”老人ホームの紹介センター”がほとんどなかったころから相談員をしている大ベテランの小澤さん。実は人見知りで、初めてのお客さまには緊張してしまうんだとか。そんな小澤さんに、人見知りの対策や相談員の仕事の魅力を詳しく聞きました!
―入居相談員歴が長い小澤さんですが、相談員を始めるきっかけは何だったんですか?
小澤
僕はもともとはトリマーだったんです。ただ、給料面が厳しくて…(笑)。一人暮らしを続けていくのであれば問題ない額ではあったんですが、将来的に家族を持ったときには相当厳しいな、と思ったんです。
それで、今度は会社勤めをしてみようと思って、たまたま入居相談員の募集をしていた前の会社に入りました。それが16年前ですね。
それから相談を受け始めて1ヵ月くらいで、初めて僕が担当したお客様の入居が決まったんです。それが入居相談のコツをつかむきっかけになったというか、どう説明したら介護の知識のない方に理解してもらえるのかがわかるようになりました。
どのお客さまにも同じように定型文で説明するのではなくて、その方によって説明を変えなければいけない。それを徐々につかんでいきましたね。
―入居相談員としてのモットーや大切にしていることはありますか?
小澤
本当に必要なときには、お客さまの背中を押すことを大切にしています。たまに説教くさくなってしまいますけど(笑)。
―お客さまに説教、ですか!?
小澤
はい。「あなたやあなたのご家族のことを思って言っているんですよ」ということが伝われば、ちゃんとわかってくれるものですから。
―例えば、どんなことを言うんでしょう?
小澤
明らかに今のタイミングで見学に行かないと入居希望時期に間に合わないのに、動いていただけないときですかね。例えば「今動かないと、親御さんの行き場がなくなってしまいますよ」「あなたが動かなくて誰が動くんですか」とお話しています。
―小澤さんはたくさんのご相談を受けていると思いますが、そのなかでも印象に残っているものはありますか?
小澤
印象に残っていると言うか、私が相談員を始めた当初から連絡を取っているお客さまがいます。
―え、 当初というと16年前から?
小澤
そうです。仲が良いので今では家族ぐるみの付き合いになっていて、ご自宅に伺ったりもしますよ。お子さんのこともよく知っているので、変わったことがあればお子さんに伝えたりとか。
最初は「入院したので、そろそろ施設を考えたい」とご相談が来ました。でも、体調が回復してご自宅で生活できるようになって。その後は、「施設に入りたい」と「入りたくない」のくり返しなんです。だから僕も、「好きにして良いと思いますよ」とご本人の意思におまかせしています(笑)
それに僕は祖父母を早くに亡くしているので、その方が自分の祖父母のような感覚になっていて。あまりにも困ったことを言うときは、その方に怒ることもあります。
―なんと言って怒るんですか?
小澤
「何かあった時は小澤さんが来てくれるから施設に入らない」とおっしゃるんです。だから、僕は「それでは何の解決にもならないですよ」と何度もお伝えしています。まあ、実際に何かあったときは行っちゃうんですけど(笑)。
その方とは本当の祖父母のように仲良くさせてもらっているので、施設に入ってほしい反面、入ってほしくない気持ちもあります。
「なるべく手助けしてあげたいけれど、現実的には難しいから施設に入ってもらわないと」という感じですかね。
―16年間やっていて感じる「入居相談員の魅力」は何ですか?
小澤
いろんな人生を見られることですね。お客さまは戦争の体験をしていたりいろんな人生を、それぞれが歩んでいらっしゃいます。それを、ご本人からはもちろん、ご家族からも聞いたりできる。
お一人おひとりで違うストーリーを持っていらっしゃるから、この仕事に飽きることはないですね。
―いろんな人の話が聞けるのは楽しそうですね。
小澤
ただ僕は、人と話すのがまったく苦痛ではないタイプではあるんですけど、人見知りなんですよ。だから、特に初回のご相談の方は僕が喋りまくるんです。それで自分の中の壁をなくすというか、緊張をなくすというか。そうしないと、いつまでたっても打ち解けられないんですよね。
介護に関する話なんて、本当はご家族も他人に話したくないはずなんです。だけどそれを包み隠さず悩みとして相談していただけると、「なんとかしてあげたい」という気持ちになるというか。
反対に情報をすべて開示していただけないようなケースだと、本当にマッチした施設をご紹介できないこともあります。「それを先に言ってもらえてたら、こっちの施設を紹介したのに」ということもあるんですよね。
もちろん、言いにくいことはあると思うんですよ。だから、初回の相談では言えないにしても、お話していくうちに話してもらえるようになると嬉しいですね。
【プロフィール】
小澤太樹/入居相談員歴:2005年~
東京都練馬区生まれのA型。好きな映画は「ブレイブハート」で、好きな俳優はロビン・ウィリアムズ、メル・ギブソン、阿部寛…など「あげたらキリがない」と本人談。最近の趣味は部屋の掃除。子どもが片付けないため”不本意ながら”趣味になってしまったそう。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。