訪問看護とは、看護師が主治医の指示に基づき、利用者の自宅に訪問して要介護者の療養上の世話や診療の補助をおこなうことです。ケアマネジャーから訪問看護の利用を勧められたけど、選び方がわからないと思う人もいるかもしれません。
この記事では、訪問看護を選ぶときのポイントや注意点について見ていきましょう。
この記事を監修する専門家
利用者の希望に沿った介護を念頭に、住み慣れた家・地域での総合介護・ケアで介護施設を複数運営。現在もケアマネジャーとして、利用者本人や家族との連携を密に取りながら現場第一主義で日々奮闘している。趣味は山登りとマラソン。
訪問看護を選ぶ際の7つのポイント
訪問看護を選ぶ際の7つのポイントは以下の通りです。
- 自宅から近いエリアに絞る
- 職員の人数
- 緊急時の対応
- 主治医との連携
- 専門的な知識が深いか
- 対応が丁寧か
- 利用者のことを知ろうとしているか
それでは詳しく見ていきましょう。
自宅から近いエリアに絞る
利用する訪問看護事業所は、自宅から近いところを選んだ方が良いでしょう。急変したときのことを考えると近隣の事業所の方が安心感があり、また、交通費など費用がかからないこともメリットとして挙げられます。
職員の人数
職員の人数はある程度把握しておくと良いでしょう。看護師が一定以上いる事業所は、急変時に迅速に対応してくれることが多く安心です。
そのほか、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がそれぞれ「何人所属しているのか」「どのような経験があるのか」などを確認し、実際に事業所を見学することもおすすめです。
緊急時の対応
訪問看護事業所は24時間体制のところを選ぶと安心感があります。特に高齢者は、いつ体調が急変するかわからないため、週末や祝日、夜間の事業所の対応はしっかりと確認する必要があります。
また、看取りを自宅でおこなう場合は、家族も把握しきれないことが多いため、今後予想される症状や緊急時の対応、頼りになるスタッフに来てもらえるかなど事業所に確認すると良いでしょう。
主治医との連携
訪問看護事業所と主治医がしっかり連携しているところを選ぶことをおすすめします。
本人が苦手と感じることや気遣ってほしいことなど、些細なことまで主治医と事業所が相互に情報共有していれば、訪問看護の利用時もスムーズに進むでしょう。
専門的な知識が深いか
訪問看護に来るスタッフが専門的な知識を持っているか、必ず確認しましょう。
訪問看護は、一般的な看護サービス以外にも自宅での看取りケアや介護の相談なども含まれるため、専門的な知識を持っているスタッフと担当のケアマネジャーがしっかりプランを立てる必要があるためです。
対応が丁寧か
患者に対して、丁寧な言葉遣いでわかりやすく説明する医師は人気があるもの。同様に、訪問看護に来るスタッフの話し方に気遣いや優しさを感じると利用者も安心感が得られることでしょう。
もし、スタッフの対応に違和感がある場合は、担当のケアマネジャーなどに相談してみてください。
利用者のことを知ろうとしているか
訪問看護のスタッフが利用者のことを知ることにより、スムーズな対応につながることがほとんどです。
利用者が毎日穏やかに過ごせているか、日々の習慣や好きな食べ物など、スタッフが質問をしながら気持ちに寄り添うことも大切なポイントです。
また、スタッフが何気ない話題を話しながら世話をおこなうことで、利用者の不安や苦痛が軽減される場合もあります。
訪問看護を選ぶ際の注意点
それでは次に訪問看護を選ぶ際の注意点について詳しく見ていきましょう。
- 生活支援のサポートは受けられない
- 支給限度額以上にならないように注意が必要
- すぐにサービスを利用できない場合もある
生活支援のサポートは受けられない
訪問看護は、自宅での療養生活や在宅介護が必要な方に、専門的な医療ケアを提供することを目的としているため、日常生活におけるサポートは提供していません。
家事や炊事、買い物のサポートが必要な場合は、訪問看護とは別にヘルパーなどのサービスや支援を利用することになります。その点を前もって理解し、トラブルを回避しておきましょう。
支給限度額以上にならないように注意が必要
介護保険でさまざまなサービスを利用する場合の費用には、介護度によって支給限度額が設けられています。
訪問看護は、費用の原則1割負担で利用することが可能ですが、支給限度額を超える費用は全額自己負担となります。
介護保険で賄われる費用は、訪問看護以外の、ヘルパーなど介護サービスを利用した場合の費用も合算されるため、事前に限度額を確認し、自己負担分を抑えられるように注意しなければなりません。
すぐにサービスを利用できない場合もある
訪問介護のサービスをすぐに受けることができない場合があります。
介護保険が適用されるまでには、ケアプランの作成、サービス提供者の設定などいくつかの手続きが必要となり、要介護度が認定されていない場合は、決定までに1か月近くかかることもあります。
訪問介護が必要になった場合には、すべての手続きが完了するまでの時間を考慮し、できるだけ早めに手続きすることが大切です。
訪問看護を利用するにはどうしたら良い?
