「家族だけでの介護が大変だから、介護サービスを利用してみたい」と思いつつも、介護サービスはたくさんの種類があって何を利用したら良いかわからないですよね。
この記事では、在宅介護で利用できる介護サービスの中でもデイサービスについて解説。デイサービスの具体的なサービス内容やデイサービスの種類についてお伝えしていきます。
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デイサービスとは、施設に入居することなく、自宅から通所しリハビリテーションや介護サービスを受けることで、高齢者のQOL(クオリティ オブ ライフ)の向上を目指す施設です。
デイサービスを利用する場合は施設から車で自宅まで迎えにきてくれるので、歩行に自信がない方でも利用できます。
ただし、施設の送迎範囲が決まっているので、その範囲外の場合はその施設をその施設の利用はできません。基本的にデイサービスは地域住民のためのサービスという特徴があるからです。
デイサービスでは、介護職員や理学療法士、看護師などの専門スタッフがサービスを提供。決められた時間に高齢者の機能訓練や集団でのレクリエーションなどを担当します。
自宅にこもりがちになる高齢者にとっては、外部との交流が持てることも嬉しいポイントです。
具体的にデイサービスではどのようなサービスがおこなわれているのでしょうか。以下の主なサービスについて具体的に見ていきましょう。
デイサービスの大きな特徴として自宅までの送迎があります。自宅から施設へ行くときも、自宅に戻る時も施設の車で家の前まで送迎してもらえます。
デイサービスの車なので、車椅子のまま乗降できるようにリフトがあったり、介助者がいるので安心です。身体の不自由な人でも安心して利用できるような配慮がされています。
デイサービスの利用は主に日中なので、お昼ご飯の提供があります。
長時間の利用者にはおやつの時間も。施設が提供する食事は咀嚼しやすく、栄養バランスがとれたものなので、利用者にとって通う楽しみにもなります。もちろん1人での食事が難しい利用者には食事介助のサービスもあります。
また、食事の時間は他の利用者もみんなで食事を食べるので、会話を楽しみながら楽しく食事ができます。普段は家族と離れて暮らしている方や一人暮らしの利用者にとっては、とても嬉しい時間になります。
さらに、追加料金を支払えば栄養改善サービスが受けられたり、家で食べるお弁当を購入できる施設もあるようです。
デイサービスには入浴のサービスもあります。入浴によって体を清潔に保ち、気分も明るくなります
一人暮らしや家族に介護されている方は、普段はなかなか満足な入浴ができないケースも多いようです。デイサービスでは介護職員に介護されながら入浴ができるので、普段よりも入浴をゆったりと楽しめます。
大浴場や個室タイプなど、入浴施設はデイサービスによって違いがあります。中には重度な要介護の方むけに介護専用の入浴装置を設置しているところもあります。
入浴装置というと大げさな装置のように思われますが、美容室のシャンプー台をイメージすると良いでしょう。最近では車椅子のまま入浴できるマシンもあるようです。
衣服の脱ぎ着や入浴は介護職員がサポートしますが、利用者が自分でできることは利用者にしっかり取り組んでもらうことで、機能強化につながります。
機能訓練とは、歩いたり階段を上るといった日常生活の動作をスムーズにおこなうための訓練です。また、体だけではなく、脳のトレーニングも機能訓練のひとつです。
代表的な機能訓練には下記のようなものがあります。
ここで説明する機能訓練とは有資格者ではなく、デイサービスの介護職員がおこなうもので、リハビリテーションとは異なります。専門的な機能改善を目指すリハビリテーションではなく、あくまで日常生活を送るための練習をサポートするものです。したがってメニューは施設によって異なり、マッサージや口腔体操などを取り入れているところもあります。
デイサービスでは利用者が楽しめるように、レクリエーションの時間があります。施設によってレクリエーションの内容は異なりますが、どのような身体の状態でも楽しめるように工夫と配慮がされています。
レクリエーションは楽しむだけではなく、機能訓練の一環という意味もあります。クイズ大会や連想ゲームなどは脳トレ、「ちぎり絵」や「お手玉崩し」などのレクリエーションは手先の機能訓練にもつながります。
基本的にその日に参加する利用者の健康状況や身体の具合にあわせたレクリエーションをおこなわれるので安心です。
基本的にはデイサービスは要介護1~5の判定を受けた方が対象ですが、施設の規模などによって違いがあります。
一般的な利用条件は下記の内容です。
