以前にも、介護にまつわる「相談員」の経験があるという藤井さん。でも、老人ホームの「入居相談員」とは異なる相談員だったそう。どんな仕事だったんでしょうか?
入居相談員になったきっかけや、入居相談への思いを詳しく聞きました!
―藤井さんは、以前、福祉用具専門相談員をしていたと伺いました。福祉用具専門相談員とはどんな仕事なんでしょうか?
福祉用具専門相談員とは、お客様の身体状況や住環境に合わせた福祉用具の選定をする仕事です。
車いすなどの福祉用具は、その方の身体の一部となって使われます。福祉用具によってその方のできることや身体の可動域を広げることができるので、選定はとても奥深いです。
主に私がしていたのは、福祉用具をレンタルされているお客様のご自宅を訪問してお身体の状態やニーズをヒアリングし、その方に今の福祉用具が適しているかどうかを確認すること。また住環境も確認しながら、住宅改修を提案までしていました。
お客様から「また藤井さんに来てほしい」とご指名でお電話いただくこともあり、お客様から頼りにしていただいているやりがいがありましたね。
―お客様から信頼していただいていたんですね!
お客様とのつながりが強い仕事でしたから、福祉用具や在宅介護のご相談の電話をいただくこともありました。
今の入居相談員もご相談者と距離が近い仕事ですし、そのあたりは福祉用具専門相談員と共通していると思います。
―反対に、異なる点はありますか?
「人生の最期に関わるかどうか」と「お客様の予算で決められるかどうか」が、大きく異なる点だと思います。
福祉用具は、老人ホームのように「最期を迎える場所」になるわけではありません。毎日の生活を支えるものではありますが、あくまで普段の生活をしやすくするためのものです。
それに対して老人ホームは、多くの方にとって最期を迎える場所。お客様の人生を大きく左右する選択のお手伝いをしているので、責任とやりがいを感じます。
―入居相談員の言葉で、お客様の人生が変わってしまうこともあるわけで…。責任重大ですね。
本当に責任重大です。
また、お客様の予算に応じて希望のものを選択できるのも、老人ホームと福祉用具が違うところですね。
―福祉用具には、予算が関係ないんですか?
―となると、お客様のニーズも聞きつつ、ケアマネジャーさんとお金の調整もしつつ…。なんだか、大変そうですね。
確かにそうですね(笑)。
福祉用具は支給限度額の関係で、お客様のご要望通りにできないこともありましたし、そういう意味では福祉用具専門相談員は大変でした。
―福祉用具は、お金の面ではお客様の意見を反映するのが難しいんですね。
でも、今の入居相談員は、予算面でケアプランのことを考える必要がありません。もちろん、お客様の予算にも限りがありますが、お客様自身が定めた予算で施設選びをするので、お客様も納得したうえで判断していただけるように思います。
入居相談員の仕事は、お客様のご要望を優先する”お客様ファースト”でご提案できる点にとてもやりがいを感じますね。
―藤井さんが入居相談員になったのは、何かきっかけがあったんですか?
以前、私の祖父が北海道からの移り住みで関東の施設に入居したんです。その施設の職員さんにとても親切にしていただいて良い最期を迎えられたので、私もそういう施設を見つけるお手伝いがしたいと思って入居相談員になりました。
施設に入居する前は、祖父は北海道、私は関東で暮らしていることもあって、なかなか会えなかったんです。でも、施設に入居したおかげで最後に祖父と良い時間を過ごせて…。職員さんには本当に感謝しています。
最期のとき、祖父が体調をくずして緊急搬送されそうになりました。祖父に「病院に行く?施設に残る?」と聞くと、はっきり「施設に残る」と言ったんです。今思うと、祖父は自分の最期を悟っていたんだと思います。
―ご自分の意思で施設を”最期の場所”に選んだんですね。
祖父の言葉を聞いて、祖父にとっては施設が”家”なんだな、と思いました。
「施設」と聞くとネガティブなイメージがありますが、親身になってくれる職員さんがいるところはむしろ”第二の家”になる。そういう施設だったからこそ、祖父が最期の場所に選んだんだと思います。
それに、祖父が亡くなったとき、職員さんが一緒に泣いてくださったんですよ。
―泣いてくれたんですか!
それを見て「ああ、この施設で良かった」と心から思いました。そういう実体験があるからこそ、最期に過ごす家を探すお手伝いをしたいな、と思っています。最期の迎え方で人生そのものが変わると思いますから。
―今までのご相談で印象に残っているものはありますか?
