認知症の症状で退院を促される?退院が決まってしまったときの対応を解説

認知症の症状で退院を促される?退院が決まってしまったときの対応を解説

公開日 2022/06/03

体調不良や怪我が原因で病院へ入院したものの、入院をきっかけとして認知症の症状が現れることがあります。認知症の症状の度合いによっては、医師や看護師が対応できず、退院を促されるケースもあります。

この記事では、退院を促されたことで起きる問題や退院が決まってしまったときの対応を解説しています。

「病院から突然、退院するように言われて困っている」といった悩みを持っている方は、是非、参考にしてみてください。

退院を促されたことで起きる問題

入院中に認知症の症状が悪化し、スムーズに治療が進まないと判断された場合、病院から退院を促されるケースがあります。以下では、退院を促されたことで起きる問題をまとめました。

転院先が見つからない

認知症の症状がひどい場合は、転院できない場合もある

例えば、怪我が原因でまだリハビリを必要としていれば、継続してリハビリをおこなってくれる別の病院を探す必要があります。しかし、認知症の症状がひどく、リハビリを継続できない場合は転院先の受け入れは難しいです。

入居できる介護施設がない

認知症の人が退院後、生活する場所として、病院以外に介護施設も選択肢として挙げられます。しかし、介護施設であっても暴力・大声・被害妄想などがある場合、入居を断られることがあります。

あくまで介護施設は共同生活の場なので、他の入居者に迷惑がかかってしまう症状がある人は、受け入れが難しいと判断されるでしょう。

在宅介護サービスの選択肢が少ない

退院後、自宅で介護をするという選択肢もあります。しかし、在宅介護サービスに至っても認知症の症状がひどい場合は、選択肢が限られてしまいます。例えば、デイケアに行ってもリハビリをする気力がない」「ヘルパーが訪問しても適切なケアを受けない」といった問題がある場合、利用は難しいでしょう。

退院が決まってしまったときの対応

退院が決まってしまった場合は、受け入れてくれる病院を探すか自宅で介護をするか決めなくてはならない

入院先から「病院では対応ができないので退院してください」と言われたら、家族としては困り果て、途方に暮れることでしょう。では、突然、そんな事態になってしまった場合どうすれば良いのでしょうか。

以下では、退院が決まってしまったときの対応をまとめました。

病院の医療相談室を利用する

医療相談室で相談をし、今後どうしていくかを判断しましょう

入院設備が整っている病院には、基本的に医療相談室が設置されています。

医療相談室ではソーシャルワーカーが常駐し、「退院後の生活」「転院・施設入居に関しての相談」「在宅介護サービスの相談」など多岐にわたり相談ができ、適切なアドバイスを受けられます。

地域包括支援センターに相談する

全国の市区町村には、高齢者の支援として地域包括支援センターという相談窓口が設けられています。地域包括支援センターには、ケアマネジャーや看護師といった福祉に関する有資格者が常駐していて、さまざまな相談を受け付けています。

認知症疾患医療センターへ転院する

認知症疾患医療センターは、認知症に特化した病院として全国に設置されています。

主に「認知症の専門治療」「認知症に関する相談」などが大半を占めており、認知症に関する有資格者が多いのも特徴的です。そのため、認知症の症状により一般の病院の退院を余儀なくされても、認知症疾患医療センターであれば対応できる可能性があります。

自宅で介護をおこなう

自宅で介護をする際は、家族だけでなく、認知症特化型の在宅介護サービスを利用しましょう

退院の際に、病院の医師や看護師に本人の状態と必要なケアを確認し、自宅で介護をするのも一案です。「自宅で介護ができる!」と判断した場合は、家族の協力だけではなく、認知症特化型の在宅介護サービスを利用するのが良いでしょう。

また、最近では民間の事業者による高齢者向けサービスも増加しています。例えば、認知症の人向けの場合、徘徊位置情報確認システムの貸し出しや万が一のときに警備員が駆けつけるサービスなど多種多様です。

病院では対応できない認知症の症状

病院では対応できない認知症の症状は、「徘徊」「大声」「暴力」などが挙げられる

認知症の人でも病院へ入院することはできます。しかし、認知症の症状が重く、治療がスムーズに進まない場合は受け入れができないことも。以下は、病院では対応できない認知症の症状をまとめました。

徘徊

骨折しているのにも関わらず歩こうとしたり帰宅願望が強く彷徨い歩いたりさまざまです

一人で病院内を歩こうとしたり実際に歩き回ったりすることを指します。骨折しているのにも関わらず歩こうとしたり「自宅に帰りたい!」という帰宅願望で彷徨い歩いたりする人もいます。こうした問題から危険と認識され、病院では対応できないと判断されることが多いようです。

大声

認知症の症状により、昼夜問わず大きな声を出したり歌を唄ったりすることがあります。これにより、他の患者が寝不足になったりストレスを感じたりしてしまうため、病院としては対応できないと判断するようです。

暴力

医師や看護師が訪れると「何か嫌なことをされるのではないか」と感じ、興奮して手を上げる場合もあります。「必要な治療です」などと声かけをして落ち着いてもらえれば良いですが、認知機能が低下しているため理解してもらえないことが多いです。そのため、病院としてもこのまま入院させておくことはできないと判断します。

認知症の症状で病院に退院を促されるに関するよくある質問

認知症の人は入院できますか?

認知症の人でも入院はできます。しかし、認知症の症状が悪化し、医師や看護師が困るような場合は退院を促される可能性があります。

退院が決定してしまった場合はどうすれば良いですか?

病院の医療相談室や地域包括支援センターなどの窓口を利用するのが良いでしょう。「退院後の生活」「転院に関しての相談」「在宅介護サービスの相談」など、さまざまなアドバイスを受けることができます。

また、認知症の専門治療を受けられる認知症疾患医療センターへの入院も選択肢として挙げられます。

どのような症状だと退院を促されますか?

主に「徘徊」「大声」「暴力」などの症状が現れると退院を促されるようです。判断材料として「他の患者に迷惑をかける」「治療をスムーズに進ませてもらえない」といったことが挙げられます。

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