【司法書士監修】任意後見制度とは|手続きの流れや費用、成年後見制度との違い

【司法書士監修】任意後見制度とは|手続きの流れや費用、成年後見制度との違い

更新日 2024/04/15

認知症など認知障害により判断能力が不十分になる前に、将来の備えや介護施設に入居するための準備として、任意後見制度の利用を検討する方が増えています。

そこでこの記事では、任意後見制度とはどのような制度なのか?その特徴と必要な手続きの流れを解説していきます。

任意後見制度とは?

任意後見制度とは、本人に充分な判断能力があるうちに、将来、認知症などで判断能力が低下したときに、本人に代わって事務手続きなどおこなう人を定めておく制度のことをいいます。

本人が判断能力を有するうちに、将来の財産管理、介護サービス締結や療養看護に関する手続きなどを、信頼できる方にあらかじめお願いし、引き受けてもらう契約を結びます。

この契約は任意後見契約を呼ばれ、公正証書によって締結されます。任意後見契約においては、依頼人(本人)は委任者、引き受ける方は任意後見受任者(後に、任意後見人)と呼ばれています。

成年後見制度との違い 任意後見制度では、本人に判断能力があるうちであれば、あらかじめ本人が自分で選んだ後見人と本人の意思に基づき契約を結ぶことができます。

自分の後見人となって欲しい方を選べるのはもちろんのこと、その方に自分が認知症になった際にどのような生活を送りたいかを、あらかじめ伝えておくことができます。

一方、耳にする機会の多い「成年後見制度」とは、本人の判断能力が不十分になった後に、周囲の方などが家庭裁判所に後見人の選任を申し立てをおこない、選任された後見人が支援をおこなう法定後見制度のこと。本人が自分で後見人を選ぶことはできません。

これらの任意後見制度と法定後見制度をまとめて、「成年後見制度」と呼ぶこともあります。

成年後見制度について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

手続きの流れ 4つのステップ

任意後見制度を利用する際の手続きの流れを見ていきましょう。

  1. 任意後見人受任者を決める
  2. 内容を決め契約を結ぶ
  3. 申し立てをする
  4. 任意後見人が選任される

1.任意後見受任者を決める

まず、後に任意後見人となってもらう任意後見受任者を決定します。

任意後見人になるためには、特別な資格は必要ありません。家族や親族はもちろん、信頼できる友人、または弁護士や司法書士などの第三者や法人と契約を結ぶこともできます。

また、業務を確かに遂行するために、任意後見人を複数定めることもできます。ただし、以下の項目に該当する人は任意後見人にはなれないので注意してください。

  • 未成年者
  • 破産者
  • 行方不明者
  • 被後見人に訴訟を起こした人とその配偶者
  • 過去に後見人を含む法定代理人を解任されたことがある人
  • その他不正な行為をおこなうなど任意後見人に適さない経歴がある人

2.内容を決め契約を結ぶ

任意後見受任者が決定し、支援してもらう契約内容も定まったら、本人と任意後見受任者の間で任意後見契約を結びます。

必ず本人と任意後見人がともに公証役場に訪れ、公正証書を作成し、契約を締結しなければなりません。この公正証書によって締結されていない契約内容はすべて無効になるため、証書作成の際は最善の注意が必要です。

また、公証役場は予約が必要となり、突然、訪問しても任意後見契約を締結することができません。任意後見契約の内容も公証役場に事前に伝えておく必要があります。契約内容の策定や公証役場とのやりとりについては、司法書士や行政書士のサポートを受けながらおこなうことも良いでしょう。

契約にあたり必要になるもの

任意後見契約をおこなう際に必要となるものには下記のものがあります。必ずすべての書類を揃え、確認してから公証役場に向かいましょう。

本人の必要書類

  • 印鑑証明
  • 戸籍謄本
  • 住民票

任意後見受任者の必要書類

  • 印鑑証明書
  • 住民票

※いずれも発行から3カ月以内のもの

3.申し立てをする

任意後見契約を結んだ後、本人の判断能力が低下し始めたタイミングで、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に「任意後見監督人の選任」の申立てをおこないます。

任意後見監督人の選任がなければこの契約は開始できないため、ただちに申立てをおこなう必要があります。申立てができる人は、本人、または任意後見受任者、本人の配偶者と四親等内の親族ですが、本人以外が申立てをおこなう場合は、原則として本人の同意が必要となります。