とあるグループホームに入居中の方のご家族からのご相談です。
「今のグループホームと合わないから転居したいと前々から感じているけど、それを施設に伝えられなくてずっと悩んでいる」という内容でした。
ご相談のきっかけは、入居中のグループホームの対応が良くなかったこと。具体的には、職員さんが入居するご本人の意思を尊重してくれないとのことでした。そのため、ご家族もご本人も他のグループホームに移りたいと考えていたようです。
―ご家族もご本人も転居したいと考えているのに、どうして入居中の施設に言い出せなかったんでしょうか?
施設さんへの義理を感じていらっしゃったんです。「いつもお世話になっているから」と、遠慮してしまったんですね。
でも、施設での暮らしはこれからの人生を大きく左右することですから、義理を感じて言い出せなかったらきっと後悔すると思うんです。だから、「私も一緒に考えるので、このタイミングで転居に向けて動きましょう」とお伝えしました。
そうしたら、ご相談者が中心となって家族会議をしてくださって。ご家族で検討した結果、施設に転居の意向を伝えることを決意してくださいました。
―ずっと言い出せなくて悩んでいたのに、藤井さんの言葉で決意してくれたんですね!
そうだと、とても嬉しいです。そして、一緒に別のグループホームを検討し、その方はそのグループホームに転居されました。
入居の直前にご家族にお電話したら「あのとき、藤井さんが話を聞いてくれたから無事に転居ができました。ありがとうございました」と、言ってくださって。それが本当にうれしかったです。
―誰かが話を聞いてくれたからこそ、本当の気持ちを口に出せたのかもしれませんね。
それもあると思います。このご相談者は比較的おとなしい方で、「お世話になっているのに、『転居したい』と言うなんて」と考えて、施設に言い出せなかったご様子でしたから。
なので、「施設さんとの相性は誰しもあるので、転居するのはよくあることですよ」「施設さんも慣れてますよ」と、私たち「いい介護 入居相談室」の過去の事例を交えてお話ししました。
そうしたら、「転居したいと思うのは、悪いことじゃないんだ」「同じ悩みを持っているのは、私だけじゃないんだ」と、一歩を踏み出せたみたいです。
―「私だけじゃない」と思えて、気持ちを施設さんに伝える勇気が出たんじゃないでしょうか。
もちろん、最終的に転居するかどうかはご本人やご家族の判断です。
でも、このケースの場合は、「いろいろ考えすぎて、本当に大切なことを見落としているな」と感じたので、お客様の決断の後押しをしました。「本当に大切なこと」をお伝えするのも、私たち入居相談員の役目ですから。
―決断するために背中を押してもらえるのも「いい介護 入居相談室」ならではだと思います。
それは本当に感じています。ただ施設の情報をお伝えするだけではないというか…。何より”お客様ファースト”な入居相談室だと思っています。
―先ほども出てきましたね、”お客様ファースト”。「いい介護 入居相談室」の”お客様ファースト”というと?
「本当にお客様のことを考えた提案」をすることでしょうか。
例えば、比較的お元気な方が、「介護が手厚い施設なら将来が安心だから」と、介護や医療体制が充実している施設を選んだ場合。介護・医療体制が充実している施設は、要介護度が重いご入居者が多い傾向があるので、他のご入居者とのギャップを感じる可能性があることも伝えて、違う選択肢も提案します。
また、介護サービスを活用すれば在宅介護を継続できる状況なら、「今はご自宅の生活を続けても良いんじゃないですか」と言うこともありまね。
―お客様への”愛”を感じますね。
そうそう!どの入居相談員も、愛を持ってお客様と接しています。それに、愛だけではなく豊富な知識も、”お客様ファースト”な提案ができる理由です。
「いい介護 入居相談室」には、10年以上の経験のあるベテラン相談室が何人もいます。豊富な経験と知識を持つ相談員が、愛情たっぷりにお客様にぴったりの老人ホームをご案内していますよ(笑)。
【プロフィール】
藤井 亜美
神奈川県横浜市生まれのA型。世界一かわいい生き物はコーギーと思っているほどのコーギー好き。福祉用具専門相談員、結婚相談所の相談員…と「相談員」は3職種目。多様な相談に乗ってきた経歴を持つ。好きな球団はエンゼルス。理由は「大谷翔平くんがいるから」というミーハーな一面も。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。