訪問リハビリとは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のリハビリ指導を自宅で受けられる介護保険サービスのことです。また、訪問リハビリは寝たきりの人にも有効と言われています。
この記事では、訪問リハビリの事業所を選ぶときのポイントや注意点について説明していきます。
この記事を監修する専門家
利用者の希望に沿った介護を念頭に、住み慣れた家・地域での総合介護・ケアで介護施設を複数運営。現在もケアマネジャーとして、利用者本人や家族との連携を密に取りながら現場第一主義で日々奮闘している。趣味は山登りとマラソン。
訪問リハビリの選び方~8つの確認ポイント~
訪問リハビリを選ぶ際の8つのポイントを詳しく見ていきましょう。
- 必要な専門職が在籍しているか
- 経験の年数はどれくらいか
- 認知症ケアはおこなわれているか
- 福祉用具の事業所と連携しているか
- 営業曜日の確認
- 担当者が休みの場合の対応はどうなっているか
- リハビリ中に体調が急変した時の対応は明確になっているか
- 訪問リハビリ終了後に必要な介護サービスの案内をしているか
必要な専門職が在籍しているか
事業所に必要な専門職が在籍しているか確認しましょう。
利用者によっては、理学療法士や作業療法士以外に言語聴覚士が必要な場合もあります。 言語聴覚士は、資格保有者が少なく在籍していない場合もあるので、利用する際は契約前に必ず確認しましょう。
経験の年数はどれくらいか
長いキャリアのスタッフは、きめ細かなサービスを提供できたり、臨機応変に対応してくれることがあります。利用する際には、スタッフが何年くらいのキャリアがあるのかを確認しましょう。
認知症ケアはおこなわれているか
認知症の人の訪問リハビリを依頼するときは、認知症に対する経験や対応方法が確立されている事業所を選びましょう。
認知症の人は、突然リハビリを拒否したり、大きな声で嫌がったりすることもあります。そのような場合、慣れているスタッフが余裕を持った対応をすることにより、利用者の家族も気持ちが落ち着きます。
福祉用具の事業所と連携しているか
訪問リハビリの事業所は、福祉用具の事業所と連携しているところがおすすめです。
連携していれば、早めに利用者の状態に合わせて福祉用具の購入、レンタルの話し合いもでき、契約もスムーズに進みます。また、利用者も新たに探す手間が省けるため負担も軽減されます。
営業日の確認
同席する家族は平日仕事をしていることが多く、事業所も平日営業しているところがほとんどです。もし、土日祝日に訪問リハビリを利用したい場合は、契約前に営業日を確認しましょう。
担当者が休みの場合の対応はどうなっているか
風邪が流行る時期などは、担当者が体調不良などでリハビリに急遽来れなくなることがあります。
そのため、担当者が休みの場合は、「代理のスタッフがリハビリに来るのか」「日程変更になるのか」「その日は一旦キャンセル扱いになるのか」など、事前に確認しておきましょう。
リハビリ中に体調が急変した時の対応は明確になっているか
利用者がリハビリ中に、突然、体調が急変したときの対応を確認しましょう。対応方法がしっかりマニュアル化されている事業所であれば、契約の際に説明をしてくれるので家族としても安心できますね。
訪問リハビリ終了後に必要な介護サービスの案内をしているか
訪問リハビリ終了後に、必要な介護サービスの紹介をしてくれる事業所を選びましょう。
訪問リハビリの目標は「利用者が自立した日常生活を送れるようになること」であり、訪問リハビリで回復した後も、介護サービスが新たに必要になったり、デイサービスに通って継続的に筋力を維持するような訓練が必要になることもあります。そのため、的確なアドバイスをもらえる事業所がおすすめです。
訪問リハビリを選ぶときの2つの注意点
それでは次に、訪問リハビリを選ぶ際の2つの注意点を見ていきましょう。
リハビリスタッフの専門性
