年齢を重ねるにつれて必要性が増す介護サービス。家族に介護が必要になったときに、在宅で介護するか、施設入居を検討するか悩むことでしょう。さらにどのくらい費用がかかるのかについても不安になります。
今回は在宅介護をした場合、費用はどれくらいなのか。また施設介護と比較してどうなのかについて説明していきます。
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生命保険文化センターがおこなった全国実態調査によると、在宅介護を始める際にかかる一時的な費用の平均は74万円、月額費用の平均は8.3万円となっています。
出典:「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」(公益財団法人 生命保険文化センター)
一時的にかかる費用には、自宅を介護に適した環境にするためのリフォーム費用や車椅子、介護用ベットといった介護用品の購入費用が含まれています。
出典:「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」(公益財団法人 生命保険文化センター)
また月額費用としては紙おむつなどの消耗品の購入や、デイサービスなどの外部サービスを利用した場合の費用などが挙げられます。
在宅介護の費用をざっくりと把握できたところで、在宅介護と施設介護の費用の違いについて考えていきましょう。以下に在宅介護と施設介護のそれぞれにかかる毎月の費用についてまとめてみました。
在宅介護 | 特別養護老人ホーム (ユニット型個室) | 介護付き 有料老人ホーム | |
---|---|---|---|
介護サービス費 | 27,048円 | 24,450円 | 20,370円 |
家賃 (居住費) | 0円 | 60,180円 | 115,000円 |
管理費 | 0円 | 0円 | 98,000円 |
食費 | 0円 | 43,350円 | 54,000円 |
その他 | 35,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
合計 | 62,048円 | 137,320円 | 297,220円 |
なお、この表における在宅介護の費用には家賃・管理費・食費は含まれていません。これらは介護が必要になる前からかかっているので、対象外としています。ただし介護を始めるにあたって家をリフォームする場合はその分の支出は一時的な費用として追加します。
上記表によると、在宅介護にかかる費用は62,048円と最も安く、最も費用が高い介護付き有料老人ホームとの金額差は235,172円にものぼります。
在宅で介護をおこなう場合には家賃や管理費、食費などが追加でかからず費用を安く抑えられている一方で、施設入居の場合には、居住費や食費を別途支払う必要があるため費用が高くなっています。
また、施設を利用して自宅が空き家になる場合でも、家の維持管理費などは支払うことになるために二重で居住費用がかかることもあります。
在宅介護は費用面だけで考えれば、施設を利用する場合と比べてかなり安く済みます。多少サービスを増やして自己負担を増やしても経済的な負担は少ないでしょう。
しかし、介護は24時間365日必要です。介護者に身体的、精神的な負担が大きくかかることを忘れてはいけません。
在宅介護を続けることで家族に過度な負担がかかるようであれば、積極的に外部サービスなども活用していくべきです。外部サービスに対して抵抗がある人もいるかもしれませんが、介護に関する問題や悩みを家族の間だけで解決することは非常に困難です。
金銭的な問題で施設の通常利用が難しい場合も、デイサービスや訪問介護などの一時的な介護サービスを活用したり、家族内で分担して介護をおこなったりするなど負担を減らす方法も話し合ってみると良いでしょう。
以下では介護施設に入居した際にかかる費用の目安について紹介していきます。
公的施設に入居する場合にかかる毎月の平均利用料は5万〜15万円で、民間施設に比べて比較的低価格で利用することができます。ただし、居室の大きさや施設のタイプによって金額は異なります。
詳しい料金については利用を検討している施設に問い合わせましょう。
民間が運営する施設に入居する場合、毎月の利用料の平均は15~30万円程度。入居するときに入居一時金も数十万円〜数千万円ほどかかる施設もあり、公的施設に比べると費用はかなり高くなります。
最近では、入居一時金がかからない施設もありますが、一方で入居一時金が数億円かかる超高級ホテルのような施設も登場しています。どのようなサービスを希望し、どんな施設に入りたいのかを予算と調整しながら比較検討すると良いでしょう。
また、介護施設を利用すると、入居一時金や利用料のほかに通院した際の医療費や、施設で開催されるレクリエーションの参加費などがかかるので注意が必要です。毎月かかる費用の目安については施設に確認しましょう。
