デイサービスを選ぶときに、どのような点に気をつけたらよいのかと悩まれる方も多いことでしょう。デイサービスを利用する際にチェックしておきたいポイントと、上手な選び方についてのアドバイスを紹介します。
この記事を監修する専門家
利用者の希望に沿った介護を念頭に、住み慣れた家・地域での総合介護・ケアで介護施設を複数運営。現在もケアマネジャーとして、利用者本人や家族との連携を密に取りながら現場第一主義で日々奮闘している。趣味は山登りとマラソン。
デイサービスを選ぶときの4つのチェックポイント
デイサービスを選ぶ際には、チェックしておきたいポイントが全部で4つあります。
ここからは、それぞれを詳しく見ていきましょう。
職員の体制や設備、雰囲気
デイサービス選びで最も大切なチェックポイントは、施設の設備やスタッフの雰囲気、他の利用者の様子です。実際に施設を見学し、細かく確認しましょう。
施設の清掃や整備はきちんとなされているのか、スタッフの対応などは丁寧で親しみやすいか、スタッフと利用者の間に良い関係が築かれているか、経験豊富なスタッフや有資格者は揃っているのかなどが、見極めるポイントになります。
実際に利用者に話しかけ、楽しく快適に過ごせているのかを聞いてみるのも良いでしょう。
提供される食事
デイサービスで提供される食事についても、必ず確認しておきましょう。食事の提供方法は施設内で調理される場合と外部の配食サービスなどを利用している場合があり、それぞれの施設によって異なります。
見学の際には、温かい食事が提供されているか、利用者の介護度に合わせた食事が提供されているか、糖尿病などの制限食にも対応しているのかを確認しましょう。
また、食費は実費で、1食分の費用は施設によって違います。かかる費用を踏まえたうえで、食事の内容などを検討することも大切です。
入浴の状況
快適なデイサービス利用を検討される際、入浴の状況も確認しておきたいポイントのひとつです。デイサービスの入浴方法には一般浴、個浴、機械浴があり、施設の設備によって異なります。
介護度が比較的低い人は、複数人が同時に入浴する一般浴と一人で入浴する個浴を選択することができます。利用する本人の好みや身体状況に合わせて、対応する施設を選びましょう。
介護度の高い人は、車椅子のまま入浴できるリフト浴や寝たままでも入浴できる機械浴の設備が整った施設を選ぶことをおすすめします。
レクリエーション
デイサービスで行われているレクリエーションの内容は施設ごとに大きく異なるため、利用者本人の性格や好みに合った活動ができる施設を選ぶと良いでしょう。集団で行われるレクリエーションでは、主に身体機能の維持のために体を動かす活動がおこなわれています。
また、季節ごとのイベントなどに参加し、利用者同士で交流することも可能です。
一方、個別のレクリエーションでは、将棋や囲碁、麻雀、絵画、俳句などを楽しむことができます。ただし、それぞれのレクリエーションで使用する材料費や費用は実費の場合もあるため、事前の確認が必要です。
施設の規模の違い
デイサービスの施設の規模によって違いはあるのでしょうか。どのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
大規模な施設のメリット・デメリット
大規模な施設のデイサービスは、1日20名以上が利用することになります。利用者もスタッフも多いため、集団でのレクリエーションも多く、友人を作りやすいことがメリットです。
一方で、他の利用者だけでなく、スタッフの名前を覚えることも難しくなってしまうのはデメリットとも言えるでしょう。
小規模な施設のメリット・デメリット
1日の利用者が9名以下の小規模な施設のデイサービスは、個別の対応が可能なため、集団での活動が苦手な方でもマイペースに活動できるでしょう。
少人数で親しみやすい雰囲気になる一方、毎日同じ人が利用することが多いことで、人間関係や雰囲気に馴染めない場合は、通いづらくなってしまうこともあります。
デイサービスの探し方
ここからは、実際のデイサービスの探し方の流れは以下の通りです。
- 担当のケアマネジャーに相談する
- 候補を絞る
- 見学や体験をしてみる
- ケアプランの作成・サービス担当者会議の開催
- 契約後、デイサービスの利用開始
担当のケアマネジャーに相談
デイサービスの利用を検討する場合は、まず、担当ケアマネジャーに相談しましょう。
ケアマネジャーが、利用者本人に合わせた施設選びのアドバイスから、受け入れ可能な施設を提案し、事業所に直接問い合わせるなど、最終的な契約の手続きまでのサポートをしてくれます。
候補を絞る
ケアマネジャーに提案されたいくつかのデイサービスの中で、利用者本人やご家族が気になる施設がいくつかあった場合は、ケアマネジャーに相談し候補を絞っていきましょう。
