デイケアを選ぶ際には、どのようなポイントを重視するのが良いのでしょうか?必ず確認しておきたい4つのポイントと、デイケアとデイサービスの使い分け方までを解説していきます。
この記事を監修する専門家
利用者の希望に沿った介護を念頭に、住み慣れた家・地域での総合介護・ケアで介護施設を複数運営。現在もケアマネジャーとして、利用者本人や家族との連携を密に取りながら現場第一主義で日々奮闘している。趣味は山登りとマラソン。
デイケアを選ぶときの4つのチェックポイント
デイケアを選ぶ際に必ずチェックしておきたいポイントは以下の4つです。
- デイケアの雰囲気が合うかチェック
- リハビリ内容や設備をチェック
- 提供される食事
- 入浴の状況
それぞれ詳しく見ていきましょう。
デイケアの雰囲気が合うかチェック
デイケアを選ぶポイントで最も大切なのは、施設の雰囲気でしょう。できる限り利用するご本人と一緒に見学することが重要です。他の利用者が快適に過ごしているか、スタッフの対応は丁寧であるかなど、デイケアの様子を、実際に施設を訪れてチェックしておきましょう。
見学に最適なのは、利用者の交流がある時間帯です。たいていの施設では、利用者が集まりやすい午前11時あたりがおすすめですが、施設によっても異なるので、事前に問い合わせてみるのも良いでしょう。
リハビリ内容や設備をチェック
デイケアで行われるリハビリの内容は、施設に所属するリハビリの専門スタッフや設備環境によって異なります。
リハビリの専門スタッフには、作業療法士(OT)・理学療法士(PT)・言語聴覚士(ST)がいますが、すべての施設にこれらのスタッフが在籍しているわけではありません。そのため、希望する施設に利用者本人に必要なリハビリができる専門のスタッフがいるのかを、事前に確認しておく必要があります。
また、目的に合ったリハビリができるマシンや器具などの設備が整えられているのかも、前もってチェックしておくようにしましょう。
作業療法士(OT)とは
作業療法士(OT)は手芸や園芸、絵画などの日常的な作業技法を使って、入浴や着替えといった日常生活を自立して送るための動作を訓練します。入浴や着替え、家事や手仕事なども「作業」と位置づけ、それらをスムーズにできるようなリハビリを行います。
理学療法士(PT)とは
理学療法士(PT)は座る、立つ、歩くといった基本動作を行う力を回復、維持することを目的に、運動療法だけではなく、温熱や電気といった物理療法も行う医学的リハビリの専門家です。
言語聴覚士(ST)とは
音声機能、言語機能、聴覚に障害のある人に対して、機能回復を目指して言語訓練を行う専門家のことを言語聴覚士(ST)といいます。話すことだけではなく、飲み込む訓練も行い、食べる力を回復させるリハビリも含まれます。
提供される食事
デイケアで提供されている食事についても、チェックしておくことが大切です。施設によって食事の提供方法は違い、その場で調理される場合と一括調理や冷凍配送、配食サービスの利用などがあります。
糖尿病などの疾患に合わせた制限食は提供されているのか、利用者の飲み込む力に合わせた食事形態を選ぶことはできるのかもあわせて、必ず確認しておきましょう。事前に申し込めば実費で試食することも可能な施設もあるので、問い合わせてみても良いでしょう。
入浴の状況
入浴設備も施設によって異なるため、浴室の見学をおすすめします。入浴方法には、複数の利用者が一緒に入って楽しむことができる一般浴と、筋力的に不安のある方でも補助があれば入浴できる個室浴、寝たきりの方などが利用できる機会浴があります。
見学では、快適な入浴環境であるのかをチェックし、利用者本人の希望と身体状態に合わせた設備がある施設を選びましょう。ただし、短時間のデイケア利用では、入浴の提供は基本的にはありません。
状態別のおすすめのデイケア
デイケアを選ぶ際には、利用者本人の身体状態にあった施設を選ぶことが大切です。ここでは、状態別におすすめのデイケアを紹介していきます。
嚥下障害を持つ人
食べ物などを飲み込む動作に障害がある、嚥下(えんげ)障害をお持ちの方には、言語聴覚士のリハビリを受けることをおすすめします。
リハビリを受けることによって、食事や水分がむせなくなったり、飲み込みしやすくなることが期待できます。
ただし、すべてのデイケア施設に言語聴覚士がいるわけではないため、事前に確認し、言語聴覚士が在籍する施設を選んでみましょう。
医療的ケアが必要な人