費用だけで比較すれば在宅介護の方が費用が抑えられます。
しかし、それは今まで住んでいた住居で家族が限られた時間を割いて無償で介護をおこなっているからです。介護状態はいつまで続くかわかりません。
介護度が高くなったことで、介護をしている家族が仕事を辞めなくてはならなくなったり、経済的に困窮することも社会問題になっています。介護者の肉体的、精神的な負担の大きさも見逃せません。介護が大変で心身のバランスを崩してしまうケースもあります。
そういった場合には、在宅介護を続けるという選択肢だけではなく、介護保険を利用して入居できる介護施設への入居も選択肢として入れておくようにしましょう。
在宅介護における費用について紹介しましたが、以下ではその費用を抑える方法を見ていきましょう。
介護サービスを保険適用させるためには、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。ケアプランを作成してもらう際に大事なことは、介護を受ける本人そして家族の希望をきちんとケアマネジャーに伝えることです。
ケアマネジャーが自分の経験や知識をもとに最も良いと思うプランを提案したとしても、それが自分たちの希望と相違していたら意味がありません。
不要なサービスを受けることで必要のない費用がかかってしまいます。費用を抑えるためにも、適切なプランを組んでもらうことが大切です。
現在の日本では、介護における経済的負担を減らすために高額介護サービス費制度や高額介護合算療養費制度などがあります。知っておくと費用が想定を超えて高額になった場合も安心です。
介護サービスには介護保険が利用でき、利用者は所得に応じた1~3割の自己負担で済みます。さらに自己負担額は、所得により1ヵ月の上限が決められています。「高額介護サービス費」はこの上限を越えた場合に、越えた分の金額が戻ってくる制度です。
支給対象の方には自治体から「支給申請書」が届き、1度申請すれば2回目以降は自動的に適用されます。申請期間はサービスを利用した翌月から2年間です。
「高額医療・高額介護合算制度」は、同一世帯で支払った介護保険サービスと医療費の自己負担額の合計が基準を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。合算期間は8月1日から翌年の7月31日で、利用するには自治体の国民健康保険窓口で申請します。
ただし、同一世帯内でも「夫が75歳以上で後期高齢者医療保険、妻が75歳未満で国民健康保険」など、加入する保険が異なる場合は合算することができません。さらに、基準を500円以上越えない場合は適用外です。
費用だけみると在宅介護は施設入居よりもかなり安くなります。しかし、家族の時間や体力を使って介護をおこなうには限界があります。
また、介護の専門職ではない限り、介護の経験や知識を豊富に持っている人は多くありません。介護経験がない人にとっては介護というだけでも大変ですし、体力的にも精神的にも負担が大きくなり、介護が長期化することで介護者も要介護者も疲弊してしまいます。
費用面だけを重視して在宅介護を選ぶのではなく、介護を受ける人も、その家族もどうしたらみんなが快適な生活を送れるのか、どのようなサービスを利用すると良いかを関係者全員できちんと話し合い、お互いが笑顔で過ごせるような方法を検討しましょう。
在宅介護を始める際にかかる一時的な費用の平均は69万円、月額費用の平均は7.8万円です。
一時的にかかる費用は、自宅改修のために費用や車椅子、介護用ベットの購入費用などが含まれます。また月額費用は、紙おむつなどの消耗品の購入や在宅介護サービスを利用した場合の費用などが挙げられます。
在宅介護は費用面だけで考えると経済的負担は安く済みます。しかし、要介護者の身体状況によっては介護が24時間365日必要な場合もあります。
昨今では在宅介護による、介護うつなどといった問題もあり、家族に負担がかかっているケースも多いです。
一方で施設介護は、24時間365日施設のスタッフが介護にあたり、リハビリや医療に特化している施設もあり安心です。ただし、経済的な部分を考えると入居一時金などが必要になる場合があります。
現状、在宅介護費用がかかりすぎていると感じたら、ケアマネジャーとケアプランの見直しをしましょう。
ケアマネジャーが自分の経験や知識をもとに最も良いと思うプランを提案していたとしても、利用者、家族にとっては不要なサービスかもしれません。
また、経済的負担を減らすために現在の日本では「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算療養費」といった制度があります。
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