利用者本人に最も適している施設を見つけるためにも、ご自身で調べることが大切です。パンフレットなどやホームページに加え、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でも、全国の「介護サービス事業所」の詳しい情報を調べることができます。
見学や体験をしてみる
候補となるデイサービスが見つかったら、実際に見学や体験をしてみましょう。初めてデイサービスを利用する場合は、2~3ヵ所の複数の施設を見学することをおすすめします。
各施設で利用者の方々が快適に過ごしているか、職員の対応や施設の雰囲気など、それぞれの良いポイントを比べてみると良いでしょう。
見学は必ず利用する本人と一緒に
おくためにも、見学には必ず利用する本人と一緒に行きましょう。
デイサービスに否定的な感情や不安をお持ちの方の場合は、その旨を施設のスタッフに事前に伝えて協力を仰いでおくと良いでしょう。ご本人が安心できるようなお話をするなどの対応をとってもらえ、デイサービスに対する印象が変わる可能性もあります。
ケアプランの作成・サービス担当者会議の開催
見学や体験の後に利用したい施設が決まった場合、ケアマネジャーが施設側に「利用申込書」を送ります。その後、ケアマネジャーがケアプランを作成します。
そして、利用者本人やご家族と介護サービスに関わる関係者が集まり、ケアプランを基に情報を共有する「サービス担当者会議」を開催します。
サービス担当者会議とは
「サービス担当者会議」とは、利用者本人にとって最適なサービスを提供するため、利用者本人とご家族、各担当者が集まり、ケアマネージャーが作成したケアプランの内容をもとに意見交換を行い、情報を共有する会議のことを言います。
契約後、デイサービスの利用開始
通常であれば「サービス担当者会議」の後、最終的な調整が済み次第、ケアプランに同意して契約に進み、デイサービスの利用が始まります。
上手にデイサービスを選ぶ2つのポイント
デイサービスの施設を上手に選び、スムーズにサービスを利用するためには、以下の2つのポイントに気をつけると良いでしょう。
- ケアマネジャーとの相談で目的を明確にする
- 本人がやりたいことを施設へ伝える
ケアマネジャーとの相談で目的を明確にする
ケアマネジャーと相談する際には、デイサービスを利用することにより、本人がどうなりたいのかという目標についても話し合いましょう。
サービス利用の目的が明確になることで、条件に合った施設を絞ることができます。また、本人が目的を持ち意欲的に活動することによって、デイサービスの高い効果が得られる可能性があります。
本人がやりたいことを施設へ伝える
デイサービスを利用する本人が、ずっと我慢していることや本当はやりたいと願っていること、あきらめてしまっていることなどがあれば、その旨を施設のスタッフに伝えてみましょう。これらの思いをもとに活動の目的を設定することで、リハビリや機能訓練をより効果的に進められることもあるのです。
本人の意向を確認し、最適なデイサービスを選ぼう
ケアマネジャーや家族がどれだけ調べて見つけ出した施設でも、利用者本人の思いやイメージとかけ離れてしまっていては元も子もありません。デイサービスを利用する本人の意向をまずは第一に確認しましょう。
施設見学にも必ず利用者本人を連れていって、体験してみましょう。その上で、ケアマネジャー、家族、利用者本人の意向にそった最適なデイサービスを選ぶことをおすすめします。
デイサービスの選び方に関するよくある質問
デイサービスを選ぶときのポイントは何ですか?
「職員の体制や設備、雰囲気」「提供される食事」「入浴の状況」「レクリエーション」などが挙げられます。
特に、職員の体制や設備、雰囲気は非常に重要で、スタッフと利用者の間に良い関係が築かれているか、経験豊富なスタッフや有資格者は揃っているのかなどを見学時に見極めましょう。
介護度が高くてもデイサービスで入浴できますか?
デイサービス利用を検討する際、入浴の状況も確認しておきたいポイントのひとつです。
介護度の高い人は、車椅子のまま入浴できるリフト浴や寝たままでも入浴できる機械浴の設備が整った施設を選びましょう。ただし、施設によっては入浴設備が整っていない場合があるので事前に確認しましょう。
食事制限が必要な人でもデイサービスは選択できますか?
食事の提供方法は施設内で調理される場合と外部の配食サービスなどを利用している場合があります。基本的に制限食については対応してもらえることがほとんどです。デイサービスでの食事は自費で、費用は施設によってさまざまなので注意が必要です。
この記事の執筆者
「いい介護」の記事を編集・執筆する専門チームです。介護コンテンツのベテラン編集者や介護施設職員の経験者など、専門知識をもったスタッフが、皆さまの介護生活に役立つ情報をお届けします!