介護の基礎知識
訪問入浴の選び方│押さえておきたい3つのポイントと注意点
訪問入浴は要介護度が高い人向けの介護サービスです。訪問入浴を利用することで、家族の負担も軽くなり、要介護者も清潔に自宅で過ごすことができます。
この記事では、訪問入浴の事業所を選ぶときのポイントや注意点について説明していきます。
訪問入浴を選ぶ際のポイント
利用者の自宅に訪問入浴に来るスタッフは看護師1名、介護スタッフ2名の3名体制です。看護師による血圧、脈拍、体温チェック後に問題がなければ入浴介助が始まり、洗髪や洗身含め時間は7~10分程度。
リクエストに応じて、入浴後の着替えや保湿クリームの塗布や爪切りもおこないます。
訪問入浴を選ぶ時の3つのポイントは以下の通り。
キャンセル料がかかるのか衛生管理が徹底されているか緊急時の対応はどうなっているか
どのポイントも基本的なことですが、利用する際は意識した方が良い内容です。それでは詳しく見ていきましょう。
キャンセル料がかかるのか
利用者の体調不良などにより当日キャンセルすることもあるでしょう。この場合、キャンセル料がかからないことも多いですが、キャンセルポリシーについて事前に確認しましょう。
衛生管理が徹底されているか
衛生管理や感染症対策がしっかりしている事業所を選びましょう。
感染症対策は、新型コロナウィルスに限らずC型肝炎や乾癬なども含まれます。スタッフのうがい、手洗い、消毒はもちろん、入浴の水に電解水を使う、浴槽、備品などをしっかり洗浄、消毒しているかどうか確認しましょう。
緊急時の対応はどうなっているか
緊急時、速やかに対応してくれる事業所は信頼度が高いと言えます。入浴中に利用者が急変した場合、看護師やスタッフが救急車を要請したり、主治医や医療機関への連絡体制が整っている事業所を選ぶと良いでしょう。
訪問入浴選びの例
訪問入浴選びの具体的な例を2例紹介します。
寝たきり状態の場合
寝たきりの人は拘縮(こうしゅく)、つまり手足や関節が縮こまり固まっていることが多いため、スタッフが慌ただしく介助すると洗い残しや流し忘れが起きてしまうことがあります。
そのような事態にならないために、寝たきり状態の人が訪問入浴を利用する際は、余裕を持ったスケジュールを組んでくれて、きめ細かな世話をしてくれる事業所を選びましょう。
念のため、利用予約時に、その日の作業が詰まっていないか事業所側に確認することも大切です。
医療的ケアが必要な場合
医療的ケアが必要な人は、緊急時に速やかな対応をしてくれる訪問看護も併設されている事業所を選ぶと良いでしょう。
また、訪問入浴の看護師は原則として医療行為をおこなうことができません。サービス内容としては、バイタルチェックや湿布の張替え、軟膏の塗布などになり、痰吸引などは訪問看護でおこなうことになるので注意しましょう。
訪問入浴を選ぶ際の注意点
それでは、訪問入浴を選ぶ際の注意点を具体的に説明していきます。
ストレスに感じる利用者もいる訪問介護よりも高額になる利用者の入浴拒否看護師は医療行為をおこなえない
ストレスに感じる利用者もいる
入浴をするということは裸になるということなので、利用者にとってはストレスになってしまうこともあります。
入浴は心地の良いものでも、スタッフに裸を見られることが苦痛になってしまう利用者もいるので、きちんとした配慮が必要になります。
気分良くサービスを利用できるようにしっかりと利用者とコミュニケーションを取り、同性のスタッフに対応をしてもらうなどの方法も検討しておくようにしましょう。
訪問介護よりも高額になる
訪問入浴介護は、利用回数も増やすことができないためやや柔軟性に欠けてしまいます。
また費用についても訪問介護での入浴介助よりも訪問入浴のほうが高くなっており、実際に、訪問介護サービス内の入浴介助を60分利用した場合の利用料金は、自己負担割合が1割の場合で約600円。
