高齢者の脱水症とは、のどの渇きや温度に対する感覚が弱くなり、体内の水分量が不足している状態を指します。脱水症のリスクが高まるのは夏場だけでなく、高齢者の方にとっては常に危険が潜んでいることを忘れてはいけません。
この記事では、脱水症によって起きる特徴的な症状や原因、脱水症になってしまった場合の対処法と今からできる予防法を解説しています。
家族の介護に携わっている方、これから家族の介護に携わる方は、是非、参考にしてみてください。
高齢者は、脱水症に陥ったとしても自身で気づかない場合が多いです。そのため、周囲の人が注意深く見守る必要があります。以下では、脱水症による症状を軽度から重度までまとめました。
皮膚のかさつきが見られ、口内が乾燥している場合は、軽度の脱水症を疑いましょう。また、脱水症は行動にも表れ、以下の症状がある場合は脱水症の可能性があります。
脱水症が進行すると、以下のような症状が表れます。
中度へ進行すると明らかな体調異常が見られるので、尿の量・尿の色などをチェックしておきましょう。
症状が重症化すると、軽度・中度の症状に加え以下が表れます。
酷い場合は、意識を失ったり痙攣を引き起こしたりと命に関わる症状も出ます。
脱水症に陥った場合でも、早急に対処することができれば症状を軽くできます。以下では、脱水症の症状が見られたときの対処法をまとめました。
軽度の場合、水分を摂取することで症状が改善されることがほとんどです。水分補給は水やお茶でも充分ですが、水分と塩分を同時に補給できる経口補水液がおすすめです。経口補水液はドラッグストアで手に入りますが、自宅で簡単に作ることもできます。
中度の場合も経口補水液を飲み、様子を見ましょう。下痢の症状がある場合は、排泄の度に水分補給をおこないます。嘔吐した場合は、吐いた量と同じ程度の経口補水液を飲ませる必要があります。
また、嚥下障害がある場合は、ゼリータイプの経口補水液もおすすめです。
重度の場合は、経口補水液では対処できない可能性が高いです。点滴などの医療処置が必要となるため、速やかに病院へ行って診察を受けましょう。
脱水症は、どの年代でも起きる可能性があります。しかし、高齢者に比較的起こりやすいのには原因があります。以下では、高齢者が脱水症を起こしやすい原因をまとめました。
加齢に伴い食欲の減退や食べ物を飲み込む嚥下機能が低下すると、体内の水分量が不足し、脱水症を引き起こします。また、水分を蓄えるための筋力の低下も、原因のひとつとして挙げられます。
高齢になると、感覚機能が低下し、のどの乾きを感じにくくなります。そのため摂取する水分量が少なくなり、脱水症に陥るリスクが高まります。
また認知症の症状が出ている場合、飲み物を飲むこと自体を忘れてしまい、長時間にわたって水分補給をしていないで脱水症に…というケースもあります。
加齢によって起こる内臓機能の低下も、脱水症を引き起こす原因と言われています。特に、体内の水分を調整する役割を持っている腎臓の機能が低下すると、体内に必要な水分や塩分を留める力が弱くなり、脱水症を起こします。
服用している薬が脱水症を引き起こすこともあります。特に、血圧を下げる降圧剤には利尿作用があり、尿の排出によって水分と塩分が不足し、脱水症に陥ります。
脱水症を引き起こしやすい高齢者には、周囲の人が「水分が足りているか」「部屋の温度は適切か」などの点を気にかける必要があります。以下では、今からできる脱水症の予防法をまとめました。
高齢者が1日に必要な水分量は、食事以外に、1000~1500mlと言われています。ただし、その日の体調によっては、より多くの水分補給が必要です。そのため、高齢者自身だけでなく、周囲の人が必要な水分を摂取できているかをチェックすることが大切です。
暑さで大量に汗をかくことで脱水症の原因となります。夏には積極的にエアコンを利用し、室内の温度を適温に保ちましょう。
また一方で、冬にも乾燥によって脱水症が引き起こされる場合があります。そのため冬には、加湿器を使用したり濡れタオルを干したりして湿度を上げると良いでしょう。
間隔をあけずに定期的に水分補給するように促しましょう。高齢者はのどの乾きを感じにくくなっているため、周囲の人からの声かけが重要です。
ゼリーや水ようかんなどの水分を凝固させたもの、またフルーツでも水分補給は可能です。水分を多く含んでいるのはもちろんのこと、本人が「また水を飲むのか」といった気持ちにならず、おやつ感覚で自然と水分補給ができます。
まずは、水分補給をすることに専念しましょう。水やお茶でも充分に補給できますが、水分と塩分を同時に補給できる経口補水液がもっとも良いとされています。
高齢者が1日に必要な水分量は、約1000~1500mlと言われています。ただし、その日の体調などによってはより多くの水分補給が必要です。周囲の人が必要な水分を摂取できているかを気にかけ、促してあげることが大切です。
もっとも脱水症を警戒するのは夏ですが、冬にも乾燥によって脱水症が引き起こされる場合があります。冬には、加湿器を使用したり濡れタオルを干したりして湿度を上げ、乾燥を防ぐと良いでしょう。
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