ただし、本人が意思表示できる場合は同意は不要です。

申し立てに必要なもの

申立てには、下記の書類が必要となります。すべての書類を揃えてから、家庭裁判所に申立てをおこないましょう。

家庭裁判所によって必要書類や書式が異なることもあるので、詳しい内容は、申立てをおこなう家庭裁判所のWEBサイトなどで確認することをおすすめします。

  • 申立書
  • 申し立て事情説明書
  • 本人の財産目録及び資料
  • 本人の収支状況報告書及びその資料
  • 任意後見受任者事情説明書
  • 親族関係図
  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • 後見登記事項証明書
  • 任意後見契約公正証書の写し
  • 成年後見用の診断書

4.任意後見監督人が選任される

任意後見監督人の選任の申立てにより、家庭裁判所が、本人の状態と任意後見受任者の事情を考慮した上で審理をおこない任意後見監督人を選定します。

結果は、家庭裁判所から任意後見人に郵送で通知され、その後に法務局が、家庭裁判所の依頼に基づき、任意後見監督人に関する情報と任意後見が開始した事実を登記します。

任意後見監督人が選定された時点で、任意後見受任者は任意後見人となり、契約内容に記載された支援をスタートすることができます。

任意後見制度の利用にかかる費用は?

任意後見制度を利用するには、準備段階として下記にかかる費用を事前に用意しておかなければなりません。

  • 公正証書を作成する手数料
  • 任意後見監督人選任の申し立て費用
  • 任意後見人への報酬

ここでは、具体的にはそれぞれどのくらいの費用がかかるのかを詳しくみていきます。

公正証書を作成する手数料

公正証書の作成手数料とは、公証人に任意後見契約書を作成してもらうために必要な費用のことをいいます。

実際にかかる費用として「基本手数料」に1万1,000円、「登記嘱託手数料」に1,400円、登記所に納付することになる「印紙代」として2,600円などが必要となります。

任意後見監督人選任の申し立て費用

家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てをする際にも、費用がかかります。

具体的には「申し立て手数料としての収入印紙代」に800円、「登記手数料としての収入印紙代」として1,400円、連絡用の「切手代」に3,000~5,000円程度がかかります。また、成年被後見人の精神鑑定が必要な場合には、さらに5~10万円程度が必要になることがあります。

任意後見人への報酬

任意後見契約が実行され、任意後見人の業務と任意後見監督人による監視と事務がスタートしたら、必要に応じてそれぞれに対して報酬を支払うことになります。

任意後見人の場合、家族や親族がそれを担う時など、契約時に報酬についての取り決めがなければ、法律上は無報酬になるということも多くあります。ただし、一般的に第三者の弁護士、司法書士などの専門家に任意後見人をお願いする場合は、報酬を支払う必要があります。

その金額や支払い方法、支払い時期などについては、事前に本人と後見受任者の間で自由に取り決めることができます。本人が持つ財産が多ければ、管理業務や負担も増えるため、支払う報酬金額も上がることが多くなるようです。

報酬の目安

任意後見人が第三者であった場合、本人の財産状況にもよりますが、月々1~3万円の報酬が支払われることが多いようです。

また、任意後見監督人に対しては、報酬を支払う決まりとなっており、家庭裁判所によって、本人の財産の中から相当な報酬金額が決められます。その額は月々1~3万円程度のようです。

任意後見の契約は3種類ある

任意後見の契約は、開始時期によって以下の3つの種類に区別されます。

  • 即効型
  • 将来型
  • 移行型

それでは、それぞれの内容を詳しくみていきましょう。

即効型

任意後見契約のうち、契約の締結後すぐに任意後見の支援を開始する契約を「即効型」といいます。

「即効型」は、本人の判断能力がすでに低下してきているが、本人自身で契約締結の判断ができる場合のみ利用できます。契約後は、速やかに任意後見を開始するために、直ちに家庭裁判所に対して任意後見監督人の申し立てをおこないます。

「即効型」の任意後見契約を締結する場合は焦っていることも多く、契約内容の理解や確認が本人だけでは不十分になってしまい、後になって後悔…というケースも見受けられます。契約を締結するときは、本人だけでなく、ご家族や親族の方に確認してもらえるようお願いすると良いでしょう。

将来型

任意後見契約の「将来型」とは、本人の判断能力がある時点で、事前に締結しておく任意後見契約のことをいいます。本人の判断能力が低下したタイミングで家庭裁判所に対して任意後見監督人の申し立てをおこなうことで、任意後見契約が開始されます。