対して50分程度の利用となる訪問入浴の利用料金は、自己負担割合が1割でも1,260円となっています。
このようなデメリットがあることはしっかりと理解した上で、さまざまなサービスと比較検討をして利用をするようにしましょう。
利用者の入浴拒否
利用者の羞恥心や認知症の症状が原因で、サービスを受ける直前になって入浴を拒否してしまうケースがあります。
そういったことから、同性のスタッフを希望するのもOK。事前に利用者としっかりとコミュニケーションを取り、希望を伝えておきましょう。
また、利用をする上でスタッフとの相性は良いかどうかという点もしっかりと確認し、利用者にとって心地良くサービスが受けられる環境作りをしていくことが大切です。
看護師は医療行為をおこなえない
訪問入浴サービスでは看護師が同伴するので、医療行為をしてもらえると思う人もいるかもしれませんが、訪問入浴は看護師であっても「痰の吸引」「摘便」といった訪問入浴のサービス内容とは異なる医療行為は受けられません。
どの事業所でも看護師がおこなうことは、バイタルチェックや湿布の張り替えといった利用者の健康状態の確認が中心になりますので注意しましょう。
「自宅の浴槽での入浴を介助する」は訪問介護
訪問介護サービス内の入浴介助と、訪問入浴サービスの入浴介助では何が違うのでしょうか。
簡単にまとめると、訪問介護では介護スタッフ1名が自宅の浴槽を使用して入浴介助や見守りをおこなう一方、訪問入浴では専門の浴槽で、看護師を含む介護スタッフ2〜3名で入浴介助や見守りをおこないます。
訪問介護の他にも入浴をサポートするサービスとして、デイサービスやデイケアの施設を利用して入浴するケースもあるので、どのサービスが適切なのかをしっかり比較検討し利用しましょう。
訪問入浴を利用するタイミング
訪問入浴サービスの利用者は、要介護度が高い(要介護度4〜5)人が多い傾向にあります。デイサービスで入浴するのも困難になったり、自宅での浴槽の出入りが出来ない人や病気などで寝たきりの人が当てはまります。
そのため、そのような状態に近づいてきたタイミングで訪問入浴の利用を検討し始めましょう。
ケアマネジャーのおすすめを利用すべき?
必ずしも、担当のケアマネジャーから勧められた事業所を選ぶ必要はありません。利用者や家族が納得できる事業所をじっくり選ぶと良いでしょう。
また、ケアマネジャー以外に周辺地域の人やサービスを利用している友人などに聞いたり、インターネットの口コミなども参考にしましょう。
訪問入浴の選び方に関するよくある質問
訪問入浴を選ぶときのポイントは何ですか?
「キャンセル料がかかるのか」「衛生管理が徹底されているか」「緊急時の対応はどうなっているか」などが挙げられます。
特に、衛生管理については感染症対策がしっかりしている事業所を選びましょう。感染症対策は流行中の新型コロナウィルスに限らず、肝炎や乾癬なども含まれます。
訪問入浴は不特定多数の人が入浴をおこなうので、消毒などはもちろんのこと、入浴に使用する水についても確認しましょう。
訪問入浴で医療行為は可能ですか?
訪問入浴は看護師であっても「痰の吸引」「摘便」といった訪問入浴のサービス内容と異なる医療行為は受けられません。訪問入浴サービスの看護師は基本的に、バイタルチェックや湿布の張替え、軟膏の塗布などを主な業務としています。
訪問入浴の所要時間はどのぐらいですか?
訪問入浴の所要時間は、準備から片付けまでのトータルで50分前後の事業所が多いです。入浴前の健康チェックから脱衣までが15~20分、入浴は10分程度、入浴後の健康チェックから着衣までが15~20分の時間配分が大まかな所要時間です。
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2024/04/15