訪問リハビリの事業所を選ぶ際は、リハビリスタッフの専門性と利用者の受けたいリハビリ内容が合致していることが大切です。
例えば、言語障害のリハビリをおこなう言語聴覚士は、資格保有者が少なく、契約後に言語機能のリハビリを依頼したら「言語聴覚士はいない」と断られてしまうケースも。そのため、希望するリハビリが受けられるか契約前に必ず事業所へ確認しましょう。
ケアマネジャーのおすすめ以外にも調べる
担当のケアマネジャーから勧められた事業所の中から決定する必要はないため、ケアマネジャーがおすすめする事業所以外も調べてみましょう。知人からの評判が良い事業所やインターネットの口コミから情報収集するのもおすすめです。
また、訪問リハビリのスタッフと、利用者やその家族がスムーズにやり取りができることが一番大切です。そのためには、スタッフの第一印象やコミュニケーション力も意識したいところです。
【状態別】訪問リハビリはこんな人にもおすすめ
ここでは、どのような人が訪問リハビリに向いているか見てみましょう。
転倒が多く、買い物に行くのが危険な人
食料品など日常品を買い物に行くのが危険な人は、訪問リハビリを利用すると良いでしょう。段差や傾斜での訓練が必要であったり、個人の環境や身体能力に合った歩行の仕方や歩行器などのアドバイスも受けることができます。
また、訪問リハビリを経て買い物に通えるようになった後も、足の筋力維持のために、デイサービスなどでリハビリの継続が必要かアドバイスがもらえる事業所を選びましょう。
寝たきりで筋力低下や拘縮が目立つ人
寝たきりの人はデイサービスよりも訪問リハビリの利用がおすすめです。寝たきりの人のリハビリ内容は「拘縮予防」や「身体機能の低下防止」などがあり、一度も利用したことがない人は利用を検討してみると良いでしょう。
また、寝たきりの人の中には、褥瘡(じょくそう ※床ずれ)がある人もいるため、訪問看護事業所と提携している訪問リハビリ事業所を選ぶことにより、医療ケアをおこないつつリハビリに励むこともできます。
目標に向けて上手に訪問リハビリを活用しよう
リハビリの目的は自立した日常生活が送れるようにすることです。そのためには、安心感もあり信用できる事業所を選びましょう。
また、専門性のある有資格者に来てもらうことにより、リハビリに対する意欲や理解も高まります。少しでも利用者の笑顔が増えるように上手に訪問リハビリを活用しましょう。
訪問リハビリの選び方に関するよくある質問
訪問リハビリを選ぶときのポイントは何ですか?
「必要な専門職が在籍しているか」「経験の年数はどれくらいか」「認知症ケアはおこなわれているか」「福祉用具の事業所と連携しているか」「リハビリ中に体調が急変した時の対応は明確になっているか」「訪問リハビリ終了後に必要な介護サービスの案内をしているか」などが挙げられます。
特に事業所によっては、言語聴覚士がいない場合もあるので専門職の在籍確認は必須です。
訪問リハビリテーションは誰でも受けられますか?
訪問リハビリテーションはすべての人が受けられるわけではありません。
利用条件として「介護保険の認定を受けた場合」「主治医から必要だと判断された場合」が挙げられ、通所リハビリテーションとは異なります。
また、要介護ではなく要支援の認定を受けた場合は、介護予防のための「介護予防訪問リハビリテーション」を受けることができます。
認知症の人でも訪問リハビリを利用できますか?
認知症の人でも訪問リハビリを利用することができます。
その際に訪問リハビリを選ぶコツとして、認知症に対する経験や対応方法が確立されている事業所を選び、訪問するスタッフに至っては、前もって家族が利用者は認知症であることを伝え、認知症の人の対応に慣れているスタッフに訪問してもらいましょう。
この記事の執筆者
「いい介護」の記事を編集・執筆する専門チームです。介護コンテンツのベテラン編集者や介護施設職員の経験者など、専門知識をもったスタッフが、皆さまの介護生活に役立つ情報をお届けします!