入居相談員の教育係としての経験もある二見さん。1人のお客さまに対して、見学に同行した施設数は、なんと最大20件!どうしてそんなにたくさんの施設を見学することになったのでしょうか?今回は二見さんに、何かと迷いがちな施設探しのコツについても詳しく聞いてみました!
―二見さんは、入居相談員歴は何年になるんでしょう?
二見
相談員としては3年くらいです。ただ、紹介センターを運営していた前の会社では、相談員の教育係やお客さまの初回対応をする受付窓口もしていました。なので、入居相談に携わっているのはトータルで10年くらいです。
―相談を受けるときに心掛けていることはありますか?
二見
お客さまと信頼関係を築くことですね。できれば、本音でなんでも言っていただきたいと思っています。
「電話でなんでこんなに質問されなきゃいけないの」と感じられる方もいると思うのですが、本音や希望条件をまずは話していただきたいんです。
それに希望の条件を伺っておくことで、メリットだけではなくて、その方にとってのデメリットも事前にお伝えしやすくなります。
―デメリットも…?
デメリットを先に知ったうえで入居するのであれば受け入れやすいのですが、入居後に知るとショックが大きいと思います。そのショックのせいで、移り住みを検討し始めて、施設探しを再開する方もいらっしゃいます。
私はそれを避けたいので、デメリットをきちんとお伝えするためにも本音で話していただきたいと思っています。
本来であれば、信頼していただくために見学に同行するのが一番だと思うのですが、今はあまりできていないのでなかなか難しいですね。
―現在は感染予防のために見学の同行を控えていますよね。再開したら同行したいですか?
二見
もちろん同行したいです。お電話だけだと、どうしてもお客さまの様子がわからなかったりお互いの表情が見えなかったりしますから。
あと、見学に同行すれば施設の方に聞き忘れたことを私がその場で質問することができますから。それに、もし施設の方に聞きにくいことがあれば、私が代わりに聞いて差し上げることもできますし。
お客さまのなかには「これから家族を預けるかもしれないから、施設ともめたくない」と考えて、要望をあまり言わない方もいらっしゃるんです。
―確かに、これからお世話になるかもしれない施設ですもんね。
二見
でも、言いたいことは言わなければ伝わりません。だから、施設とお客さまの間に私たち入居相談員が立つことで、お互いが対等になれるように配慮しています。
施設としても何とかしてあげたい気持ちはあるけれど、人員の関係でできなかったりもしますし、希望を実現できるかどうかはさておいて、まずは言いたいことを言っていただきたいです。
―たくさんのご相談を受けていると思いますが、中でも印象に残っているものはありますか?
二見
全部で20施設くらい見学したご相談ですかね。ご希望エリアの施設を片っ端から見学したんです。
そのお客さまは、たくさんの施設を見学することでご自分の現状と妥協点を見出されたようでした。「これだけ施設を見学しても理想のホームはないのだから、一番希望に近い施設にする」とおっしゃっていましたね。
やっぱり、完全に自分の理想と一致する施設というのはまずないので、「何が譲れない点なのか」「我慢できる点は何なのか」と希望条件に優先付けをして施設探しをしていただきたいです。
このご相談を経験して、「条件の優先付けが大切」と考えるようになりました。やはり、20施設も見学するのは大変なので…。
―このお客さまは、どうして20施設も見学をしたんですか?
二見
「理想通りのホームが必ずあるはず!」という強いご希望だったので(笑)。
ただ、実際に見学したことで条件の整理もできましたし、デメリットや将来的に考えられる懸念点についてもきちんとお伝えできたのでよかったな、と思っています。
―「将来的に考えられる懸念点」というのは、例えばどういったことでしょうか?
二見
一般的には費用面ですね。介護度が上がると、介護保険の自己負担額が多くなります。なので、相談した時点では予算内でも将来的には予算オーバーしてしまうこともあるんです。
費用がオーバーしてしまったことによる移り住みの相談も多いので、予算をはっきりお聞きして計算したうえでご案内していますね。
―将来的な費用も計算してご紹介しているんですね。
二見
やはり、費用はお客さまの多くが気にされることですから。
ネットやパンフレットを使って、お客さまご自身で調べられても良いと思うのですが、施設種別の違いをわからないまま施設を選んでしまうこともあると思います。
一口に「介護施設」と言っても、「介護付き有料老人ホーム」とか「サービス付き高齢者向け住宅」とかいろんな種類があるじゃないですか。そのサービス内容の違いをわからないまま入居すると、想定よりも多くお金がかかってしまうこともあるんです。
だから、介護度が上がった場合のことも考えて、事前に懸念点をお客さまにお伝えするのも相談員の仕事だと思っています。
―入居相談員をしていて、やりがいを感じるのはどんなときですか?
二見
「この世の終わり」のような暗い顔をされていたお客さまが、ご紹介した施設に入って「入居して良かった」と言っていただけたときですね。
施設探しは、お金やご家族の事情が絡んできて他の人にあまり言いにくい部分もあると思うんです。だから、1人で悩んでいらっしゃる方が多くて、今にも泣き出しそうな様子でお話しされる方もいました。
その悩みを私が引き受けて少しでも軽くしてあげられたら良いな、と思ってお話を聞いています。
―施設を探すだけでも大変なのに、さまざまなことを悩んでいる方が多いんですね…。
二見
そうなんです。「良い施設に入れてあげたい」と思いつつも、費用の問題でそれができなかったり。施設に入れることに抵抗があって「なんて親不孝な子どもなんだ」と思い詰めていらっしゃる方もいて。
施設に入れるのは、実はすごいことなんです。入居するのにお金もかかりますし、施設探しには時間もかかる。親御さんのためにお金も時間もかけられるというのは、本当に親孝行なことですよ。
なので、1人で思い詰めずに何でも私たちに相談していただきたいですね。
【プロフィール】
二見幸恵/入居相談員歴:2019年~
神奈川県大磯町生まれのA型。趣味は旅行のインドア派。施設見学のときに昼食の試食をさせてもらうことが仕事の楽しみのひとつ。そのときの献立を自分で作ってみることも楽しいんだそう。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。