【医師監修】若年性認知症とは|原因や症状、効果的な予防法について

【医師監修】若年性認知症とは|原因や症状、効果的な予防法について

公開日 2021/12/15

高齢者の病気と思われがちな認知症。実は、現役世代でも発症してしまう可能性があることをご存知でしょうか。比較的若い世代の人が発症する認知症のことを、まとめて若年性認知症といいます。

この記事では、若年性認知症の具体的な症状や治療方法、予防方法から活用できる社会保障制度などについて、詳しく紹介していきます。

若年性認知症とは?

若年性認知症についての解説。18歳~64歳の若年性認知症者の総数は約3.57万人と推計されている

若年性認知症とは、18歳〜65歳未満で認知症を発症した場合の総称を指します。また、若年性認知症の中でも18歳から39歳までに発症した場合を若年期認知症。40歳〜64歳までに発症した場合を初老期認知症と言います。

2017~2019年度に実施した日本医療研究開発機構(AMED)の調査では、18歳~64歳の若年性認知症者の総数は約3.57万人(推計)。患者数はそこまで多くないため、医療・介護の現場での認識が不足している場合もあるようです。

また、若年性認知症はまだまだ現役で仕事をしている世代が発症することも多く、自分自身だけではなく家族にも影響を及ぼす可能性が高いという点が特徴です。

若年性認知症の特徴

発見が遅れがち

認知症は高齢者がかかる病気であるという価値観が世間に浸透しているため、年齢が若いために本人も周囲も認知症であると気づかずに、発見が遅れやすい傾向があります。

また、初期症状が性格の変化、言葉が出にくいといった、一見すると認知症の症状とは断定しにくい症状からあらわれるため、うつ病や更年期障害と誤診されやすく、経過観察を経てようやく診断がつくといったこともあるようです。

経済的な打撃を受ける

現状では若年性認知症を発症した方が仕事を続けていくのは困難な状況があり、一度発症してしまうと収入が減少し、経済的に厳しくなってしまうことも。

若年性認知症は、高齢者の認知症とは違い若い世代が発症する認知症。まだまだ働き盛りの方も多く、住宅ローンや子どもの教育資金などさまざまな支払いを抱えている方もいるため、そのような方にとって若年性認知症による経済的困窮は非常に深刻な問題といえます。

加えて、家族が介護離職をせざるを得なくなるケースもあり、経済格差生み出す要因になっています。

専門サービスや支援が少ない

若年性認知症は高齢者が発症する認知症に比べ圧倒的に少ないために、若年性認知症の方を対象としたサービスや支援も少ないという現状があります。そのため若年性の場合でも、高齢者向けや障がい者向けのサービスを利用しなくてはならない場面が多くなります。

若年性認知症の原因

若年性認知症は病名ではなく、18歳〜65歳までに発症する認知症の総称です。原因はさまざまですが、なかでも多いのはアルツハイマー型認知症で全体の半分を占めています。

また、高齢者の認知症に比べると、アルコール性認知症や、前頭側頭型認知症の割合が高くなっているのも若年性認知症の特徴として挙げられています。

若年性認知症の症状

若年性認知症の症状の特徴

若年性認知症も、高齢者が発症する認知症も、中核症状は脳の生物学的な機能低下が原因です。症状があらわれる状況に違いはあれど、症状自体には大きな違いはありません。

一方で外的要因の影響を受けやすい心理症状や行動といった二次的な症状に関しては、若者ならではの苦しみや不安があらわれることもあるようです。

中核症状

記憶障害

新しいものごとを覚えられなくなったり起きた出来事を忘れてしまうなど、記憶する能力が高齢者と同様に低下します。

何度も同じ話を繰り返したり取引先との打ち合わせを忘れてしまったりなど、日常生活や仕事でトラブルになることが多いようです。

見当識障害

現在の時刻や、ここはどこなのか、友人や家族など親しい人の顔を忘れるなど自分が今置かれている状況を理解する能力が低下します。

朝や昼、夜といった時間の認識ができず、食事をしたことを忘れてしまったり、ここがどこなのかを理解することができないために、外出すると家まで戻ってくることが困難になる場合もあるようです。