訪問看護は、病気や障がいによって在宅で療養生活を送るすべての人が利用できます。訪問看護で保険を利用する際には、医師による「訪問看護指示書」が必要となります。
また、介護保険と医療保険のどちらの保険が利用できるのかは、その疾患や患者さんの年齢によって変わり、介護保険で訪問看護を利用できる人は、65歳以上要介護・要支援認定を受けている第1号被保険者、40~64歳で関節リウマチや末期がん等の「特定疾病」が原因で要介護・要支援認定を受けている第2号被保険者が対象になります。
介護保険の対象の人は、担当ケアマネジャーに相談し、訪問看護ステーションに依頼をしてもらうことになります。
訪問看護指示書とは
介護保険や医療保険を利用する訪問看護には「訪問看護指示書」が必要になります。
訪問看護指示書は主治医が発行し、有効期限は6カ月。指示書の発行後、医療保険適用の訪問介護は週3回まで利用可能です。
訪問看護を継続利用したい場合は、期限が来るごとに訪問看護の看護師から主治医に交付をお願いすることになります。
そして、継続を依頼された主治医が、利用者の診療経過や訪問看護の計画書及び報告書などから「訪問看護が継続して必要」と判断することにより、指示書が引き続き交付されます。
安心できる訪問看護事業所を選ぼう
評判も良く、利用者も心地よく思える訪問看護事業所を選びましょう。
安心感がある訪問看護を利用すれば、住み慣れた自宅で快適に過ごすことができますし、専門知識を持つ看護師に来てもらうことで、家族が感じる不安なども軽減することができます。
安心して自宅で生活できるように、まずは訪問看護事業所について調べておきましょう。
訪問看護の選び方に関するよくある質問
訪問看護を選ぶときのポイントは何ですか?
「自宅から近いエリアか」「職員の人数」「緊急時の対応」「主治医との連携」「専門的な知識が深いか」「対応が丁寧か」「利用者のことを知ろうとしているか」などが挙げられます。
特に緊急時の対応については、24時間体制の事業所を選ぶと安心感があります。週末や祝日、夜間の対応についてはしっかりと確認しましょう。
訪問看護では身体介助や生活支援はしてくれますか?
訪問看護は、専門的な医療ケアを提供することを目的としているため、日常生活におけるサポートは提供していません。身体介助や生活支援が必要な場合は、訪問介護サービスを別途契約する必要があります。
訪問看護を利用できる回数は決まっていますか?
利用できる回数は、利用者の身体状況によって変わります。
基本的な利用回数は週3回まで、末期がんなど頻繁な訪問看護を要する患者対し、主治医の判断によって「特別訪問看護指示書」発行された場合は、回数無制限(週4日以上)で訪問看護を受けることができます。
この記事の執筆者
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