施設によっては要介護ではなく、要支援の段階でも利用できるところもあります。送迎可能エリアを限定しているところもあれば、エリア外でも家族の送迎を条件に認めているところも。詳細はケアマネジャーもしくは施設に確認してください。
気になるデイサービスを利用する際の費用について見ていきましょう。
利用料金の大まかな目安は、1回1000~2000円ほどです。この金額はデイサービスの利用料金は介護度と利用時間によって変わります。
ここでは、デイサービスの料金を2つの例で確認していきます。各項目については後ほど解説します。そちらも合わせてお読みください。
【東京都練馬区のデイサービス/入浴サービスを利用】
項目 | 金額 |
---|---|
7.5時間利用 | 843円 |
サービス加算 | 44円 |
食費 | 700円 |
合計 | 1587円 |
東京都練馬区で要介護2の方がデイサービスの利用した場合、7.5時間の利用で843円、そこに入浴を利用したので(サービス加算)44円と、食費700円が追加され、Aさんは合計で1587円となります。
【大阪府東大阪市のデイサービス/入浴サービスを利用】
項目 | 金額 |
---|---|
8.5時間利用 | 1083円 |
サービス加算 | 42円 |
食費 | 600円 |
合計 | 1725円 |
大阪府東大阪市で要介護4の方がデイサービスの利用した場合、8.5時間の利用で1083円、そこに入浴を利用したので(サービス加算)42円と、食費600円が追加され、Bさんは合計で1725円となります。
では、デイサービスの料金の詳細を見ていきましょう。
デイサービスには、以下の2種類のタイプがあります。
この2つのデイサービスは主に利用者の定員数で分けられており、それぞれで利用金額が異なります。
また、介護保険は医療保険と同様にサービス料などに「単位」が設定されています。その単位に基づいて計算し、利用者の負担額が決定されています。
ただ、1単位あたりの金額は地域によって異なりますので、正確な金額を知りたい場合は施設にお問い合わせください。
自己負担1割で利用する場合、要介護1の方であれば1日最大9時間滞在しても700円程度の自己負担額です
また、送迎を利用しない場合は減額措置も適応されます。
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
介護事業の中で定員が18人以下の小規模なデイサービスでおこなわれる介護のことを地域密着型通所介護といいます。
利用対象は、ほかのデイサービスと同じで要介護1以上。小規模な事業所が多くアットホームな雰囲気の中で、食事や入浴などの介護サービスが受けられます。
地域密着型という名称の通り、地域住民のためのサービスなので事業所と同じ自治体に住んでいる人が利用対象になります。費用についても他のデイサービスと別の扱いになるので、下記の表を参考にしてください。
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
3~4時間未満 | 415単位 | 476単位 | 538単位 | 598単位 | 661単位 |
4~5時間未満 | 435単位 | 499単位 | 564単位 | 627単位 | 693単位 |
5~6時間未満 | 655単位 | 773単位 | 893単位 | 1010単位 | 1130単位 |
6~7時間未満 | 676単位 | 798単位 | 922単位 | 1045単位 | 1168単位 |
7~8時間未満 | 750単位 | 887単位 | 1028単位 | 1168単位 | 1308単位 |
8~9時間未満 | 780単位 | 922単位 | 1068単位 | 1216単位 | 1360単位 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
特定の有料サービスを受ける場合はサービス加算が発生します。どのようなサービス加算があるか見ていきましょう。
入浴介助加算 | 40単位/回 |
---|---|
栄養改善加算 | 200単位/回 |
口腔機能向上加算 | 150単位/回 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
利用者が入浴する際に、介助や付き添いをおこなった場合に追加される加算料金です。1日1回の入浴で50単位なので、500円程度になります。
食事や栄養に対しての改善相談にのったり、栄養管理などをおこなった場合も加算料金が発生します。1回につき150単位(約1500円)。栄養状態が良好ではない利用者向けにおこなうサービスです。
歯で食べ物を咀嚼したり、飲み込むといった動作は身体にとって非常に重要です。