実行機能障害

ものごとに優先順位をつけ、計画的におこなうというようにプランニングから問題解決までを考え実行する能力が低下します。

食事の準備ができなくなったり、電化製品の使い方がわからなくなったりと、生活をしていく上で必要な能力が低下し、自立した生活を送りづらくなってしまいます。

理解・判断力障害

物事を理解し判断する能力が低下することで、良し悪しが判断できなくなったり、言われたことをきちんと理解することが困難になったりします。

買い物の支払いにとまどったり、上司に言われたことを理解して行動することが難しくなったりするなど、日々の生活に支障をきたします。

行動・心理症状(BPSD)

不安や焦り

認知症をまだ若い年齢で発症してしまったという事実は想像よりもショックなものです。

これから先どうなるのだろうという将来に対する不安や、家族がいる方であれば経済的な面を考えるあまり焦りが生じることも。

そういったことが原因で閉じこもりがちになり、抑うつ状態に陥ってしまうなど、精神的な症状があらわれる場合もあります。

幻覚や妄想

若年性認知症を発症し、記憶能力が低下していきます。

それにより、ミスが増え自尊心が傷つけられたことをきっかけに、自分で片付けたものや失くしてしまったものを誰かに盗られたと言い出したり、自分のミスを誰かが自分を陥れようとしていると言い出したりするなど、妄想や幻覚が生じることもあります。

攻撃的な言動

若くして認知症を発症してしまったショックや、今後どう生活していけば良いのかといった焦り、仕事を続けられなくなってしまう悔しさなど、さまざまな感情を抱えています。

複雑な心情から攻撃的な発言や態度を取ってしまうこともあるでしょう。

徘徊

自分のいる場所がどこかわからなくなり、徘徊してしまうこともあります。また、高齢者と違い体力も脚力もあるので、かなり遠くの場所で道に迷ったり行方不明になることもあるようです。

一見するとあてもなくうろついているように見えますが、家に帰るため、職場に出勤するためなど目的があっての行動です。

早期発見、早期診断が大切

高齢者が発症する認知症と同じように、若年性認知症も早期発見、早期診断が大切です。

若年性認知症の場合、まだ現役で仕事をしている方や、日々の家事、育児を担っているような若い世代が発症することが多いのがポイント。認知症の初期症状である「忘れっぽくなった」といったことも日々の疲れと誤認し、受診が遅れてしまいがちです。

しかし、まずは異変を感じたらすぐに受診をすることで、診断までの時間を短くできることに加え、早めの治療を開始することで進行を早い段階で遅らせ、生活の改善を図ることができます。

若年性認知症は進行が早い

最近、物忘れがひどくなったと感じたらまずは受診をしてみてほしい理由のひとつに、若年性認知症の進行の早さが挙げられます。

若い世代で若年性認知症を発症すると、進行スピードは高齢者の2倍以上になることもあると言われており、月単位で進行が進んでいくことも。そのため、いつもと何か違うと感じたときには受診をし、診察してもらいましょう。

若年性認知症の治療

若年性認知症の治療法には薬物療法と非薬物療法の2種類がある

薬物療法

現在の医療では若年性認知症に対して、根本的に進行を食い止めるといった治療薬の開発はされていません。そのため、現在可能な認知症の薬物療法は認知症の症状に対応して薬剤を選択するといった対症療法が中心となります。

また、使用されている治療薬は中核症状の進行を抑えることを狙いとしたアリセプトなどの薬や、行動、心理症状の軽減を狙いとした抗不安薬・抗精神病薬といった薬などの2つに分類されています。

非薬物療法

若年性認知症の治療として薬物療法を取り入れることと同様に、生活習慣の見直しといった非薬物療法をおこなうことも非常に重要とされています。

特に食事は重要だとされていて、バランスの良い食事を心がけるのが重要。さらには、魚やナッツ類、アマニ油などの認知症の症状改善につながると言われている食材を食事に積極的に取り入れることで、認知症の進行を抑制することができるといわれています。

そのほかにもリラクゼーション効果や脳を活性化させるといわれているアロマなども認知症の症状に効果があるとされていて、介護施設などでも積極的に取り入れられています。

若年性認知症は予防できる?