一般的に契約締結から任意後見までの期間が長く空いてしまうことが多く、いつ任意後見を開始させたら良いのかの判断が難しくなり、場合によっては開始せずに本人が亡くなってしまうケースもあります。

また、長い期間が空いてしまうことによって、任意後見受任者が契約忘れてしまう恐れもあるので「見守り契約」も併せて締結しておくことをおすすめします。

移行型

「移行型」の任意後見契約では、例えば、任意後見契約と同時に財産管理、見守りなどの委任契約を結び、その支援の一部を任意後見よりも先に開始します。のちに、本人の判断能力が低下してきた段階で、本格的に任意後見に移行します。

「移行型」の契約は、「将来型」のように線が途切れる心配がないこともあり、最も多くの方に利用されているようです。

「移行型」の委任契約で扱われる契約として下記のものが挙げられます。

  • 本⼈の健康状態を把握するための⾒守りを⾏う「⾒守り契約」
  • 財産管理や身上監護における委任契約である「財産管理等委任契約」
  • 死亡後の葬儀やお墓に関する委任契約である「死後事務委任契約」

任意後見制度ではカバーされない死後についても、事前に「死後事務委任契約」を締結しておくことで本人が死亡し任意後見が終了しても、支援の継続が約束されるので、本人の大きな安心につながるでしょう。

任意後見人の基本的な役割は?

任意後見人にはどのような役割があるのでしょうか?その内容を見ていきましょう。

財産の管理

任意後見人の大きな仕事のひとつに「財産の管理」があります。本人に代わり、預貯金や年金を管理して出し入れや振込みをおこない、自宅など不動産の管理、税金や公共料金の支払いなどもおこないます。

介護や生活面の手配

「介護や生活面の手配」も任意後見人の大切な仕事となります。

具体的には、必要に応じて要介護認定の申請をおこなったり、介護サービスの利用や介護施設に入居するための手配や申込みと支払い、医療機関を利用する際や入院の際の手続きと支払いをおこないます。

また、生活費を届けたり送金したりするなどもおこない、生活全般の手配や療養看護などの事務手続きを代行します。

任意後見制度のメリット

任意後見制度を利用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?具体的には以下のようなメリットがあります。

  • 希望を具体的に反映できる
  • 任意後見人を自分で選ぶことができる
  • 任意後見人の仕事ぶりを確認してもらえる
  • 介護施設への入居の備えにできる

希望を具体的に反映できる

任意後見制度では、契約内容に現時点の本人の意思や要望を具体的に反映できることが、最大のメリットだといえます。

その内容は多岐に渡り、将来的に利用する介護施設や病院の選定や治療・介護サービスの内容、財産管理や保護に関すること、後継人への報酬などご自身の希望に沿った内容で契約することができます。

一方、法定後見制度は、本人の判断能力が失われた後に裁判所によって後見人が選任され、支援を開始する制度のため、財産管理の方法や利用する病院、介護サービスなどの選定についてのほとんどを後見人が決定することが多く、それは本人やご家族の意思とは異なることもあるかもしれません。

任意後見人を自分で選ぶことができる

任意後見制度では、本人が前もって、信頼できる人を後見人として選んでおけることもメリットのひとつであるといえます。

後見人として選ばれる人には特別な資格もいらないので、親族はもちろん信頼できる第三者に、自分の将来を託すことができます。

しかし、法定後見制度での後見人の選任は、家庭裁判所によっておこなわれます。そのため、後見人として望ましい人が親族にいたとしても、その人が家庭裁判所によって選ばれるとは限らないのです。

任意後見人の仕事ぶりを確認してもらえる

任意後見制度では、家庭裁判所によって任意後見監督人が選出され、第三者の面から後見人の仕事ぶりを監視、確認してもらうことができます。

介護施設への入居の備えにできる

介護施設への入居の備えとして、身寄りのない方や親族に身元引受人等を頼めない方が任意後見制度を活用することも可能です。

民間の介護施設では、入居契約の際、身元引受人・保証人を立てる必要があり、これらを立てられない場合は身元保証会社と契約するか、任意後見人を定めることが条件になることが多くあるためです。

任意後見人制度のデメリット

一方、任意後見人制度を利用するにあたってのデメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • 判断能力の有無で決まる
  • 死後の処理は委任できない
  • 法定後見制度とは違い取消権がない

