訪問介護とは、介護福祉士やヘルパーなどが自宅に訪問して療養生活中の高齢者の介助をおこなうサービスのこと。この記事では、訪問介護を選ぶときのポイントやサービスを受けるまでの流れをご説明していきます。
この記事を監修する専門家
利用者の希望に沿った介護を念頭に、住み慣れた家・地域での総合介護・ケアで介護施設を複数運営。現在もケアマネジャーとして、利用者本人や家族との連携を密に取りながら現場第一主義で日々奮闘している。趣味は山登りとマラソン。
訪問介護事業所を選ぶ際の5つのポイント
訪問介護の事業所を選ぶ際の5つのポイントは以下の通り。
- 事業所の評判を聞く
- 事業所は複数比較する
- サービスの内容と費用について明確な説明があるか
- 適切なサービスが実行されているか
- ヘルパーとの相性
それでは詳しく説明していきます。
事業所の評判を聞く
身近な人に訪問介護を利用している人がいれば、利用している事業所やおすすめの事業所など聞いてみましょう。
各人によって介護スタッフの印象や相性も違ったり介助のやり方にも差異があるため、あまり神経質にならずに、まずは利用してみるのもひとつの手です。「なにか違うな」と思う時は、担当のケアマネジャーに相談してみてください。
事業所の離職率もチェック
事業所の離職率が高いところはなるべく避けたいところ。厚生労働省の「介護サービス情報公表サービス」を検索すれば、利用したい事業所の退職者数や有資格者ごとの人数、スタッフの経験年数を閲覧することができます。事業所に直接問い合わせるのも良いでしょう。
事業所は複数比較する
事業所は複数比較することが大切。利用してから「なにか違うな」と後悔しないように情報収集をしっかり行いましょう。
インターネットの比較サイトやパンフレットなども参考にしつつ、各事業所の特色や介護スタッフの雰囲気などを担当のケアマネジャーや事業所の担当者に聞いてみてください。それを踏まえたうえで費用面や要介護者の要望にマッチした事業所を選びましょう。
訪問介護事業所|それぞれの違い
訪問介護事業所はそれぞれの事業所によって特徴も異なります。それではそれぞれの違いについて述べていきます。
職員の配置状況
事務所を選ぶ時、職員の配置状況も気になるところ。
事業所は「常勤ヘルパーが多い」「常勤ヘルパーが少ない」の大きく2つに分類され、メリット・デメリットがそれぞれにあります。それでは詳しくご説明していきます。
常勤ヘルパーの多い事業所
常勤ヘルパーの多い事業所のメリットは、事業所を拠点とした訪問介護を行うため、直行直帰も少なく、ヘルパー同士の情報共有や介護手法の教育などがしっかりなされていることが多いと言えるでしょう。
その反面、スタッフの人数も少ない事業所が多いため、「相性が合わないため担当のヘルパーを交代したい」「訪問日を変更してほしい」といった利用者のリクエストに臨機応変に対応できないデメリットも。
常勤ヘルパーの少ない事業所
常勤ヘルパーの少ない事業所のメリットは、常勤と非常勤を合わせたヘルパーの人数が多いこと。その分、利用者の要望に応えられるとともに相性の良いヘルパーを手配しやすくなります。
デメリットは、非常勤のヘルパーは直行直帰で通うことも多いため、ヘルパー同士の情報共有も少なく、責任感も若干薄れてしまう場合がある点です。
医療的ケアに対応できるか
介護スタッフは医療行為はできませんが、一部の医療行為を認められています。
例えば、たん吸引や経鼻経管栄養、胃ろうといった一部の医療ケアに限り、行える人もいます(特定の試験・研修を修了した者に限る)。
医療的ケアが必要な場合は、事業所に問い合わせてください。今は必要でなくても近い将来を見据えて確認しておくのも良いでしょう。
同性介助は可能か
男性利用者の中には入浴の介助やオムツ交換などを女性に介助されるのを嫌がる人もいます。要介護者に同性による介助を望むのか、異性の介護スタッフでも平気か、まずは確認しましょう。
女性のヘルパーしかいない事業所も少なくないため、事業所に男性及び女性の介護スタッフがいるか確認することをおすすめします。
訪問介護サービスを上手に選ぼう
上手に事業所を選ぶためには、情報収集をしっかり行ったうえで複数の事業所を比較すること。訪問介護サービスの中には悪質な事業所も少なからずあります。それを見極めるためにも、担当のケアマネジャーや知人からの口コミ、ホームページ、パンフレット、事業所へのヒアリングを行い慎重に検討してください。
また、事業所のスタッフと実際に話したり、介護スタッフ同士のやり取りや態度、説明の仕方などもチェックしましょう。事業所や制服の清潔さを確認してみるのもおすすめです。
後医療行為が必要となった時は、訪問看護との併用や有料老人ホームへの入居の検討も視野に入れると良いでしょう。
訪問介護の選び方に関するよくある質問
訪問介護を選ぶときのポイントは何ですか?
「事業所の評判を聞く」「事業所は複数比較する」「サービスの内容と費用について明確な説明があるか」「適切なサービスが実行されているか」「ヘルパーとの相性」などが挙げられます。
特に、前もって事業所の評判を聞くことは重要で、事業所の離職率などもチェックしておきたいところです。まずは担当のケアマネジャーか、身近に訪問介護サービスを利用している人がいれば評判などを聞いてみましょう。
訪問介護で医療行為はできますか?
訪問介護のスタッフは医療資格を持っていないため医療行為をおこなうことはできません。医療行為も同時に受けたい場合は、訪問看護の利用も視野に入れると良いでしょう。
また訪問介護スタッフは、利用者以外を対象としたサービスも提供できないので注意しましょう。
介護ヘルパーの変更はできますか?
利用者の希望によって介護ヘルパーの変更は可能です。
サービス内容に不満がある場合や、相性が合わないと感じる場合は事業所への連絡、言いづらい場合はケアマネジャーから連絡してもらいましょう。
また非常勤の人が多く勤務している事業所であれば、スタッフの数が多くいるので、利用者や家族と相性の良い介護ヘルパーが見つかりやすいです。
この記事の執筆者
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