高齢者が発症する認知症にも完全な予防法が存在しないのと同様に、若年性認知症にも完全に予防できる予防法はありません。

とはいえ、若年性認知症は脳血管障害などが原因で発症することが多くなっているという事実もあるため、そういった病気にならないための予防や、生活習慣病などの予防が大切になります。

食生活を改善したり、定期的に健康診断を受診したりするなど、日々の生活により目を向けることが、結果的に若年性認知症の予防につながるでしょう。

また、普段から人との交流を持つことで脳を刺激し、生活に豊かさをもたらしてくれます。共同作業を通して何かを作成する、人の前で成果を発表する機会を持つなど、人との接点を持つことに加え、達成感を味わえるような環境も認知症を予防するうえで大切です。

若年性認知症と診断を受けたら

若年性認知症を発症する方はご自身の年齢も若く、働き盛りの方が多いため、普段の生活に大きな影響を与える場合が多いです。

親の介護をしている方が若年性認知症を発症してしまうと、その方の介護と親の介護が重なることで介護負担が大きくなってしまいます。同様に若い世代で発症すると、親の介護がない場合でも、子どもがまだ成人していない場合も多いので介護負担は大きくなりがちです。

また、若年性認知症を発症したことで仕事を退職しなくてはいけなくなってしまうと、経済的に困窮し、生活のあり方を見直さなくてはならない場合も。

このように、若年性認知症を発症することで経済的な面でも介護のあり方という面でもさまざまな問題が発生します。そうなってしまった時には現行の制度やサービスを利用し、きちんと対処していく必要があります。

以下では、若年性認知症と診断された際にとるべき対応について詳しくご説明していきます。

職場との相談

現在の日本では、若年性認知症に対する認知度や理解度はまだまだ低いのが現状です。

実際に、厚生労働省の調査によると認知症であることを職場に説明したことで配置転換などの配慮があったと回答している人は全体の約2.5割にとどまっており、認知症であることを話すことをためらっているケースが多いことが伺えます。

しかし若年性認知症の方が一旦退職してしまうと再就職するのは難しいことも多く、できれば今の職場で働き続けることを考えるほうが良いでしょう。そのためにもきちんと上司や人事担当者と話し合い、職場の理解を得られるようにすることが大切です。

また、どうしても今いる職場での就労継続が難しい場合、障害者枠での雇用をおこなっている会社に再雇用をしてもらうという方法もあるので、まずは一度相談してみるのが良いでしょう。

社会保障制度の活用

若年性認知症患者のサポートとしての社会保障制度

現在の日本では、障害年金をはじめとした若年性認知症を発症してしまった方が利用できるさまざまな制度があります。どのような制度があるのかについて具体的にご紹介していきます。

障害年金

病気やけがなどで障害を負ったことで生活や仕事などが制限されるようになった際に受け取ることができる年金のことです。

障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があり、病気やけがで初めて医師を受診した初診日に国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金が請求できます。

主な受給条件は以下の通りです。

  • 初診日要件…障害の原因となった怪我や病気の初診日が、国民年金もしくは厚生年金の被保険者の期間内であること
  • 保険料納付要件…保険料を決められた期間きちんと支払っていること
  • 障害状態該当要件…障害の状態が障害認定日に、定められた障害等級表に該当すること

精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳

若年性認知症と診断され日常生活に支障をきたす場合には、精神障害者保健福祉手帳の申請ができます。また、血管性認知症やレビー小体型認知症など身体症状がある場合は、身体障害者手帳に該当する場合もあります。

これらの手帳は社会復帰や自立支援を目的に交付され、税制の優遇措置や医療費の助成を受けられるほか就職時には配慮を受けやすくなるといったこともあるようです。

まずはお住まいの地域の役所の、障害福祉課などに相談してみると良いでしょう。

自立支援医療制度

自立支援医療制度とは、認知症などの精神疾患で通院している場合に医療機関や薬局で支払う医療費の自己負担額が1割に軽減されるというものです。

なお、所得に応じて負担額が変動するため、詳しくは通院中の医療機関やお住まいの担当窓口にお問い合わせください。

医療費、介護費の減免制度

高額療養費や高額介護サービス費、高額医療、高額介護合算療養費制度といった医療費や介護費が一定の期間のうちに支払う自己負担額を超えた場合には、超えた金額分を支払ってくれるという制度もあります。