判断能力の有無で決まる

任意後見制度のデメリットとしては、本人の判断能力が下がってしまってからでは、制度を利用することができないという点が挙げられます。

任意後見契約は、本人の明確な意思のもとに締結されるものであって、本人に認知症などの認知障害がみられる場合には、この制度を利用することはできません。

死後の処理は委任できない

任意後見人の権限は、委任者(本人)の死亡によって終了してしまいます。

葬儀やお墓の管理、自宅の片づけや相続手続きなど、ご自身の死後はどうなるのかについて不安を感じることがある場合でも、死後の事務処理や財産管理を、任意後見人に依頼することはできません。そのため、任意後見契約とは別に「死後事務委任契約」を結ばなければなりません。

また本人の死後は、自分が信頼して選任した任意後見人であっても裏切られることもあり、本人の意思通りにことが進められる確実な保証はなくなるケースもあるようです。

法定後見制度とは違い取消権がない

認知症の方の周りでは、詐欺行為や悪徳な業者による不当な契約を迫られる事態が多く見受けられます。

法定後見制度では、不利益な契約であると判明した場合には、あとからでも契約を解消できる取消権が認められています。

しかし、任意後見制度では取消権は認められていないため、判断能力が低下した本人が契約した内容によっては、不利益が発生してしまうことがあります。

任意後見契約が終了するのはいつ?

任意後見契約では、終了事由があった場合や委任者である本人が亡くなった時に、契約が終了します。

終了事由として、本人の破産、任意後見人が認知症などになり判断不十分になった場合が挙げられます。

また、任意後見人による不正行為や著しい不正行跡が発見されたとき、その他の後見人として任務に適さない事由があるときも、家庭裁判所によって任意後見人を解任することができます。その解任請求ができるのは、本人または親族、任意後見監督人や検察官となります。

任意後見は将来に備えた準備

任意後見制度は、元気なうちに、認知症などによって判断能力が低下してしまうことを見据えた将来の備えとして利用され始めています。

ご本人自身で、残りの人生をどう生きるのかを考慮して契約内容を決められることは、大きな安心に繋がります。その安心のためにも、任意後見人には、ご本人のために最善を尽くしてくれる、信頼できる方を選ぶことが重要になります。

任意後見人には、ご本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況を配慮しながら業務を遂行する義務があるからです。また、介護施設の入居にも、任意後見制度が利用できることは、将来の不安を和らげてくれる大きなポイントになります。

以上の点を踏まえたうえで、任意後見制度の利用を選択肢のひとつとして、検討することをおすすめします。

任意後見制度に関するよくある質問

任意後見制度とは何ですか?

任意後見制度は、本人に充分な判断能力があるうちに、将来、認知症などで判断能力が低下したときに、本人に代わって事務手続きなどおこなう人を定めておく制度のことを言います。

本人に充分な判断能力があるので、希望を具体的に反映できたり、任意後見人を自分で選ぶことも可能なのが任意後見制度のメリットと言えます。

任意後見人は誰でもなれますか?

任意後見人になるためには、特別な資格は必要なく、家族や親族はもちろん、信頼できる友人に依頼することも可能です。ただし、未成年者、破産者、行方不明者などの任意後見人の任務に適しない事由のある人は任意後見人にはなれないので注意が必要です。

任意後見人の役割は何ですか?

任意後見人の大きな仕事のひとつとして財産の管理が挙げられます。主に預貯金や年金を管理して出し入れや振込み、自宅など不動産の管理、税金や公共料金の支払いもおこないます。

また、介護や生活面の手配も仕事のひとつとして挙げられます。具体的に介護サービスの利用や介護施設に入居するための手配や申込みや支払い、医療機関を利用する際や入院の手続きと支払いなどもおこないます。

地域から老人ホーム・介護施設を探す

北海道・東北

北海道札幌市)|青森県岩手県宮城県仙台市)|秋田県山形県福島県

関東

東京都神奈川県横浜市 / 川崎市 / 相模原市)|埼玉県さいたま市)|千葉県千葉市)|茨城県栃木県群馬県

甲信越・北陸

新潟県新潟市)|富山県石川県福井県長野県山梨県

東海

愛知県名古屋市)|岐阜県三重県静岡県静岡市 / 浜松市

関西

大阪府大阪市 / 堺市)|京都府京都市)|兵庫県神戸市)|滋賀県奈良県和歌山県

中国・四国

岡山県岡山市)|広島県広島市)|鳥取県島根県山口県徳島県香川県愛媛県高知県

九州・沖縄

福岡県福岡市 / 北九州市)|熊本県熊本市)|佐賀県長崎県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

article-image

グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト