験があること 厚生労働省が規定する管理者研修を修了していること 特定の介護施設における3年以上の実務経験に加え、認知症高齢者介護の経験も必要です。さらに厚生労働省の管理者研修を受けて、ようやく管理者になるための基準を満たせます。 なお、管理業務に支障をきたさなければ、ほかの職種との兼任も可能です。 代表者の人員基準 管理者の管理対象がユニット単位なのに対し、代表者はグループホーム全体を管理します。代表者になるには、次の要件を満たす必要があります。 介護施設で認知症高齢者介護に従事した経験を持つこと、もしくは保険・医療・福祉サービスの提供をおこなう事業所の経営に携わった経験があること 厚生労働省が定める認知症対応型サービス事業開設者研修を修了していること グループホームの人員基準の注意点 グループホームの人員基準を職種ごとに説明してきましたが、注意する点もあります。しっかり把握したうえで入居施設を選びましょう。 介護職員が常勤ではない場合がある 介護職員の人員基準は入居者3人に対して1人以上のため、1ユニットあたり最低でも2~3人が配置されます。全員が常勤である必要はなく、1人以上の常勤職員がいればパートやアルバイトなどの臨時職員も起用できます。このため、特に食事や入浴など人手が多く必要な時間帯では、非常勤職員が担当となる場合も多いです。 規定の人数が必ず24時間確保されているわけではない グループホームの人員基準は入居者3人に対して介護職員1人と決められています。しかし、適用されるのは日中のみで、24時間この人数が常駐するわけではありません。 人員基準は時間帯によって異なり、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。このように、時間帯によっては介護職員が手薄になる場合もあると把握しておきましょう。 規定の3:1を超えない場合もある 入居者3人に対して介護職員1人という比率は、実際に介護現場で働いている職員数ではなく労働時間をもとに計算します。つまり、人手が多く必要な時間帯を手厚くした分、それ以外の時間帯の職員数を抑えることも可能です。このように実際に働く職員数は人員基準をもとに調節されるため、時間帯によっては既定の「3:1」を超えないこともあります。 グループホームによってサービスの質や人員は大きく変わる グループホームの人員の最低基準は厚生労働省によって決められていますが、実際にどのくらい配置するかは施設の裁量に任せられています。このため、基準をギリギリクリアする施設もあれば、基準を上回る人員を確保している施設もあります。 人員が豊富なグループホームは職員一人ひとりにかかる負担が抑えられるため、サービスの質が向上します。逆に人員が少ないと、時間帯によってはサービスが行き届かなくなることも。人員配置によってサービスの質や量は変わるため、入居前に確認することが大切です。 グループホーム以外の介護施設の人員基準 グループホームだけでなく、ほかの介護施設の人員基準も知っておきましょう。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、特別養護老人ホームの人員基準を紹介します。 介護付き有料老人ホームの人員基準 介護付き有料老人ホームは、主に介護を必要とする高齢者が介護や生活支援を受けながら生活する施設です。 介護付き有料老人ホームの人員配置の最低基準は、要支援2以上の入居者3名に対して介護職員または看護職員を1名配置する「3:1」と決められています。施設によっては「2.5:1」「2:1」「1.5:1」などさらに手厚い配置にしている場合もあり、サービスが向上する分上乗せ介護費用が発生することもあります。 その他の主な人員は下記の通りです。 施設長(常勤の管理者) 事務員 生活相談員 看護職員 機能訓練指導員 計画作成担当者 栄養士 調理員 住宅型有料老人ホームの人員基準 住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯、清掃といった生活支援サービスを受けられる高齢者施設です。 管理者を1人配置する必要がありますが、そのほかの職種の配置義務はありません。このため、下記の職種の配置は施設ごとに必要に応じて決められます。 介護職員 看護職員 生活相談員 機能訓練指導員 サービス付き高齢者向け住宅の人員基準 サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化された高齢者向けの賃貸住宅です。一般型と介護型があり、一般型は介護施設のような人員基準は特にありません。 一方、介護型は「特定施設」の認定を受けているため、入居者3人に対して介護職員1人以上の配置義務があります。 特別養護老人ホームの人員基準 特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上の高齢者が入居する施設で、介護だけでなく医療ケアにも対応しています。人員基準は入居者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置が定められています。 また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。 グループホームの人員基準に関するよくある質問 グループホームの職員の人員基準は? 入居者3人に対して介護職員を1人以上配置することが定められています。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 グループホームでは24時間規定の人員配置? 入居者3人に対して介護職員1人を配置するのは、日中にのみ適用されます。よって、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。 グループホームはどのような人員配置なの? グループホームの人員配置は、介護職員・計画作成担当者・管理者・代表者の4つの職種で成り立っています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "グループホームの職員の人員基準は?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

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