寝たきりの人や胃ろうの人など医療的ケアが必要な方は、看護体制が整っている点を重視してデイケアを選びましょう。
看護師がいる施設では「重度療養管理加算」や「中重度者ケア体制加算」を請求しています。希望する施設にこれらの加算の請求があるか、施設の体制と環境について必ず確認しておきましょう。
重度療養管理加算とは
要介護3、4、5(短期入所療養介護では4、5)の医療的ケアが必要な利用者に対し、デイケア施設が療養上必要な処置を行った場合に評価される加算のことを「重度療養管理加算」といいます。
中重度者ケア体制加算とは
デイケア施設などが、中重度者を受け入れられる態勢を整えるために必要となる加算のことを「中重度者ケア体制加算」といいます。
栄養状態が悪い人
栄養状態に不安のある方や食事量が少ない方は、管理栄養士が在籍するデイケア施設を選ばれることをおすすめします。
栄養状態が悪いまま筋肉を鍛えても、あまり意味はありません。そのため、管理栄養士がいる施設では、効果的なリハビリのためにも、筋肉量の維持と増加を目指した栄養管理を行っています。
デイケアとデイサービスの使い分け
デイケアとデイサービスを使い分けたり、併用することは可能なのでしょうか?詳しく説明していきます。
デイケアからデイサービスに移行することが可能
デイケアのリハビリによって機能が回復し、専門的なリハビリや医療的ケアの必要性がなくなった場合は、デイサービスに移行することが可能です。
デイケアはデイサービスに比べると基本料金が割高なため、医療的ケアの必要がなくなった時点でデイサービスに移行することを検討し始めましょう。
引き続きリハビリを希望する場合は、機能訓練やリハビリを重視するデイサービスを選ぶこともできます。移行を検討するときは、まずケアマネジャーに相談してみましょう。
デイケアとデイサービスの併用は「要介護1~5」であれば可能
デイケアとデイサービスにはそれぞれの特徴があり、どちらも利用したいと考えるご家族もいらっしゃるでしょう。
介護保険を適用してデイケアとデイサービスの併用する場合は、要介護1~5であれば可能です。また、要支援1・2の方が介護保険を適用する場合は、デイケアのみの利用となります。
ただし、全額自己負担で利用できるデイサービスや「介護予防サービス」のデイサービスを併用することはできるので、ケアマネジャーに相談することをおすすめします。
デイケアは目標達成で卒業になる
デイケアはリハビリの目標が達成されると終了となるケースがあります。大半の利用者は、デイケアを卒業した後にデイサービスへの移行し、引き続き機能訓練を続けます。
デイケアが終了するということは、リハビリに高い効果があり、身体機能が回復できたということです。施設を選ぶときに、リハビリの目標を達成して卒業された利用者が多い施設かどうかのポイントも考慮してみるのはいかがでしょうか。
機能回復が期待できるかもしれません。まずは、ケアマネジャーに相談をし、利用するご本人と一緒にデイケア施設の見学へ行ってみましょう。
デイケアの選び方に関するよくある質問
デイケアを選ぶときのポイントは何ですか?
「デイケアの雰囲気が合うか」「リハビリ内容や設備」「提供される食事」「入浴の状況」が主に挙げられます。特に、施設の雰囲気については、他の利用者が快適に過ごしているか、スタッフの対応は丁寧であるかを見学時に確認する必要があります。
デイケアを利用すればすべてのリハビリ希望が叶いますか?
実際に提供されるリハビリ内容やリハビリ器具の種類、設備環境といったものが施設によって異なるので、すべての希望が叶えられるわけではありません。デイケアを利用する際は、施設を事前に見学しリハビリ内容、設備環境について確認しましょう。
医療的ケアが必要でもデイケアは選択できますか?
医療的ケアが必要でもデイケアを選択することはできます。ただし選択できる条件として、看護体制が整っていることが条件として挙げられます。
また看護師がいる施設については、「重度療養管理加算」や「中重度者ケア体制加算」などをサービス加算として請求している施設も多く、費用に関しては確認が必要です。
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「いい介護」の記事を編集・執筆する専門チームです。介護コンテンツのベテラン編集者や介護施設職員の経験者など、専門知識をもったスタッフが、皆さまの介護生活に役立つ情報をお届けします!