口腔機能が低下すると、全身の健康が損なわれるのと同時に、食事の楽しみもなくなります。そのため口腔機能の低下が見られる利用者に対して、口腔機能改善管理指導計画をつくり、個人指導をおこないます。1回につき150単位(約1500円)
デイサービスはどのようなスケジュールになっているのでしょうか。一般的なデイサービスの1日の流れについて説明します。
もちろん施設や滞在時間によってスケジュールはそれぞれ異なりますが、午前中に機能訓練や入浴といったメニューをおこない、午後はレクリエーションやおやつタイムといったお楽しみの時間をところが多いようです。
デイサービスには多くのメリットがありますが、代表的なものは以下の通りです。
年を取ると、食事をしたり入浴したりという日常生活の動作にも困難が生じます。普段は自宅で家族が介護しているとしても、家族だけの介護には限界があります。週に何日かデイサービスを利用することで、家族の負担を減らせます。
また家に引きこもりがちな高齢者が外に出て、他の人と交流するきっかけにもなります。普段はやりたがらない機能訓練も、大勢でやることでやる気が生まれることもあります
デイサービスを利用するデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。考えられるものは下記の2点です。
まずはデイサービスを利用することで、新たな費用が発生することです。介護保険対象ではあるものの、食事や入浴などサービスが増えることで金額は大きくなりがちです。
またあまり人との交流が得意ではない方や、他の利用者やスタッフに対して気を遣ってしまう方だと、デイサービスに行くことがストレスになることもあります。
デイサービスには、以下のようにいくつかの種類があります。
ここからは、それぞれの特徴について説明します。
リハビリ特化型のデイサービスは一般的なデイサービスと比べて、理学療法士、作業療法士を配置して、リハビリに重点をおいたサービスをおこないます。
リハビリ特化型の施設ではトレーニングマシンやスポーツ器具をとりいれて、適度な運動をしながら機能訓練などをおこないます。
リハビリ特化型デイサービスには、半日型と一日型など利用時間によってもメニューがかわります。一日みっちり機能訓練を受けたい場合は一日型、気分転換程度に運動したい方は半日型と選べます。
施設の雰囲気もフィットネスクラブのような感じなので、身体を動かすことが好きな高齢者にはぴったりです。
施設によっては「機能訓練特化型」と呼ぶ場合もあります。
日常生活をおくる上でそれほど大きな支障はなく、少しの介護によって自立の可能性が高い高齢者向けのデイサービスのことを介護予防特化型といいます。基本的には要支援1・2の人が対象です。
介護予防通特化型は市区町村が実施する「介護予防生活支援サービス事業 通所型サービス」で提供されます。入居を希望する場合は各市区町村の担当部署に問い合わせましょう。
通常のデイサービスでは、重度な認知症になった場合は利用できません。認知症対応型デイサービスは、認知症を発症している利用者を対象にした専門的なデイサービスです。認知症ケアに対して熟練したスタッフが対応するので、認知症の方でも安心して預けることができます。
利用するためには、施設のエリア内に住居があり、要介護認定または要支援の認定を受けていること。そして医師の認知症という診断が必要です。
通所介護をおこなっているデイサービス施設の中で、宿泊もできるところをお泊りデイサービスといいます。介護している家族が外泊する場合などに利用できるととても便利です。お泊りデイサービスは普段利用している施設に泊まることになるので、安心して利用できます。
ただし費用については介護保険は適用されず、全額実費負担になります。宿泊する場所が個室なのか、大部屋なのかによっても料金は変わりますので、あらかじめ確認が必要です。
デイサービスを利用するまでには、以下のような手順が必要です。
デイサービスに限らず、介護サービスを利用するには介護認定を受ける必要があります。介護認定の申請手続きは、介護サービスの利用予定の方が住んでいる市区町村の役所でおこないます。
介護認定が下りて、介護度が決まったら介護サービスの利用計画(ケアプラン)を立てます。利用計画はケアマネジャーが作成。担当になったケアマネジャーと相談しながら今後の介護サービスの予定を組み立てていきます。
ケアマネジャーに地域のデイサービスを紹介してもらったり、自分でデイサービスを調べてみたりして、利用するデイサービスの事業所を決定しましょう。
利用するデイサービス事業所が決まったら、事業所と契約をおこないます。
利用開始日をデイサービスと調整し、ケアプランに基づいた介護サービスを受けられます。
デイサービスの中には「リハビリ特化型デイサービス」と呼ばれる施設があります。前述の通り、リハビリに重点をおいたサービスを提供しています。
リハビリ特化型デイサービスとよく似た施設に、「デイケア」があります。「リハビリに注力している施設を利用したい」というときに、どちらを利用したら良いか迷うかもしれません。
ここからは、リハビリ特化型デイサービスとデイケアの違いを解説していきます。
リハビリ型デイサービスとデイケアの大きな違いは、医師が配置されているかどうかです。
リハビリ特化型デイサービスには、医師は配置されていません。対して、デイケアには必ず常勤の医師が働いています。また、デイケアには必ず理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ専門職が勤務しています。
リハビリ特化型デイサービスにも、機能訓練指導員やリハビリ専門職が勤務していることがあるものの必須ではありません。
デイサービス(通所介護) | デイケア(通所リハビリテーション) |
---|---|
・食事 ・入浴介助 ・排せつ介助 ・レクリエーション ・機能訓練 など |
左記の内容に加えて ・栄養改善 ・口腔機能向上のリハビリ ・専門機器を用いたリハビリ ・健康チェック など |
上記のように、リハビリ特化型デイサービスとデイサービスではサービスの内容も異なります。
そもそも、デイサービスは利用者が自宅で自立した生活できるような支援をおこなうことを目的としている施設。対して、デイケアは医療ケアを重視したサービスの提供を目的としています。
デイサービスは要介護認定を受けた高齢者が利用できます。具体的にデイサービスを利用したほうが良いケースとはどのようなケースでしょうか。
要介護の判定がでていれば、たとえ軽度な状態でも日常生活をおくるのに問題が発生することも多くなります。特に入浴や食事、排泄などを一人でおこなうことが難しいと感じられるようになったら、デイサービスの利用を検討すると良いでしょう。
施設に入居するのではなく、あくまで自宅で生活したい人にとって、デイサービスを利用することで専門家の意見や知見を知ることができることもメリットのひとつです。
高齢になると仕事や子育ての用事などもなくなり、外出する機会がめっきり減ってしまいます。外にでるのが面倒になって自宅に引きこもってしまうのは心身ともによくありません。
デイサービスを利用するのをきっかけに、社会的なつながりを持つことができます。外出せずに家にずっといると思ったら、デイサービスを検討してみると良いでしょう。
自宅で高齢者の介護をしていると、家族の負担が大きくなってしまいます。在宅介護では、家族などの介護疲れが社会問題になるケースもあります。
介護する家族の負担軽減を考えているなら、デイサービスの利用をおすすめします。安心できる場所で楽しく過ごすことができれば、家族の心理的な負担も軽くなります。
デイサービスの利用者は年々増加しています。それにあわせてデイサービスの内容や種類も増えています。
少し前までは、デイサービスというと全員で同じ体操をして、同じメニューをこなしているイメージでした。しかし昨今では、個人個人の状態にあわせたプログラムやケアを考えて実行しています。
利用者は自分の身体状況にあったサービスをしっかり選んで利用するようにしましょう。介護施設に入居するのと違って、高額な初期費用も必要ありません。
気軽に利用できるのもデイサービスのメリットです。まずはお住まいの地域にどのようなデイサービスがあるか調べてみることから始めましょう。
デイサービスの料金は、利用する時間、要介護度、サービス加算を付けるかによって各々異なり、概ね約1000~2000円が相場です。
ただし、注意したいのは食事代や備品の使用、レクリエーション費用などは実費扱いとなることです。施設によって食費の設定などもさまざまなので利用する際は注意しましょう。
主に「送迎」「食事」「入浴」「機能訓練」「レクリエーション」などが一般的に受けられるサービスです。施設によっては、入浴の際に寝たまま入浴できる設備が整っているところや、機能訓練に関しては、リハビリの専門資格を持ったスタッフが常駐するなど施設ごとに特徴はさまざまです。
一般的な利用条件は、「要介護1以上の認定を受けている」「医療行為をおこなう必要がない」「自宅が施設の送迎範囲内にある」ことが挙げられます。
施設によっては、送迎範囲外であっても家族の送迎を条件に利用を認めている施設もあります。また、要支援の人の利用については予防通所介護の指定を受けているデイサービスのみになるので注意が必要です。
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