運転免許証の返納

認知症と診断された方が運転免許を持っている場合、免許証は返納する義務があります。

本人に返納をお願いする場合には、認知症だから運転をすることはできないというような直接的な表現は避け、自尊心を傷つけないように配慮して伝えることも大切です。

また、家族内で話に折り合いがつけられなさそうであれば、運転適性相談窓口に相談したり、医師に協力をあおいだりして、いまの状態で運転することのリスクについて認識してもらう機会を設けるようにしましょう。

住宅ローン返済の相談

銀行などの金融機関で住宅ローンを組む場合には、団体信用生命保険といった返済する人に万が一のことがあった場合に、残りの住宅ローンを一括返済してくれる保険にも加入するのが一般的です。

そのため、若年性認知症と診断され、収入が減少してローンの返済が困難になった場合でも、高度障害と認定されれば保険が適用となり、返済が免除になることもあります。

詳しいことは住宅ローンを契約した窓口に相談してみてください。

成年後見制度

成年後見制度とは認知症などによって判断力が低下した人のために、介護施設の入所契約や医療契約の締結など生活や療養看護にかかる法的な手続きを補助し、財産の管理をおこなう制度のことです。

あくまで法律行為をサポートする制度であり、介護などの事実行為をおこなうわけではありません。また、後見人には親族や近親者選ばれるのが一般的ですが困難な場合には専門職が選任されることもあるようです。

日常生活自立支援事業

日常生活自立支援事業とは、認知症などで判断能力が低下した人が住み慣れた街で自立した生活を送れるように、地域の社会福祉協議会がおこなうサービス事業です。

具体的には福祉サービスなどの利用援助や、さまざまな支払い手続き代行などの金銭管理、重要書類の預かりなどをおこなってくれます。

障害福祉サービス

40歳未満の方は介護保険の被保険者ではありませんが、障害者総合支援法に基く障害福祉サービスの利用ができます。利用されるサービスの内容によっては、障害者支援区分認定が必要な場合があるのでご注意ください。

障害福祉サービスを利用することで就労継続支援などのサービスを保険適用で受けられるため、とても便利です。

介護保険サービス

介護保険を納めている人のうち40歳〜64歳までの介護保険2号被保険者の人は、認知症などの特定疾病を患っている場合に限り介護保険サービスを利用できます。

一方で、多くの介護サービスは高齢者向けの内容となっているため利用しにくい、という現状もあるようです。

近年は若年性認知症の人を積極的に受け入れている施設も出てきており、若い人たちでも利用しやすいサービスが登場してきているので、まずは問い合わせてみると良いでしょう。

若年性認知症に関するよくある質問

若年性認知症はどんな症状が出ますか?

若年性認知症の症状は、高齢者が発症する認知症と同様の症状が現れます。しかし、認知症を若い年齢で発症してしまったという事実に不安や焦りを感じ、抑うつ状態に陥ってしまうなどさまざまな弊害が生まれます。

若年性認知症の原因は何ですか?

若年性認知症の原因は、脳内出血やくも膜下出血、脳梗塞などの脳血管障害をはじめ、頭部の外傷や変性疾患など多種多様であるとされています。

脳血管障害は生活習慣の乱れにより起きる可能性があるので、適度な運動やバランスの取れた食生活を心がける必要があります。

若年性認知症の進行は早いですか?

若年性認知症の進行は早く、そのスピードは高齢者の2倍以上になることもあると言われています。

少しでも異変を感じたら病院を受診することが非常に重要です。現役で仕事をしている人や、日々の家事、育児を担っていると、つい後回しになりがちです。

しかし、早期発見、早期治療をおこなうことで進行を早い段階で遅らせ、生活の改善も図ることができます。

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